【不動産屋が解説】ローンが残る新築でも売れる!売却を成功するポイント
[公開日]2017/04/21[更新日]2017/12/11購入したばかりの新築の家を、何らかの理由で売却しないといけない…。
「売却で得たお金でローンの残債を返済できればいいのに」と誰もが考えるでしょう。
その一方で、以下の2つの疑問が生じると思います。
「残債をまかなえるほど物件は高く売れるのか?」
「そもそもローンの残債が残っている物件を売却できるだろうか?」
「そもそもローンの残債が残っている物件を売却できるだろうか?」
この記事では不動産会社を営む筆者が、「新築物件をできるだけ損せずに売却する方法とコツ」をお教えします。
1.ローンの残債がある住宅を売却する時には融資先の金融機関に確認を!
2.売却価格には割り切りが必要!査定を通して正しい相場観を持とう
3.売却の流れと注意点:不動産会社との信頼関係を築くことが成功のカギとなる
2.売却価格には割り切りが必要!査定を通して正しい相場観を持とう
3.売却の流れと注意点:不動産会社との信頼関係を築くことが成功のカギとなる
新築の物件を売るときに注意すべきポイントをおさえるにゃ!
住宅ローンの残債がある場合は金融機関へ確認が必須!
新築物件を購入する場合、多くの方が金融機関から住宅ローンによる融資を受けていると思います。
住宅ローンの残債がある場合でも、条件付きではありますが物件の売却は可能です。
ローンが残ってるなら売れないのかなあって思っていたけど違うんだね。条件に当てはまるか確認してみよう!
抵当権の抹消をしなければ売買できない
住宅ローンに残債があっても、売却することは可能です。買い手さえ見つかれば良いのです。しかし残債がついたままでは、基本的には買い手がつきません。その理由を少し詳しくご説明しましょう。
住宅ローンを利用して不動産を購入すると、その不動産には抵当権を設定されます。
抵当権とは
住宅ローンの返済が滞った時に、金融機関がその不動産を差し押さえ、競売にかけて債権を回収するための権利。抵当権は住宅ローンを完済しない限り抹消されません。
法律上は、抵当権が設定されている不動産でも買主さえ了解していれば売買は可能です。
しかし、不動産の売買が成立したあとでも抵当権は金融機関に残ります。
金融機関が抵当権を抹消しない限り、売主が住宅ローンの支払いを滞らせた場合に金融機関がその家を競売にかける権利が残ってしまうのです。
それじゃあ抵当権が設定されている不動産を購入する買主なんていないよね…。どうすれば抵当権を抹消できるのかな?
「ローンの残債を完済できるか」で抵当権の抹消方法は異なる
解説しましたように抵当権が残っているままだと、どんなに良い物件であっても買い手がつきません。
抵当権の抹消方法は「住宅ローンの残債を完済できるか」によって内容が異なります。
この項目では、
1.売却額でローンの残債を完済できる場合
2.売却額でローンの残債を完済できない場合
の2通りに分けて抵当権を抹消する方法を解説します。2.売却額でローンの残債を完済できない場合
1.売却額で住宅ローンの残債を完済できる場合
まず、金融機関の了承を得ます。その上で抵当権の抹消と所有権の移転登記を同時に行うことが基本の流れとなります。抵当権が設定されている場合の不動産の売買契約では、売主は決済の日までに抵当権の抹消登記を実施するのが一般的な契約条項になります。
実際の抵当権の抹消登記の流れ
① 売買が成立
② 売主が代金を受け取ると同時に、すぐに残債の返済に充てて抵当権の抹消をする(あらかじめ金融機関からの了承をとる)
③ 抵当権抹消と同時に所有権の移転登記
② 売主が代金を受け取ると同時に、すぐに残債の返済に充てて抵当権の抹消をする(あらかじめ金融機関からの了承をとる)
③ 抵当権抹消と同時に所有権の移転登記
この場合、ローンの返済額は残債総額、つまり完済が原則となります。
住宅ローンの残債がある家を売却する場合は、融資先の金融機関に問い合わせ、残債額をきちんと把握し抵当権抹消の了承を得た上で、手続きを確認しておく必要があります。
抵当権を外さないと売れないし、売らないと抵当権は外せないにゃ…。売れるかどうかは「条件付き」ってそういうことなんだにゃ…!
