なぜFXで失敗したのか?口座開設前に初心者が知るべき10のこと

[公開日]2014/12/12[更新日]2015/04/17

FXは投資なので、いろんなリスクがあります。インターネット上に氾濫する成功体験などを語るブログなどを鵜呑みにして始めてしまうと、財産を失うだけでは済まないほどの傷を負うこともあります。これからFXを始めようとしている方に初心者が陥りがちの失敗パターンを10項目挙げて説明します。

fx初心者の失敗と入門

FXとは、アメリカドルやユーロなどの海外通貨を売買する投資の一種です。日本語では「外国為替証拠金取引」と言います。

FXは「Foreign eXchange」の略語が元になっている造語です。元の「foreign exchange」は「外国為替」という意味です。為替とは通貨の取引方法のことを示す言葉なのですが、外国為替と言ったら海外通貨とイコールだと思って構いません。

日本では、FX取引は個人投資家にとても人気のある投資方法のひとつです。手数料が安く設定されている証券会社が多く、会社から帰った後でも取引出来るため、サラリーマンなどでも取引出来るためです。株式の取引は、朝9時から午後3時までしか市場が開いていないため、サラリーマンにとっては投資をしづらいのです。

では、FXで初心者が知っておくべき10のこと解説します。

元本保証されない


FX取引は元本保証されていません。元本保証とは、投資に失敗しても最初に投資した金額だけは保護されるもの。FXにはそれがないため、もし投資に失敗すれば、実に簡単に投資資金が減っていきます。当たり前のことなのですが、当たり前過ぎてその意味を知らずにFX投資をされている方が非常に多くいます。

FX取引において元本保証されないという事は、投資元本を失うだけでは済まないのです。後述しますが、不足金などの発生によって、追加で入金をしなければならない事態も起こり得るのです。

利益が出たら税金がかかる


かつて、FX取引で利益が出たら、最大50%もの所得税がかかっていました。がんばって稼いだ利益の半分が税金として取られる可能性があったわけです。それが2012年1月より、一律で20%になりました。さらに、1年間を通じて損失となっていた場合、確定申告を行えば3年間は通算出来て、トータルでプラスに転じるまで納税の必要がなくなりました。

FX取引を行う証券会社では、利益が出た場合に源泉徴収するかしないか予め選択します。
源泉徴収していれば、税金は自動的に差し引かれるため、確定申告の必要はありません。ですが、源泉徴収を選択していないままFX取引で利益が出た場合、確定申告を行わなければ脱税となってしまいます。また、証券会社によっては源泉徴収を選択できず、必ず確定申告が必要となります。

利益は全部自分のものだと思ってお金を使ってしまったら、年度が変わった後で納税額が足りずにてんてこ舞いする事になってしまいます。

レバレッジはかけすぎると危険


FXでは、証券会社に入金した投資資金を超えた額の海外通貨を売買することが出来ます。これを「レバレッジ」と呼びます。FXの日本語訳である「外国為替証拠金取引」という言葉に含まれる「証拠品取引」が、それを可能にしています。

FX会社に入金する投資資金は「証拠金」と呼ばれます。例えば証拠金として10万円を入金していて、20万円相当の米ドルを購入すると、「2倍のレバレッジ」がかかっている状態になります。利益が出れば、1倍のレバレッジの時と比べて2倍の利益になります。ですが、損失が出れば、1倍のレバレッジの時と比べて2倍の損失になります。

日本のFX取引では、最大25倍までのレバレッジをかけられます。利益が出れば大変喜ばしいですが、損失が出れば悲劇というだけでは済まないでしょう。

損失を含んだ状態である「含み損」状態であれば、まだ損失は確定していないため、値動きが反対方向に動けば利益になる可能性はあります。ですが、FXでは自分が注文を出していなくても強制的に決済されてしまう仕組みもあり、投資家が自分で完全にコントロール出来ません。

ロスカットは想定外のときに起きるもの


FX取引には、想定を超えた値動きをした場合に、それ以上損失が拡大するのを防ぐ仕組みが組み込まれています。「ロスカット」と呼ばれており、海外通貨を購入した時の値段から、一定以上値段が変化した時に、強制的に決済させられてしまいます。

ロスカットは、前述のレバレッジ倍率が高ければ高いほど起こりやすくなります。レバレッジ1倍であっても、ロスカットは起こり得ます。ロスカットが発動して強制決済されると、高い確率で「追証」と呼ばれるものが必要となります。追証については後述しますが、海外通貨というものは、想定を超えた値動きをするものだと常に頭の片隅においておく必要があります。

