忙しいFX初心者が試したいスイングトレード手法とは

[公開日]2015/01/09[更新日]2015/04/17

忙しいサラリーマンや主婦に向いているとされるFXのスイングトレードとはどんな取引なのか。基本的な解説から、リスク管理の考え方まで解説します。

FX初心者のスイングトレード

スイングトレードとは?


スイングトレードは、短期売買の一種として扱われているトレード手法です。FXに限らず、他の金融商品でも使われる用語です。分類としてはテクニカル分析寄りのトレード手法であり、集中力や専門的知識が少なくて済む比較的楽なトレード手法と言えます。最も初心者向けのトレード手法であるとも言えるでしょう。

デイトレードのように1日の決済にはこだわらず、かと言って長期に保有するスタンスでは無い場合、このスイングトレードに当てはまります。ポジションの保有期間が短い順に並べると、

スキャルピングトレード < デイトレード < スイングトレード < ポジショントレード

となります。1日で決済してしまってもいいですし、数日間から数週間程度ポジションを持ったままでもスイングトレードと呼んでよいでしょう。

忙しい方向けの「寄せては返す波に乗る」トレード手法


スイングトレードは英語で言うなら「swing trade」。swingの部分を指して「波乗りトレード」のような日本語に訳すことも出来ます。為替の上げ下げを浜辺に寄せては返す波になぞらえて、スイングトレードと呼ばれるようになったと考えられます。

スキャルピング(獲物の頭皮「スキャルプ」を剥ぐ)ように薄利を積み重ねることを目的としておらず、のんびりした印象を持たれるかと思いますが、印象通りで比較的のんびりしたスタンスで取り組むのがスイングトレードです。毎日が忙しいサラリーマンや兼業主婦の方などに向いているトレード手法です。

日々の値動きに左右されず、のんびりと


スイングトレードは、大規模な為替変動にも、トレンドにも対応できうるトレード手法です。基本的には売買したい通貨ペアが、週足などで見て底または天井を付けたことを確認してからエントリーします。そのため、各国の経済政策転換など、比較的大きなトレンド転換要因が発生した場合などでも、限られた期間の中でという条件はあるものの、ある程度対応することができます。

もちろん、エントリーしてからの一段高、一段安といった可能性もあるわけで、判断をミスしたと分かったら即座に損切りする必要があるのは、ほかのトレードと同様です。

ですが、そうした大きな「イベント」が起きていない時には、エントリーと同時に反対売買の注文を出しておき、約定するのをのんびり待つ、といったスタンスで望んでも良いでしょう。ですが、ポジションを保有している間、1日に1回程度は相場動向をチェックするべきでしょう。

リスク管理の考え方


レバレッジを抑えながら、多少の含み損も気にせずに1~2週間後には勝てばよい、というのがスイングトレードです。結果として、ダマシに対する耐性を得ることも出来ます。のんびりやるのがスイングトレードのスタイルとは言え、リスクはしっかりと存在しています。他のトレード手法と同様に、リスク管理を怠ってよいわけでは決して無いので、その点は肝に銘じておくべきでしょう。

ポジションの保有期間は数日以上である必要はありません。許容できない含み損に達したり、トレンドを完全に見誤ったなどの場合には、数分後であってもポジションをクローズしてしまっても良いでしょう。

保有期間が短ければ短いほどリスクも少なくなる点も、他のトレード手法、他の全ての投資といっしょです。余力限度いっぱいまでポジションを建てる、ハイレバレッジも危険です。トレンドを見誤った場合には、スキャルピングトレードとは比較にならないほどの含み損を抱えてしまうリスクがあります。

スイングトレード手法のコツ


スイングトレードは、値幅と期間という意味での小さいレンジで為替を見ようとしない事です。細かいレンジやスパンで見た場合の弊害は、高値圏での高値づかみなどに引っかかりやすいのです。短いレンジでの値動きに引っかからないためには、一週間から一ヶ月程度のスパンでの値動きを意識して見ることです。

目標とする利幅は、100~1000pips程度とデイトレードの数十倍から数百倍。これは期間が長いことにもよります。そのときどきの為替変動の波の振幅が、目指す利幅とほぼイコールだと考えて良いでしょう。

システムトレードなどでツールを使う場合、IFO注文を出す場合なども、この利幅を設定しておきます。スイングトレードはテクニカル分析に基づくトレードであると冒頭では述べましたが、数週間にも上る保有期間の最中、大事件が起こらないとも限りません。

世の中の動きにも目を配っておくと良いでしょう。難しく聞こえるかも知れませんが、経済ニュースサイトを見たり、書かれていることについて調べたりすることは、多くの方が自然に行っていることだと思います。

今では便利なニュースアプリも沢山ありますので、ニュースウォッチはそれほど苦にはならないでしょう。

通貨ペアは、値動きよりも情報の入手性


スイングトレードに向いている通貨ペア流動性が高い通貨ペアです。米ドル/円やユーロ/円、豪ドル/円など、FXではお馴染みのものが比較的向いていますが、ユーロ/ドルなども有望です。トレンドに入ったらそれが1ヶ月程度続く通貨ペアならなお良しでしょう。円との通貨ペアは、ロングポジション向きの通貨ペアです。理由は言わずもがな、スワップポイントが手に入るからです。