2.売却額でローンの残債を完済できない場合:自己資金が無ければ買換えローンも
住宅ローンの残債がある場合は、売却と同時に残債を支払わなければなりません。売却額が残債を上回れば良いのですが、残債に足りない場合は、補てんする自己資金が無いと売却は困難なことになります。
売却額が残債額に足りない場合は、自己資金で充当するか新たにローンを組むなどして完済しなければ、基本的に金融機関は抵当権の抹消には応じません。
抵当権を抹消するための買い替えローン利用は要注意
売却額でローンの残債額を賄えない場合には「買換えローン」を検討するのも一つの選択肢です。しかしローン全体の金額が大きくなるので注意も必要です。
買換えローンのメリット
買換えローンは売却額が残債に足りなくても、住居の買換えができる。
新居を構える場合に、残債返済に売却金額をあてる時の不足分と、新規の住宅購入に必要な費用の合算額を融資してもらえる。
新居を構える場合に、残債返済に売却金額をあてる時の不足分と、新規の住宅購入に必要な費用の合算額を融資してもらえる。
上記のように一見すると良さげな買換えローンですが、デメリットもあります。
買換えローンのデメリット
- 合計金額が、通常の住宅ローンより大きくなる
- 金利が、通常の住宅ローンよりも高い
- 審査が、通常の住宅ローンより厳しい
通常の住宅ローンは、購入する住宅の土地・建物を担保に入れてその評価に基づいた金額を融資するものです。
一方買換えローンは通常よりも多くの金額を融資することになります。
金融機関からしてみれば、通常の住宅ローンよりもリスクが高いということになり、金利・審査基準などが厳しくなります。
ローンの利用者にとっても、毎月の支払金額が通常のケースよりも多くなることになります。
買換えローン利用時には以下のことを慎重に検討しましょう。
買換えローン利用時の検討ポイント
・本当に買換えが必要なのか?
・毎月の支払い計画に無理はないか?
・買換えの自己資金のアテは他にないのか?
・毎月の支払い計画に無理はないか?
・買換えの自己資金のアテは他にないのか?
買換えの自己資金があるならば、買換えローンの頭金とするよりも、残債を整理して住宅ローンを新たに組んだ方が一般的に有利であることを覚えておきましょう。
新築物件だからと高望みしすぎるな!正しい相場観を持とう
新築物件といえども、売りに出す瞬間から不動産は「売れる価格」でしか売れないものだという割り切りが必要となります。
不動産は、「売りたい価格」で売れるのではなく、「買ってもいい価格」が「売りたい価格」と合致した時に売れる「相場商品」なのです。
とはいっても、なにも必要以上に安く見積もることもありません。
正しい相場を理解することが、新築物件をスムーズかつ損をせずに売却する上で重要です。
まだ新しい家を売却するにゃ。できるだけ高く売りたいと思うのが人情にゃ…
思い入れやこだわりのある仕様も、評価して欲しいところだけど…相場を知るのが大事なんだね
新築と中古の定義:1日でも住めば「中古住宅」
「まだまだ新しい家なのだから、新築と同程度で売れるだろう」というのは、残念ながら売主の思い込みです。不動産業界では、1日でも住んでしまえばそれはもう「中古住宅」です。
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第2条第2項で定められている「新築」の要件を見てみましょう。
【新築】の要件
つまり、新築というのは、建築されてから1年以内の未入居の建物をいいます。
いったん人が住んでしまったら、市場では「中古住宅」なんだにゃ
新築同然でも購入価格の2割程度の値引きを覚悟しよう
理論上は、一度も住んでいない築1年以内の物件であれば新築として売り出すことは可能です。しかし現実的には、そうした物件でも新築物件と同様の価格で販売するのは困難です。
売買された物件だということだけで買主からするとマイナスな印象
・何らかの原因で売却を余儀なくされた「理由あり物件」とみなされます。
・また購入して売却に至るまでの期間によっては「売れ残り物件」とみなされます。
・また購入して売却に至るまでの期間によっては「売れ残り物件」とみなされます。
新築同然の物件であっても、新築の価格よりも1割から2割の値引きを要求されるのが相場と思っておきましょう。
「新築」の定義に当てはまっても、新築価格では売れないんだにゃ。「中古」として売る割り切りも必要だにゃ
中古住宅には税軽減がないので買い手は価格にシビア
買い手から見たとき、中古住宅の魅力は「安さ」にあります。新築住宅に比べ、中古住宅には税軽減や付加価値がありません。
したがって、同程度の新築に比べて安くなければ買うメリットが無いことになります。
◆中古住宅に適用されない新築住宅購入の付加価値
- 固定資産税や登録免許税、不動産取得税の軽減
- 10年間の瑕疵(かし)担保責任の保証
- 中古物件に比べてプレミアムが付いた形で売り出される
(基本的に土地・建物・建設業者および販売業者のコスト積み上げで価格設定されるため)
中古物件になれば当然これらのメリットやプレミアムは期待できません。
それでは、中古住宅の価格はどのように評価されるのでしょうか?
