FX初心者に教えるデイトレードの基本
[公開日]2014/12/23[更新日]2015/04/17
FXの取引手法のひとつに「デイトレード」があります。初心者の方も言葉は聞いたことがあるかと思いますが、リスク低減などどのようなメリットがあるのか、基本的な考え方を解説します。
目次
FXのデイトレードは手軽
インターネットを通じて証券口座を開設し、取引が出来るようになって10数年が経過しました。それ以前の証券取引は、電話で証券会社の担当者へ電話をして注文したり、投資家自身が証券会社の窓口へと直接出向いたりして取引内容を告げるという方法でした。それほど頻繁に売買するものではなかったからです。
インターネット取引の開始によって、家にいながらにして証券取引が行えるようになるのと同時に、売買が全て自分1人で行えることから、短期間に決済してしまうような取引が流行しはじめました。
とはいえ、証券の売買には「受渡日」という制度があります。インターネットでのオンライン取引が個人による取引の主流となってからも、この制度は変わりません。注文を出して証券を買い付けた日から4営業日後に実際の証券を入手出来ます。この日のことを「受渡日」と言うわけです。
受渡日がくるまでの間は、証券口座にあずけているお金のうち、証券の購入にかかった費用が拘束されます。拘束された資金は、他の証券購入には利用できません。その日のうちに買った証券を売っても、受渡日までは余力が減ったままとなるわけです。
その後、頻繁な取引を行う投資家のニーズに答えるように、受渡日は3営業日後へと短縮されましたが、依然として使い勝手に難をかかえています。一方、FX取引では、その場で現金と外貨を交換しているかのように、ポジションを整理するとすぐに余力が復活する「差金決済」が主流です。
この事は、気兼ねなくデイトレードなどの短期取引を、心ゆくまで何度でも行えることを意味します。
デイトレードは手軽なだけではなくて、安全性も高い
取引のオンライン化によって、FXや株のデイトレードが手軽に出来るようになりました。ですが、デイトレードは手軽なだけではなく、安全性も高いのです。ここで言う「安全性」とは、もちろんリスク管理に関するものです。証券取引に関するリスクには色んな要素が影響します。投じる資金の量、参考にする指標の種類、考え方等々。
ですが、誰でも定量的に負うことになるリスクがあります。それが「保有期間」です。FXに限らず投資の世界では、ポジションを長く持てば持つほどリスクが高まります。時間の経過と共に、世の中では様々な出来事が起きます。それらはポジションを建てた時点では予想し得ない事です。
不確定要素が入り込む余地は、時間の経過を追う毎に増大していきます。
クルマが通行している道路を例に例えます。1秒の間に交差点を通過できるクルマは多くて2台、あるいは0台でしょう。ですが、1時間後ともなれば何百台ものクルマが交差点を通過しているはずです。当然、通過台数が多ければ多いほど、事故が起こる確率も高まってきます。
ポジションを保有している期間が長くなる、ということは、そうした「事故に遭う確率」を取り込むという事になるわけです。もちろん、大勝ちする可能性も高まりますが、リスクは不確定要素の増大を指している事ですので、危険性も時間に比例して高まるというのが基本的な考え方です。
ですが、デイトレードなら、そうしたリスクを背負い込むのは1日だけに限られます。もちろん、1日の間にもさまざまな出来事は起こりますが、そうしたことが起こる確率はオーバーナイトして他国の市場が大荒れになるという影響を避けられます。
これがデイトレードの最大の武器でもあるのです。
デイトレードはゆったり構えてトレードできる
スキャルピングとは違い、デイトレードはその日のうちに手仕舞いすればよく、あるていどゆったり構えたトレードが出来ます。1~2pipsを抜くトレードをこなすよりも、5~10pips程度の値幅を取ることを目指します。
値幅にこだわりすぎない
とは言え、そこまで値動きするには少し時間がかかる場合もあります。午前中は良いトレンドだったけれど、午後から急変するということもあります。本当は10pips抜きたいのだけれども、どうしてもそこまで届かないとき、他の取引参加者も同じジレンマに陥っている可能性があります。そのような時は跳ね返されてしまい、含み益が吹き飛んでしまう可能性もあります。
膠着したときに、含み益があるのなら、さっと利確してしまって、次の押し目が来るのを待つように作戦変更するのがコツです。
デイトレードに向いている通貨ペア
デイトレードは、スキャルピングのように極わずかな振れ幅を狙っても、なかなか利益を積み上げることが出来ません。大量の資金を持っていれば別ですが、そうでなければ先述の通り、スキャルピングの数倍以上の値幅を取ることを目指したいものです。
