海外FX口座から出金できないトラブルの解説と対策

[公開日]2014/12/13[更新日]2015/04/17

海外無登録業者によるトラブルが急増中

海外FX口座の出金トラブルと対策

今、 日本では歩きスマホによる事故や事件が後を絶ちません。歩きスマホをしている人の心理としては、物事全般に無頓着であるということの他に、「自分だけは大丈夫」という心理も働いています。

よく考えれば分かるのですが、そんなことはあり得ませんよね。オリンピック級をはるかに超えるような集中力や危険回避能力が、一般の人にあるはずはないのです。結局、いつかは他の人と同じように事故を起こしてしまいます。

なぜ大丈夫だと思ってしまうのか?それは、周りの人が気をつけてくれていることと、その人がまだ一度も事故や事件を経験していないからです。たまたまに過ぎないのです。

FXを始めとした投資に絡む詐欺被害者にも、同様の心理が働いています。「私だけは騙されるはずがない」という心理です。大規模な詐欺を行う人は、心理分析に長けたプロです。様々な学術的・生物学的理論を駆使して他人を騙し、利益を上げて逃げようと虎視眈々なのです。

一般の人がそれに太刀打ちすることは出来ません。詐欺業者は、自分に接近してくる「被害者予備軍」を的確に見抜き、選別し、騙そうとしているのですから。

日本にも存在する悪質なFX業者


海外FX業者による被害の多くは、預けたお金を出金出来ないといったものです。トレード上は利益をあげていたとしても、出金することが出来なければ投資で儲かったことにはなりません。出金を求めたところ、身分証の写しを送付するように言われ、送付したところそれらの情報を悪用された、という二重被害を受けることも少なくありません。

また、自動売買ソフトを購入したところ、口座開設が必要だと言われ、成り行きでその口座を使って取引をしていたところ、やはり出金時に応じられない、あるいは音信不通になるというケースも急増しているようです。

海外FX業者と言っても、日本語のサイトを用意していて、日本語で対応できるコールセンターもあったりします。自動売買ソフトもきちんとした日本語で表示されていたりするので、安心して騙されてしまうのでしょう。

FX絡みのトラブルと言えば、海外の悪徳業者によるものが殆どという印象を持たれる方も多いでしょう。ですが、関東財務局などの規制当局から警告を受ける業者のうち、海外業者は1/4に過ぎません。残りは国内の業者ということになります。

当局による警告件数も一向に減る気配はありません。平成25年度の警告件数は、平成24年度の倍を記録しました。それが急にゼロになったという話も聞いたことがありません。悪質な業者は依然として投資家のまわりに存在しているのです。

悪質な業者は、リスクを説明しませんし、良いことばかりを説明します。そうした「あり得ないこと」に気づけずに業者に接触した投資家は、物事の善悪の判断が付いていないということであり、既に半分騙されていると言っても良いのです。

このようにして、悪質な業者は数多くの投資家の中から騙されやすい人を選別し、サービスを提供するフリをして資金をだまし取ろうとしています。

見知らぬ他人にお金を預けられますか?


悪質な海外FX業者を追求することが困難なのは、ひとえに「世界は広い」ということに尽きるでしょう。日本国内にあれば、自分の足で業者を追跡することも不可能ではありませんが、世界のどことも知れぬ場所に居る海外FX業者の足取りを負うには、国際機関並みの情報収集能力や資金力が必要となってしまうのです。言葉の壁も問題です。

そのため、海外FX業者から被害を受けた場合には、返金を求めることや、損害賠償を求めることが非常に困難なのです。

預けたお金を返して下さいと言ったところで、知らんぷりをされてしまったら、どうすれば良いのでしょう?国内業者で、所在が分かっているなら告発することも出来ますが、所在不明な海外業者であれば、絶望的と言えるでしょう。

被害に遭ってしまったら、個人の力で回収することは難しい


もし詐欺被害にあった場合、個人の力で対処できるのでしょうか?高額な弁護士費用を負担し、海外での訴訟も辞さぬという資金力豊富な方であれば、個人的に追求していくことは可能かも知れません。

ですが、多くの人にとって、そんなことは不可能です。個人的にあれこれ動いた結果、わずかに残っていた証拠を巧妙に隠蔽されてしまい、一層追求が困難になるということもあります。もし被害に遭ってしまったら、個人であれこれ動くのではなく、国民生活センターや消費生活センターに相談したり、財務局へ通報したりするなど、公的機関を活用することです。

その際にも、あちこちへ同時に依頼するのではなく、国民生活センターや消費生活センターといった機関へまず相談し、そこと相談しながら次の手を考えていくという作戦を取りましょう。

ただし、打てる手を全て打ったからと言って、お金が戻ってくる保障はありませんが、泣き寝入りすることはありません。被害者の会を結成して集団訴訟を行うなど、個人では打てない手だてを講ずることが出来る場合があります。