中古住宅の評価の目安は以下の通りです。
【一戸建ての場合】
土地と建物の評価を合算。土地は近隣の取引事例から、建物は取得価額から償却費用を差し引いて評価。
※木造の戸建の場合の建物評価は、1年目で新築の6割~7割程度の評価とされ、築後20年で、ほぼ評価0となるのが一般的です。
【マンションの場合】
近隣の取引事例から評価されるのが通常。
土地と建物の評価を合算。土地は近隣の取引事例から、建物は取得価額から償却費用を差し引いて評価。
※木造の戸建の場合の建物評価は、1年目で新築の6割~7割程度の評価とされ、築後20年で、ほぼ評価0となるのが一般的です。
【マンションの場合】
近隣の取引事例から評価されるのが通常。
新築マンションであれば中古物件でも値崩れしづらい
ただし、マンションなら新築時に近い価格で売れるチャンスもあります!マンションの場合も一戸建てとほぼ同様の扱いではありますが、比較的に価値が下がらない面があります。
◆マンションの価格が下がりにくい理由
・流通量が戸建に比べて多い
・収益物件としての利用もありうる
・販売価格に、立地や構造、付帯設備、修繕・リフォーム実績等が付加価値として反映されやすい
・収益物件としての利用もありうる
・販売価格に、立地や構造、付帯設備、修繕・リフォーム実績等が付加価値として反映されやすい
周辺の開発状況によっては、購入時よりも高い価格での販売が期待できることすらあります。
戸建の場合は、土地の価格が新築の建物の価格を上回るほど値上がりするというレアケースでしか期待できません。
マンションの方が、物件次第ではありますが、購入時により近い価格で売れるチャンスがあるといえるでしょう。
売却の流れと注意点:不動産会社との信頼関係を築くことが成功のカギ
家を売却するステップは基本的に、古い物件でも新しい物件でも同じです。
不動産の売却をする場合には以下の5つのステップを踏むことになります。
売却の基本5ステップ
1.査定を不動産会社にしてもらう
2.不動産会社を選択し、媒介(仲介)契約を締結する
3.販売活動をする
4.売買契約
5.決済・引渡し
2.不動産会社を選択し、媒介(仲介)契約を締結する
3.販売活動をする
4.売買契約
5.決済・引渡し
この項目で売却の成功に向けて重要な1〜3までを中心に解説します。
一括査定サイトを利用して不動産会社の査定を受ける
新しい家の場合は、つい高く売りたい気持ちが強くなるため、自分では冷静に価値を判断することができません。不動産会社の査定で相場を知ることが重要になります。
査定の基本的な仕組み
査定価格とは、「不動産会社が3ヵ月以内に売れるであろうと見積もる価格」をいいます。
不動産会社は、価格に対して意見を述べる場合には、合理的な根拠を示すことが法律で定められています。
また、報酬は売買が成立した場合に支払われる成功報酬が基本です。
遠隔地に出張するなど特別の経費が掛かる場合を除いて、無料で査定を依頼することができます。
複数の不動産会社に査定を依頼して、自分の物件の相場をつかむことが重要です。
不動産会社は、価格に対して意見を述べる場合には、合理的な根拠を示すことが法律で定められています。
また、報酬は売買が成立した場合に支払われる成功報酬が基本です。
遠隔地に出張するなど特別の経費が掛かる場合を除いて、無料で査定を依頼することができます。
複数の不動産会社に査定を依頼して、自分の物件の相場をつかむことが重要です。
複数の会社に依頼する場合は、インターネットで一括査定サイトを利用するのが便利です
例えばHOME4Uというサイトでは、一回の入力で最大6社までの不動産会社に査定を依頼することが可能です。
このサイトでは厳選された500社以上の不動産会社の中から、自分で6社を選定することが可能です。
依頼していない不特定多数の不動産会社から電話営業が鳴りやまない、なんて煩わしいことが起きないようになっています。
一度に複数の不動産会社から査定を受け、電話やメールで内容についても詳しく説明を受けることができます。
このサイトでは厳選された500社以上の不動産会社の中から、自分で6社を選定することが可能です。
依頼していない不特定多数の不動産会社から電話営業が鳴りやまない、なんて煩わしいことが起きないようになっています。
一度に複数の不動産会社から査定を受け、電話やメールで内容についても詳しく説明を受けることができます。
一括査定サイトなら査定価格の比較が簡単にできて相場がわかるわね!
