まだ使ってるの?死語になった英語表現たち

[公開日]2015/03/11[更新日]2015/04/17

英語学習者にとって、アメリカをはじめとした英語圏に行ったことがない人もたくさんいるでしょう。そんな人たちにとって、教科書や英語フレーズの本に書かれている表現は、果たして時代遅れではないのか?ふつうに使っても「あの人まだ使ってる」と思われないのか、と疑問を持った方もいるかもしれません。
オンライン英会話の上達法-死語

今日は、そんな死語になってしまった英語表現を紹介します。


How do you do?


どの教科書でもまず見る表現が、「挨拶」ではないでしょうか。学校で教わる英語も、英会話教室でのレッスンも、これから入ることが多いですよね。そこで使われる、日本人ならだれしもが知っている教科書的表現です。

How do you do? (はじめまして)
もしくは
Nice to meet you. (はじめまして)

これらが、実際に海外の英語圏で使われるとか使われないとか、議論があります。筆者の経験からいうと、これらがいわゆる「死語」なのかどうかというのは言いきれない部分があると思います。しかし、確かに

How do you do?

はほとんど聞きませんでした。英語を学んでいくうちに、いろんなネイティブの人たちと知り合っていきましたが、誰もこのフレーズを口にすることはない、というのが早い段階でわかりました。ですので、何となく筆者自身も口にするのをためらわれ、結局使わないままここまで来たような気がします。教科書で一番に習うこの表現を使わずにアメリカで生活できました。

そんな意味合いでは、こちらは全くの死語と言っても、過言ではないでしょう。しかし英語を話す国や地域は多いので、アメリカで使われていなくても、他の場所では使われている可能性はあります。

ちなみに、筆者のアメリカ人の旦那は、日本で緊張しながら「ハウドゥーユードゥー!」と言ってくる日本人にたまに出会うようですが、そんな日本人を微笑ましく思うようです。対して、

Nice to meet you.

のほうは、同じ「はじめまして」と和訳されるフレーズですが、よく耳にする表現です。Nice を Good や Great などの好きな形容詞に替えて、(たとえば “(It’s) great to see you!”)言うネイティブもたくさんいました。

また、出会ってすぐに言うのではなく、パーティや集まりで出会い、それが終るのでもう解散、というときに、「君と会えてよかったよ」という意味で別れる際に言う人もたくさんいました。こちらのほうは死語、とは言えないでしょう。しり込みしないでどんどんと使っていってもよい表現だと思います。

How are you?


この表現も、実は前項と同じようにもう「死語」ではないのかという意見をよく見ます。こんな表現よりも、”What’s up?” “Hey” などのもっとくだけた言い方のほうが使われているのではないか、というのです。

また、この質問の後に枕詞のように必ず来る答え方、というのがありますよね。誰でも教科書で見たことがあると思います。

How are you? (お元気ですか)
I am fine, thank you. And you? (はい、元気です。あなたはどうですか)

この受け答えも実際には、あまりきかれるものではなく、このやり取り自体が廃れているという意見は何度も目にしました。確かに How are you? というのを日頃の挨拶として使う人は少ないかもしれません。よっぽど年が上の人ならるかもしれませんが、筆者が在米していたときには友達同士、同僚同士では聞かれることはあまりありませんでした。

ただし、病気の後など誰かの体調がとても気になるとき、もしくは、何か落ち込むような出来事があって、「大丈夫かな」「本当に元気なのかな」と思うときには、

So, how are you? Are you okay?
(元気でやってる?大丈夫?)

というような感じで使われてはいました。
また、How are you? ではなく、How are you doing? などとちょっと応用したような表現では、皆が使っていたように思います。実際、筆者がもし1週間くらい会っていない友達にばったり会ったとしたら、

Hey, how are you doing?

とまず口から出ると思います。日頃からカジュアルに使える手がるな表現です。また、それに対する答え方ですが、確かに

I’m fine, thank you. And you?

と答える人はまずいないですね。この答え方は完全に廃れています。丁寧すぎることが、元々カジュアルな傾向の強い英語に合っていないのだと思います。日本語的な答え方かもしれません。では、どうやって答えればいいのかというと、これは本当に自由です。

I’m fine! How about you?
(元気だよ!君は?)
I’m pretty good. How are you doing?
(元気よ。あなたは元気?)
Not so bad.
(まあまあかな)

といった具合に、センスの見せ所です。はじめの教科書でよく見る答え方は、丁寧すぎる、と前述しましたが、自分のことを聞いてくれた相手にも同じ質問をするのは、決してやりすぎではありません。上に書いたように、聞いてあげれば円滑なコミュニケーションがとれることでしょう。

Groovy/funky


実は、英語での「死語」と聞いて、一番に思い浮かんだのがGroovyでした。「素敵な」「イカす」といったような意味で、

Groovy!

などと使える言葉ですが、筆者は使ったことはありません。きっと、数十年前に流行って、皆がいっせいに使った言葉ではありますが、その分廃れるのも早かったのでしょう。これぞ、「死語」といったような、昔流行ったけれど、死んでしまった典型的な言葉です。

ただ、冗談で言ってみたり、映画やドラマなどで面白おかしく言っているのは結構よく聞きます。同じような言葉に

Funky

というのもあります。これも「イカす」というような意味です。Groovyと同じような時代に流行って、今は「イカす」というような意味では使われないです。ただし、「一風変わった」「おかしな」という意味合いが派生したのか、「変なにおい」という意味ではいまだに使われます。

Something smells funky in the kitchen.
(台所で、何か変なにおいがする)

という具合に、筆者なんかは使います。一つの意味合いでは廃れてしまったけれど、もう一つの意味合いでは日常会話に残っている、というのもおもしろいですよね。

Word!


