【行政書士が教える】土地の所有者を調べる4つの方法

[公開日]2017/06/07[更新日]2017/12/11

土地 所有者 調べる

近所にある空き地を購入したいが、土地の管理などを示す看板もなく所有者が誰かわからない。

所有者に関する情報の手がかりがなくても、土地の所有者が誰であるか調べることは可能です。

今回は、土地の所有者を調べる方法について解説します。


この記事は、現役の行政書士の方に執筆していただき、引越しの神様チームで編集しております。


【注意】土地と建物の所有者が同じとは限らない


土地 所有者 調べる

土地の持ち主、つまり所有者は、建物の敷地であれば、その建物の所有者の場合が大多数です。

しかし、建物と土地の所有者が違う場合もあります。

例えば、他人の土地を借りて建物を建てている場合や、親が所有している土地に子どもが家を建てている場合などです。

借り地って場合もあるから、確認しないとね。


相続人が土地の移転登記を怠っているケースもある


また、長年使用されていない空き地などがそのまま放置されて、所有者が亡くなり、その相続人が移転登記などの手続きを怠っている場合も考えられます。

売買契約・賃貸借契約を結ぶ際には所有者特定必要


空き地を買いたい、あるいは借りたいという場合には、その土地の所有者との間で、売買契約、あるいは賃貸借契約を結ぶ必要があります。

従って、土地の売買契約や賃貸借契約などを結びたい場合には、まずその土地の所有者を特定する必要があります。

そうでないと、契約を結ぶことができないからです。

法務局で誰でも登記情報を閲覧できる


土地 所有者 調べる

土地の所有者を知る方法として、もっとも確実な方法は、土地を管轄している法務局に行って、「登記事項要約書」を閲覧することです。

法務局なんて行ったことないから、どうすればいいか確認しておこう。


最寄りの法務局で登記事項要約書を閲覧する

「登記事項要約書」には、現在の土地の権利義務、例えば抵当権の有無や現在の所有者の住所・氏名が記載されています。

この登記事項要約書を閲覧するためには、法務局に行って閲覧のための「申請書」に必要事項(土地の所在地、地番等)を記入し、手数料(1通:450円)を添えて申し込みます。

閲覧時に情報をメモする必要あり
ただ、登記事項要約書は閲覧することしかできません。

登記事項要約書は、比較的安価で、しかも手軽に閲覧できますが、証明書を発行してくれるサービスはありません。

従って、自分が知りたい情報を自分で、メモなどに控えるしかありません。

申請書に必要な地番は法務局の台帳で確認可能
土地の正確な「地番」を「申請書」に記入しなればなりません。

地番を知らなければ、登記事項要約書を閲覧できませんが、法務局備え付けの台帳で地番は確認できます。

「地番」とは、土地の一つ一つに振られた番号のことですが、通常の住所とは異なります。法務局に備え付けの「台帳」で探すことになります。


登記事項要約書には過去の情報の記載なし
また、登記事項要約書にはあくまでも土地の現在の情報しか記載されていません。

そのため過去の土地の情報履歴を知りたい場合は、不向きです。

以上のような登記事項要約書の欠点を補うものとして、「登記事項証明書」を取り寄せる方法があります。

法務局で登記事項証明書を取得すれば過去の情報も手に入る


土地 所有者 調べる

「登記事項証明書」であれば、過去の所有者や今までの「抵当権」などの権利義務が、余すことなく記載されています。

登記事項証明書はネットからも請求可能です。

登記事項証明書であれば、権利情報の全貌がわかるにゃん。


登記事項証明書は日本全国の法務局で取得可能

「登記事項証明書」は「登記情報提供サービス」を使って、日本全国どこの法務局からも取得できます。

例えば、東京にある土地の情報を知りたい場合でも、大阪の法務局で申請手続きを行うことで、大阪の法務局窓口でその土地の「登記事項証明書」を入手できるのです。

日本全国の法務局がネットワーク化
現在、日本全国に地方法務局、支局、出張所など、「登記事項証明書」を扱える数多くの法務局があり、それらがオンラインでつながっているおかげで、遠隔地の証明書を入手できるようになっています。

インターネットからでも登記事項証明書を請求できる

インターネットを利用して、「登記事項証明書」を請求することも可能です

受け取りは「郵送」「窓口」両方可能
受け取り方法は、自宅や職場に郵送してもらったり、近くの登記所や法務局証明サービスセンターの窓口で受け取ったりできるようになっています。

