FX初心者におすすめしたい2冊の本

[公開日]2014/12/12[更新日]2015/04/17

多くのFX初心者の方は良本との出会いを求めていますが、ついつい安易なキャッチコピーで中身の薄い本に引っかかってしまいがちです。ここでは、おすすめ本2冊を紹介します。

FX初心者のおすすめ本

FX本は玉石混交


世の中には数多くのFX関連書籍があり、その数は日々増えています。ですが、残念なことに値段と内容が伴わないのがFX関連書籍。玉石混交なのです。無数に出版されている書籍の中から本当に正しいことが書かれている本を探しだすということ、FX初心者にとってはこれが最初のハードルとなります。

そして、「役に立たない本の特徴はこういう本だ」と指摘することは割と簡単に出来るのですが、「こういう本を読めばFXに勝てるようになる」ということはなかなか言えないものなのです。

それは、個々人の性格や投資スタイルというものが、微妙なバランスの上になりたっているので、読んだ本から得た知識によって考え方が影響されて、投資スタイルに悪い変化が起きてしまうと、勝てていた人なら勝てなくなったりしますし、勝てない人ならもっと勝てなくなる、といったこともあり得るからです。

一方、初心者というものはなかなか勝てない人なのでしょうから、そうした無数の本の中から、自分にベストマッチした本を見つけることが出来れば、まさに「目から鱗が落ちた」かのように勝ち始めることもあり得ます。

そうした本に巡り逢うことが出来るというのは、とても幸運な事なのです。書店で多く目につく本のタイトルは、具体的な勝利金額が書かれている本でしょう。「○○億円勝てる!」といったタイトルです。あまりに魅力的な煽り文句に魅せられてしまうのが人の性というものでしょう。

ですが、その多くは自称・FX勝者の体験談に過ぎません。体験談を読んだからと言って、自分が体験したことにはならないのと同様、FXで勝った体験を読んでも、勝てるようにはなりません。知識として正しいことを、わかりやすく書かれている本が大切なのです。

FXはゼロサムゲーム


FXはゼロサムゲームです。ゼロサムゲームとは、勝者の数=敗者の数となるゲームのことです。ゲームに参加しない親や胴元ががいないトランプやオセロなどの対人ゲームは、ほとんどがゼロサムゲームです。ゼロサムゲームでは、他者より何かが優れていないと勝てません。FXの場合は、情報力や分析力、決断力、洞察力、それに運も関係してきます。

それらの要素の中で、運を除いたものは、勉強や訓練によって培われるものです。天性の才を持つ人も中にはいて、大した勉強もしていないのに莫大な利益をあげていますが、ごく一部の例外的な存在と言ってよいでしょう。

では、普通の人が勝者の側に立つにはどうすればよいのでしょう?それは勉強によって、マイナス要素を一つづつ取り除いていくことに他なりません。そして、ゼロサムゲームでは、みんなが勝とうと努力しているので、努力を怠った方が自然と負けてしまうのです。他の人は勝つために勉強しており、勉強している人たちよりも情報分析力あるいは資金力で勝つ必要があるのです。

相手を打ち負かすのではなく、勝ち馬に乗るという場合にも、どちらが優勢かを見極める洞察力が必要です。洞察力の根拠は情報量の多さとそれを的確に分析する能力が必要です。

世の中に転がる雑多な情報の中で、本当に意味のあるものを見つけるには勉強は欠かせないのです。FX取引では、それほど多くの情報を見る必要はなく、チャートといった「事実」から未来を導き出せるかどうかにかかっています。チャートを読む力を身につけることが、初心者にとってはとても大事なことなのです。

おすすめしたい書籍も、チャートを読む力、「チャート・リーディング」について書かれている本です。

FXのチャートやテクニカル分析がわかる本1


初心者が、FXで勝てるようになるために読むべき本とはどんなものでしょう?まず、FXについての基礎知識は知っておくべきでしょう。FXは短期投資向きの投資です。主にテクニカル分析やチャート分析によって、デイトレードやスキャルピングを行ってすぐに勝敗が決するというものです。

そのためには、チャートやテクニカル分析方法のメリットやデメリットについて、基本を忠実に分かりやすく書かれている本がおすすめです。それが、「FXチャートリーディング マスターブック(井上義教著 株式会社オスピス監修 ダイヤモンド社刊)」です。

この本の著者の井上義教氏は、大和銀行(現在のりそな銀行)でインターバンク取引のチーフディーラーとして実践されてきた方です。その後、株式会社オスピスでチーフアナリストを努められ、ネット証券セミナーなどでも講師として人気の高い方です。

