日本のイベントを知ることが留学準備になる!?

[公開日]2014/12/01[更新日]2015/04/17

アメリカの大学を卒業し、現地で出会ったアメリカ人と結婚した筆者の経験談です。

留学の準備に英会話とイベント

筆者の旦那は、アメリカから来たネイティブ講師として英会話教室で子供や大人に英会話を教えています。そこで一緒に働いているイギリス人の講師が、この前こんなことを漏らしていたそうです。「クリスマスに働くなんて、言語道断。ありえない。日本の会社は俺たちをクリスマスに働かせるなんてクレイジーだ。」

そのイギリス人の先生は自分の文化をとても大切にしていて、イギリスで自分が育ってきたように自分の子供を育てているらしいのです。奥さんは日本人ですが、話を聞くところによると、夫婦で話し合ってイギリス式のイベントを家族でやりながら、日本で生活しているようです。

うちの旦那はといえば、もともとアメリカ人でいながらキリスト教の色濃く育ったわけでもなく、クリスマスはもちろんアメリカでは大イベントですがそこまで固執していない様子。「あんなこと言ってたけど、まあ仕方ないよね。日本にいるのだから」というスタンスでした。

郷に入れば郷に従え、という言葉にもあるように外国で生活する場合は、その国のしきたりや風習に従わないとダメな部分はあるのです。外国ではどうしても「今まで自分が慣れていて当たり前にあるような物、他にも風習や挨拶やイベントがない世界」で生きることを学ばなければならないのです。

もちろん何年も異国の地でいれば、今まで日本で毎年やっているイベントがない、ということに慣れてはきますが日本人としてやっぱり、あれが恋しい!と思うことは多々あるものです。日本で毎年やってくるイベントは、日本社会にどっぷりつかっていれば、特にありがたみもありませんが、いざ留学して、それらがなくなってしまえば、恋しくなってしまうのが人間なのかもしれません。

そのイギリス人の先生の話をきいて、自分がアメリカでいた頃に恋しかったイベントを思い出しました。今日はそんなアメリカ留学中に恋しかった日本のイベントを紹介します。留学前にたっぷり日本でエンジョイしておくべきイベントたちです。

クリスマス


まずは、冒頭にも書きましたがクリスマスです。アメリカはクリスマスツリーが巨大だし、なんか「本場」というかんじだから、むしろ日本より盛り上がっているんじゃないの?と思われるかもしれません。もちろんアメリカでは大人も子供もクリスマスが大好き。一年の中で最も大きなイベントと言えるでしょう。しかし、祝い方も違えば、概念そのものが違う感じがします。

筆者も渡米前はそんなことは考えてもいなかったのですが、日本のクリスマスはロマンチック。恋人と祝うもの。ですが、アメリカのクリスマスはあくまでファミリータイム。普段は遠くで暮らしている家族が集い、家族親戚みんなで祝うものです。クリスマスというものの、とらえ方に違いがあったのです。

寒さも本格的になってきた年の瀬。恋人と腕を組みながらきらきら光る町を歩くようなロマンチックに盛りあがるクリスマスが毎年楽しみなら、アメリカのクリスマスにがっかりするかもしれません。

また、日本ではクリスマスといえばチキンとクリスマスケーキですが、アメリカではどちらもクリスマスには食べられません。クリスマスに食べるものは家々で違うようですが、ターキー(七面鳥)がやはり多いでしょうか。

ちなみに、筆者の旦那の家族では毎年ハムでした。旦那のお母さんが11月末の感謝祭で七面鳥を食べるので、七面鳥を続けて食べるのが嫌らしいのです。これが、「うちのトラディッション」(伝統)」だといっていました。おそらく各家庭で皆それぞれに食べるものが決まっている、というのが多いのでしょう。また、クリスマスはもともとは宗教的なお祝いの日ですので熱心なキリスト教のおうちではもちろん教会へ行ったり、もう少しお祝い方も違うのかもしれません。

