行政書士が解説!WiMAXクーリングオフの方法と注意点

[公開日]2016/08/29

WiMAXクーリングオフ 「いざWiMAXを使おうとしたら電波が悪くて使えなかった…」
どこでも手軽にネットをしたいと思ってWiMAXを申込みしたのに、想像していた利用方法で使えなかった。楽しみしていた商品が使えなかったという事実は悲しく悔しいことではありますが、あなたの取るべき行動は解約をできるだけ迅速に行うことだけです。

契約から8日以内であればクーリングオフと同じような方法でWiMAXも契約解除できます。

契約を解約するという行為は、ややこしくて面倒くさいものですよね。
この記事では行政書士である筆者がWiMAXの解約についての方法と注意点を解説しながら、解約理由の分析と中途解約を避ける入会前のコツについて言及していきます。

WiMAXはインターネットで手軽に契約ができるにゃ。でもその一方で、解約方法はわかりづらいから正しい知識が必要だにゃ。今回は解約のポイントを現役の行政書士に解説してもらったにゃ!


契約を後悔した時は8日以内に解約手続きを実施


WiMAXを申し込んで実際使い始めたけれど「やっぱりやめたい」。もしそういう風に感じるならば迅速に手続きをしましょう。

WiMAXはクーリングオフの対象ではありませんが「初期契約解除制度」を利用することで、契約してから8日以内であれば違約金無料で解約することができます。

クーリングオフは消費者保護のために生まれた制度

「クーリングオフ」は、業者等と一度結んだ契約について、消費者側から契約を一方的に取りやめることができる制度です。法定の契約書面を交付されてから8日以内に契約解除の意思を示さなければいけない、電話勧誘や訪問販売等に限定される等の一定の要件はありますが、クーリングオフは弱い立場の消費者を保護するまさに強い味方だと言えます。

通信業者との契約では初期契約解除制度を適用

ただ残念ながら、WiMAXの契約については、このクーリングオフを使って、中途解約することはできないことになっていました。

しかし、消費者を保護する目的と、通信業者の料金体系が一般的に分かりにくいという理由で、初期契約解除制度が平成28年5月21日からスタートしました。この制度を利用することで、無条件に中途解約ができ、また8日以内であれば違約金も発生しません。
わかりにくい契約内容によって消費者が不利益を被らないように、消費者保護のために法律が整備されつつあるにゃ。


違約金は無料だが他費用は支払い義務あり


クーリングオフと似たような制度ならば一切の費用がかからないのでは?と思うかもしれません。しかし、初期契約解除制度では違約金の支払いは発生しなくても他の諸費用は支払いといけません。

消費者が負担するものとは?

「初期契約解除制度」は、契約日から8日以内であれば、消費者から一方的に解約の申し出ができる便利なものですが、「完全無料」というわけではありません。

支払う必要のあるもの
・端末費用
・契約解除までの期間の通信利用料
・工事費用(法律で上限の定めあり)
・事務手数料(法律で上限の定めあり)

支払い不要のもの
・違約金

電気通信サービスと一緒に購入した端末・サービス等の契約には対象ではありません。ですから、携帯電話等の端末費用は消費者が負担します。また契約解除までにかかった利用料、工事費用、事務手数料も、消費者が負担しなければなりません。

ただ、契約に違約金が定められていたとしても、一切支払う必要はありません。また、工事費用、事務手数料についても、法令で定められた上限の金額以上に、支払う必要がありません。

契約9日目以降の解約は違約金の支払い義務が発生

契約から9日目以降の解約については、初期契約解除制度が適用されません。そのため利用料、工事費用、事務手数料はもちろん、規定に沿った違約金を支払わなければなりません。費用負担を少なくするためにも、解約を決意した場合は契約後8日以内に解約手続きを行うことをお勧めします。

下の表は、主要3社の違約金の比較です。契約後8日では0円だったものが9日目には19,000円が解約時の請求に加算されてしまいますので、契約当初の解約は素早く行いましょう。

※下記表中の金額は全て税抜金額です。
プロバイダ名
1〜12ヶ月目の解約金
19,000円
19,000円
19,000円
13〜24か月目までの解約金
14,000円
14,000円
14,000円
25か月目以降の解約金
9,500円
9,500円
9,500円
解約金無料の月
・24か月目
・48か月目
・24か月目
・48か月目
・24か月目
・48か月目

たった1日違うだけで2万円近くも追加で支払わないといけないなんて…恐ろしいわ!


