FX初心者が知っておくべきスキャルピングトレード

[公開日]2014/12/13[更新日]2015/04/17

まず、厳然たる事実を一つ

fx入門スキャルピングトレード

これからFXを始めようとしている人に、知っておくべき、知っておいた方がいいと思う厳然たる事実を一つお伝えしておこうと思います。それは、短期投資は「ゼロサム・ゲーム」であるという事実です。ゼロサム・ゲームとは、利益と損失がプラ・マイ・ゼロだという事です。利益を上げる人がいる一方で、損失を吐き出す人がいるわけです。

もっと分かりやすく言い換えれば、ある人にとっても利益の源泉は、別の誰かの損失である、ということです。つまり、綱引きの弱い方が損失を出し、強い方が利益を出すわけです。ただし、このゲームに参加する人数は多いため、直接損益をやり取りしている感覚は無いでしょう。ですが、下手に立ち回ればあっという間に利益を「提供する側」へと移ってしまうものなのです。

スキャルピングとは


そのような短期投資の中にあって、スキャルピングはその最たるものでしょう。数秒間から数分間で勝敗が決してしまう油断のならない勝負、それがスキャルピングです。1日のうちに数回から数十回ものトレードを繰り返すことによって、1回当たりの利益はわずかでも、1日として見れば大きな利益を上げることが可能です。トレードを数多く繰り返すことには、もう一つ大きな意味があります。

ローンを組むときに「複利」というのを聞いた事があるかと思います。「複利」とは、利息を計算する際に、「元本+それまでの利息」に対して再び利息がかかることを言います。一方、どんな場合でも元本に対してのみ利息がかかることを「単利」と言います。複利には、「借金が雪だるま式に増える」という効果がありますが、何も借金をするときだけ複利になるわけではありません。

1回のスキャルピングトレードで利益を上げたとします。次のスキャルピングトレードでその利益を含めた金額を再投資して、再び利益を上げたとします。2度目のトレードでは投資額が増えているわけですが、「元本+利息」を再投資したと言い換えてOKです。

1度めと2度めで同じ率(額ではない)の利益を上げたとします。例えばどちらのトレードでも1pips抜きが成功したとします。すると、1度めよりも2度めの利益の方が多くなっています。

これを1日に数十回繰り返すとどうなるか。利益がうなぎ登りに増えていくことがイメージできるのではないでしょうか。これこそがスキャルピングの最大の効果です。複数回の投資によって資金が効率よく利用できるわけです。これを資金の「回転率」と呼び、回転率が良いとか悪いといった表現を取ります。

もちろん、負けることもありますし、全額再投資できるとも限りませんから、あくまで理想的な状況ではあります。

スキャルピングのコツ


スキャルピングトレードのコツは、とにもかくにも資金の回転率を落とさないことです。回転率を落とすと折角の複利効果も得られません。

回転率を落とす要因には、ポジションを持ったままにしておく「塩漬け」があります。ポジションを塩漬け状態にしてしまうことは、リスク管理上も問題なのですが、それ以上に回転率が落ちることによって、利益を上げられるはずの時間帯に何もすることが出来なくなってしまう事の方が問題です。

スキャルピングトレード中は、とにかく判断を誤ったことが判明したら、すぐ損切りし、次の機会に備えることが重要です。そのためには、予め何pips以上損失が出たら、即座に損切りする「マイルール」を設定しておくと良いでしょう。

とはいえ、損切りすることは辛いものです。最近の取引ツールには、自動売買機能があります。利確幅、損切り幅を設定しておけば、自動で損切り出来るので、逡巡による判断ミスや撤退ミスを防ぐことが出来ます。

スキャルピングに向いている通貨ペア


スキャルピングに向いている通貨ペアとは、スプレッドが狭い通貨ペアです。利益幅を大きく取らないスキャルピングにおいて、スプレッドが広いとそこまで値が動かないと利益がでないという事を意味します。数pipsの利益を狙いたいのに、スプレッドが10pipsもあったとしたら、ある程度長い時間ポジションを保有し続けなければならず、資金の回転率的にも、リスク面でも不利となります。

また、ある程度ボラティリティ(値動き)があることも大事です。ボラティリティに乏しければ、やはりポジション保有期間が長めになってしまうからです。上下に激しいギザギザのチャートを描きつつ、場中にレンジがほとんど変わらない一定のレンジを保っている、そんな通貨ペアがベストでしょう。

スプレッドの広狭はFX会社によってまちまちですが、米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/ドルなど、流通量の多い通貨ペアは、スプレッドも狭く設定されていることが多いようです。スキャルピングに向いている通貨ペアも、これらであると言って良いでしょう。

スキャルピングに向いている時間帯


スキャルピングのように、短期売買を繰り返すトレードにとっては、トレードを行う時間帯も重要です。FXでは指標が発表される時間帯や、市場が切り替わる時間帯に大きく値が動きます。その時間のちょっと後がスキャルピングに向いている時間帯と言えます。

