敬語はあるの?目上の人との英会話で注意したい5つのポイント

[公開日]2015/05/11

英語に敬語というものはない。
とは言われるものの、いざ目上の人や自分よりもだいぶ年上の人に英語で話すとき、普段通りに話していいものか気になりますよね。日本語で普段話す時には、友達に話すようには目上の人に話さないですものね。筆者も同じように戸惑った経験があります。
英語の敬語

日本語のように話す相手によって主語や述語までもががらりと変わるような、敬語、謙譲語、尊敬語、などは英語にはありません。その様な意味合いで「敬語」と話しているのなら、英語には敬語はないといっても良いでしょう。

ちなみに、うちの旦那はアメリカ人ですが、日本で日本人と関わっているうえで丁寧さを欠いた英語に出くわして、嫌な思いをしたことがあるか、尋ねたところ、それはないと言っていました。基本的にアメリカ文化、アメリカ英語では「平等性」が大切になってくるのです。初対面の人と出会っても最初のうちこそ丁寧に話すものの、すぐに肩書きや立場等はさておき、一対一のコミュニケーションにシフトします。そのため、相手をわざわざ敬語のような言葉で敬うことはしないのです。

しかし、初対面の人に話すときに言葉の丁寧さを心がけたり、失礼のない態度をとるようにすることは、第一印象の重要性もありますし、特にビジネスでは大切です。日本語でいうところの敬語はない、とはいえど、やはり、気をつけたい点はいくつかあるのです。
今日は目上の人との英会話で注意したいポイントを紹介します。


省略形は避ける


筆者が目上の人と話すときに気をつけること、と聞いたときにまず在米生活時代のことを考えてみました。

大学で留学生として在籍していた時に、プロフェッサーと話したとき。米企業で上司と話をしていたとき。また、義父母と話をするとき。たまたま外で出会った年上の人と世間話をしたとき。

そのどれもに共通して自分なりに気をつけていたことは、日本語で見られる尊敬語のような、言語自体の変化ではなく、言葉の選択や言葉遣いの丁寧さだったなと思いだしました。たとえ上司などという立場でも、ファーストネームで気軽に呼び合うアメリカ社会ですから、自然と人間関係はとてもフランクになります。

会社内のe-mailでも”Hi” “Hey”などから始まり、本文へというのがふつうでした。なので、帰国後の現在、たまに翻訳の仕事で、日本語のビジネスメールを英訳することを頼まれたりするのですが、日本語独特の「いつもお世話になります」「何卒よろしくお願いいたします」などの表現が難しくて苦戦することが多いです。

日本人が考えるよりも、アメリカではビジネスといえども相当フランクであることは間違いないでしょう。ではそんな中でどうやって「丁寧な」英語を心がければよいのかと言うと、例えば

“I wanna really do this.”
(これをマジやりたいんだ)

“I’m gonna go to the bathroom now.”
(今からトイレに行ってくら)

“Wanna”(Want to) “Gonna”(Going to)などといった、省略形をむやみに使わないということがまず一番に思い浮かびました。普段友達なんかと話をするときは何度も出てくるこんな表現ですが、目上の人に話す時はあまりにも適当すぎます。

「目上の人」と一口に言っても、その人の考え方や、雰囲気等にもよりますが、どこまでフレンドリーに接しても良いのかは一概にはわからないところ。特にビジネスでは初めからなれなれしすぎるのも困りものです。省略しないで丁寧に表現することは、まず丁寧に聞こえる英語の第一歩と言えるでしょう。

スラングも避ける


避けることといえば、もうひとつ。スラングや若者言葉、意味のない言葉の類も避けた方が無難でしょう。スラングは世代の問題もありますし、誰しもが理解できるとは限りません。特に年上の人と話すときはそんな気遣いが必要かもしれません。

“What’s up?”
(調子どうよ)

などという軽い挨拶も、友達同士では毎日当たり前に交わせる表現かもしれませんが、目上の人と話す場合は避けるほうが賢明です。

“I kind of like that.”
(それって、良いかなって思う)

“It’s like… like… “
(それってなんか、なんか。。。)

「なんていうか」のような曖昧な気持ちを表す“kind of”や、すぐに多用してしまう若者が良く使う “like”もあまり品の良い英語とは言えません。普段は良くても、目上の人と話すときには耳についてしまうもの。

ちなみに、うちの旦那はこのような表現を言葉の端々にうっかり使ってしまって、自分のおばあちゃんに怒られたことがあるそうです。軽すぎる言葉というのも気をつけたほうが良いみたいですね。

Pleaseだけでは心許ない


中学のころ、英語の時間に命令文を習った時の名残でしょうか。”Please”をつければ何でも「お願い」=丁寧 になると思いこんでいる日本人も結構います。

“Please do this.”
(これをやってちょうだい)

確かに ”Do this.” という表現よりは良いかもしれませんが、頭ごなしに命令しているのに変わりはありません。言語というのは、言葉の使用だけでなく言い方やニュアンス、ストレスなどにもよるのですが、”Please”を冒頭につけたからといって、必ずしも丁寧に聞こえるとは限りません。

言い方によれば上記のような“Please do this.”というのは、押しつけがましかったり、「今すぐやってくれ」というニュアンスを持つこともあります。
代わりに使える表現といえば、まずこれではないでしょうか。

“Can you do this?”
(これをやってくれる?)