初期契約解除の具体的な手順とは?手続き方法完全マニュアル


初期契約解除制度の仕組みはご理解いただけたと思います。ここでは手続きの失敗がないように、実際に解約手続きを行う際の具体的な手順と注意点をご紹介します。

初期契約解除の3ステップ

契約書の裏面で「初期契約解除」の言葉を探す
事業者は、契約が成立した際に、速やかに契約書を契約者に交付しなければなりません。その「契約書」の裏面を見て、初期契約解除制度<、確認措置の対象である旨の記載があることを確認します。
初期契約解除制度は事業者の同意も解約理由の説明も一切不要の仕組み
初期契約解除制度の記載があった場合には、契約書面を受け取った日を初日とした8日が経過するまでの間は、消費者が一方的に契約の解除ができます。「クーリングオフ」制度と同じく、事業者の同意は必要ありませんし、解約理由も説明しなくても構いません。

確認措置という言葉の意味
確認措置の記載があった場合には、電波のつながり具合が不十分である、あるいは事業者の説明が不十分であることを条件として、消費者の申し出によって、解約することができます。解約できる期間は、契約日から数えて最低8日間となっており、事業者が具体的な日数を定めることになっています。

解約の意思表示は書面郵送で確実の記録を残す
契約書の裏面と契約日とを確認し、契約から8日が経過していなければ、直ぐに「初期契約解除制度によって解約する旨」を事業者に伝えます。ただ、電話では証拠として残りにくく、後で「言った、言わない」のトラブルに発展することも考えられます。

トラブルのリスクを減らすためにはハガキ等の書面を送付すべきです。
最も確実に意思表示を伝える方法は、文書を送る際に「内容証明」を利用することです。多少費用はかかりますが、はがきを送るよりも確実に解約の事業者に伝わります。
内容証明郵便について知りたい方はリンク先の記事前半を参照

なお、初期契約解除申請書を事業者が作成していれば、必要事項を記入して郵送しましょう。

忘れずに端末を返却する
契約と同時に端末を購入している場合、事業者が発行している「端末返還特約」を確認し、指定された場所へ返却します。返却に要する送料などの費用は、消費者の負担となります。
「書面を送って安心して端末を返却し忘れた」なんてことは避けないとね。


WiMAXの初期契約解除に関するQ&A


始まったばかりの初期契約解除制度ですので馴染みの薄い方も多いと思います。行政書士である筆者が、初期契約解除制度についてよくある質問について回答いたします。

解約する際に端末は、どのように返却したらいいのですか?
事業者は、契約書とは別に端末返還特約を作り、電気通信サービスの解約と同時に「端末売買契約」を解除する規定を設けています。その場合、その特約に返還期日や返還場所が記載されていますから、それに従って、宅配便などの手段で返還してください。但し、返還に要する送料などの費用は、消費者の負担となります

「端末」の返却が遅れた場合、契約の解除はどうなりますか?
端末の返還が遅れたからと言って、一般的に本来に「契約解除」に影響はありません。しかし、「端末売買契約」が解除され、事業者から支払い済みの端末料金が返金されることになりますが、端末が事業者に返還されなければ、消費者への返金手続きが遅れることになります。

従って、契約解除後は、速やかに端末の返還を行う必要があります。

はがきや内容証明郵便を使わずに、電話で解約を伝えましたが…。
解約の申し出の方法については、特に指定はありません。電話で解約を連絡し、相手が承諾すれば、契約解除は成立です。ただし、初期契約解除制度は、「契約から8日以内に契約解除を申し出る」旨の規定がありますから、いつ解約を申し出たかが重要です。電話の場合、証拠が残りませんから、後々トラブルに発展する可能性もあります。できればはがきや内容証明郵便、あるいは初期契約解除申請書で、事業者に通知しましょう。

使っていなかった年賀状で解約を伝えましたが、問題ないですか?
全く問題ありません。他の質問でご説明したとおり、解約の申し出の方法については特に規定はありません。

従って、はがきを利用するのであれば、官製はがき(通常はがき)、年賀状、かもめーる(暑中見舞用はがき)など、どのはがきを使っても差し支えありません。

解約を伝えた後に、事業者から機種代を請求されましたが…。
初期契約解除制度では、電気通信サービスと一緒に販売されたスマートフォン等の機種代については、解除できないことになっています。解約を伝えた後に、事業者から機種代を請求されたということは、「期限の利益」がなくなったために、機種代の残金を請求された可能性があります。

