FX初心者が知っておくべきシステムトレード(シストレ)比較整理

[公開日]2015/03/08[更新日]2015/04/17


システムトレードの種類を知る


システムトレード比較FXの売買を自動化してくれるのが、「システムトレード(シストレ)」です。シストレはかつて「自動売買」と呼ばれていたこともあります。今ではどちらもほぼ同じような意味と考えて構いません。投資家が行いたい投資方針を決めたあとは、それに沿って自動的に売買し続けてくれるソフトウェア、それがシステムトレードです。

トレードで使われるシステムにはいくつか種類があるので、それぞれの特徴を知り、好みのシステムを見つけ出しましょう。

シストレにはどんな種類があるのか?

近頃のFX会社はシステムトレードを大きな「ウリ」にしています。個人投資家の多くは普段忙しいサラリーマンや主婦といった方なので、自動的に売買してくれるシステムトレードはとても受けがよいのは納得いただけるでしょう。

そのため、FX各社は優れたシステムトレードを開発して、システムトレードの成績や方式で差別化を図ろうとしています。そんなシステムトレードですが、いくつかの種類があります。まず、大きく分けると以下の2種類があります。
  • システムは売買タイミングを指示するのみで、注文は人の手で行うもの
  • 注文も全てシステムが自動的に行うもの
この2種類だけです。さらにそれぞれもいくつかの種類に分けられます。

注文を人の手で行うタイプには
  • シグナル配信系
  • 未来予測系

注文も全てシステムが自動的に行ってくれるタイプには
  • ストラテジー運用系
  • プログラマブル系
といったシステムが該当します。また、それらの複合的なものや中間的な性格のものもあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

シグナル配信系
売買すべきタイミングを投資家に代わってシステムが判断して、投資家に様々な方法で通知してくれるタイプのシステムトレードです。その売買タイミングのことを「シグナル」と呼んでいます。後述のストラテジーなどに基づいてシグナルを通知してくるものもありますが、システムではなく別の投資家などが配信する場合もあります。

インヴァスト証券「らくらくテクニカル」
インヴァスト証券の「らくらくテクニカル」はその名の通りテクニカル分析に長けたシステムです。シグナル配信系に分類しましたが、未来予測系のシステムトレードツールでもあります。主要な機能は売買シグナルを通知する「売買サインパネル」と、未来予測機能の「トレンド予測チャート」です。

インヴァスト1売買サインパネル《画像出典:インヴァスト証券

売買サインパネルはテクニカル指標をもとに売買シグナルを判定しています。面白いのはローソク足の時間種別ごとにシグナルの有無を表示していること。これにより、スキャルピングトレード派の人も、スイング派の人も普段使っているローソク足にシグナルが出ているかを見ることが出来るようになっています。

未来予測系
テクニカル指標とチャートにもとづいて近未来の値動きを予測し、売りか買いか、エントリーか決済かなどを決定していくタイプのシステムトレードです。過去のデータを元にバックテストを行い、これからのチャートの形を予想するというものが一般的です。データの蓄積さえあれば、同様のことはプログラミング系やストラテジーでも可能です。

セントラル短資「みらいチャート」
セントラル短資FXの「みらいチャート」は今後のチャート形状を予測するツールです。クイックチャート・トレードというツールの一機能としてリリースされています。

このツールは、直近のチャートを過去データと照合することで、これから先のチャートの「形状」を予測します。提示される候補は1つだけではなく、類似度に応じた最大3つの類似チャートも表示されます。と同時にシグナルを表示し、売り時か買い時かを判断するのを支援してくれます。

未来チャート《画像出典:セントラル短資

ストラテジー運用系
投資スタンスをパッケージングした「ストラテジー」と呼ばれる運用手法にもとづいて、自動的に売買を行うタイプのシステムトレードです。投資家はストラテジーを選択することによって、システムの運用方法を変えることが出来ます。FX会社ではストラテジーごとに運用成績などを発表しているので、それらを参考にしながら運用するストラテジーを選択します。

FXプライムby GMO「選べるミラートレーダー」
FXプライムby GMO(そういう社名です)の「選べるミラートレーダー」はその名の通り、プロの取引をシミュレートしたストラテジーを投資家が「選ぶだけ」で利用できるシステムトレードです。為替のプロが提供するストラテジーを「ストラテジーパック」という形で提供しており、投資家はかんたん検索などでタイプを絞り込んで選択、24時間自動運用に利用することができます。

