【不動産屋が教える】売れないのには理由がある!売却できない時の対処法
[公開日]2017/05/25[更新日]2017/12/11売れない不動産には、必ず理由があります。
特に、3ヶ月経っても売れないようなケースは珍しいと言えるでしょう。
価格、物件、不動産会社、この3つのうちのどこに原因があるのかを、早急に見極めなければいけません。
売却できないまま放置しては「不人気物件」のレッテルを貼られ、ますます売れなくなってしまいます。
目次
売れ残り物件の広告はマイナス効果しかない
3ヵ月間以上売却が進まない場合は、一旦物件情報サイトへの掲載などの広告を引き上げることも検討した方がよいでしょう。
潜在的購入希望者は、物件を常に探しています。
3ヵ月以上も物件情報サイトに掲載されているような物件は、
「なにか価格以外にも『他の問題があるような売れ残り物件』というレッテルを張られてしまい敬遠されてしまう」
というリスクがあります。
たしかに広告にずーっと載っているとなんだか嫌だよね。
長期間の広告は「人気がない物件」アピールでしかない
空き地や空き家で「売却物件」「入居者募集中」などの看板が立ててあるのを見たことがある方もいるでしょう。あのような看板も、広告効果は確かにあります。
しかし長期間立ててあると、空き家であることに人は慣れてしまって、
「まだ売れないんだ」
「あんな物件買う奴いるのかなあ」
などと、マイナスのイメージの方が定着してしまいます。
思い切って「売却物件」の看板を外した方が早く売れることも
逆に売却できていなくても、看板を外しただけで、「あそこも売れたんだ」と錯覚するものです。しばらく保有していても良いというよう事情であれば、一旦売却活動を休止してみましょう。
ほとぼりが冷めてから改めて販売活動を再開すると、良い結果が生まれることが往々にしてあるのです。
あえて広告を出さないのも、重要な販売活動だにゃ。
あなたの不動産の売り出し価格では売れない理由
売り出した不動産が売れない場合に、価格を見直すことはとても重要です。商品である以上、価格は、売れるか売れないかを大きく左右します。
不動産の価格に「正解」はない
不動産は相場商品です。世の中に二つとない商品であり、売主と買主の思惑で価格が形成されるものです。不動産に正しい価格は存在しない
正しい価格付けというものは存在せず、成約した価格が、その時点で正しい価格なのです。いくら売主が当初の価格よりも安くしたと思っても、その価格で買おうと思ってくれる買主が現れなければ、買うに値しない価格であったといえます。
買主の条件を満たしているからこそ購入する
安い、高いだけを論じていても意味がありません。安いには安いなりの理由、高いには高いなりの理由があると、買主は考えます。物件の条件に見合っている価格であり、物件の持つ価値が自分の買うための条件を満たしていると思うからこそ、買主は購入するのです。
物件の強みを把握した上で価格を設定
今まで売り出していた価格よりも「安く」することは、売却を進めるためには、確かに非常に有効な手段です。しかし、物件の長所・短所という特徴を把握し、物件の魅力・価値を購入希望者に的確に伝えて、それを買主は認めるからこそ、初めて買主は代価を支払うのだ、ということを理解しなくてはいけません。
割高だから維持費が高額な中古マンションは安い価格でも売れない
価格レベルや立地条件は何度も確かめて、近隣の売り出し物件とそう変わらないのに、なぜ自分のマンションは売れないのだろう、そう思っている人はいませんか?その場合は、
・共益費
・修繕積立金
・駐車料金
などの固定費の相場を近隣の物件と比較してみることも重要です。
このような固定費は、付帯施設や共用部分の仕様や、管理会社によってかなり金額に差があります。
買主は住宅ローンの支払いも管理費もまとめて比較する
売買価格が同レベルであっても、月々支払うことが決まっている固定費が、近隣の物件より数段高い場合は、
その金額の違いに見合うだけ、物件の魅力に差があるのか、
買主はかなりシビアに比較すると思って良いでしょう。
買主にとっては、住宅ローンの支払いも管理費も、住居費としては一緒です。
その金額の違いに見合うだけ、物件の魅力に差があるのか、
買主はかなりシビアに比較すると思って良いでしょう。
買主にとっては、住宅ローンの支払いも管理費も、住居費としては一緒です。
管理費などのランニングコストは、自分では左右できないコストで、売却価格に含まれるわけでもありません。
買う時には気にしても、売却する時には、ついつい忘れがちです。一度改めて確認しておきましょう。
今の価格で売れないのは「相場」「物件」「不動産会社」のどこかに必ず原因あり
マンションを売りに出しているのに、なかなか売れない、それはなんらかの原因が必ずあります。相場よりも価格が割高だと売れない
もしかしたら価格が同程度の物件と比較して、つまり相場よりも高すぎるのかもしれません。物件のアピールが不十分だと売れない
物件の魅力をもっとアピールすべきなのかもしれません。魅力をアピールする購買層の設定が間違っているのかもしれません。不動産会社との連携が間違っていると売れない
売却できないにも関わらず、原因を分析して改善しようとせず、そのままにしておいた不動産会社との付き合い方や、相談の仕方が間違っていたのかもしれませんね。何が原因で売れないのか早く分析しなくっちゃ!
