ネイティブと英会話するために!発音で心がける10のこと

[公開日]2014/11/24[更新日]2015/04/17

日本人にとって何かと便利なカタカナ。しかし、日本で英語を教えている英会話講師は、日本人が英語をカタカナ読みすることを嫌い「これは英語ではない」とさえ言います。

英会話と発音の練習方法

カタカナ英語では、恐らくネイティブは聴きとることができず意味をほとんど理解できないでしょう。今回は、カタカナ英語から脱却して、本物の発音を手に入れるための方法をご紹介します。

カタカナ英語はもはや笑いもの?


まだインターネットも普及していなかった頃、日本人が海外旅行で税関を通る際、渡航目的を聞かれたら「斉藤寝具店」と言えば、「Sightseeing」(観光)として意味が通じると言われた時代がありました。本当にこれで税関を通過できたのかどうか定かではありませんが、英語の上にルビとして無理やりカタカナを当てはめて読んでも、ネイティブにとってはかなり聞きづらい英語になっていることは間違いないでしょう。

英語には、同じ綴りでもアクセントの位置によって意味が異なる単語があります。例えば、「object」は「je」にアクセントがあれば動詞の「反対する」ですが、「o」にアクセントがあれば名詞の「物体」という意味になります。アクセントの位置を軽視して発音すると、英語らしく聞こえないどころか、文法も成り立たなくなってしまうので、注意しましょう。

また、もう一つ、カタカナ英語に関して言うと、和製英語をそのまま使ってしまうというのも日本人がやってしまう失敗の一つです。「マンション」「シャープペンシル」「リフォーム」など日本語として当たり前のように使っているが故に、和製英語か否かの判別が難しいところではありますが、普段からカタカナ言葉に対してそれがそのまま英語として使えるかどうか意識しておくといいでしょう。

動画を使って正しい発音の仕方を習得する


音だけ聞いて「R」や「L」、「B」や「V」などの違いを理解し、本で舌の動きを見てもその通り実践するのは難しいので、まずは、ビデオでネイティブの口、下の使い方を見てそれぞれの音の出し方を覚えると良いでしょう。こちら(http://www.youtube.com/channel/UC-sj0KDP3DnFH-acTOPj2eA)の動画にそれぞれの発音の違いをまとめたビデオがあり、日本人の発音向上のためにネイティブが日本語でわかりやすく教えてくれます。

「マクドナルド」の正しい英語の発音や、「play」「pray」、「fast」「first」などの違いなど、日本人が苦手とする部分に焦点を当ててそれぞれ2〜3分のビデオにまとめてくれているので、是非活用してみてください。

こちらのビデオ(http://youtu.be/GwgEY2JJXV8)では、一つの単語を三種類の読み方で読み上げた上で、アメリカ英語の発音の特徴を丁寧に解説しています。例えば「cotton」の場合は、「o」を発音せず、上の歯の後ろに舌をくっつけて「t」の音を出したら、舌を離さずにそのまま最後の「n」の音を出すと説明しています。英語にもアメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語など多少発音の仕方が異なりますが、YouTubeでそれぞれの発音を比べているビデオが多く出ているので、聞き比べ自分が発音する際に参考にすると良いでしょう。

腹式呼吸、胸式呼吸


英語には、日本語にはない「破裂音」がたくさんあります。例えば、「pink」「park」などが破裂音を含む単語ですが、これを、「p」の音を意識しながら英語で読むのと、「ピンク」「パーク」と日本語で読むのと、自分の息の使い方が違うのに気がつくと思います。英語読みしている時はお腹から、日本語で読むときは口先だけで読んでいないでしょうか。英語は、お腹から息を出す腹式呼吸、一方日本語を始め他の多くの言語は、胸式呼吸だと一般に言われています。

先ほどの例で、自分の口の前に手を置いて「pink」「park」を発音すると「p」の音の時に一番多く息を使っていることが確認できますが、日本語で「ピンク」「パーク」と言っても強い息は手にかかりません。破裂音がある英語では、よりたくさんの息を必要とするため、腹式呼吸を意識して発音すると、よりネイティブらしい英語になります。

