あなたのFX会社はだいじょうぶ?取引高が激減するFX業者たち

[公開日]2014/12/12[更新日]2019/02/08

日本には数多くのFX会社があります。一言でFX会社と言っても種類がいくつかあり、証券会社、外貨専業、銀行などに分類されます。全てがオンライン証券会社というわけでもなく、店頭で購入出来る銀行のような形態もありますが、一般的に「FX会社」と言う時はオンラインの外貨専業会社か証券会社を指します。

現在、日本にはFX会社が70社ほどありますが、これまでに誕生しては消えていったり、統合されたりして増減を繰り返してきました。

fx会社の取引高比較

FX会社が倒産したり事業停止したりした後でも口座保有者の預かり資産を保護する全額信託保全制度への加入が2010年2月より義務化されたことを受けて、それまで100社以上あった業者が90社以下に激減したというように、制度面の変化がFX会社の興亡を左右している面もあります。

結果として、現在も存続し、営業を続けているFX会社は、金融商品取引法などによる規制強化の荒波をくぐり抜けてきた、比較的優良な会社ばかりと言えます。

前述の信託保全については注意点もあります。信託保全が義務化された外貨専業会社は日本国内に本拠を置いている会社のみ。外国資本の会社は対象外なのです。信託保全を謳っている海外FX会社の中には、全額が信託保全されない分別管理などの業者があります。

ですが、日本国内で営業を行う上で信託保全に対応していないことは不利となることなので、外国資本のFX会社であっても完全信託保全を行っているFX会社は、少ないながらも存在しています。

また、海外のFX会社は日本国内のFX会社に適用される最大25倍のレバレッジ規制を受けることなく数百倍というハイリスクな取引が行えてしまいますので、追加で口座開設を考えている方は十分注意する必要があります。

非常に興亡が激しいFX業界において、口座開設者の心配は、自分が資産を預けている会社はこの先大丈夫なのかという点に尽きると思われます。そこで、代表的なFX会社のうち、ランキングに登場しないような取引高が減少している会社や、常にランキング上位に顔をだしている好調な会社をいくつか挙げ、その会社の特徴などについての解説します。

マネーパートナーズ


「マネパ」の愛称でもおなじみのFX業者がマネーパートナーズです。20歳以上の利用経験者を対象に調査した2014年度オリコン顧客満足度ランキングのFX部門で4項目が第1位に選ばれるなど、評判も上々と思われるFX業者です。

特に、初心者対応の良さやサポート体制の充実ぶりなどが評価され、初心者にやさしいFX証券会社と言えるでしょう。

ですが、会社発表資料である、2014年3月期第三四半期(3Q)の決算説明資料(参考:http://ke.kabupro.jp/tsp/20140204/140120140204099527.pdf)によれば、預かり証拠金や口座数の増加にもかかわらず、同期の取引高は21%も減少するなど苦戦を強いられています。口座数の増加ペースも鈍化しており、直近の状況は芳しくない様子です。

アベノミクス効果で2013年の4Q、2014年の1Qが良すぎただけという見方も出来ますが、営業収益率の悪化は見逃せません。

依然として高い人気を誇っていますが、口座をお持ちの方はたまに決算内容をチェックしてみるとよいでしょう。あまりに収益が悪化するとシステム増強もままならなくなり、スリッページが起きやすくなったり、スプレッドを高くしたりする可能性があります。

上田ハーローFX


上田ハーローFXは、外国為替の大手ブローカーであり、老舗中の老舗である上田ハーロー株式会社が運営しているFX投資サービスです。

開設口座数は5万件目前までじわじわ増加傾向にありますが、ここ数年で収益が急速に悪化しており、平成24年4月期は営業損益、当期損益ともに赤字転落してしまいました(参考:http://www.uedaharlowfx.jp/company/ir.html)。

親会社である上田八木短資にとっての重要な収益源のひとつでしたが、赤字転落によって今後が心配されます。初心者にも親切な手厚いユーザーサポートが売りであるだけに、今後の収益の推移が気になるところです。

外為どっとコム


株式会社外為どっとコムが運営している外為どっとコムは、その名が示す通り、外国為替専門の金融商品取引会社です。日本で初めて個人向けの外国為替取引をインターネット上で行えるようにした業者であり、依然として日本一の開設口座数を誇っています。

2010年頃から取引に関連するシステムトラブルを何度か起こしており、財務局から業務停止命令や業務改善命令を受けています。

システム障害によって、2つものFX商品の取引や新規口座開設を停止、サービスも廃止するほどの影響を受けており、大手であっても経営方針によってはこれほど大規模なトラブルを起こし、収束出来なければサービス終了せざるを得ず、口座開設者に衝撃を与えました。

そんな中にあっても、知名度の高さや積極的な広告展開によって、口座数は37万口座まで漸増していましたが(参考:http://www.gaitame.com/company/kouza.html)、2013年に入り、急速に減少しています。

