迷惑な民泊に困っている方は必見!行政書士が教えるトラブル解決術
[公開日]2017/03/13[更新日]2017/05/17
マナーの悪い民泊客によって、ある日突然あなたの住んでいるマンションが騒がしくなる。
民泊はグレーゾーンの存在であるため、全国各地で一部の迷惑な利用者によるトラブルが発生しています。
本来であれば、民泊のように宿泊場所を有料で提供するという行為は「旅館業を営んでいる」とみなされ、登録を行う必要があります。
ただ民泊についてはまだ法規制が整っておらず、現在は見逃されている状態です。
今回は、民泊で迷惑行為やトラブルに遭遇した時の対処法をご説明します。
利用者にとっては便利だけれど、近隣住民に迷惑を掛けることも多い「民泊」。さまざまなトラブル解決の方法を教えてもらったにゃん。
ホントは法律違反?民泊が見逃されている理由
本来、宿泊場所を有料で提供する場合には「旅館業を営んでいる」とみなされ、登録を行う必要があります。つまり、民泊は見逃されているだけというのが実情です。
旅行者の急増とホテルの不足が民泊のニーズを生んだ
民泊は「空き部屋・空き家を提供して宿泊料を徴収する」という、これまでにはなかった新しい仕組みです。近年、外国からの観光客が急増し、宿泊施設の数が慢性的に不足している状態です。
また、地方都市で歌手のコンサートやイベントなどが集中する時期には、やはり宿泊施設が足りなくなることもあります。
そこで、インターネットで「民泊」を希望する人と、宿泊施設をマッチングするサイトが開設され、多くの人が利用しています。
たしかにテレビでもよく「民泊」って言葉は聞くね。ビジネス番組とかで特集されてたりする…!
民泊は厳密に言うと旅館業法に違反する!その根拠とは
民泊を「新たなビジネス」とみなすのなら、厳密に言うと「旅館業法」に違反しています。「旅館業法」では、旅館業を「宿泊料を受け取って、人を宿泊させる営業」と規定しています。これに該当する場合は旅館業とみなされ、行政から認可を受ける必要があるのです。
この法律では、宿泊施設を下記の4つに分類しています。
・ホテル営業
・旅館営業
・簡易宿所営業
・下宿営業
・旅館営業
・簡易宿所営業
・下宿営業
民泊は、この中の「簡易宿所営業」に該当するとされています。
簡易宿所である民泊が認可を受けていないのは、明らかに「旅館業法」に違反している、とも言えます。
しかし「民泊」自体が今までになかった発想のため、法律が追い付いていないのが現状なのです。
民泊で迷惑を被っても、それを取り締まる法律がないから守ってもらえないんだね。得するのって利用者とお金をもらう民泊のオーナーさんだけ?
民泊をビジネスとみなすには「反復継続」と「有償」がポイント
旅館業を管轄する厚生労働省では、「仲介サイトを通じて、反復継続して有償で宿泊施設を提供する者は認可が必要」としています。・反復継続
・有償
この2点によって、「旅館業を営んでいる」と解釈されるのです。・有償
しかし残念ながら、「反復継続」と「有償」についての具体的な回数、金額は示されていません。
もし具体的な数字を示してしまったら、その回数未満の頻度だけ、その金額未満の宿泊料だけを受け取り、「認可を受ける必要なし」という免罪符を得ようとする者が出てくるからです。
したがって、ここでは「宿泊施設を提供することを『なりわいにする』程度に、反復して有償である」と解釈すべきです。
そうなると、
・月何回以上の宿泊があればビジネスといえるのか?
・宿泊客がいくら払ったらビジネスになるのか?
・宿泊客がいくら払ったらビジネスになるのか?
この判断には、個人差があるところです。あくまでも個人的見解ですが、
・週1回以上、つまり月4回以上の頻度
・1泊につき近辺のビジネスホテルの宿泊料の半分以上を徴収
・1泊につき近辺のビジネスホテルの宿泊料の半分以上を徴収
このような場合は、「なりわいにする」と捉えてもいいと思います。この頻度と徴収料金であれば、誰が見ても「ビジネスとして民泊を行っている」と判断できるはずです。
これに該当するようなら「民泊をビジネスとして行っている」とみなして、認可の有無を問うことができるのね!