この本は、FX投資に欠かせないチャートの読み方を知る上でとても良い本です。チャート分析に欠かせないテクニカル指標の見方やその意味についても書かれているので、読み終えた頃には、少なくとも個人投資家自身が「自分がやろうとしていることの意味」について、しっかりと把握出来るようになるはずです。

トレンドラインを代表とする、世の中に横行する「まるでアテにならないシグナル」などでなく、実績を追認する上で重要となる移動平均線やMACD、基礎中の基礎であるローソク足、ストキャスティクスやボリンジャーバンドといった指標について大きくページが割かれていますので、初心者にとっては取引画面に表示されている意味不明だった数値の数々について、氷解していくことでしょう。

実践的な面については、ケーススタディを提示することで、対処する方法が徐々に分かってくると思います。また、リスクマネージメントに関する心構えや日々行った方がよい基礎的な情報収集などについても触れられているので、メンタル面で割り切りが出来ない初心者の考え方に、パラダイムシフトを巻き起こしてくれることでしょう。

おそらく、著者自身の経験則などを踏まえた上で書かれているためか、断言してしまう部分はあるものの、オーバーナイトも辞さずにのんびりマイペースで投資するスタイルの初心者にはなじみやすい本と言えるでしょう。

本に書かれているケーススタディを真似することで、劇的に勝てるようになるわけではありませんが、少なくともよく分からずに取引した結果、当然のように負けるという、不毛な悪循環から抜け出すためにも大いに役立つ本です。

FXのチャートやテクニカル分析がわかる本2


もう1冊の本もチャート・リーディングの基礎について学べる本です。「ズバリわかる! FXチャートの読み方・使い方(横尾 寧子著 成美堂出版刊)」です。著者の横尾 寧子女史は、メディック投資顧問株式会社の取締役兼FXアドバイザー。FX雑誌などでもFXや株などについての記事やコメントを見かけることがあります。

「米ドルの値上がり」ってどういうことか、などごく基本的なことにまでちゃんと解説が加えられており、人に聞きたくても初歩的過ぎて聞けないような内容などにも、しっかり触れられている本です。まさに、FX投資のバイブルと言っても良い内容です。

そして、なんといってもこの本はフルカラーなので、とても見やすいのです。より要点がすんなり頭に入って来やすく、書かれている内容についてイメージしやすいのです。この値段でこの装丁はお買い得といってもよいでしょう。

この本は、最も基本的なチャートである「ローソク足」の意味についての基礎を詳しく学ぶことが出来ます。ローソク足についてはFXだけにとどまらず、株式や先物についても応用が効く内容です。

また、「一目均衡表」にもたっぷりページを割いて解説されているので、この本を読んだ後にはテレビの株式番組などでキャスターが話している内容について、「なるほど!」と腑に落ちることでしょう。

投資スタイル別のオススメチャートなども採り上げられており、様々な投資スタイルの人に参考になりますし、成績が芳しくなく、他の投資スタイルへ移行したい人にとっても、キッカケとなりうる内容となっています。

シグナルやトレンドについても多くのページが割かれていますが、こちらは短期売買向けというよりも、中長期でのんびり取引する方向けです。本に書かれているシグナルというものは、残念ながらあまりアテには出来ないからです。

コラムのページもあり、FXについてというよりも、リーマン・ショックが起きた時にトレーダーたちに何が起きていたのか、米ドルと金価格の逆相関の理由など、経済と投資の関連について知ることが出来るので、読み物としてとてもおもしろい内容です。

ネットと新聞をどう使い分けるのかなど、著者なりの考え方ですが、参考にしたいところです。

FX初心者におすすめしたい2冊の本 まとめ


今回ご紹介したいずれの本にも言えることなのですが、事実を除いた部分について書かれていること、特にトレンドラインやシグナルについてはあくまで「経験則」や「一般論」です。物理現象のように語られがちなのですが、そうではない点に注意が必要です。

事実、トレンドやシグナルについてはどんな本でもだいたい同じようなことが書かれているのですが、実際のFXの取引では本のようにならず、とにかく当たりません。というよりも、本に書かれていることの真逆のことが起こりがちなのです。そして、本に書かれているようなことに基づいて投資を行っているであろう個人投資家は9割の人が負けています。

これは当然の話で、機関投資家などからカモにされているからです。初心者は本の通りに売買をしかけてくるのですから、その逆のことをやれば簡単に勝てるからです。

こうした点をのぞいて、あくまで「事実」の部分に限って本から知識を得て、「なんとなく買ってみた」、「よくわからないけどポジションを持ってみた」という状態から抜け出すことが、脱・初心者の第一歩ではないでしょうか。

最後に、投資で買った本は確定申告の際に経費で落とすことができるので、領収書をもらってキチンと保管しておきましょう。