期限の利益とは、例えば商品を分割払いで購入した場合、滞納をしない代わりに分割払いが許されるというものです。ご相談の件もこれに類似して、契約書の中で「通信サービスを解約すれば期限の利益を喪失する」旨の記載がある可能性が高いと考えられます。今一度、契約書をご確認ください。


解約理由で最も多いのは電波が通じないこと


最初から解約を前提に契約する人はまずいないと思いますが、なぜ契約してすぐに解約するケースがあるのでしょうか?WiMAXの場合は「実際に使ってみたら電波が悪くて上手く使えなかった」という理由が解約理由の多くを占めています。

周囲の影響を受けやすいWiMAXの電波性質

WiMAXは、比較的安い料金でどこでも利用できるというメリットがありますが、建物の状況によっては屋内で回線速度が極端に遅くなるというデメリットもあります。

回線工事が必要ないため、外出中や自宅・勤務先など屋内・屋外問わず利用する人が多いと思います。しかし実際に契約をして使用してみたら、使いたい場所で全くインターネットにつながらない、あるいはつながるにしても通信速度が遅いといったユーザーの不満が多く聞かれます。

屋内での電波の弱さを理由に契約解除するケースが多い

WiMAXは、2.5GHz以上の帯域の電波を使用しているため、高速の通信が可能になる反面、屋外にある建造物の影響を直接受けてしまうため、屋内へ電波が届きにくく、時々接続が切れてしまうというトラブルが発生することがあります。

実は、初期契約解除制度を使って解約を行う消費者の多くは、この電波状況の不具合を挙げているのです。「ハイスピードモード」を使えば、屋内でもつながりやすくなりますが、有料オプション(1,005円)であり、7GBの通信量制限もあるため割高になってしまいます。
電波って周波数によって届きやすさも違うなんてしらなかったわ!


契約前の無料お試しで後悔のない契約をしよう


初期契約解除制度は、無条件に解約できる便利な制度です。しかし、解約の際には期限内に書面で通知を出したり、端末を事業者に返還したりするなど、意外と煩雑な手続きが待っています。できれば解約は避けたいと思っている消費者は多いことでしょう。

契約前にWiMAXを無料で使って確かめる

そこでお勧めしたいのが、WiMAX各事業者が行っている無料お試しサービスです。このサービスを利用すれば、消費者は実際使用する場所での利用状況を確認することができます。もちろん、このサービスを利用したからといって、契約を強要されることもありません。さらに、WiMAXを使ってみて気に入った場合には、他社で契約しても一切も問題ありません。

クレジットカードを持つ20歳以上であれば無料レンタル可能

WiMAXの回線提供元であるUQが実施している「Try WiMAX」という無料レンタルを例にとって、ご説明します。
以下の4つの条件を満たせば、ネットの手続きだけでWiMAXを15日間無料でお試し利用することができます。
・日本国内に住む20歳以上の方
・申込者本人名義のクレジットを登録できる方
・過去90日間以上にこのサービスを利用していない方、または貸出機器の未返却履歴のない方
・「Try WiMAX」サービスの利用規約に同意できる方
※クレジットカードを持たない方でも申し込みはできますが、書面での申込みになるため、貸出までに時間がかかります。

登録料、通信料、レンタル料、配送費用などの費用は、期間内であれば一切かかりません。なお無料貸出期間は、事業者が貸出機器を発送した日付けを始まりとして、返却した機器が実際に事業者の元に届くまでを15日以内として定めています。

もし返却期間を過ぎても機器を返却しなかったり、貸出機器を破損・紛失させたりした場合には、違約金を支払うことになりますので注意が必要です。

端末が届いたら「使いたい場所で使えるか」を要確認

貸出機器が届いたら、実際に自分が使う予定の場所・時間帯で、通信速度や電波のつながり具合を試してみましょう。また、建物内はもちろん乗り物内でも支障がないか確認してみます。なお通信制限がかかった状態の機器の貸出を避けるために、無料お試しは月末に申し込んだ方が確実です。
貸出される機器でも通信制限が適用される条件は同じだにゃ。とは言っても最初から通信制限にかかったWiMAXが届くことは基本的にないにゃ。


契約前に実際に使ってみることが後悔のない契約のポイント


WiMAXにクーリングオフは適用されませんが、初期契約解除制度という消費者を保護する制度によって、安心して契約することができます。ただし、一度結んだ契約を白紙に戻すことになりますから、そこには機関や手続き等の厳密な規定があります。ですから、できるだけ「無料お試しサービス」などを利用して、契約前にWiMAXを使ってみて、使い勝手や通信状況等を試してみましょう。