実践的!生活で役立つ英語の数字表現8選
[公開日]2016/06/21
“Speed limit 55”
アメリカで車を運転していると、こんなスピードリミットの標識を至る所で見かけます。アメリカの運転免許でずっと生活をしていた筆者は、在米生活の最後でこそマイルに慣れましたが、最初は全くスピードの感覚に慣れませんでした。
一体これが遅いのか、早いのか。自分の車が今、時速何マイルでハイウェイを走行しているのか、というのはもちろん目の前のスピードメーターで見えるのですが、「今、時速100キロで走っている。これは早いスピードだ。」といったような日本語での具体的な感覚がないと、運転していても自分でよく分からない状態が続きました。
自分の体重も然りです。アメリカではもちろんキロの体重計は一般的に売られていませんので、ポンドで表示される体重計に乗っていました。のってはみるものの、表示される数字がガツンと来ない。アメリカ生活で明らかに太ってきているのにそのうやむやさを良いことに、「ダイエットしなきゃ」という危機感もないままだった気がします。
数字で表せるものというのは、小さいころからの感覚が頼りであることが多いのだなと思い知らされました。
使われる単位がまず違うので、渡米してすぐの間は数字に関して感覚的には既にアウトです。数字に関する事柄をせめて相手に説明する時だけはきちんとしたいと思いましたが、どういえば良いのか分からない。英語での数字表現ということに関して、学校できちんと習ったことって意外にありませんよね。今回は、そんな意外に難しい、英語の数字表現を紹介したいと思います。
ダラーセント
渡米してまず初めに困ったのはお金の表現でした。日本からの飛行機から降り立ち、小腹がすいたので空港内の売店で水とサンドイッチを買おうと思ったのです。レジへ向かうと強面の大柄のお兄ちゃんが、ピッと精算してくれました。すると彼は早口でこう言ったのです。
“Four ninety five”
凍り付きました。ただでさえ英語での、本物のアメリカ人を相手のアメリカ本土での初めての買い物です。ドル札を握りしめて、お金を払う用意はしていたのですが、「OOドルOOセント」というセリフを待っていた私は、どうしても払うべきお金が分かりません。頭が真っ白になってしまっている私に対して、そのお兄ちゃんは怪訝な顔つきでもう一度言いました。
“Four ninety five”
分からない。何か数字を言っているようなのだけど、何ドル何セントなのかが全く分かりませんでした。そうだ、レジに表示されている数字を見ればいいのだ、と「4.95」と表示されている画面を見ました。私がお金を払うのに時間をかけたせいで、後ろには何人かの人が列を作っています。私は急いでお金を払うとそこを立ち去りました。
金額が分からなかったことが恥ずかしかったのと、他のお客さんを待たせて悪いと思ったのと、いったい何が起こったのか分からなかったのとで、何とも言えない気持ちになりました。私の中ではお金の表現というのは、
“How much is it?”(いくらですか)
‘It is going to be 4 dollars and 95 cents.”(4ドル95セントになります)
“Here you go.”(はい、どうぞ)
“Thank you.”(ありがとう)
‘It is going to be 4 dollars and 95 cents.”(4ドル95セントになります)
“Here you go.”(はい、どうぞ)
“Thank you.”(ありがとう)
といったような、数字の後にダラーとセントが会話文に出てくる教科書英語だったのです。ここでアメリカ人というのはお金を表現するときに、”Dollar” “Cent”などと分かり切った単位の言葉を口にしないのだと分かりました。これ以降も、10年近くの在米生活で、教科書で習ったような金額の言い方をするアメリカ人には出会いませんでした。支払の場で早口で数字を言われると戸惑ってしまうので、ぜひ覚えておきましょう。
千と万