住民の生活が脅かされる?民泊による迷惑行為と対処方法
法律が整備されていないのですから、民泊についての苦情は跡を絶ちません。
中でも多いのは、「自分の住んでいる集合住宅に、他の住民が外国人観光客を泊めている」という苦情です。具体的には下記のような迷惑行為が発生しています。
民泊の宿泊客が昼夜問わずうるさい!
宿泊者は旅行気分ですから、マンションやアパートの一室にいるという感覚ではないでしょう。羽目を外す場合も少なくありません。
しかし、同じマンションなどに住む他の住人にとっては、生活の本拠地ですから、迷惑以外の何物でもありません。
しかし、同じマンションなどに住む他の住人にとっては、生活の本拠地ですから、迷惑以外の何物でもありません。
出入りする人が増えてオートロックの意味がない!
部屋の提供者が宿泊者に鍵を貸したり、オートロックの暗唱番号を教えていたりする可能性があります。
住人以外がオートロックを容易に解除できる状態では、他の住人の生活が脅かされることになります。そうなると、セキュリティの高いマンションを借りた意味がありません。
住人以外がオートロックを容易に解除できる状態では、他の住人の生活が脅かされることになります。そうなると、セキュリティの高いマンションを借りた意味がありません。
民泊客のゴミ出しマナーが悪い!
宿泊客は、あくまでも「旅行者」ですから、そのマンション等がある地区のゴミ出しルールを知りません。仮に、宿泊所を提供した人が事前にゴミ出しルールを教えたとしても、きちんと守ってくれる保証はどこにもありません。
結果的に、民泊客のゴミ出しマナーが守られない場合、そこに住む人々にしわ寄せが来ます。
結果的に、民泊客のゴミ出しマナーが守られない場合、そこに住む人々にしわ寄せが来ます。
旅行者の人には楽しんでもらいたいけど、ボクたち住民も気持ちよく過ごせるようにしないとね!
民泊についての苦情は内容によって通報先が変わる
民泊による苦情を言いたいときは、その内容によって通報先が変わってきます。マンションのルール違反に該当する場合は管理会社へ通報
騒音やゴミ出しのルール違反についての苦情は、マンションやアパートを管理する不動産会社等に通報しましょう。集合住宅には「管理規約」というものがあります。この「管理規約」には、以下のような住人が守るべきルールが具体的に記載されています。
・生活音についての注意喚起
・ゴミ出しについてのルール
・共用スペースの使用方法
・ペット飼育の禁止
・転貸し(また貸し)の禁止
・ゴミ出しについてのルール
・共用スペースの使用方法
・ペット飼育の禁止
・転貸し(また貸し)の禁止
そして、この規約が守れない場合には、貸主が「退去勧告」を行う旨の文言も記されています。
民泊者の騒音やゴミ出しのルールが守られていないのは、管理規約に違反していることになります。
また、無断で部屋を提供していることは「転貸し」に該当することも考えられます。管理規約に「転貸し禁止」の規定がある場合は、その点も併せて相談してみましょう。
無認可の疑いがある民泊は管理会社・保健所に相談を!