追証や不足金を請求されることがある


FX取引では、証拠金が不足すると、「追証」というものが必要になります。追証は「追加保証金」の略です。「保証金(=証拠金)が足りませんよ」とFX会社からの連絡が来ることを、「追証が発生した」と呼び、証券会社への入金が必要となります。入金しないでおくと現在買っている海外通貨を強制決済され、売らされてしまいます。

強制決済によって、さらに証拠金が不足すると、今度は不足金が発生します。不足金は「資金不足で決済出来ませんよ」というものです。

追証はロスカットによって発生するだけではありません。じわじわと損失が拡大していく場合でも発生します。そして、追証や不足金を放置したままにしておくと、FX会社から訴えられてしまいます。

注文した値段で買えない、売れない


全てのFX会社で起こるとは限らないのですが、外貨を買ったり売ったりするときに、注文通りの価格で実行(約定といいます)されないことがあります。金融取引には「最良執行方針」という、投資家にとって一番有利な条件で注文が実行される方針があります。ですが、価格を指定しないで売ったり買ったりする「成行(なりゆき)」注文をした場合、表示されている価格とは違った価格で約定してしまうことがあります。それを「スリッページ」と呼んでいます。

値動きが激しい相場のときは、注文を出した瞬間にパソコン画面などに表示されている価格と、取引場での価格にズレが生じることがあります。一部のFX業者ではズレが生じていてもそのまま注文を実行するため、投資家が思っていた価格からズレた価格で約定してしまうのです。

スリッページは指値注文では絶対に起きません。また、一部のFX業者では、注文した価格とその瞬間の取引場価格にズレがあった場合には約定させないようにして、投資家に不利になるスリッページを回避しています。

バックテスト通りいかない


「バックテスト」とは、過去の値動きをシミュレートして、投資方法のテストが行える機能や方法のことです。投資方法は人によって違います。短期取引を数多く繰り返す人、長期でどっしり構える人、値上がりし始めたら買う人、とことん値下がりするのを待ってから買う人等々。

そうした、投資家が自分で考えた投資方法が有効かどうか、過去の値動きを元に試すのです。バックテストで結果が得られたら、実際の取引でも同じ方法で投資をします。

ですが、バックテストでよい結果が得られても、実際の取引でも上手くいくとは限りません。バックテストはあくまで過去のデータに基づくもの。未来にも同じ法則が通用するとは限らないからです。

なお、バックテストは必ず行う必要があるものではありません。

24時間取引できてしまうので睡眠不足に


FX取引は、株式市場とは違い、24時間取引できます。世界中に外国為替市場があり、時間帯によって取引する市場を変えながら、いつでも注文が可能になっているからです。そのせいで、取引にハマってしまうと24時間パソコンの前から離れられなくなる恐れがあります。一度外貨を買ってしまうと、その後の値動きが気になって仕方なくなるのです。

実際、寝ている間に市場での価格が急に変動(急変といいます)してしまい、ロスカットされる可能性はあります。寝る前には全ての外貨を売ってしまう、ロスカットされてもよいようなレバレッジで取引を行うなど、割り切った取引が行えないと、気になって眠れないということにもなりかねません。

FX会社が無くなる危険性がある


めったにあることではないのですが、FX会社が倒産したり、撤退したりして、取引が行えなくなる場合があります。銀行にもペイオフがあるように、FX会社にも入金した投資資金の返済義務がないことがあります。信託保全していないFX会社の場合がそうです。

信託保全とは、FX会社が倒産しても投資資金が保護される制度です。残念ながらFX会社の中には誠実さに欠ける業者があります。そうした会社が倒産したり廃業したりするときに投資資金の返還に応じないところもあります。ですが、信託保全されていればそうしたことは起きません。

FX会社を選ぶ時は、信託保全している業者を必ず選びましょう。

いろんな情報を見なければならないので大変


株取引と違い、外国為替の値動きに影響を与える出来事はとても多く、事情も複雑です。新聞などで情報を集めようと思っても、新聞が配達される頃には値動きが急変した後だった、ということは日常茶飯事です。

まともに情報収集して投資に役立てようと考えている場合に、必要になる情報源を多数用意しておかなければなりません。また、日本国内の事情だけ見ていてもだめで、外貨の発行国の国内事情、世界情勢などにも通じていないと、集めた情報の分析もままなりません。

ただ、外貨のチャートだけを見て取引するという手法もあります。その場合は世界中の出来事を後追いしながら取引することになるので、値動きの理由を追求する必要は無くなります。

FX初心者が知るべき10のこと まとめ


このように、FX取引にはさまざまなリスクが潜んでいます。リスクを知らないでいることはとても危険です。リスクを抱えながら取引をすることは精神的にも良くないことです。リスクをコントロールする方法を覚え、リスクの元を1つでも多く無くすことで、始めてFX取引を役立てたり楽しめたりするようになります。