これも中学で習う表現ですが、”Can you ~?” “Could you~ ?” は「~してくれますか?」というフレーズは絶対に覚えておくべきです。ちなみに”Can you ~?”より“Could you~ ?” のほうがより丁寧に聞こえます。

”Can you ~?” は友達の間柄でも使える、典型的な表現です。話をする相手にもよりますが、目上の人に使うには、いまひとつリスペクトが足りないような印象です。カジュアルすぎると思う人もいるでしょう。

では、”Can you ~?” “Could you~ ?” のもう一段階丁寧な表現は何でしょうか。

Wouldをマスターする


日常的に使える“Could you~ ?”よりもうひとつ丁寧な言い方は、やはりこれも学校で習った表現です。

“Would you do this?”
(これをやってくれますか?)

目上の人に話すときは最低でもこれくらいの丁寧さで話したいものです。ちなみに筆者は個人的に、在米時代に少し丁寧な口調でしゃべる必要があるなと感じたとき、やはりこの“Would you~ ?” を最低ラインとしていました。

さて、この“would”という助動詞は、日常会話に頻繁に登場するものの、日本人の感覚からいえばあまりよく分からない語、という印象が強いような気がします。日本語でいうとこれといって当てはまる語がないのも理由の一つでしょう。筆者も英語を独学していたときは、使い方も意味も、正直よく分からない、というのが本音でした。

“I want to do this.”
(これをやりたい)

“I would like to do this.”
(これをやりたい)

“would”を使った表現といえば、上記のような”would like to~” (~したい)というのが思い浮かぶのではないでしょうか。学校では上の二文は同じ意味合いである、と習いましたが、実はこれも完璧なイコールではなく、”would like to~”を使ったほうが丁寧になります。なので、目上の人に話すときは、上記でいえば下のほうの表現を使うほうが賢明です。

助動詞“would”については、文法的に話し出せばきりがないのですが、とりあえず、文を丁寧にしてくれる表現であるということを今のところは覚えておいてください。ネイティブと話していれば、必ず慣れてきて、だいたいの使用法やニュアンスが分かってくると思います。習うより慣れろで、ネイティブの使い方を注意深く聞いてみてください。

この“would”をマスターすることで、英会話力も上がりますし、丁寧な話し方の英語にも磨きがかかると思います。

表現力を増やす


何かを頼んだりするときに、毎回“Would you~ ?”だけでは自分も相手も飽きてくるでしょう。少しずつ慣れてきたら、丁寧な英語を使う際の表現力を増やすと心強いでしょう。

I appreciate it if you could make a copy of this.
(このコピーをとってくれたら、ありがたいのだけど)

Is it possible for me to make an appointment to see you?
(あなたとお話をするのに予約をとるのは可能ですか)

丁寧に言おうとするとどうしても表現が長くなりがちですが、上のような言い回しはよく使われます。筆者も、思い返してみれば毎日顔を合わす同僚と、オフィス内でこのような丁寧さで話すことは無かったですが、初めて会う人や初めて行く場所の受付等で話をするときには、このような言葉づかいでした。

e-mailや普段の会話からでもこのような丁寧な英語の表現力を増やすことは可能です。このような機会にアンテナを張って、どんどん自分のものにしていけば、目上の人と会話するときでも自信をもって対応することができるでしょう。

敬語はあるの?目上の人との英会話で注意したいポイント まとめ


さて、いかがでしたか。
今回は敬語がない英語で、目上の人と話すポイントをお話してみました。
冒頭でも触れましたが、英語、特にアメリカ英語では立場やその人のバックグラウンドを全く抜きにして良い意味でも悪い意味でも、皆平等というコミュニケーションがベースですから、最初こそこのように丁寧に話しても、段々とフランクになってきます。

それは文化の違いでので最初は戸惑うかもしれませんが、そのような国民性なのだと思って楽しんでみてください。うちの旦那も、丁寧さを欠いた英語で「失礼な」と思ったことこそ日本ではない、と言っていましたが、逆のシチュエーションはあるようです。

なんと、「丁寧すぎる英語でずっと話すものだから、嫌気がさしてくる」というものです。これは筆者も驚きました。やはり日本で暮らしていて日本人とのコミュニケーションに慣れていて、そのままで外国人と接していたら、知らないうちに不自然さを生み出していることもあるのですね。

そのようなことを頭の隅に置きながらも、初対面の人や年上の人には失礼のないように、円滑にコミュニケーションを深めていければと思います。