また、詐欺に遭ったショックのあまり、本業が疎かになったりすれば、それこそ生活まで立ちゆかなくなってしまいます。攻撃によって受けた被害を最小限に抑える「ダメージコントロール」は、何も戦争に限ったことではなく、こうした日常生活の中で起こるトラブルに対しても有効です。

最善の策は「騙されない」こと


このように、個人対企業のトラブルにおいて、個人の力は小さく、打てる手も限られてきますので、最善の策としては「騙されない」ということを念頭に対策していくことが重要です。

冒頭でも述べましたが、それにはまず「自分だけは特別」などということはこの世の中にありはしないのだということを改めて認識する必要があります。その上で、しっかりと自分の頭で考えることが大事になってきます。

上手い話を耳にした場合にまず考えて頂きたいのは、「そんなに儲ることを赤の他人に教えることなどあり得ない」ということです。

上手い話をなぜあなたに教えるのか?


多くの場合、詐欺を行おうとする者は、耳に心地いい言葉を巧みに使ってきますので、その都度、「なぜそんないい話を知人ではなく赤の他人の私にするのだろう」と、自問自答してみるのが大事です。リスクの無い投資などがもし仮に存在するなら、国家権力が大企業といった膨大な資金力を持つ団体が率先して行うか優先的に行う仕組みを作り上げてしまい、個人に手が出せるようにするはずはないのです。

現実には国家権力や大企業はそれよりもっと苦労して税金を徴収したり、売上をあげようとしたりしているのですから、リスクの無い投資など存在しないという証明でもあるわけです。うまい話を耳にすると、人はどうしてもそれを信じたくなるものです。

株式投資などでも、持ち株が塩漬けになったりすると、その企業に対する良いニュースしか見たくなくなってしまい、都合の悪いニュースをシャットアウトしてしまいます。その結果、正しい投資判断が行えなくなるというわけで、これと同じ心理が詐欺被害者にも作用しています。

また、株式投資で負けた人がFXなら勝てると思って手を出した上、詐欺被害にも遭ってしまうというようなケースもあります。

株式投資で勝てないという現実を直視することが出来ず、FXへ走るわけですが、勝てる根拠があって始めるわけでもないため、勝てるようになるはずもありません。そのような心理下においては、すでに正常な判断が行えなくなっている危険性もあるのです。

「儲け話」が実現出来る理由を探る


業者が行うことには、全て裏があります。裏と言っても悪い意味ばかりではありません。例えば、FX口座開設キャンペーンでの多額のキャッシュバック。口座開設して少し取引するだけで、数万円もの大金をなぜ支払うことが出来るのか。その原資はどこから出ているのか。

常々そのように考え、行動することで、詐欺被害に遭う確率をとても小さく出来ます。詐欺とは、あり得ない状況を提供するフリをするものです。よく考えればそのような状況など存在し得ないと気づくはずです。

FXのキャッシュバックに払われる資金は、証券会社との相対取引によって、まさに投資家自身が損をすることで創りだしています。こうしたことは取引所取引では行えないため、くりっく365のキャッシュバックキャンペーンは行われないのです。

海外FX業者の場合、日本に届け出を提出していない無登録業者が悪事を働きます。無登録業者であるということを巧妙に隠している場合がありますが、口座開設前にインターネットを使って調べることが出来ます。金融庁のホームページには、登録業者の一覧が掲載されています。ここに掲載されていない業者は無登録業者ということになり、危険です。

無登録業者は規制などお構いなしにやりたい放題なわけですから、1000倍といったハイレバレッジが可能なのも特徴です。日本では25倍を超えるレバレッジでの取引は認められていません。海外FX業者であっても日本で商売する以上は、日本国内の規制を守る必要があります。

また、FX業者が信託保全制度を適用していることも必須です。証券会社が資金を集めるだけ集めたあと「自主廃業」してしまう事件の例もあります。信託保全されていれば、そのようなケースでも資産は安全に引き出すことが出来ます。

海外FX口座トラブルと対策 まとめ


とは言え、騙す方の手口も年々高度化しています。少し前の不正な海外製自動売買ソフトは日本語表記が一部おかしかったり、コールセンター担当者の日本語がたどたどしかったりしましたが、今ではそのようなボロを出すことも少なくなっています。

とは言え、登録業者かどうか調べるためには金融庁のホームページを見ればよいということは変わっていませんし、信託保全の重要性にも疑う余地はありません。レバレッジを上げればリスクも増すということも変わることはありませんし、FX取引にはリスクが付きものであるという事実も変わることはありません。

「ノーリスクで勝ち組に!」「画期的な理論による奇跡的な勝率!」など永遠にあり得ないのです。それさえ念頭においておけば、甘い勧誘に乗せられてしまう危険も減らせるでしょう。