【国際結婚した私が教える】日本とアメリカの感覚の違い9つ
[公開日]2017/03/21[更新日]2017/08/09日本に住んでいると、クリスマスは"カップルで過ごすもの"、一人で過ごすなんて惨めすぎると思いがちです。
しかし、筆者が留学していたアメリカではクリスマスはカップルではなく、「家族」で過ごすことが当たり前でした。
国が変われば、このようにたくさんの感覚の違いがあります。国際結婚をした筆者は、アメリカ人夫と過ごしてきて数え切れないほどの違いを発見しました。
今日は、日本人とアメリカ人の感覚の違いについてお話しします。
目次
アメリカのクリスマスは「家族で過ごす」が当たり前
日本でもアメリカでも同じようなイベントをお祝いします。でもお祝いの仕方に違いはあるでしょうか。
クリスマスはアメリカ最大のイベント
一年を通して、アメリカでの最大のイベントといえばクリスマスです。筆者も在米時代、何度もクリスマスを経験しましたがキラキラした街の雰囲気や、人々の盛り上がり具合でこちらもわくわくしてきます。これは日本も同じですね。アメリカはキリスト教が主な宗教ですので一番盛り上がるのは納得できます。
日本でクリスマスといえば、「一年で一番ロマンチック」と思う人が多いのではないでしょうか。しかも、日本人はなぜか当日より前夜祭が大好きで、クリスマスイブのほうが盛り上がります。夜が明けてクリスマスになってしまえば、何となくもう冷めてしまっているというか、「もう今年もクリスマス終わったな」という空気になってしまいます。
また、クリスマスイブを一人で過ごすのは惨めすぎる!とそのために彼氏や彼女を作ってしまう若者も多いですよね。街が綺麗に輝いて、皆が楽しそうに歩いているために、シングルの人はやはり「ちょっと寂しいな」という思いをしてしまうのかもしれません。
しかし、本場アメリカではそうではありません。アメリカではクリスマスはあくまで"family"(家族)の要素が大きいのです。在米時も、「ロマンチック」だとか「恋人の日」だとか思っている人は全くいませんでした。みんな、実家に帰ったり近くの親族とお祝いするのが恒例でした。
クリスマスディナーは七面鳥の丸焼き
さて、そんなクリスマスですが、クリスマスの食べ物といえば、日本ではチキンですよね。あの大手ファストフード店で予約をして毎年食べる、という方も多いのではないでしょうか。そんなことを日本に住んでいるアメリカ人に漏らすと、きっとこう言うでしょう。
"What!? Are you serious? That's so sad!"
(何!?本当なの?悲しすぎる!)
(何!?本当なの?悲しすぎる!)
うちのアメリカ人の夫も、日本に来て住みだしてから、この事実を知るとしばらくショックを受けていました。というのも、クリスマスという一番スペシャルな時に、なぜファストフードの(チープな)チキンを食べるの!?とそれが信じられないようです。アメリカでは家庭で手作りするのが主流です。
うちの夫の実家では大きなハムを大きなオーブンで焼きます。(これは、義母が11月末の感謝祭でも七面鳥を食べるから、続くのが嫌でということでした。)
違う家庭では大きなサーモンを焼くという人もいましたし、またベジタリアンの家庭では、"tufurky"(これは"tofu"(豆腐)と"turkey"(七面鳥)をドッキングさせた造語です)と呼ばれる偽七面鳥を食べます。豆腐で七面鳥の食感や見た目に似せた食べ物です。
アメリカのクリスマスにケーキは存在しない!
また、日本ではチキンと同じくらい定番なのがクリスマスケーキですよね。きれいにデコレーションされたケーキの上にトナカイやサンタがついています。これもアメリカ人にとっては驚愕です。"Why...do you guys eat a cake for Christmas?"
(なぜ、、君たちはクリスマスにケーキを食べるの?)
(なぜ、、君たちはクリスマスにケーキを食べるの?)
といった具合に、うちの夫は毎年言います。Whyと言われても、筆者も全く分かりません。ではアメリカでは一体何を食べると思いますか?