もし無認可で民泊を行っていた場合、厳密に言えば「旅館業法」違反です。しかし、宿泊所の持ち主が「知り合いを泊めているだけです」とか「無償で泊めているので『民泊』に当たらない」と言い逃れをする可能性があります。
その際には、マンションやアパートを管理する不動産会社等に相談しましょう。担当者から、部屋の借主に直接事情を聞いた上で対処してもらった方が、後々トラブルに発展する可能性が低くなります。
また、「旅館業法」に則って「簡易宿所業」の許可を取っていないのですから、管轄である市町村に通報することもできます。
具体的には、保健所に無認可で民泊をしている旨を通報すれば、担当者が実際に該当者からヒヤリングを行うことになります。そこで無認可ということが判明すれば、保健所から民泊を止めるように「行政指導」がなされます。
ただしこの「行政指導」には法的拘束力がないので、従わない人もいます。悪質な場合には、警察に通報されることもあります。
たとえきちんと認可を受けている民泊でも、迷惑行為の注意は可能
もし、行政の認可を受けて「民泊」を業として行っていれば、止めさせることは難しくなります。ただ、近所に迷惑がかかるような行為が頻繁にあれば、市区町村から適切な指導をお願いすることができます。
管理規約で「民泊」自体に言及していなくても、別の規約違反として警告が可能
民泊が問題になり始めたのはごく最近のことですから、「管理規約」で「民泊禁止」を規定しているケースは多くありません。ただ、先程も説明したように、無断で賃貸契約者以外に貸すことは「転貸し」に当たる可能性があります。この点から、民泊は「管理規約」に違反しているということで、警告ができるはずです。
また、賃貸借契約では「借主を信用した上で契約を結んでいる」という背景がありますから、民泊を無断で行い、それによって利益を上げているということは、貸主への背任行為に該当する可能性もあります。
この点からも「管理規約」の前提となる「賃貸借契約」を軽視した行為だとして、追及できる可能性も出てきます。
「迷惑だ!」と思ったら、何かしらの形で通報できるんだね。
民泊が行われていないマンションを選びたいなら、契約書の確認を
民泊の存在によって起こりうる迷惑行為のことを考えると、トラブルに巻き込まれるリスクを回避したいところです。
そのためにも「民泊が行われていない集合住宅」に住みたいと思いますよね。
借りる・買う、その前に!まずはきちんと確認を
マンション等を借りたり、購入したりする前に、その物件の中で民泊が行われているか確認しておきましょう。
まず、仲介業者に尋ねてみるのが一番です。さらに、その物件の「利用規約」に「民泊禁止」の条項が記載されているかも確認してみる必要があります。
ただ、民泊をやっている住人が行政への認可を受けていても、仲介業者に報告していない場合があります。そうなると、実際に入居してみないと、民泊が行われているのかどうかわからない、ということになります。
まず、仲介業者に尋ねてみるのが一番です。さらに、その物件の「利用規約」に「民泊禁止」の条項が記載されているかも確認してみる必要があります。
ただ、民泊をやっている住人が行政への認可を受けていても、仲介業者に報告していない場合があります。そうなると、実際に入居してみないと、民泊が行われているのかどうかわからない、ということになります。
民泊のトラブルを回避する文言を契約書に盛りこむ
契約の際に「民泊をしていないことを前提に、この賃貸借契約を結ぶ」という文言を「契約書」の中に入れてもらうこともできます。
さらに「もし住人が民泊をしていたため、生活に支障を来した場合には、その住人と貸主に損害賠償を請求できる」旨の文言まで記載できれば、百点満点です。
さらに「もし住人が民泊をしていたため、生活に支障を来した場合には、その住人と貸主に損害賠償を請求できる」旨の文言まで記載できれば、百点満点です。
売買契約、つまり分譲マンションの場合も同じです。
ただし分譲の場合、投資目的で購入する人もいます。その場合は「またがし」を行っているため、民泊していても抗議することは難しいでしょう。
それでも「管理規約」には、生活音やゴミ出し等について規定されているはずです。その点が守られていなければ、管理会社に苦情を申し入れることはできるでしょう。
民泊が今後もっと盛んになる可能性もあるから、困ったことになる前にしっかりチェックしておきたいわね。
民泊が原因でマンションを売る際には、手放すワケを告知しよう
同じマンションの住人が民泊を行っており、それを理由にマンションを売却するとします。例えば、その部屋で殺人事件があった、自殺者が出た等、いわゆる「事故物件」ならば告知しなければなりませんが、民泊に関しては今のところルール化されていません。
しかし、次に入居した人から「民泊があるとは聞いていなかった。もし聞いていれば借りなかった(購入しなかった)」と言われる可能性があります。場合によってはトラブルになるかもしれません。
法的な義務はないものの、民泊の件はマンションを買い取ってくれる業者や売却相手に告知しておいた方がいいでしょう。
ちゃんと誠実に対応して伝えることが売買取引を成功させるポイントだにゃ!
まとめ:民泊のトラブルを防ぐ今後のルール整備に期待
民泊はまだ新しいサービスですから、法整備が追い付いていないのが現状です。
しかし、今後海外からの旅行者が増えることを考えると、宿泊施設の増設は急務ですし、その中での民泊は大きな柱の一つになるはずです。
空き家が急増する日本では、それをうまく生かして民泊に利用しようというアイディアも出ています。
また、民泊を新たな産業にしようという動きもあります。一方で、周囲の住人の住環境も保護されなければなりません。
新たなルールのもとで、民泊者と提供者、そして近隣の住人にとってもよい環境が作られていくことを期待したいですね。