これは、若者の間で聞かれる言葉なのですが、完璧に「死語」といってしまうのは早すぎるかもしれません。
筆者が渡米したばかりの頃、2000年を過ぎて過ぎのころは大学の生徒などから結構聞いていたのですが、そういえばいつの間にか次第に聞かれなくなった感じがあります。

もともとラップなどの音楽をやる人の言葉、というイメージがあるのも理由の一つかもしれません。一部のブラックカルチャー等ではまだまだ使われているのかもしれないです。

そこらへんがはっきりしないのは、実はメルティングポットのアメリカとしては珍しく、白人人口が大多数を占めるオレゴン州で在米生活をしていたからです。アメリカと一言でいえども、冒頭で少し紹介しましたが、使われる語も違うことがあるのです。

この言葉はとても不思議で、いろんな意味があります。賛同を表したり、驚きを表現したり、賞賛をするときにも使われます。

I met a really cool girl last night.
(昨夜、すごいいい女の子に出会ったんだ)
Word!
(まじで。やったな!)

日本語でもそうですが、流行り言葉や若者言葉を軽々しく、会話の節目節目に使いすぎると、それらがやけに目立ってきて、もういいよ、と思ってくる時がありますよね。この表現もそんな感じがあるかもしれません。意味がたくさんあるスラングは、使いやすい分、多用してしまう傾向があります。二言目にはWord!と言っても意味は通じるのでしょうが、言いすぎてしまうと、「ちょっとあの人まだワードワード言ってる」という印象を与えてしまいます。

D’oh!


前項と続いてしまうかもしれませんが、これも多用を避けたい表現です。

意味は、「ありゃりゃ」「そんな!」というところでしょうか。アメリカの某超人気アニメのキャラクターが、ドジをしてしまうたびに”D’oh!”と言うのが始まりです。サザエさんが日本文化に浸透してしまい、婿養子のことを「マスオさん」と言うように、このアニメのキャラも、そしてこのフレーズも、知らない人がいないというものです。

アメリカ人の英語の先生で、これをことあるごとに使う先生がいました。

Sorry, I forgot my homework.
(ごめんなさい、宿題忘れてきました)
などと生徒がいえば、
D’oh!

と言って笑うのでした。アメリカ文化を紹介したい、親しみをもってもらいたい、というのも彼の意図だったのかもしれませんが、言いすぎるのはちょっと避けたいところです。

その後、渡米してこのフレーズがどんな位置づけにあるのかを学ぶと、アニメの人気絶頂は90年代で、いささかジェネレーションギャップがあったような気がしてなりませんでした。彼の中ではこのフレーズは遅れていないものだったのかもしれませんが、筆者の同年代の大学の友達で、これをその先生のようにいつも使う人はいませんでした。

後から思えば、あの先生は知らず知らずのうちに遅れた言葉を使いすぎていたのでしょう。

《コラム》長期海外滞在者の「浦島太郎現象」


海外で長い間暮らしていると、「浦島太郎現象」なるものが起こることがあります。

日本文化や日本語と離れて何年も外国で暮らしていると、日本での流行り廃りが全く分からなくなってしまうのです。日本人は特に、1つの文化として国自体、人自体が一丸になって動く傾向にありますから、「コレ」といった話題があれば、その日はテレビでも新聞でも週刊誌でも、その話題一筋です。自動的に、人々が話す話題もそれになります。

波から外れないような一種の社会構造になっていますから、子供から大人までその時はやりの言葉、歌、ダンス、アニメ、芸能人、などあらゆることを知っていくことになります。

筆者は10年近くアメリカでいましたが、その日本の文化傾向というのがいかに日本独特のものであるかというのがよく分かりました。アメリカでは日本と比べればもう少し多種多様で、流行りももちろんありますが、例えばニューヨーク、ロス、では人々が使うフレーズや話題にすることも違っていました。

それに加えて、様々な人種、文化背景をもった人たちが暮らしていますから、皆で一緒に、とは何事もいかない国がアメリカなのです。そんな中で、日本のメディアが入ってこない土地にいれば、数年日本から離れてしまったら、「死語」を知らず知らずのうちに使ってしまうことがあります。

筆者も在米時代は、何年かに一度、日本に帰国して友達と会ったり、日本の製品や食品を買いだめたりしていました。その中でいわゆる「死語」を何度か使っていたらしく、友達に「ぷぷっ」と笑われたことがありました。同窓会にいっても話題にされるトピックや芸能人、バンドの名前はもちろん、流行り言葉にも全くついていけずに、うしろめたさを感じたこともあります。

それと同じくして、英語にももちろん流行り廃りがあります。新しい言葉はどんどん生まれ、使われない言葉も増えていきます。筆者は日本へ帰国した身なので、在米時代にブレイクしたことはいまだによくわかりませんが、今は日本文化と親密に暮らしています。

しかし、今度は逆のことが起きてきました。

在米していた頃に使っていた英語フレーズを、ソーシャルメディアなどで使っていいのか、もしかして「死語」を使っているのじゃないか?笑われてしまうのじゃないか?と心配になってしまうことがあるのです。
まさに、二つの国で、長い間その土地を離れていたために起こる「浦島太郎現象」。

死語になった英語表現 まとめ


さて、いかがでしたか。英語を学習するなかで、普段はあまり考えないかもしれませんが、流行り言葉やスラングを学ぶのもとても楽しいことです。

知っていれば、映画やドラマなどで意味が分かる場合もありますし、何十年も前に流行った言葉を何かの本で目にしても、英語でも死語がある、というのを知っていれば、皆の前で初めて使ったりするのを避けれるかもしれません。言語とは本当に不思議なもので、日本語でも英語でも変わらないものもあれば、どんどんと変わっていくものもあります。

英語を学習する上で、役に立てばと思います。