リンキングとは


英語と日本語の最大の違いは、おそらく一文字一文字全て発音するか否かでしょう。日本語は、すべての文字を音に出すのに対し、英語は、2語が連結するリンキングや、音の強弱などにより、音が脱落することもよくあります。このことをわかりやすく教えてくれる動画がこちらです。http://youtu.be/ChZJ1Q3GSuI

ビデオの前半では、子音で終わる単語と子音で始まる単語、例えば「black coffee」の場合、一単語ずつ読むと単語と単語の間で「k」の音が2回重なりますが、この場合「k」の音は1つだけとなり「bla coffee」のようになることを説明しています。似た音同士が重なっている場合、その音を1つ省略するということです。

また、子音で終わり母音で始まる場合、例えば「not at all」の場合、「No-ta-tall」のように前の単語が次の単語にブレンドすると解説しています。こうしたリンキングを意識しながらネイティブのように文章を読む練習をする際に参考になるビデオが、「Rachel’s English」の「ESL Pronunciation Exercise」http://youtu.be/NaJIb2y6MQAです。

実際に一緒に文章を読みながら、どの音が抜け、どの単語とどの単語がリンキングするかなどがわかります。彼女は、アメリカ英語の発音に関するビデオを数多く制作しているので、他のビデオも参考にすると良いでしょう。また、どの音がくっつき、どの音が抜けているかを意識しながら話す練習をすると、自然とリスニング力アップにもつながります。

発音だけではなく、文全体のイントネーションやアクセントにも注意


どんなに発音に注意しても、文全体のイントネーション、文の区切り方などが正しくないと、それらしく聞こえません。これを克服するには、オーバーラッピングが大変役に立ちます。まず、音声がある文章、例えば、市販のCD付きのテキストや、インターネットでスクリプト(原稿)と音声両方用意している「VOA Learning English」(http://learningenglish.voanews.com/)などを利用します。

その文章を最初に読み、詰まらず読めるようになったら、次は、その音声にぴったり合うまでひたすら練習を繰り返します。最初は特に、だいたいではなく、100パーセント音声とぴったり合うまで同じ文章を使って練習をしてください。一つクリアできたら、次々といろんな文章でオーバーラップをひたすら繰り返すと、どういったところで文を区切って読むのか、英語独特のイントネーション、リンキングなどを毎回考えなくても自然と習得できるようになります。

重要な意味を持つ単語はゆっくり、はっきり


イントネーションやリンキングをマスターできてきたら、次は、強弱をつけてみましょう。例えば、「What’s your name?」という文章だと、「your」はこの文章の中ではそれほど重要な意味ではないので、少し弱めに素早く読むとぐっと英語らしくなると思います。「How much is this?」は「How much」をゆっくり強調するといった具合に、文章の中で何を強調していのかを念頭に置いて話をするとより英語らしくなります。

また、「I bought this bag yesterday.」(私は昨日このバックを買った)といった文章で、
「I」、「this bag」、「yesterday」のどこを強調するかで、同じ文章でもニュアンスが全く異なって聞こえます。日本語でも同じですが、文章全体に抑揚、強弱をつけられるよう、ネイティブの話し方、例えばプレゼンテーションの重要な部分や結論を意識して聞いてみると感覚がつかめると思います。

洋楽を取り入れてみる


もし音楽が好きな方なら、洋楽を使ってリンキングの練習をしてみましょう。リンキングができていないと、テンポからはずれるのですぐわかります。使用する曲としては、ラップは、早口なことが多く聞き取るのも難しいので英語学習には不向きです。また同じ1曲でも、歌詞が単調なものではなく、歌詞が長めのものを選ぶといいでしょう。

例えば、Taylor Swiftの「You Belong With Me」は、テンポがやや早めで歌詞も長いのでリンキングを習得するのには向いている曲だと思います。歌詞を一生懸命目で追っているうちは、うまくついていけないことが多いので、テンポが速すぎてついていけない場合は、テンポを落とし、アカペラで詰まらず歌えるまで練習し、口がついていけるようになったら、音楽に合わせてトライしてみましょう。洋楽を通して、あれこれと頭で考えず瞬時にリンキングできる技が身につくと思います。