岡三オンライン証券


証券会社の雄、岡三証券が立ち上げたインターネット取引専業の総合証券会社です。「証券のプロがインターネットというツールを使って証券会社をたちあげたらどうなるか」という、一般的なオンライン証券会社とは逆のアプローチにより、2006年に設立されました。

積極的なオンラインセミナー開催などにより、初心者のみならず個人投資家にも大変人気のある証券会社といえます。ですが、情報源としての有用性とは裏腹に、FX会社としては決め手に欠けるためか、2013年下半期以降、売買代金がブレーキとなっています(参考:http://www.okasan-online.co.jp/corporate/trading_value.html)。

2014年1月の売買代金は、直近ピークであった2013年5月の半分以下です。2013年の中盤はバブルであり、それ以前の水準が本来のポテンシャルだったという見方も出来なくはないですが。
くりっく365取引所参加企業の中でも低い部類の自己資本比率であり、それをリスク視する投資家が居ても不思議ではありません。

トレイダーズ証券

2006年設立のトレイダーズ証券は、FXと金融派生商品であるバイナリーオプションを専門に扱っている証券会社です。

「みんなのFX」という店頭FX商品は、FXという金融商品の知名度アップに一役買っている有名な商品です。また、「みんなのバイナリー」は、オプション取引を身近なものにした有名な商品でもあります。余談ですが、不公正な取引が行えるバイナリーオプションを扱う業者もあり、大幅な規制を受けて新バイナリーオプションとして産まれかわっています。

近年のトレイダーズ証券は、営業収益が悪化してきています(参考:http://www.traderssec.com/about_trds/financial/pdf/20130724.pdf)。純利益では黒字化しているものの、巨額の販管費が減少したことによるもので、売上高は減少傾向にあります。

顧客資産保護の命綱である自己資本規制比率は、100%割れで推移していたのが直近では160%にまで好転しているものの、他社に比べると依然として低い水準です。その点がクローズアップされてしまったら、多くの投資家が資金を引き上げかねないリスクを内包しています。

 

以上が、取引高の減少傾向が見えた証券会社になります。

一方で、業績好調な証券会社もあります。市場環境は各社とも同一条件なのですから、投資コストやシステム面で前述の他社よりも優れていると多くの投資家が判断していると言えます。

GMOクリック證券


2005年に設立されたGMOクリック証券は、FX取引高が2年連続世界一になるなど、好調な証券会社です。FXだけにとどまらず、株式、先物、オプション、CFD、ワラント、債券までを扱う総合証券会社です。

元はGMOグループ会社でしたが、一度はグループ傘下を離れてクリック証券となり、再び業務提携という形でGMOグループ傘下に戻り、現在のGMOクリック証券となりました。

開設口座数は漸増が続いており、取引高も競合他社と同様、2013年中盤にかけて上昇した後、一服した感はあるものの、2013年内にはいち早く回復しており、それ以降も2013年以前の状況まで落ち込むことなく増加しています(参考:https://www.click-sec.com/corp/company/kaiji/index.html
)。

取引手数料無料が一般的なFX取引における唯一の取引コストであるスプレッドは、業界最低水準。口座数の増加を背景に、魅力的なキャンペーンを相次いで打てることも好調の一因と言えるかも知れません。

YJFX!


業績推移については、GMOクリック証券と同じような経過をたどっています。この会社の最大の特徴は、非常に高い自己資本規制比率であり、なんと880%を上回っており、堅固な財務体質であると言えます(参考:http://www.gaikaex.net/profile/capital.html)。

開設口座数、預かり資産残高ともに漸増を続けており、安心して資産を預けることが出来る証券会社の一つと言えるでしょう。

DMM.com証券


DMM.com証券は、FXとCFDを専門に扱っている証券会社です。かつてはSVC證券という社名でしたが、DMM.comの出資を受けて子会社になり、現在の社名となりました。

現在は、取引高世界第2位ですが、かつては第1位だったこともあります。人気の理由は、手厚い信託保全体制、主要通貨のスプレッドが小さい、サポートが手厚い、スマートフォンやタブレットアプリなど取引ツールが充実しているためでしょう。

パソコン用取引ツールも初心者用と玄人用に2種類用意されているなど、初心者にとっても取っ付き易い会社であると言えます。

取引高が激減するFX業者たち まとめ


これまでFX会社は、現れては消えたり、少し大きくなったら買収されたりしてきました。今後も豊富な資金を持つIT企業などが新規に参入してくることも考えられ、FX会社の統廃合は続くと予想されます。

各社とも、乗り換えキャンペーンなどを常時行っており、利用者としてもどんどんよい会社に乗り換えていくことでメリットが得られる環境となっています。

使い慣れた会社を使い続けるという選択肢もありますが、利益を得るのが目的の投資において、利益を圧迫する取引コストは低くすべきですし、意図しない取引を防ぐ上でシステムの頑健さや約定力の高さは非常に重要です。

開設口座数が多い好業績な証券会社は、ユーザーからの改善要求の圧力が高く、サービスの改良スピードも早いことが多いので、そうした会社を積極的に使うことは大きなメリットと言えるのではないでしょうか。