そして12月25日は、会社が休みのところが多いです。冒頭で出てきたイギリス人の先生も、これに慣れているために怒っていたのでしょう。日本では平日であることが多いですのでクリスマスでも平常通りに働くことが求められますよね。しかしだからといって、外国人が雇われている会社だけ休みにしても、日本社会にはなじみません。

やはり異文化では郷に入れば郷に従うことを強いられる場合もあるのです。

また、クリスマスでも開いているスーパーやお店も最近では増えたようですが、そういうときの時給は平常より高く、やはり25日は家で家族みんなで集まって、盛大にお祝いをする家庭が典型的です。筆者も、アメリカで働いていたときは25日が休みになってラッキー、と思っていましたが、日本特有のきらびやかでロマンチックなクリスマス。ケーキを食べるクリスマスもなければないで、恋しいなと思っていました。

日本で一緒に過ごせる恋人などいたためしがないのですが、あの日本のわくわくするような全体的なクリスマスの盛り上がりがアメリカでは、ないのです。

お正月


ここまでクリスマスを見てみて、おや、これって日本のお正月と似ている?と思いませんでしたか?

日本では元旦はたいていお休み。家族で集まっておせちを食べます。そのおせちの中身やお雑煮は地域や家庭によって、まちまち。一年に一回の大きなイベントというのもアメリカのクリスマスに似ていますよね。

年が明ければ「お正月だしまあいいか」「お正月くらい贅沢してもいいか」みたいな言葉も飛び出して、正月三が日はちょっとゆっくりしたムードになります。アメリカでは12月25日近くになると同じように「クリスマスだし」と人々がやはり言いだすのも似ているなと思います。

日本での大きなイベント、お正月はアメリカではそこまで重要視されませんので、とても恋しかったのを覚えています。アメリカでも元旦の日はお休みですが、二日から働き始めます。おせちもない、おもちもない。お雑煮、初もうで、テレビの特番、何もありません。二日からアメリカ社会は平常通りに運びます。非常に寂しい正月です。

アメリカでは、大みそかの夜にだいたい皆飲み始め、べろべろに酔い、新年を迎えて元旦は二日酔い。なんだか酔っぱらうための日のように皆がぶがぶ飲みます。それだけ、というのは日本人としては、やっぱり物足りない!

筆者が留学中は、他の日本人の学生たちとそれまでにお餅を手に入れておいて、年が明けたら一緒に食べたりしていました。周りに日本食が手に入る店などが少ない地域でしたので、それだけでもありがたい気分がしていたのを思い出します。

卒業後働き始めてからは、「二日から働くなんて信じられない!三が日くらいはゆっくりしたい!」とぶつぶつ言いながらオフィスへ行っていました。この経験は、冒頭のイギリス人の先生と全く同じですね。日本人である私は日本のお正月に慣れていて、そんな祝い方はしないアメリカという国の中で、一人声を荒げてもやはり、意味がないのです。アメリカのしきたりがそうなので、外国人である筆者はそれに合わせなければなりません。異国で住むということはこんな覚悟も必要です。

花火


さて、そんな酔っ払いの大みそか~元旦を乗り越えると、祝日の少ないアメリカでは、7月のインデペンデンスデイまで祝日がありません。日本に戻ってからこの祝日の多さに圧倒され、逆カルチャーショックを受けましたが(しかもいつの間にか祝日はほとんど月曜日になっていた)アメリカでは、土日以外は休みなくよく働いていたような気がします。

年が明ければ、正月気分もないままに普通の生活がはじまり、カレンダーを見ては7月のページまでまだまだ、とため息がこぼれていました。7月4日のインデペンデンスデイ(独立記念日)は、日本人にはあまりがなじみがないですが、どんなイベントか知っていますか?