アメリカでは、数字での区切りが日本語とはちょっと違います。数字に0を足していくと3つごとにコンマが付きますが、それに沿った単位表現というべきでしょうか。
例えば、
100は「百」英語では”Hundred”ですよね。
1,000は「千」、英語では”Thousand”です。
10,000は「一万」、英語では”Ten thousand”で、ここらへんから少しずつズレが生じてきます。千の次に「十千」とは言わない日本語と、「十千」としてしまう英語。この関係で、在日外国人の多くは、日本語があまりしゃべれない人でも、お金(円)の話をする時だけは、”This was about 2man (yen)!”(これ2万円だった!)と言ったりする人が多いようです。
この後、英語では”Hundred thousand”(100,000)と続き、”Million”(1,000,000)と来ます。コンマごとなので何とも理に適っていますよね。
これも、日常会話をする中で、数字を出すごとに単位が訳が分からなくなって、”Just a minute…”などといって、まずは日本語で数字を考えて、0が何個ついているかを考えて英語に直したりしていました。渡米生活の最後のほうではこれにも慣れて、わりとすっと数字も出てきていた気がします。これまでの自分の文化で培ってきた概念を覆さなければスムーズには話しができないというところ、外国語取得のむずかしさです。
thousandよりhundred
さて、筆者が気づいたのはアメリカ人はなぜか”thousand”を使うのがあまり好きではないのではないかということです。それよりも単位が小さい”hundred”を多用しようとします。筆者がいわゆるOLとしてアメリカのオフィスで働いていたとき、他の社員の話を聞いていると、こんな感じで話をしているのです。
“We have to order another 4,500 of those by tonight”(今夜までにあと4500個、これを注文しておかないとダメね)
この「4,500」を日本人なら”Four thousand and five hundred”と言ってしまいそうですよね。これを彼らは”Forty five hundred”と言うのです。おそらく、後の言い方のほうが前の言い方よりも短いから、理由はこれに尽きるのではないかと思うのですが、当時の筆者には驚きでした。こういう言い方をネイティブはするのだなと感心したものでした。
Times 倍
普段の会話の中で、「この何百倍もすごくて!」とか、半分面白く言いたいときありますよね。また、シリアスな場では具体的な数字を入れたら、言っていることにも真実味が増します。
ではこういうときはどう言ったらいいのでしょうか。これも意外と頭をかしげてしまうのではないでしょうか。ここで便利なのは”Times”という表現です。
“Brad Pitt is a hundred times more handsome than you are”
(ブラッドピットはあんたより何百倍もハンサムよ)
“America’s population is double Japan’s.”
(アメリカの人口は日本の二倍です)
(ブラッドピットはあんたより何百倍もハンサムよ)
“America’s population is double Japan’s.”
(アメリカの人口は日本の二倍です)
「二倍」までは”Twice more” という言い方をしますが、「三倍」やそれ以上になれば、”Three times more”という表現をします。とても簡単な表現ですが、これをさらりと使いこなせるかどうかでで英語に差がでますので、ビジネスでもお勧めの、使える英語表現です。
分数
「倍」と同じく、意外に言い方が分からないのが分数ではないでしょうか。日本語では分数は「二分の一」など、分母を先に言いますが、英語では逆で分子から言います。
“My presentation is three fourths about American culture, and the other quarter is about American people.”