安易な値下げはNG!売れない時にやるべきこと
なかなか売却が進まない場合には、価格を見直すことが必要なこともあるでしょう。
なんとしても処分すると覚悟を決めて、値下げを決断しなくてはならない場合もあります。
記事中で言及する「値下げ」とは、物件情報などに掲載する売却希望価格の値下げをいい、買主との条件交渉による細かな価格調整は除外しています。
不動産会社の査定価格が適正より高すぎるケースも存在
売り出し価格を決定する時には、不動産会社の算出した査定価格を基にして価格を決定したことと思います。しかし、査定価格そのものが少し高すぎた、ということはありえます。
理由としては、
・不動産会社が楽観的すぎた
・不動産会社のそもそもの査定能力に問題があった
・売却希望価格を伝えるときに売主としての意向を強く伝えすぎた。
(その結果、不動産会社が勝手に忖度(そんたく)してしまった)
などの原因が考えられます。
媒介契約を欲しいがために高査定を行う会社も
不動産会社によっては、
媒介(仲介)契約を結びたいがために、あえて高い査定価格を提出した
ということを平気でする会社もありますから、注意が必要です。
媒介(仲介)契約を結びたいがために、あえて高い査定価格を提出した
ということを平気でする会社もありますから、注意が必要です。
近隣の相場価格を再調査!ライバルの状況を確認
売り出し価格を決定するときは問題のない価格レベルであっても、後になって近隣で同様の物件が少し安めに売りに出されるというケースもあります。その結果、相対的に近隣の中で高い物件になってしまった、ということもあります。
新築マンションが近隣にないか?
新築マンションが近隣に何件も新築された場合に、新築に比較して高値感がでてしまう、ということもあります。
売り出し価格が適正であったかどうか、近隣のマンションの価格動向、売り出し状況について、改めて調査する必要があります。
売り出し価格が適正であったかどうか、近隣のマンションの価格動向、売り出し状況について、改めて調査する必要があります。
再調査の結果次第では、値下げは断行すべき場合があると考えましょう。
内覧まで持ち込むための解決策を考える
多くの購入希望者は、内覧後に購入するかしないかを決定します。より多くの人に内覧まで辿り着いてもらうことが売却を成功する王道だといえるでしょう。
内覧の希望を増やすためには、以下の二点が必要となります。
・価格を含めて物件を魅力のあるものと表現すること
・魅力ある物件情報を購入希望者に効果的に伝えること
・魅力ある物件情報を購入希望者に効果的に伝えること
内覧希望を増やすことは素人だけでは難しい
内覧希望者を増やすことは、「売主や物件そのものだけ」ではなかなかたどり着けません。
問い合わせや内覧希望を増やすためには、物件の魅力をいかんなく発揮するために優れた戦略や戦術を授ける「不動産売却の専門家」が必要になります。
また、購買層がどういった点を魅力に感じるか、ということも熟知していなければ広告活動を行っても成果を出すことは厳しいでしょう。
問い合わせや内覧希望を増やすためには、物件の魅力をいかんなく発揮するために優れた戦略や戦術を授ける「不動産売却の専門家」が必要になります。
また、購買層がどういった点を魅力に感じるか、ということも熟知していなければ広告活動を行っても成果を出すことは厳しいでしょう。
「不動産売却の専門家」になりえるのは、仲介する不動産会社です。
不動産会社の能力をフルに発揮してもらえるように、十分に相談して、内覧に来る人が増えるような広告方法や宣伝内容を考えましょう。
ケチな値下げは効果なし!値下げ価格にはインパクトが必要
近隣の物件情報を鑑み、値下げが必要だということになれば、思い切って価格を下げる方がインパクトは強くなります。購買意欲の高い人は既にあなたの物件を知っている
潜在的な購入希望者は、売り出しから2ヵ月程度経過していれば、既に自分の物件広告をチェックしていると思ってください。売主が思っている以上に、マンションを買いたいと思っている人は、インターネットや情報誌などで、物件情報をチェックしているものです。
購入を依頼された仲介業者も物件情報を確認済み
購入を依頼された不動産会社も同様です。依頼者の希望に添うような物件を探さなければ仕事にならないのですから、不動産会社専用のレインズといわれる物件情報サイトを毎日確認するのは当たり前です。
