初心者が知っておきたいFX 14の注文方法

[公開日]2015/02/04[更新日]2015/04/17

FXは、スキャルピングトレードに代表されるように、注文からポジションを手放すまでの時間がとても短い金融商品です。また、売買の頻度も高くなりがちです。一方で、長期取引までカバーしうる商品性のため、いついかなる状況にも自動で対応できるよう、注文を出す方法がとても高度化してきました。

初心者のFXの注文方法

株式では現物取引が主で、信用取引はリスクヘッジのために補助的な立場であるのに対して、FXでは100%信用取引です。そうしたことも影響しているのかも知れません。それでは、FXの多彩な注文方法をご紹介していきましょう。

まずは基本的な注文方法からご紹介し、次に複合的な注文方法、そして自動注文などをご紹介していきます。

基本:成行(なりゆき)


注文を出した後、「ほぼ」必ず約定する注文です。約定するための条件が最も少ない注文でもあります。証券会社、FX会社によっては「クイック」などと呼ばれる場合もあります。とにかく早く約定されたいことからきています。

買いの成行注文
「いくら値段が高くてもよいから買う」という意味を持つ注文です。値段を指定した注文である「指値」注文よりも、先んじて約定するというルールがあるためです。

売りの成行注文
「いくら値段が安くてもよいから売る」という意味となります。

「ほぼ」とかっこを付けた理由は、買い注文に対して売る人(売り方)がいなければ約定しないからです。これまで、成行注文は、最もスタンダードな注文方法でした。「これまで」と付けた理由は、スリッページの存在があるため、最近では敬遠されている注文方法だからです。

スリッページとは、成行注文を出す前の相手方の値段と約定した時の値段に開きがあることを言います。注文を出した人にとって不利な方向で約定する場合にスリッページと呼びます。スリッページがあるために、いくらで約定するか分からない成行注文は敬遠されるようになっています。

基本:ストリーミング注文


FXにはストリーミング注文というものがあります。通貨単位数以外に「スリッページ指定」が行えるようになった成行注文のことを、ストリーミング注文と呼びます。完全な成行注文の場合、スリッページによって表示価格と大きくずれて約定するリスクがあります。

ストリーミング注文では、スリッページが0の時のみ約定させることで、意図した為替レートから大きくずれての約定を防ぐことが出来ます。注意が必要なのは、スリッページが常に起きているような状況では、「成行」にも関わらず、約定しない可能性があるということです。

基本:ASストリーミング注文


ストリーミング注文を出すには、注文画面を開いて成行を指定し、スリッページを0にして、と色々な操作が必要になり、その間に為替レートが動いてしまったということもあります。AS(エーエス Auto Select)ストリーミング注文は、「成行+スリッページが0」の注文を簡単な操作で出せるようにしたものです。

ASストリーミング注文も、ストリーミング注文同様、約定しない可能性があります。

基本:指値(さしね)


いくらで約定させたいのか、その値段を指定する注文方法です。成行と比べると、約定するためには値段という条件が追加されていると言えます。指値注文を出した場合、その値段で約定するか、約定しないかのいずれかとなります。

買い指値の値段で売る人がいなければ約定せず、注文が出ている間にその値段で売る人が現れた瞬間に約定します。言い換えるならば、より有利な値段で約定させたいときに出す注文が指値注文と言えます。

スリッページの危険性が全くないため、好まれるようになってきましたが、異常なスピードでの急騰や急落時には指値の値段が追いつかず、なかなか約定しないというリスクもあります。

基本:逆指値(ぎゃくさしね)


逆指値も、基本的な注文方法です。指値注文は、より有利な値段で約定させるために値段を指定しますが、不利でもよいから約定させたいときに逆指値注文を出します。

買い注文の逆指値
現在のレートよりも値上がりした時に約定します。

売り注文の逆指値
現在のレートよりも値下がりした時に約定します。

値段が下がったら買おうと思っていたのに意図に反して値上がりしてしまい、さらに値上がりしてしまう前に約定させたい時などに利用する注文方法です。

先進的な注文方法:OCO注文


OCO( オー・シー・オー:One Cancel the Other)注文とは、指値と逆指値がセットになった注文方法です。1つの取引に対して2つの注文を出すようなもので、一方が約定すれば同時にもう一方は自動的にキャンセルされます。

指値を出すことによってより有利な値段で約定させたい一方、逆の値動きをした場合でもやむなく約定させたい、という時に使います。指値が約定した場合には逆指値の方が、逆指値の方が約定した場合には指値の方がキャンセルされます。