これは、家庭によって違うようです。日本はどのイベントでも食べるものやすることが決まっているものですが、アメリカでは家庭によって違う、ということが多々あります。
アメリカでは、ケーキを食べる代わりにパイを食べるのが一般的です。夫の実家では、チョコパイ、アップルパイなどパイ各種を作っていました。
クリスマス自体が日本には昔からあるものではないし、西洋から何かしら取り入れようとした結果、七面鳥がチキンに、パイがケーキになったのかなと思います。
ちなみに我が家では、日本の当たり前もアメリカの当たり前も関係なく、自由な発想でいこうというスタンスで、その時に食べたいものを食べています。去年はサンドイッチパーティになりました。
でも、ケーキだけは筆者が食べたいので、毎年食べます。
年末年始休みは日本だけ?アメリカの大晦日は仕事
クリスマスが終わるとすぐに大晦日とお正月です。こちらにも過ごし方に大差があります。
日本では、大体、年末になってくるとお正月休みに入る会社が多いですよね。ここがまずアメリカでは違います。クリスマスの25日だけは祝日でお休みですが、元旦の1月1日まで普通営業です。そのため、筆者もデスクワークやリテールの仕事をやっていたときは、大晦日も普通に働いていました。
日本であれば年越しそばを食べたり、家族でこたつに入ってテレビを見て、ゆったりと年越ししますよね。人によれば初日の出を見に行ったり、もう夜中から神社に向かう人もいるでしょう。
アメリカでは、これといって食べるものはないです。ゆっくりとその年の事に想いを馳せたり、来年のことを考えたりする暇はありません。大晦日の夜からはパーティなのです。パーティで皆お酒を飲んではしゃぎます。12時になるまで盛り上がり、べろべろになって年越しというパターンが多かったです。
日本のように「除夜の鐘を聞きながら、厳かに新年を迎える」なんていう発想はありません。テレビなんかで見たことがあると思いますが、時計が12時を指すと恋人などとキスをして終了です。
"Happy new year! Yay!"
(明けましておめでとう!イエ―イ!)
(明けましておめでとう!イエ―イ!)
と叫んでいるのをよく見かけます。
元旦に二日酔いで一日つぶれてしまうというのが、アメリカの一番多いパターンかもしれないですね。また、新年も1月2日から普通に営業なので、お仕事に普通に行っていました。この時期だけは、「日本人よく働く、アメリカ人は働かない」というのはウソだなと思っていましたね。
日本でいう「お盆」がアメリカのサンクスギビング?
日本人だとあまりピンとこないのが、この「サンクスギビング」です。アメリカならではのイベントで、もちろん日本のイベントではないので私たち日本人の理解があまりなくても仕方ありません。
端的に言えばサンクスギビングとは、アメリカ大陸に西洋人が入ってきた時代、そこにいたネイティブアメリカンの人たちが、迫害に合いながらも西洋人にそこで何が食べられるのか、どうやって調理するのかなどを見せてあげて生き延びる術を教えてあげた、という歴史に由来します。
そんな歴史を元に、私たちアメリカ人はネイティブアメリカン(先祖)たちに感謝をしなければならない、という思想から始まっています。しかし、現代ではそんなことは忘れられがちで、皆サンクスギビングの日には
"What are you thankful for?"
(あなたは何に感謝していますか?)
(あなたは何に感謝していますか?)
といった質問をするのがしきたりのようになっています。そこで、
"I am thankful for my family"
(自分の家族に感謝しています)
"I am thankful for the fact that I have a job"
(仕事があるっていうことに感謝しています)
(自分の家族に感謝しています)
"I am thankful for the fact that I have a job"
(仕事があるっていうことに感謝しています)
というようなことを話しながら"Thanksgiving dinner"と呼ばれるごちそうを食べます。
これも家庭によりますが、大体は七面鳥の中をくりぬいて、その中に"stuffing"と呼ばれる、パンや野菜などを小さく切ったものを入れて、丸焼きをするのが多いです。他にもジャガイモや、ブロッコリーなどアメリカの食卓には珍しく、細々と色んな食べ物が並びます。
日本の食卓は豪華!?アメリカはおかず一品!
余談ですが、アメリカでは毎日のおかずは一品のことが多いです。ラザニアだけ、スパゲティだけ、というような感じで、一品の量が多いですがその他は何もありません。この為、余計に感謝祭の食卓が豪華に見えるのですね。これを考えると日本の食卓はとても贅沢で、お母さんは3品も4品も毎日作りますよね。筆者は、そんなアメリカの食文化に慣れたころ、日本でいたころは毎日が"Thanksgiving dinner"だったなと思っていました。
日本人は潔癖?アメリカ人との感覚はこんなにも違う
では、イベントから離れて日常生活ではどんな感覚の違いがあるのでしょうか。
アメリカに手洗いうがいの習慣はない
日本人というのは基本的に清潔です。掃除洗濯を毎日しますし、家も片付いています。「いやいや、そんなことない、私は片づけできない」と思っている人でも、アメリカ人と比べたらきれいなので安心してください。こんなことを筆者は身を持ってアメリカで理解しました。まず、小さいころから習慣化している「外から帰ったら手洗いうがい」なんかも、アメリカでそんなことを言うと「?」という顔をされます。たっぷり遊んで帰ってきても、平気ですぐにピザを手で食べます。在米中に、アメリカ人男性と付き合っていた日本人女子が「もう信じられない!」と漏らしていました。
「散らかす」のレベルが桁違い
また、大学留学時代には、アメリカ人女子と寮の部屋をシェアしたことがありました。その子のベッドの散らかり具合といったらこの上なかったです。下着やソックスや、宿題やCDとあらゆるものが散乱していました。日本では見たことのないレベルの散らかり具合でした。筆者側と彼女側で、机とクローゼットとベッドしかない小さな部屋でしたので、その"mess"(散らかり)の圧迫感がありました。でも本人はいたって気にしている様子もなく、「私のサイドが汚くてごめん」なんて一度も言われたことはありませんでした。
洗濯も週に一度すれば良いほうですし、うちの夫の母親(つまり筆者の義母)なんかは、掃除機を一か月に一度かければ上出来です。実家に泊りにいけば、同じバスタオルを最低1週間は使います。
アメリカは日本と比べて(場所によりますが)湿気が圧倒的に低いのでできることですが、その分人が衛生に関して鈍感になっている印象です。タオルだけでなく、食べ物なんかも含めて、雑菌などがそれほど発生しにくいのでしょう。高温多湿な日本に暮らす日本人はそういうところに過敏です。
いつの間にか日本人感覚が身についたアメリカ人夫
こんな感覚で育っているうちの夫ですが、最近では日本人よりの感覚になっています。義父母が日本に来た時も、氷を製氷機からとる時に、専用のスプーンを使わずに素手でがぼっと取るのが許せず、かなりストレスになっていました。
夫>"I can't stand it!"
