FX初心者は大損しますか?

[公開日]2014/12/09[更新日]2015/04/17

《質問内容》

すでにFX取引をされている方に質問です。FX取引は、初心者でも簡単に始められるという広告やブログなどをよく目にします。ですが、実際はどうなのでしょうか?簡単に始められるけれども、負けるのも簡単、自己破産も簡単なんていうことはないのでしょうか?もしそうなら、そうならないように初心者が気をつけた方がよいことは何ですか?

それと、どんなスタイルで取引をされていて、どんな点に注意しながらFXをしているのか、教えてもらえるとありがたいです。一般論でも、そうでなくても構いません。FXにはとても興味があって、投資だけに使えるお金も少しあります。始めようかどうしようかとても悩んでいます。デモ取引アプリもインストールしてみました。

以下、順を追って回答していきます。

FX取引は初心者でも簡単に始められるのか


まず、初心者でもFX取引は簡単に始められるのかという点です。これは、始めるだけなら誰にでも簡単で始めることが出来る、というのが答えでしょう。他の質問への回答とかぶりますが、あくまで「始めるだけなら」、というのがポイントです。

FX初心者

最近では、先物やオプション取引のような一般の人にはなじみのなかった取引も、ネットを使ったオンライン口座を使うことによって、予備知識がなくても取引を始めることが出来るようになりました。そして、どんな取引も、それぞれの投資商品について精通していなくても、日々の値動きを示す「チャート」だけを見て取引を行って利益を上げることが出来ます。

FXの場合なら、外国為替について詳しくなくても、為替に影響を与える「外部要因」などについて精通していなくても、外貨のチャートだけを観察しながら取引を行えるということです。

価格チャートだけを眺めながら底値や高値を判断して行う投資方法を「テクニカル分析手法」などと呼びます。

チャートというのは、様々な出来事に影響された結果として、その商品の値段が変動していったものです。つまり、未来を指し示すものではありません。ですが、過去何十年もの間に世の中で起きた出来事が、ある金融商品に対してどのように影響を与えたのかを見て取ることが出来ます。

チャートの表示期間中に起きた最悪の出来事も、最高な出来事もチャートに反映されているわけです。「ある出来事が起きた時の値動きはどうだったか?」といった具合に見ることが出来るわけです。それを「経験則」などと呼びます。だから、過去の出来事から未来の予測もある程度できるわけです。

テクニカル分析にも高度な理論はありますが、チャートの具合だけ見て直感的に投資を行うことは素人にも出来ます。その意味で、FX取引は初心者にも簡単に始められると言えるでしょう。

FXは負けるのも簡単なのか


ハッキリ言ってしまうと、FXでは簡単に負けたり、簡単に自己破産したりすることも可能です。FXには「レバレッジ」があるからです。レバレッジとは、自己資金の何十倍もの外貨を購入できるシステムです。株式の信用取引にもレバレッジというものはあるのですが、信用口座を開設するにはある程度の取引実績が必要です。

一方、FXで口座開設できたということはレバレッジもいきなり利用可能になるということです。そして、書類の不備でもない限り、FXで口座開設できないということは殆どありません。日本のFX会社では、規制によって自己資金の25倍もの外貨を購入できます。つまり、最高レバレッジは25倍ということです。

もし、10万円の自己資金で25倍のレバレッジをかけていたなら、250万円分取引していることになります。

25倍ものレバレッジをかけた状態で為替レートが変動したら、含み損や含み益も増えるということになります。自己資金と同額の投資=レバレッジ1倍の時と比べると、利益も損失も25倍になるということになります。

FXでは1日のうちに2~3%程度含み損が出るということは珍しいことではありません。1日のうちに1円変動することは、近年では珍しいことではなくなりました。

もし、250万円で運用中3%の含み損が出ると7万5千円の含み損になります。25倍レバレッジをかけているのだとしたら、10万円しか元手が無いのにです。4%に損失拡大したら含み損は10万円です。

もちろん、このような状態になるまえに「ロスカット」が発動され、強制的に決済されてしまいます。10万円程度など、ハイ・レバレッジ取引の元では、元手資金は一瞬でなくなってしまいかねません。

こうした無謀とも言えるレバレッジ取引を行わないよう、FX会社が用意している取引ツールには注意を促す仕組みが入っています。無視してしまうことも出来ますが、それをキチンと守っていれば、自己破産などという事態は避けられるでしょう。

損失の大きさばかりクローズアップしてきましたが、レバレッジを上げればもちろん利益の方も大きくなります。だからこそ、レバレッジを上げたくなるのが人の心。含み損に怯えて寝られない夜を過ごさないように、自分を律してこそ楽しく取引出来るというものでしょう。