これらの通貨ペアでショートポジションを建てると、今の金利だとほぼ間違いなくスワップポイントを負担することになってしまいます。そんなとき、ユーロ/ドルなどのクロス通貨ペアを使います。

円が原因での上昇や下落は、どのストレート通貨であっても似た動きとなってしまいますが、例えばある通貨が安くなる要因を見つけた場合、ストレート通貨でショートポジションを建てるより、クロス通貨でショートポジションを建てる、といった使い方をする場合があります。

ですが、米ドルはどの通貨に対しても金利が上がりつつありますし、ゼロ金利解除間近とも言われていますので、米ドルが絡む場合には注意が必要です。また、オーストラリアやニュージーランドは通貨ペアとして良く選ばれていますが、情報の入手をいう点に関して言えば、米国ほどではありません。

信用できる情報源を見つけておかないと、緊急事態が起きた時には対処できないかも知れません。

スイングトレードに向いている時間帯


スイングトレードにはトレードに向いている時間帯というのはあるのでしょうか?他のトレード同様、日本時間で朝8時頃、16時頃、22時頃など、指標が発表された後にある程度時間が経った時間帯が良いのですが、スキャルピングやデイトレードと比べると重要度は相対的に低めです。

理由はもちろん、数日以上保有するからです。その日一日は反応よくスタートしても、翌日以降ダレてしまうかも知れません。1日の値動きばかりを気にしていてはスイングトレードはやっていけません。

それよりも、仕事から帰宅後に、その日一日に起きたニュース・出来事など情報を整理してから、ゆとりをもった指値で注文を出してのんびりと約定を待つ、そのようなことが出来る時間帯がスイングトレードにふさわしいトレード時間帯と言えます。

スイングトレードに向いている時間帯とは、トレードする時間帯は自分が家にいてトレードできる時間帯である、と言ってしまってよいでしょう。

スイングトレードで参考にする指標


スイングトレードでは、各種統計や経済指標の発表スケジュールは押さえておきましょう。よく分からない指標は、発表後の市場の反応を見てからエントリーするタイミングを量ります。指標によっては大きくトレンド転換するきっかけとなるものもありますので、発表国の通貨が指標を好感して上がったからと言って、すぐ逆張りするのはよくありません。

指標の発表が行われる予定のない期間はチャートによるテクニカル分析のみでトレードを行っていきます。一目均衡表やストキャスティクスなどを組み合わせて、売買シグナルが出るのを待つのが基本的な戦術です。

厳密にポジション保有期間を決められるのなら、そうするべきでしょう。一週間あるいは二週間を超えたら損切りあるいは利確を必ずする、などです。トレードツールで反対売買期日を指定出来るのなら、予め登録しておくと迷いが生じて手仕舞いしそこなうことが無く便利で安全です。

その他に気をつけたいこと


24時間取引できるFXですから、深夜帯にかけてトレードするということも可能ですが、そうしてしまうと普段とは異なる市場、異なる状況下でのトレードとなってしまいがちなので注意したいところです。また、休日なども同様です。市場参加者の数が極端に違ったりするので、平日の法則が通用しない場合も多いのです。

それとは逆に、平日は一切トレードせず、休日だけに集中するというのも戦略としてありです。サラリーマンや兼業主婦の方にはこちらのスタイルの方が向いているでしょう。トレードするときとしないときでメリハリを付けた生活を心掛けたいものです。

また、わずかな含み損を気に病んでしまい、すぐ損切りしてしまうと、反転後の利益を逃すことになります。含み損が大きく増えずに増減しているのは抵抗の証ですから、じっと我慢してチャートの反転を待ちます。

一気に含み損が増え、時間とともに拡大するような状況では、トレンドを見誤ってしまったという事ですから、一時撤退する方が良い事が多いです。

忙しいFX初心者が試したいスイングトレード手法 まとめ


スイングトレードはのんびりトレード出来ると述べてきましたが、ルールはしっかり決めて、しっかり守らなければリスクは際限なく大きくなってしまいます。すぐに損切りしなくていいのがスイングトレードではありません。自分で決めた許容含み損率を超えたら即座に損切りをすることが大事です。

”利益が出るまで”ポジションを保有したいなら、手数料が割高でも外貨預金を利用すべきです。元本割れは起きますが、追証の可能性はゼロです。スワップポイントで稼ぎつつ、いつまででも利益が出るのを待つ事が出来ます。

損切りをしっかりする自信がないのなら、外貨預金を利用することも検討しましょう。もちろん、FX最大の利点が2つも利用できなくなるわけですが。言うまでも無く「ショートポジション」と「レバレッジ」は外貨預金にはありません。

損切りの自信がない場合は、トレードツールの機能をめいっぱい利用しましょう。IFO、OCO注文を利用するだけでも大きく違います。後は、心構えとして「FX会社に入金したお金はゲームのメダルと一緒」だと思う事です。1万円増えたり減ったりではなく、メダルが増えたり減ったりと思えばプレッシャーの軽減になるかも知れません。