(もう耐えられない!)
私>"Well, it can't be helped"
(でも仕方ないでしょ)
(もう耐えられない!)
私>"Well, it can't be helped"
(でも仕方ないでしょ)
向こうに悪気はないのです。分かっていないので仕方ありませんね。
時間に正確な日本人と10分遅れで"時間通り"なのがアメリカ人
日本人は時間厳守というのが常識になっています。何かを約束したり、特にビジネスに関しては早めに行かないと失礼、という感覚です。電車もバスも飛行機も時刻通りに動くので、社会全体が時間厳守の国です。
これが国が違えば、時間の感覚というのは全く違うものなのです。アメリカでは時間どおりに行くと「早め」、10分くらい過ぎれば「普通」、30分過ぎても「いいじゃない」という感じです。ビジネスになってくるとさすがに30分も遅刻しては怒られますが、10分くらいの遅刻なら筆者も何度も見ましたし、やりました。
そんな感覚で学校に行ったり就職したりした筆者なので、日本に帰ってきてから日本の時間の感覚に戻すのが大変でした。悪気はありませんが、ついつい遅れてしまうのです。
もちろん夫はこんな環境で育ってきたので、筆者より何倍も強くこの傾向がありました。しかし、日本に来て五年も経つと、こんなことを言いながら仕事に出ます。
"10pun mae kodo!"
(10分前行動!)
(10分前行動!)
人間はやはり、周りの環境に影響されるものなのです。
「もったいない精神の日本」と「快適さが一番のアメリカ」
「もったいない」という概念はとても日本らしい、というのを聞いたことがありますが、在米時代に改めてそう感じました。アメリカ人というのは世界中の他の国とも比べても一番「無駄を多くつくる」人たちなのだそうです。
というのも、アメリカ人は寛容です。人にも違いにも寛容ですので、資源にも寛容、ということになります。「水を大切に」「資源には限りがある」なんてちまちましたことは、あの大きなアメリカ大陸に壮大な気持ちで暮らしている人たちには通じません。
まず、家じゅうの部屋や廊下は全て24時間セントラルヒーティングで快適に過ごせるようにされています。日本のように「廊下に出ると寒い」なんていうことはありません。
水もお湯がすぐに出るようになっていますので、四季を問わず洗い物には、じゃあじゃあと流しながらお湯を使います。映画などで見たことがあるかもしれませんが、シャワーも同じくで、お風呂の文化がないので体や髪を洗いながらもお湯を流しっぱなしです。
アメリカ人の義父母が日本にやってきたら・・
真夏に義父母が日本の我が家に来た時、こんなことがありました。義母がシャワーに入っていて、義父はリビングで休みながらシャワーの順番を待っていました。たまたま彼らの部屋を覗くと、明々と電気がついたままで、クーラーが最大でついており、扇風機も最大で首を振っていたのです。しばらくの間、誰もいなかった部屋でしたので、びっくりしてしまいました。
アメリカの家の中では24時間365日、暑い寒いなど「不快」なことがないのが「当たり前」です。日本人のようにこまめにエアコンを切ったり、お湯のガスを止めたりということがありません。
「アメリカの感覚をそのままに、日本に来たら、こういうことなのだな」と思いました。筆者はアメリカで暮らしたことがあるので、アメリカ人の感覚がある程度理解できますが、日本から離れたことのない日本人が国際結婚をしたら、大変だろうなと思った出来事でした。
違うって楽しい!国が違えば感覚が違うのは当たり前
国際結婚をしていると、「夫さん優しそうでうらやましい」「子供がかわいくていいな」と言われる筆者ですが、実はアメリカと日本ではこれほどに感覚の違いがあります。一生を共にする結婚となると、これら一つずつをどうにかクリアしていかなければなりません。
文化が違うとイベントの過ごし方だけでなく日常生活の細々したところで意見の相違が絶えないので、憧れだけではやっていけないです。しかし、お互いに譲歩しながら理解していければ、"Bi-cultural family"(二文化併存家族)は楽しいものです。