ただ「登記事項要約書」と同じく、この「登記事項証明書」を請求する際にも、土地の正確な地番(ページ上部へ)を記載する必要がありますから、その点は注意が必要です。

登記事項証明書の請求手数料の3パターン

「登記事項証明書」は請求方法によって手数料が3通りあります。以下の通りです。

・法務局の窓口に申し込んで、そのまま窓口で交付してもらう場合には1通が600円
・パソコンを使ってオンラインで請求して、法務局から郵送してもらう場合には1通が500円
・同じくオンラインで請求して、近くの法務局・証明サービスセンターに受け取りに行く場合は1通が480円

登記事項証明書を請求する際の注意点

なお証明書は、1筆の土地についての情報しか記載されていません。

これは、1筆の土地に1つの地番が振られているためです。

従って、調べたい土地が5筆に渡ってある場合には、5通の「申請書」にそれぞれの土地の地番を記載した上で請求することになります。

この「筆」というのは、土地一つ一つの「単位」のようなものです。上記の図を確認いただけると、わかりやすいと思います。

市役所(市区町村の役場)で課税台帳を閲覧する方法


土地 所有者 調べる

「課税台帳」には、簡単に言うと、市町村が把握している現在の土地に関する情報が記載されています。

税金の動きから土地の所有者を確認することもできるのね。


課税台帳とは

市区町村役場には、その役場が管轄する土地の所有者の情報が記載されている「課税台帳」があります。

課税台帳の正式名は固定資産課税台帳
この課税台帳は、正式には「固定資産課税台帳」と言い、その市区町村の全ての土地の地番、広さ、用途、所有者、入手方法などが記載されているものです。

市区町村役場は、土地の「固定資産税」を徴収する役割がありますから、このような資料を持ってます。

土地を複数人で所有していることもわかる
一つの土地を2人以上で所有している場合には、その割合も記載されています。

例えば、「Aさん:2分の1」、「Bさん:4分の1」、「Cさん:4分の1」という書き方です。

課税台帳を閲覧する方法

以下の条件に該当しなければ課税台帳を閲覧することができません。

・その土地の「固定資産税」を納めている人(土地の所有者)
・その土地の所有者の代理人

代理人が閲覧する際には委任状必須
代理人が閲覧を希望する場合には、所有者の「委任状」が必要です。

なお、第三者の閲覧も例外的に認められることがあります。

第三者が土地の課税台帳を閲覧する方法と条件

第三者であっても課税台帳を閲覧することは可能です。

ただし第三者が閲覧する条件としては、

その土地と同じ市区町村に「固定資産税」を納めている人で、しかも「縦覧期間」

に限られています。

縦覧期間とは
この縦覧期間は、市町村によって異なりますが、以下の2つのどちらか遅い日までの期間とされています。

・「毎年4月1日から4月20日まで」
・「市町村条例で定めている『固定資産税』の第1期の納付期限」

この「縦覧期間」が設けられているのは、自分の固定資産と他の固定資産の評価額を比較できるためのものです。

ですから、上記のような条件になっているのです。

課税台帳の閲覧は市区町村役場の窓口で申し込み
この「課税台帳」を閲覧したいと希望する人は、市区町村役場の窓口で申し込むことになります。

手数料は、市区町村によって違いますが、300~500円程度です。

課税台帳を閲覧する際の4つの注意点

このように、「課税台帳」の閲覧は、比較的安価で調べることができますが、いくつか注意することがあります。

同じ市区町村に土地を所有していなければならない
閲覧の目的はあくまでも「自分の固定資産と他の固定資産の評価額を比較すること」が目的です。

そのため、閲覧できる第三者は、同じ市区町村に土地を所有している人に限られます。

閲覧できる期間は年間のうち1ヶ月弱
閲覧できる期間も1ヶ月弱と短期間です。

課税台帳の情報はメモを取るしかない
証明書の発行ではなく「課税台帳の閲覧」ですから、自分の知りたい情報を見てメモに控えるしかありません。

法務局の情報よりも古いことが多い
閲覧できたとしても、土地の情報は1年に1回程度の更新です。法務局の情報更新よりも遅く、古い情報だというデメリットもあります。

課税台帳には抵当権の記載なし
「抵当権」の設定などの情報が掲載されていません。

そのため、土地の権利義務関係を調べたい人にとっては、情報が不十分であるというケースもあるでしょう。

土地の権利義務の確認は「登記事項証明書」
権利義務に関する情報が欲しい場合には、登記事項証明書(ページ上部へ)を取得しなければなりません。

インターネットで土地の所有者を調べる方法


土地 所有者 調べる

一昔前までは、法務局に足を運ばないと土地の所有者を調べることはできませんでした。

しかし現在では、ネットで土地の所有者を調べることも可能です。

ネットっていろんなことがわかるから便利だよね。


法務省提供の「登記ねっと」と「供託ねっと」

法務省が提供している「登記ねっと」、「供託ねっと」というシステムは、インターネットを利用して、登記や供託等の申請・証明書の交付を請求することができる便利なシステムです。