それに加えて、業者間の情報網や独自の顧客情報を駆使して、購入希望者の理想にマッチする物件を探しています。
反響なく2ヶ月経過するなら「物件情報」に魅力なしと考えよ
2ヵ月以上経っても売却が進まないのは、購入希望者に物件の情報が届いていないのか、届いた情報に魅力が無かったということになります。価格という条件で魅力が足りなかったのであれば、インパクトを与える変更が必要です。
検索するユーザーの行動をイメージ
情報サイトで物件を検索する際には、予算の価格条件で検索する場合があります。情報サイトの検索条件は3500万円~4000万円などと500万円単位となっていることが多いようです。
値下げ効果を得たいなら大台を割るべき理由
例えば3200万円でなかなか売却できなかったケースで考えます。
その時に3000万円まで値下する覚悟を決めたのならば、2900万円台まで値下げすることを筆者はお勧めします。
2千万台に突入すれば、2500万円~3000万円という条件で検索されることが可能になるからです。
その時に3000万円まで値下する覚悟を決めたのならば、2900万円台まで値下げすることを筆者はお勧めします。
2千万台に突入すれば、2500万円~3000万円という条件で検索されることが可能になるからです。
参考までに、相場の2割引き程度まで、価格を下げるのであれば、大体のマンションは売却できるといわれています。
そこまで価格を下げることができれば、買取業者が購入し、リフォームやリノベーションを実施して転売する、ということが可能になるからです。
それは最後の手段ともいえますが、売却になんらかの事情で期限があるような場合は、検討してもよいかもしれません。
そこまで価格を下げることができれば、買取業者が購入し、リフォームやリノベーションを実施して転売する、ということが可能になるからです。
それは最後の手段ともいえますが、売却になんらかの事情で期限があるような場合は、検討してもよいかもしれません。
「買取」は最後の手段にとっておいた方がいいにゃ!まずは売却で高く売れることを目指すにゃん。
値下げ後は「以前の価格に後戻りできない」
一旦値下げを実施してしまえば、以前の価格で売却する、という望みは捨てなくてはいけません。
値下げ情報を発信した後は以前の価格では売れない
前項でも述べたように、物件の情報は、潜在的な購入希望者は常にチェックしているものです。ましてや、インパクトのある値引きをした物件は、購入希望者層の記憶に残るものです。
インパクトのない価格変更では、せっかくの値下げの意味もありません。
値下げの事実が購入希望者に広く伝わってこそ、新たな買主候補が生まれるという意味のある値下げとなるのです。
条件交渉時の値下げは例外
条件交渉時の値下げは、売主買主間のみに適用される、購入を前提とした微調整という意味になります。
そのため、仮に交渉が不調に終わった場合は、別の購入希望者に物件情報に掲載している価格を改めて主張しても問題はありません。
そのため、仮に交渉が不調に終わった場合は、別の購入希望者に物件情報に掲載している価格を改めて主張しても問題はありません。
値段がコロコロ上下していると不信感にしかならないよね。
内覧の得意な不動産会社・営業マンを選ぶのが鉄則
売却がなかなか進まない場合は、不動産会社の実力や日々の活動をもう一度チェックして、改善されなければ変更も視野に入れてみましょう。
特に注目すべきは「内覧」です。
内覧が成功しない限り売却の成功はありえない
購入希望者を内覧まで導くのが第一段階だとすれば、内覧は最終段階です。多くの買主は内覧時の良い印象を決め手として、購入を決心しています。
逆に、内覧の印象は悪かったけれど、スペックが良いので後から思い直して購入を決心した、という買主は、ほとんどいません。
内覧時の対応力で明暗!売れる営業マンを見抜く2つの質問
・担当の不動産会社は、内覧時の準備や購入希望者を迎えるにあたってのチェック事項を連絡してくれていますか?
・不動産会社としてのおススメポイントや、強調したい魅力を売主と共有してくれていますか?
・不動産会社としてのおススメポイントや、強調したい魅力を売主と共有してくれていますか?
「この2つの質問で内覧の成功が分かれる」と言っても過言ではありません。
例えば、季節や窓の向きによって、内覧の時間を考慮してくれていますか?