ただし!複数査定の結果はあくまで「相場」にゃ!比較するのは価格だけではダメなんだにゃー
査定価格の信頼度で依頼する不動産会社を決める
よくありがちな失敗の原因として、「とにかく一番高い査定価格を提示した不動産会社に売却を依頼してしまう」ということがあります。査定価格は、買取保証価格ではありません。
「売れるであろう価格」ですが、その価格で売れなくても不動産会社には責任は発生しないのです。
不動産会社の中には、得意・不得意分野もありますし、楽観的・悲観的といった特徴のある会社もあります。
査定価格ではなく、不動産会社の信頼度をチェック!
単純に査定価格が高かったからといって、飛びついてはいけません。査定時には以下のような点を聞いて査定価格の根拠を確認しましょう。
どうしてそのような価格となるのか
近隣での販売実績はあるのか
購買層はどのように想定しているのか
近隣での販売実績はあるのか
購買層はどのように想定しているのか
その他、言葉づかいや応対にも注意してみましょう。
査定でのやりとりを経て、初めて信頼できる不動産会社を見つけることができるでしょう。
査定は相場を知るだけじゃなくて、自分に合った不動産会社を見つけるためにも大切なステップなんだね
新築を手放す理由を不動産会社に伝えてから販売活動を行う
新築を手放す理由は様々です。- 結婚や出産、子供の成長のためにより広い家に買い換えを図る
- 買う時には思ってもみなかった騒音やご近所トラブルなどで引越しも致し方無い
- 会社勤めで転勤
- 離婚や死別、あるいは経済環境の変化から住宅ローンの返済が困難となった・・・
売主にとっては大きなお世話だ、言いたくもない、という人も中にはいるかもしれません。
しかし、不動産会社には、包み隠さず相談・報告しましょう。
不動産会社に理由を伝え、交渉をスムーズに
売却の理由によっては、多少価格を犠牲にしても、成約時期を早くする方が、売主にとって都合が良い場合もあります。
逆に多少時間がかかっても値引きには応じない、というケースもあるでしょう。
事情を不動産会社によく理解してもらえれば、それだけ事情にあった売却交渉も可能となります。
逆に多少時間がかかっても値引きには応じない、というケースもあるでしょう。
事情を不動産会社によく理解してもらえれば、それだけ事情にあった売却交渉も可能となります。
信頼関係を不動産会社と養うためにも、詳しく事情を説明、相談することが必要です。
買い主に売却の理由を説明しなければならない場合もある
近隣やその家に明らかに住んで生活するには不都合があって売却する場合、買主に売却の理由を説明しなければなりません。
不都合のある物件は瑕疵(かし)物件といい、不動産会社は購入希望者には重要事項として説明する義務があります。
瑕疵物件とは
瑕疵物件であることが原因で売却をする場合は、その事実を売主に隠して販売することは解約や損害賠償の要因となるのでできません。
特に心理的な瑕疵の場合は、まったく気にしない人とそうでない人には個人差があり、買主にそういった事情を知っていれば買わなかったといわれてしまえば、解約の理由になります。
契約から引渡しまでスムーズに進めるためにも、誠実なやりとりを大切にしましょう。
不動産会社と綿密な打ち合わせをして、できるだけ事情は正直に伝えておくほうが無難ってことね!
まとめ:新築をスムーズに売却できるかは不動産会社で決まる
住宅売却の第一歩は、複数の不動産会社に査定を依頼することから始まります。
売却の事情を詳しく説明しておけば、事情に合った期限、価格での販売活動を実施してくれます。
また、新しい家を手放す場合に必要な以下のような作業も、不動産会社に相談すればスムーズに事を運ぶことができます。
- ローンの残債を確認
- 残債を超える価格で販売できるかできないか、相場を確認
- 残債を支払い、抵当権の抹消をする段取りについて、金融機関と事前に打ち合わせ
HOME4Uのような一括査定サイトを上手に活用して、信頼できる不動産会社を選択してください。
ご自身の意向に沿った活動をしてくれる不動産会社と出会うことが、売却に成功する最大の秘訣です。