日本時間で言えば、8時~11時台、16時~18時台、22時~24時台あたりです。

8時~11時台ですが、8時に東京での指標発表がなされます。その1時間後の9時からは東京株式市場が開けますので、その時間帯を狙います。東京株式市場は11時30分に引けますので、引け間際の乱高下も避けます。

16時~18時台ですが、15時30分には東京市場が閉場し、16時からはロンドン市場が開きますので、その後の時間帯を狙います。

22時~24時ですが、22時にニューヨーク市場が開けます。そのため、22時には大きく値が動きます。米国はやはり流通している資金量が大きいのです。

初心者のうちは、ボラティリティが大きくなる時間帯は避けるべきでしょう。予測精度が低い上に、リスク管理もまだまだ甘かったりルール化もしっかり出来ていなかったりすることが多いからです。9時~9時30分、16時~16時30分、22時~22時30分は避けて、慣れるまでどんな値動きの特徴があるのか、観察するに留めます。

ショートは避けた方が良いのか?


FXではロングだけでなくショートも使えるため、通貨の上昇と下落の両方で利益を狙うことが出来ます。ですが、スキャルピングではショートを避けた方が良いのでしょうか?答えは、「使いこなせるならショートも積極的に使うべし」、なのですが、使いこなせるなら、というのがポイントです。

なぜなら、ロングで失敗したため、苦し紛れにショートポジションを建てるという事が少ないないからです。逆を言えば、しっかり損切り出来て、リスク管理もばっちりなら、ショートを使ってはいけない理由など無くなります。

トレンドとレンジ、どちらの相場が向いている?


スキャルピングにはトレンドとレンジのどちらの相場が向いているのでしょう。レンジ相場は、一定範囲内での値動きを繰り返している相場です。一方、トレンド相場は上昇や下降のどちらかへ動いている相場です。レンジの反対がトレンドと言っても良いでしょう。

スキャルピングに向いているのは、レンジ相場です。ある程度の値幅があるレンジ相場なら、どこが天井(レジスタンスライン、抵抗線)でどこが底(サポートライン、支持線)なのか分かりやすいからです。天井付近ではロングの利確をし、ショートを建てる。底でショートを利確し、ロング。後は、それをひたすら繰り返せばよく、失敗してもリトライが簡単に行えます。

ただ、凪いだ海のように値動きの少ないレンジ相場の場合には、投資家も身動き取れないといったことが起こりえますが、すぐに損切りのためにポジション解消しても大した損失も出ていないはずなので、そういった意味でもレンジ相場はスキャルピング向きと言えます。

一方、トレンド相場でも、荒れている場合にはエントリーや利確のチャンスはありますが、トレンドを読み誤った場合、すぐに手を打たないと含み損がどんどん拡大していくというリスクがあります。

眠くなったらやめる


スキャルピングは、瞬時にポジションを解消してリスクを抑えるのが重要だとお話しましたが、最も気をつけなければならないことがあります。それは、ポジションを建てたまま寝てしまうことです。特に、ニューヨーク時間にかけて取引しているサラリーマンの方などは、日中は仕事があって、帰宅後にFXトレードを行っているので、基本ヘトヘトです。

そんな時間帯に神経を使うトレードを行うと、上手く行っている間はいいのですが、緊張が緩んだりすると、あっという間に寝入ってしまうことも多いのです。自動売買やシステムトレードなら何とかなりますが、手動で発注していた場合はポジションを持ったまま朝を迎えることになります。

ハイレバレッジでトレードしていたら、一瞬のボラティリティ増加やヒゲなどによって、ロスカット発動、一発退場となってしまうこともあり得ます。疲れている時、眠い時のトレードには、くれぐれもお気をつけて。

スキャルピングには大量の資金が必要?


スキャルピングはわずかな利益を積み重ねるトレードです。では、大量の資金がなければスキャルピングは無理なのでしょうか?実は、全然そんなことはありません。最近のFXトレード手数料は無料のところが殆ど。スプレッドのみが実質的な取引コストになっています。スプレッドは利益を出すために超えなければならない山です。それを超すことが出来ていれば、少額の資金しかないからと言って、取引コスト分がマイナスになることはありません。

ただし、状況が許すなら、全額再投資した方が資金効率は上がるのは前述の通りです。

スキャルピングトレード まとめ


とにかくスキャルピングでは、トレード回数を多くこなすことが重要です。回数をこなすために損切りするという、一見すると何のためのトレードなのかと本末転倒に見えるような事も、回転率を上げるためには必然なのだとお分かりかと思います。

と同時に、それがちゃんとリスクコントロールにも繋がっているわけです。損切りに慣れるということは、スキャルピング以外のトレードでも必要なスキルなので、持っておいて損はありません。