複合的な注文方法:IFD注文


IFD(アイ・エフ・ディー、またはイフダン:If Done)注文は、最初の指値注文が約定した場合に、次の指値注文が発注されるという注文方法です。IFDN、そのままIF-DONE注文などとも呼ばれます。もし(If)、はじめの指値注文が約定したら、次の指値注文を執行(Done)するというところからこの名前はきています。

最初の注文が約定しなければ、次の指値注文は発注されませんが、最初の注文が約定しても次の注文は約定するとは限らず、ポジションが残ってしまう可能性があります。

複合的な注文方法:クイックOCO注文


成行(クイック)注文とOCO注文の2つを同時に出すことのできる注文方法です。この方法で注文した場合、まず成行で約定します。次にOCO注文によって利確か損切りかのいずれかが自動で執行されるようになります。

1回の注文操作だけで、ポジションを建てることから整理するところまでを自動で行える便利な注文方法です。

高度な注文方法:IFO注文


IFD注文と名前が似ていますが、IFO(アイ・エフ・オー、またはイフダン・オー・シー・オー)はIFDとOCOが組み合わさった注文方法です。IF-OCO注文などとも呼ばれます。はじめに指値注文を出します。この指値注文が約定した場合のみ、続けてOCO注文を発注します。利確か損切りかの2つの注文が一度の操作で指定することができるわけです。

有利な値段でポジションを狙って、次にそれを利確するか損切りするかまで一度の注文で自動的に済ませてしまうという注文方法です。IFO注文には、IFD注文のように条件によってはポジションが残ってしまうというリスクがありません。

自動的な注文方法:トレール注文


これまでの注文方法は、投資家自身が指定した条件は変わることはありませんでした。トレール注文とは、これが自動的に変わるという注文方法です。画面の前で監視していなくても、自動で指値の切り上げを行ってくれます。

含み益が増え続けるような状況では通常、投資家自身が指値を少しずつ動かして利幅を増やしたりしなければなりません。トレール注文では、「値幅」であるトレール幅を指定します。現在の値段がトレール幅を超えるたびに、指値も切り上げていきます。含み益が増えているような局面がそれに該当します。

そして含み益がトレール幅を超えて下回ったときに、成行で利確します。

自動的な注文方法:リバース注文


買いポジションを売りポジションへ、またはその逆を自動的に行う注文方法がリバース注文です。同一通貨ペアのいくつかの買いポジションを一括で決算し、同時に売り注文を出して約定させて売りポジションを保有するという一連の注文を一度に行うことが出来ます。

買いポジションを持っていた場合、順調に含み益を伸ばしつつ天井が来たとします。そこで買いポジションを利確して、すぐさま下落で利益を出せるよう売りポジションを保有するということが行えます。買いから売りへの転換だけでなく、売りから買いへの転換も可能です。

そのほかの注文方法:一括決済


FXにおいて、同じ通貨ペアのポジションが複数あることがあります。値段も通貨単位もまちまちなこれらのポジションを、同一条件で整理するための注文が一括注文です。他の異なる通貨ペアに対して一括注文を行うことは出来ません。

また、一括注文は成行や指値だけでなく、他の注文方法を指定することが出来ますが、FXにおいて、会社によって指定できる注文方法や手段は異なります。

そのほかの注文方法:全決済


全ての通貨ペア、全てのポジションに対して、成行注文で処分を支持するのが全決済になります。利確か損切りかはそのポジションや通貨ペア次第ですが、現金が必要になった、為替市場をウォッチできなくなるのでリスクを無くしたい、FXをしばらく休む、といったときなどに利用されます。

時限成行注文


日時や時間を指定して、成行注文を出すという注文方法が時限成行注文です。各種統計や指標などが発表される前などにポジションを整理してしまってリスクを軽くしておく、といった使い方をします。

注文の有効期限は?


それぞれの注文は、発注する際に有効期限を指定することができます。当日のみ、今週のみ、取り消すまで有効など、発注するときに投資家自身がいつまで注文を有効にするか決めることが出来ます。

また、複合注文で1つの注文が約定した後でも、残りの注文が約定するまでに期限が来た場合、残りの注文は未約定のまま取り消されます。期日を指定しなかった場合、約定しなければいつまででも注文が残っています。忘れてしまうと思わぬときに約定するリスクがあります。

どのFXを会社でも全ての注文方法が使えるの?


残念ながら、全てのFX会社の注文チャネルでこれまでにご紹介した全ての注文方法が利用できるわけではありません。取引ツールや取引チャネルごとに利用できる注文方法が限られている場合が多いのです。

ツールの開発状況や、FX会社の戦略などによってこうした状況が起きていると思われます。