選べるミラートレーダー1《画像出典:FXプライム

また、パソコンを起動していなくてもサーバー側でシステムトレードは動き続けるため、電気代も停電の心配もせずに完全自動売買を実現することが出来ます。

ストラテジーごとに運用成績をランキングとして公開しており、その時々に一番マッチしたストラテジーを、その中身を知ることなく簡単に利用出来ます。

プログラマブル系
売買手法を自らプログラミングすることができるタイプのシステムトレードです。過去データ参照機能と自動発注機能さえ備わっていれば他の全てのタイプのシステムと似たことが実現できますが、一般投資家向けにリリースされているプログラマブルなシステムトレードは、発注方法に関するちょっとした編集・登録機能がついたものです。

マネースクウェア・ジャパン「トラップリピートイフダン」
虎のマスコット「トラリピくん」でもおなじみ、マネースクウェア・ジャパンの「トラップリピートイフダン」はプログラマブルシステムトレードをとても身近なものにしたシステムトレードです。

トラリピ《画像出典:M2J

プログラマブルといっても難しいことはなく、どのように売買するかを通貨ペア、買う金額や通貨単位、買う間隔などを指定するだけで、あとはそれにしたがって自動的に売買します。

為替レートが上がったり下がったりを繰り返すことを利用して、下がっているときには買い、上がっているときには売る、ということを延々繰り返します。マネースクウェア・ジャパンは競合他社と一切スプレッド競争を行っていませんが、それもこのシステムがユニークである所以と言えるでしょう。

好みのシステム=勝てるシステムとは限らない


それぞれのタイプで代表的なシステムトレードをご紹介してきました。どれも一長一短はあるものの、うまく利用することで初めてリスクを抑えつつシステムに任せることが出来るようになります。

ですが、1つ好みのシステムが見つかり、あなたの投資スタイルにマッチしていたとしても、それがそのときの相場に有効かどうかは別です。

また、年率数200%を超えるような運用成績が欲しければ、かなり強気のシステム運用をしなければならず、リスクを抑える性向の強いシステムでは物足りないかも知れません。

システムトレードとFX会社の関係


前述の通り、システムトレードにはいくつかの種類があります。FX会社が提供しているのは、そのうちの1~2種類です。どのようなタイプのシステムトレードをしたいかで、FX会社を選ぶ必要はありますが、ほとんどのFX会社は口座開設にかかる費用も、口座を維持している費用も無料ですので、気になるFX会社があればどんどん口座開設してしまいましょう。

また、システムトレードを開発しているのはFX会社とは限らず、いくつかの有名なシステムトレードソフトはいろんなFX会社で利用できることもあります。気に入ったシステムトレードを探してからそれを提供しているFX会社を探す、といったアプローチ方法もあります。

システムトレードとスプレッド


システムトレードを選ぶ上でもうひとつ忘れてはならないのが、トレードにかかるスプレッドです。取引回数が多くなることが多いシステムトレードでは、1回の注文を行うごとにスプレッドが手数料のようにかかってくるからです。

とはいえ、いくらスプレッドが狭くても、まったく勝てないシステムには意味がありませんので、まずは勝てるシステムトレードと巡りあうことに腐心すべきでしょう。そして、ある程度コツを掴んで似たようなシステムトレードでも勝てるようになってきたら、スプレッドも考慮してシステムの乗り換えや並行運用を考えてみるとよいでしょう。

トラップリピートイフダンのマネースクウェア・ジャパンのように、他に選択肢がなかったり、スプレッドを度外視してもよいシステムも中にはあるので一概には言えません。

少額投資やデモトレードを積極活用すべし!


システムトレードの存在を知るや、一日も早く運用を始めたくてやきもきする方も中にはいらっしゃるかも知れません。為替相場が乱高下していて儲けやすい今ならば、なおさらそう思うのも無理はありません。

ですが、いきなり「これだ!」と思ったシステムトレードに大金を投じるのではなく、最初は少額から初めてみたり、FX会社で用意しているデモトレードなどを積極的に活用してみましょう。

デモトレードは実際のトレードとは違いますが、少なくともツールやシステムの使い方を習得する上では有効です。現実で何十万円もするものを買うときは慎重になるはず。FXでも同じくらい慎重にやっても損はありませんから。