日当たりも東と西向きの採光では、午前と午後でまるで部屋の印象が変わります。
眺望が魅力の部屋では夜景も見てもらった方がよいかもしれません。
「売れる」不動産会社はそこまで考えます。
「内覧を重視しない不動産会社には売却が得意ではない」といっても良い位、内覧は重要なポイントなのです。
売れる不動産会社の「定期報告の中身」とは
売却に関して、どういった広告活動、販売活動を実施しているのか、不動産会社から定期的に報告はされているのでしょうか?「売れる」不動産会社は、売却の成功に向けて以下の活動を行います
・物件の購買層を設定
・その購買層の属性に応じた販売戦略を検討
・販売戦略に則った戦術として広告活動、販売活動を実施
・その購買層の属性に応じた販売戦略を検討
・販売戦略に則った戦術として広告活動、販売活動を実施
筆者の売れる内覧マーケティング経験談
内覧の希望者が集まりにくい物件の売却を担当することが以前ありました。
売却予定のマンションの内覧を集めるための施策を検討した際に、マンションが大学病院の近くであることに着目しました。
その物件はファミリー向けマンションだったので、その大学病院の教員官舎のエリアにポスティングや新聞チラシを行ったのです。
広告の反響は大きく、その結果として内覧数が向上する、ということもありました。
売却予定のマンションの内覧を集めるための施策を検討した際に、マンションが大学病院の近くであることに着目しました。
その物件はファミリー向けマンションだったので、その大学病院の教員官舎のエリアにポスティングや新聞チラシを行ったのです。
広告の反響は大きく、その結果として内覧数が向上する、ということもありました。
売却プランでPDCAサイクルを回そう
不動産の売却が進まない場合には、・問い合わせ数
・物件の内覧数
・内覧希望者の属性
の3つを確認しましょう。
不動産会社と「これからどうすればよいのか」「どんな購入者が想定されるのか」といったことを相談し、実際にどのような手を打ったのかを報告してもらうことは、とても重要です。
PDCAサイクルは、企業の活性化の手法として有名ですが、不動産会社に能力を発揮してもらうためにも有効です。売主として積極的に不動産会社に働きかけましょう。
私もちゃんと勉強して、不動産会社の人とばっちりコミニュケーションをとるわ!
大手こそ要注意!悪質な不動産会社の両手仲介とは
両手仲介を目指すのは違法ではありませんが、度を過ぎる悪質な業者も後を絶ちません。
両手仲介を目指すあまり、他の不動産会社からの問い合わせに応えなかったり、初めから情報を外に出さなかったりする、「囲い込み」と呼ばれる行為を行う業者もあります。
成約が遅くなるばかりではなく、機会損失まで依頼者に発生する可能性があります。
仲介手数料を売主と買主の両方からもらう両手仲介
不動産会社は、売却の仲介を依頼された場合、売買契約が成立すると、売主から仲介手数料をもらいます。日本の法律では、この売買で買主側に仲介する不動産会社が存在しない場合は、売主に売却を依頼された不動産会社は、買主からも仲介手数料をもらうことができます。
逆に購入依頼を受けた不動産会社も、売主側に不動産会社が存在しなければ、売主側からも仲介手数料をもらうことができます。
これを「両手仲介」といいます。
そのため、多くの不動産会社はできるだけ「両手仲介」を目指しているのが現状です。
大手だからといって安心できない!両手仲介が怖い理由
本来、売主にとっても買主にとっても、できるだけ早く希望の条件で成約するために不動産会社と契約します。しかし、自社の利益のみを追求する不動産会社であった場合、「早く」よりも「両手仲介」を優先してしまうことが起こりえます。
大手の不動産会社はそんなことはないだろう、と考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、大手会社ほど、非営業部門の人件費や理費、イメージ広告の宣伝費、全国に広がる店舗網の維持費など、コスト負担も大きいため、営業利益の目標設定もシビアです。
大手不動産会社ほど両手仲介を目標としている
ある不動産専門紙の調査では、大手不動産会社トップ10の仲介売買金額に対する仲介手数料の平均は、5%を越えていました。
片方の依頼者からもらえる仲介手数料は、上限額を売買金額の3%+6万円と法律で定められています。両手仲介が成約数の半数を超えていなければ達成できない比率です。
大手不動産会社ほど、両手仲介を目標としているといえるのかもしれません。
片方の依頼者からもらえる仲介手数料は、上限額を売買金額の3%+6万円と法律で定められています。両手仲介が成約数の半数を超えていなければ達成できない比率です。
大手不動産会社ほど、両手仲介を目標としているといえるのかもしれません。
知識がない人ほど「聞いたことがある不動産屋さんだから安心」と思いがちだけど、それが正解とは限らないから要注意にゃん!