どんなスタイルでFX取引しているか


私の場合、殆どの場合はデイトレードですが、一瞬だけ極端に円高になった場合などは1ヶ月程度ポジションを持つこともあります。FXは資産運用手段ではなく、あくまで一瞬だけの投資だと思っているので、可能であればスキャルピングも行います。多い時は、1日に10往復程度の取引を行っています。

FXで、ほぼ24時間市場が開いており、いつでも売買可能です。ですから、ポジションを持ったまま寝てしまうと、寝ている間にとんでもない出来事が起きた場合になすすべなくロスカットされてしまい、大損ということがありえます。

最近では、意図的なのか誤発注なのか、とんでもない注文がときどき出させて一瞬だけ為替レートがとんでもない額になる場合があります。普通の人にとっては一瞬で値が戻るので関係ないのですが、ポジションを持っていたらロスカットが発動してしまいます。

こういうことが起こるので、なるべく自分が見ていられる間だけポジションを持つか、長期に渡ってポジションを持つ場合にはレバレッジを1~2倍程度に抑えるようにしています。

取引スタイルとしてはテクニカルですが、新聞やニュースは欠かさず見ています。「最近、円高だけどなぜだろう?」と思うことが大切だと思っています。そのように考えると、ただ「なんか分からないけど円高だから外貨を買う」ということでなしに、「今は円高だけど、それが当たり前な世界情勢。もっと円高になるかも」という考えを持つことが出来ます。

今、その外貨はお買い得なのかどうか、雰囲気を察するために、新聞やニュースを見ることは大事です。

どんな点に注意しながらFX取引しているか


まずは、レバレッジを高くしないことを常々意識しながら取引を行っています。スキャルピングを行っているデイトレードであっても、最高で3倍程度まで、しばらく保有していたいと考えた場合は出来れば1倍、多くても2倍までと決めています。

自分が使っているFX会社の取引ツールには、レバレッジメーターが付いていて、レバレッジが高いほど危険を示すようになっているので、これを活用しています。

それでも、ロスカットの可能性はゼロではありません。実は、レバレッジ1倍であってもロスカットは起こりえるのです。相当な額の含み損が出ていなければ、そうはならないのですが。

そこで、投資資金を2つに分けるようにしています。半分を運用するために証券口座へ入金し、もう半分はロスカット時の追証用の資金にプールしてあります。

今のところ、追証用資金が必要になったことは一度だけあります。レバレッジを10倍以上で取引していた頃の話です。それと、給料は決してFXにはつっこみません。投資用にするのは、ボーナスなどの臨時収入だけと決めています。

それもなあなあになってしまわないように、銀行口座を分けてあります。給与振込み用口座は普段の生活費や公共料金引き落とし用口座としてだけ利用し、投資用の口座とは別の銀行の別口座として持っています。

そして、投資用の口座に入金したお金は、飲み代に使ったちゃったものと思うようにしています。そうすることで、投資と家計とを完全に切り離して考えることができるので、月末払いの直前にドタバタしなくて済むわけです。

また、投資金額が増えると金額の多さに戦略が変わってしまうことがよくあります。これまで結果が出ていたのなら、金額が増えても戦略を変えないことです。また、これまで結果が出ていないのなら、投資金額を増やすべきではないでしょう。損失額の増え方が早くなるだけです。

FX初心者へのアドバイス まとめ


最後に、すでにデモアプリをインストールされているとのことですが、とても良いと思います。いくらチャートだけを見ながらテクニカル分析で取引できるとは言っても、勉強しようという意欲が大事だと思います。

なぜなら、他の投資家たちは、負けないよう、勝てるようにと日々勉強しているからです。

それと、大勢には逆らっても無駄だと思うようにしています。投資は数の論理です。数が多いほうが常に勝ちます。正しいとか道義的とかは関係ありません。ある国は経済的に先行きが明るいと思っていても、多くの投資家がその国の通貨を手放そうと考えているなら、それに逆らって勝つことは出来ません。

いかに自分も、他の多くの人が考えるように考えられるようになるかが重要です。株式ならその会社に惚れ込んでしまい、株価に関係なく持ち続けるといったことはあるかも知れませんが、その点、FXは通貨なので、その国に惚れ込むといったことがなければ、そうはならないでしょう。

新聞やニュースを元にして、デモアプリでシミュレーションしてみて、行けそうだと思ったら、余剰資金で少しずつ初めてみるとよいと思われます。