(私のプレゼンの4分の3はアメリカ文化のことで、後の4文の1はアメリカ人のことについてです)
(私のプレゼンの4分の3はアメリカ文化のことで、後の4文の1はアメリカ人のことについてです)
分数に関して気をつけなければならないのは、英語の場合分子が複数形なら分母も複数形になるということです。とてもややこしいですが、複数形に関していつも細かいのが英語です。
上の例文ではたまたま4分の3、4分の1という話でしたので、4分の1はより自然な言い方である”Quarter”を使いました。このクオーターという概念が、アメリカではとても根強かったりします。
Quarter文化
クオーターは日本ではあまり馴染みがありませんよね。「半分」という概念はもちろんよく使いますが、「4分の1」という、「半分の半分」という概念を使う場面があまり思い浮かびません。
筆者の旦那の母親、つまり義母が日本へ訪問していた時、滞在中いろいろと世話をしてくれたある人にカフェで使えるギフトカードを送りたい、と言いだしたことがありました。レジで希望の金額を告げて、プリペイド式カードに入金してもらい、プレゼントできる仕組みです。筆者が通訳をしたのですが、その時指定した義母の金額が「2500円」というものでした。
「2500円分の入金をお願いします」とレジの方に告げたものの日本人である筆者は、この金額になんともいえない違和感を感じました。「2000円では少なすぎるし、3000円では多すぎるし、間をとって2500円(でいいか)」というような思いが見え隠れするようではないですか?日本人なら、おそらく3000円にする人が多いように思えます。これがなぜ2500円なのかというのを旦那とその後話し合いました。
すると、これはクオーターの感覚であることが大きいのではないかという結論になりました。約100ドル(一万円)のクオーター(4分の1)が25ドル(2500円)ですよね。半分の半分。これが日本人である私たちにはストンと落ちませんが、どうやらアメリカ人にはこの尺度が大きく影響しているのです。
考えてみればアメリカでは一番大きな硬貨が25セント(クオーター)ですものね。これもなぜ50セントではないのかなと筆者はアメリカでいつも考えていました。25セントより便利だろうなと思われる50セント硬貨は一時期あったものの、廃止されたというくらいですから、アメリカ人はきっと小さい頃から親しんでいるこのクオーターの感覚が好きなのでしょう。
Dozen文化
日本人にとってクオーターと同じくらいに謎なのが、”Dozen”つまり「ダース」です。12が1ダースですから、ますます分かりません。
”A dozen and half”(1ダースと半分)
などと言われると、「えっと、1ダースが12で、その半分が6だから、12たす6で、18か!」と算数の苦手な筆者なんかは、「じゃあ最初っから18って言ってよ。」となってしまいます。
ところが新聞なんかでは、”Half a dozen companies affected”(半ダースの会社に影響)などと見出しで使われたりします。店に行けば箱詰めされているドーナツが何気に12個であったり、卵は12個ずつ売られていたりします。アメリカ社会に浸透しています。このダースの感覚も頭に入っていたほうが無難です。
Out of
さて、英語表現の中で「何人中何人だった」など、いくつか決まった数字の中で何番だった、という言い方はどうでしょうか。これなどビジネスでのプレゼンテーションなどでとても使えそうです。
“We were ranked 8th out of 50 other companies.”
(私たち(の会社)は50社中8番目でした)
“Out of all the applicants, I got the job!”
(すべての志望者のうち、私が仕事をゲットしたの!)
(私たち(の会社)は50社中8番目でした)
“Out of all the applicants, I got the job!”
(すべての志望者のうち、私が仕事をゲットしたの!)
“Out of”という表現を使えば、簡単です。「具体的な数字+Out of+全体の数字」で覚えておきましょう。ビジネスの場だけでなく、「なんと、こうだったんだって!」などと会話をするときにもこんな具体的な数字があれば会話が弾みますよね。
細かい表現
以上の英語での数字表現の他にも、知っておきたい細かい表現がありますので紹介します。
“Per”は「毎」という意味の単語です。「時速100マイル」は”100 miles per hour”。
“They charge $40 per person at the desk”
(窓口で、1人40ドルだって)
(窓口で、1人40ドルだって)
などという表現もよく見かけます。
“Even”は「ちょうど」という意味の単語です。
“It was 50 dollars even!”(これ50ドルちょうどだったよ!)
という具合でアメリカ人がよく使いますので知っていて損はありません。自分で使ってみれば、きっとネイティブもおっと思うはずです。
生活で役立つ英語の数字表現8選 おわりに
さて、今回は実際に使える英語での数字表現を紹介しました。いかがでしたか。
英語、英会話といえばどうしても単語の数や言い回しの数ばかりを考えてしまいがちですが、数字も含めた文化的概念をつかむところから、言語の本当の理解は始まります。最初は不慣れで失敗もするかもしれませんが、覚えてしまって口からすっと出るようになればこちらのもの。頭で考えずにそのまま思っていることを話できればいいですね。
ぜひ今度英語を使うときにはこれらの表現を使ってみてください。きっとあなたの英語にも深みが出ること間違いなしです。
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