登記手続、供託手続に関する情報も入手できます。

登記事項証明書を請求した場合の手数料
手数料としては、「登記事項証明書」を請求する場合は以下の通りです。

・オンライン請求して自宅に郵送してもらう場合が500円、
・オンライン請求して最寄りの法務局の窓口交付の場合が480円

地図等情報を請求した場合の手数料
「地図等情報」を請求する場合の手数料は下記の通りです。

・オンライン請求して自宅に郵送してもらう場合が450円
・オンライン請求して窓口交付の場合が430円

その他の料金などの詳しい情報は、「登記ねっと」、「供託ねっと」のホームページに記載されています。

証明書を申請する際の注意点
ただし、証明書を申請するには、土地の「地番」がわからなればなりません。

地番とは、個々に定められた番号で、一筆ごとに地番が違います。

その土地の正確な地番を知るためには、土地を管轄する法務局に出向いて、備え付けの台帳で確認が必要です。

特に、第三者の土地を調査したい場合には、正確な地番を把握することが難しく、結局土地を管轄する法務局に行かなければなりません。

民間サービスのJTNMapのブルーマップ

民間企業である「株式会社情報通信ネットワーク」が提供している「JTNMap」は、無料で「ブルーマップ」が閲覧できます。

利用料金は法務局より安い
法務局の335円(税込)よりも安価な値段(334円:税込)で、登記情報が取得することができます。

いつでも閲覧できる
しかもオンライン請求ですから、24時間、365日利用できます。

ブルーマップで地番がわかる
なお「ブルーマップ」とは、通常の住所から地番(ページ上部へ)がわかる地図帳のことです。

先程もご説明したように、調べたい土地の「地番」がわからないと、「登記事項証明書」などの証明書を取り寄せることができません。

従って、「ブルーマップ」を閲覧できれば、証明書の請求もかなり楽になります。

一般財団法人民事法務協会の登記情報提供サービス

一般財団法人民事法務協会が提供している「登記情報提供サービス」は、

クレジットカード、あるいは振り込みによって、安価で「不動産登記情報等」を入手できる

サービスです。

利用にあたっては、まずホームページから「利用者登録」を行い、IDとパスワードを登録しなければなりません。

一旦登録すれば、ネットでいつでも申し込むことができます。

登記情報提供サービスの利用料金
登記情報提供サービスの利用料金は、

・不動産の「全部事項証明書」が税込みで335円
・「所有者事項」が税込み145円
・「地図」、「図面」が税込み365円

です。

土地の所有者を無料で調べる方法はあるか?


土地 所有者 調べる

土地の所有者名、「抵当権」の有無などの権利義務関係を調べる場合、基本的に無料で行うことは不可能です。

やっぱり手数料はかかってくるのが普通だよね。


不動産会社に調べてもらう

もし空き地を購入する目的である場合で、不動産会社に仲介を依頼する予定の時は、その土地を管理している不動産会社に調査を依頼する方法があります。

不動産会社ですと、その土地の最新の情報を把握しているからです。

複数の不動産会社に聞くメリット
医師のセカンドオピニオンではありませんが、複数の不動産会社を回って、自分にとって有益な情報を持っている業者を探す方法もあります。

特に、その土地で長く不動産の管理を行っている会社は、情報が豊富で、他の業者が持っていない情報、裏話を持っていることがありますから、そのような業者には足繫く通うようにしましょう。

また、老舗の不動産会社ならば、今後の都市計画などの情報もつかんでいるはずですから、今はそれほど目立たない土地でも、今後有望で値上がりしそうな掘り出し物を紹介してくれることがあるかもしれません。

いすれにしても、自分の狙っている土地の周辺を足を使った、情報を集める必要があります。

その土地の近隣住民に聞く

さらに確実な方法としては、その土地の近隣に住む人に持ち主の様子を尋ねる方法があります。

特に、その地区で民生委員をしている人や長く住んでいる人を尋ねれば、正確で有用な情報が入手できる可能性が高くなるでしょう。

まとめ:自分のニーズにあった土地の所有者の調べ方を選択


土地 所有者 調べる

この記事では土地の所有者を調べる方法をご紹介しました。

それぞれの方法にも一長一短がありますので、自分の状況に合った方法を選ぶことが大切です。