また、基本の音となる各アルファベットの音は、幼児向けの音楽としてYoutubeに多数アップロードされています。例えば、http://youtu.be/BELlZKpi1Zsでは、各アルファベットとそのアルファベットから始まる単語をすべて曲に合わせて歌っているので、リンキングの練習にはなりませんが、発音そのものの練習になります。

どうしても通じない時のために、類義語を増やしておく


一生懸命練習しても、ネイティブではないので、完璧な発音を手に入れるのはある程度時間がかかるでしょう。私たちにとっては同じに聞こえてしまう「R」と「L」の発音も、きちんとした舌使いをしないと、ネイティブにはすぐばれてしまいます。通じない理由として、発音の悪さの他に、使った単語がその状況にはふさわしくない単語で、ネイティブが何を言いたいのか推測できない場合があります。その時は、しつこく通じない単語を一所懸命英語らしく言ったり繰り返したりするのではなく、他の言葉で自分が言いたいことを補えるといいです。これには、普段から類義語を意識し、英英辞典を使い慣れておくと大変役立ちます。

類義語ではないですが、例えば「apple」をどんな言葉で説明できるかといったように、身近なものを自分の知っている範囲で、自分の言葉でどれだけ説明できるかを考えておくことも、勉強を進めていく際の指針になるでしょう。

違う言語であると再認識して話す


「Change of Language、 Change of Personality?」(話す言語を変えるとパーソナリティーまで変化する)といったおもしろい論文が2011年に発表されました。(http://www.psychologytoday.com/blog/life-bilingual/201111/change-language-change-personality)日本語と英語のバイリンガル女性に、「自分が望んでいることで家族と意見が合わなかったら」といった出だしで、日本語、英語でそれぞれその後の文章を考えてもらいました。

日本語では最後の一文が「それはとても不幸な時間だ」と締めくくられたのに対し、英語では「私のしたいようにする」と全く違う結論になったと論文の中では述べています。他にも、英語を話すときは、とても礼儀正しく話すのに、母国語であるドイツ語になると、早口になり、すこし失礼なしゃべり方になるといった例もあります。もちろん、こうした性格の違いを意図していないのに、その人の英語の能力の差によって、そうなってしまうという場合もあると思いますが、多少なりとも、話す言語がパーソナリティーに与える影響はあるのでしょう。

言語がここまで個人に影響を及ぼすのは、根本的に話し方が異なることが要因ではないでしょうか。こちらのビデオ(http://youtu.be/MSxNs4a8ELc)で、2分33秒から輪ゴムを使いながら、ネイティブのように単語の長さを意識して話すやり方と、すべての単語の長さをほとんど変えずに単調にしゃべるやり方を比較しています。興味深いことに、発音が完璧でも、単語の長さを変えずに単調にしゃべると、ちっとも英語らしく聞こえません。

初心者の方が、このように単語の長さを変えて話せるようになるには、多少時間がかかると思いますが、一番の近道としては、とにかくネイティブの英語をたくさん聞くことです。耳が英語に慣れ、不自然なカタカナ英語から徐々に脱却できるはずです。

パーソナリティーにまで影響を与えてしまう言語。「第二言語を話している」と意識せず、気持ちもネイティブになりきることが、発音向上には必要なのかもしれません。

堂々と話す


最後に、世界にはインドなまりや中国なまりの英語があるということを再確認しておきましょう。
パキスタンの16歳のマララ・ユスフザイさんが、女性の教育を受ける権利を訴え、タリバンによって銃撃をされましたが、それにも屈せず、術後国連でスピーチをしたことが日本でもメディアに取り上げられました。

国連でのスピーチの様子は、http://youtu.be/QRh_30C8l6Yで見ることができます。彼女の英語は、多少なまりがありますが、彼女の力強いメッセージは、堂々としたしゃべり方によって聴衆の心にしっかりと届き、世界からも大きな反響がありました。

発音やイントネーションなどを向上させることはもちろん重要ですが、それ以上に自分の英語を恥じることなく、堂々と話すことが日本人には足りないのではないでしょうか。動画をどんどん活用して、ネイティブ以外の英語も聞きましょう。