そうなると、ボラティリティが重要になってきます。ボラティリティは、株などでは流通量が少ないと大きくなるものですが、FXでは先進国通貨がよく動きます。ユーロ/円やポンド/円など、ユーロ/米ドルなども良く取引されます。豪ドル/円は日本と時間帯は近いので、日本時間に出された情報を利用することが出来ます。
スプレッドが小さい通貨ペアは利益を積み上げやすい
スプレッドは実質的に手数料となりますが、利益を出すために乗り越えなければ行けない壁でもあります。スプレッドが大きすぎると、それだけポジションを長く持たざるを得なくなり、リスク上も心臓にもよくありません。
流通量が大きくスプレッドが小さいのは、やはりユーロ/円、そして米ドル/円でしょう。こうした通貨ペアはボラティリティも大きめです。ただ、○○ショックのような事態が起きたら、まっさきに影響を受ける上、影響度も大きいので、荒れた相場の時にはポジションを小さめに取るなど工夫が必要です。
デイトレードに向いている指標
デイトレードでよく使われる指標はテクニカル系指標ですが、中でもボリンジャーバンドや一目均衡表が日本ではよく好まれています。ボリンジャーバンドは2Θや3Θのいずれか、または両方を表示して使います。
まず、平均線と+2Θとー2Θ(+3Θとー3Θ)の3本のラインに注目します、ローソク足の見方は、確定するまで待って判断します。15分足なら15分後、ということになります。エントリーはセンターラインを下から上抜けたらロングでエントリーします。下ヒゲが着くとベターですが、上髭の場合は様子見です。+2Θ(+3Θ)のラインにタッチしたら利確します。
そこから反落して平均線を割り込んだら、今度はショートでエントリーします。そして、-2Θ(3Θ)にタッチしたら利確です。2Θにするか3Θにするかは、どちらを見ている投資家が多いかによります。荒れた相場の時は大きめのレンジで利幅をいっぱい取ろうとするので、それがボラティリティに拍車をかけます。
そのようなときは成り行きではなく、かなり下目(上目)で指しておいて約定させることを狙う弱気トレードが奏功することも多いのですが、強力にトレンドを形成し始めたら行ったきり戻ってこないので、下手に追撃してドテンや底を掴まないように注意が必要です。
デイトレードには15分足~1時間足といった、スキャルピングよりも長めのローソク足を使うと良いでしょう。コツとして、時々は長めの足も出してみる、というのがあります。出しっぱなしで並べられるのならそうすべきでしょう。
時間的に短いレンジばかりを眺めていると、相場の流れを読みづらく、レンジを抜けた時にトレンドを形成するのかブラフなのかを読み違えることがあるので、時々は全体像を眺める、といったこともデイトレードには必要になってきます。
デイトレードに向いている時間帯
FXはいくつかの市場をまたぎつつ24時間売買出来ます。多くの為替市場を移り変わっていく中で、1日の間に全てのポジションをクローズするのがデイトレードなわけですが、日本時間で日が変わるまでにポジションをクローズするのが、もっとも日本人に馴染みやすいというのが自然だと思います。
ただ、専業トレーダの方の中で、昼夜逆転しても生活に支障もなく、問題もないということであれば、この限りではありません。デイトレードに向いている時間帯は、東京で指標が発表される午前8時の後、午前9時から11時まで、ロンドン市場が始まる16時を起点に18時まで、相場が大きく動きやすい22時から24時までが良い時間帯です。
指標が発表される時間帯をまたがずに、発表後に市場がどう反応したか、その動向を見極めてからトレードを開始するというのが比較的安全なスタイルと言えます。ですから、予め指標が発表されるスケジュールを確認しておくことが大事です。
午前5時から午前8時は取引が細っている時間帯で底を打ちやすいので、この時間帯に指値注文を出しておき、起きてからおもむろに利確、といったことも慣れてきたら行ってみても面白いかも知れませんが、あくまで趣味程度にすべきでしょう。
せっかく、デイトレードでリスクを限定的にしているのに新たにリスクを呼びこむことはありません。
FX初心者に教えるデイトレードの基本 まとめ
デイトレードはスキャルピング以上に自己ルール、特に損切りルールの重要性が高いトレード方法と言えます。投資家自身の考え方や成績によって、あるいはその時々の市場動向によっては、デイトレードの枠を超えて、スイングトレード気味にトレードすることもあろうかと思います。
そんな場合であっても、損切りできなかったからスイングトレードへ移行してしまう、というのはとてもリスキーな行為と言えます。リスクを1日間という期間に限定するのがデイトレード最大の意義だからです。デイトレードを始める前の心構えとして、勝っても負けても、含み損益を翌日に持ち越さないという決意がとても大事です。
翌日には、新たな気持ちと、最大の余力を携えてトレードをはじめられることこそが、デイトレードの意義であり最大の強みだということを肝に命じて頂ければと思います。