アメリカが独立したのを祝う日ですが、だいたいの町ではパレードがあります。皆星条旗を振りかざしたりして町を行進します。そして夜には花火があがり、それを見に良いスポットへ行くのが典型的スタイルでしょうか。そこでまた、酔っ払います。で、終り。なんだかこれも、日本人的には寂しい感じがしていました。

せっかくの独立記念日なのに、屋台もないし。酔っぱらって踊りだす近所のおじさん、みたいな存在もないのです。日本のお祭りのような盛り上がりは存在しない。

筆者の両親が、在米中に何度かアメリカに訪れたことがあったのですが、そのうち一度がこのインデペンデンスデイのタイミングだったことがありました。その日はいったいどんな盛り上がりを見せるのか、朝から晩まで大盛り上がりで、町中イベントづくめなのかと思って来てくれたらしいのですが、思ったほど町も渋滞があるわけでもなく、特別なことがやっているわけでもなく、がっかりした、とまでも行かなくとも「なあんだ」という感じだったようです。

どうしても日本のお祭りのようなものを想像していたようですが、やはり神社を中心に屋台がいっぱい出て、子供も大人も入りまじって盛り上がっているようなものは、アメリカにはないのです。かろうじて、夜の花火が盛大ですが、これも筆者は毎回「なんか違う」と思っていました。

というのも、日本の花火のようにハートの形になったり、文字をかたどったり、回りの風景と合わせて花火がどう映るか、どういう組み合わせでどんな色の花火を上げるのか、などといった繊細さがないのです。アメリカの花火は、どーん!と大きいのが何度もバンバンバン!とあがり、とてもダイナミックで大きいのですが、色もあまり種類がありませんし、形にも全くバラエティがありません。日本人はこういうものに芸術を感じて、極めるような特徴がありますが、アメリカ人にはそこまで重要なものでもないようです。

アメリカで花火を見ては、日本の花火が恋しくなっていました。

お花見


日本人は四季を大事にして、それぞれの楽しみ方を知っている、と言われますがそのとおりだと思います。もちろん、日本でいるうちはそんなこと考えもしなかったのですが、アメリカに行ってそう感じたことが多々あります。

まずは春がきたらお花見ですね。桜の木の下でおいしいものを食べて、桜の綺麗さや儚さを悦びます。アメリカではそんな風習はないですから、とても寂しかったのを覚えています。お酒を公共の場で飲むのも違法ですから、お花見で酔っぱらう、などありえません。

アメリカでも春は綺麗に花が咲きますし、筆者の通った大学では桜がきれいに咲く通りがありました。しかし、その下でお花見をしている人などいませんでしたし、そういう光景がないというのは、日本人としては物足りないものがありました。

また、お花見だけに限らず旬の食べ物というものがない、というのも不思議でした。筆者は海に近いところで育ったので、特に季節の魚が恋しかったです。秋がくればサンマですよね。秋が来るたびに「サンマーサンマー」と言っていました。スーパーには季節関係なく野菜や魚が並んでいます。

日本に帰国後は、毎年サンマが食べられるということに感謝しています。日本でずっといれば、こんな当たり前のことではありがたいとは思わないですよね。こういう事を経験するたびに、自分は日本人であり、日本人というのはやはり、四季を大事にしているのだなあと思ってしまいます。

留学準備に日本のイベントを知る


思いもよらないことに日本を感じたり、自分は日本人なのだと感じてしまう。留学中に恋しくなってしまうかもしれない日本のイベントを今回は挙げてみました。日本にいるより日本から出たほうが日本の良さや悪さ、日本文化そのものを感じることが多いとは聞きますが、本当にその通りだと思います。

筆者もアメリカにいたからこそ、日本のありがたみが分かりますし、日本や日本人のことをもっと知れたと思っています。それは自分の一生涯にとってとても大きな発見であったと思っていますし、「クリスマスに働く日本はクレイジー」というイギリス人の気持ちもとても分かります。

留学前にできることとすれば、日本のイベントや日本の風習をたくさん経験しておくことです。筆者は何も考えなしにアメリカへわたり「日本のあれが恋しい」となってしまいましたが、日本でいる間にもっと日本のことを知っておけばよかったと思うことがよくありました。

今回挙げたイベントや、その他にも今できることをやっておけば、アメリカで比較することも容易ですし、逆に「日本ではこうだよ」とアメリカ人に教えてあげることもできると思いますのでぜひ参考にしてみてください。