売れない不動産は見直し必須!3種の媒介契約の違い
売却を不動産会社に依頼する場合には、不動産会社は、媒介契約を依頼者と締結するように法律で定められています。
媒介契約には「一般」「専任」「専属専任」の3種類があります。
依頼者が他の不動産会社に同時に依頼できるかどうかで大きく区分されています。
他の不動産会社と契約できない場合は、不動産会社の義務が増えるようになっているのです。
媒介契約の区分による主な違いを解説します。
一般媒介契約は物件の情報を拡散しやすい
一般媒介契約 |
---|
他の不動産会社とも契約ができる |
依頼者が自身で見つけた買主と直接売買(自己発見取引)することができる |
契約期間の縛りがない |
業務処理報告状況の報告義務がない |
指定流通機構(レインズ:不動産業者専用の物件情報システム)への登録義務がない |
一般媒介契約は、複数の不動産会社と契約できるので、広く業界に物件の情報を広めることが容易となります。
その一方で、不動産会社にとっては他の不動産会社の仲介で契約されてしまうリスクもあるのです
簡単には売れそうもない物件と判断された場合は、積極的に販売活動を実施しないことも考えられます。
なお、営業活動の報告義務も不動産会社にはありません。
売れにくい物件は専任媒介契約・専属専任媒介契約がベター
専任媒介契約 |
---|
他の不動産会社とは契約ができない |
自己発見取引は可能 |
契約期間は3ヵ月以内、依頼者からの申し出が無ければ更新できない |
業務処理状況は2週間に1回以上の報告義務 |
レインズへの登録義務あり(契約日から7営業日以内) |
専属専任媒介契約 |
---|
他の不動産会社とは契約できない |
自己発見取引も不可(自分で見つけた買主とも不動産会社の仲介で契約) |
契約期間は3ヵ月以内(専任媒介契約と同様) |
業務処理状況報告は1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務(契約日から5営業日以内) |
専任媒介契約、専属専任媒介契約となるにしたがって、不動産会社は成約できた場合に仲介手数料が確実にもらえる契約となっていきます。
そのかわり、業務処理状況の報告の頻度も多くなり、両手仲介に拘らなくするようにレインズへの登録義務があるなど、不動産会社の義務も多くなります。
また、3ヵ月以上売却が決まらない場合は、契約を更新する権利は依頼者にしかありません。不動産会社の収入を保証する代わりに義務も増えるというわけです。
仲介業者のモチベーションアップ効果大
専任媒介契約、専属専任媒介契約は不動産会社が積極的に販売活動を実施できるような内容となっています。
売却が難しそうだと予想できる物件の場合は、専属専任や専任の媒介契約を結んだ方が不動産会社のモチベーションは上がると思われます。
売却が難しそうだと予想できる物件の場合は、専属専任や専任の媒介契約を結んだ方が不動産会社のモチベーションは上がると思われます。
契約日から3ヵ月以上売却ができない場合は、どの契約の場合でも、不動産会社を変更することも可能となります。
3ヶ月で売れないってことは手を打たないといけないってことだね。
処分できない不動産には固定資産税や経費が必要
不動産を所有していれば、毎年維持費がかかります。まずは税金がかかります。
不動産を所有することは維持費を払い続けること
毎年1月1日現在の所有者には、市町村の固定資産税課税台帳に登録された課税標準に一定の税率をかけた固定資産税が課税されます。またマンションの場合はほとんど該当しますが、都市計画法による市街化区域内の土地・建物には、都市計画税がかかります。
その他にも、マンションの場合には
・共益費
・管理費
・修繕積立金
・町内会費
など、毎月固定的な金額が所有者にはかかり続けるのです。
特に築後15年以上のマンションの場合は大規模修繕が必要となり、多額の金額が請求される場合もあるので注意が必要です。
売れない場合に賃貸物件として維持費軽減
売却がうまくいかなかった場合は、維持費の軽減のために、賃貸を考慮してみるのも良いでしょう。分譲マンションは賃貸マンションより付属設備や構造、間取りがしっかりしているため、特にファミリータイプは、賃貸専用マンションより人気が出る場合が多いものです。
立地や間取りによっては、賃貸に転用して収益物件と考えることも可能です。
民泊も高収益が期待できる可能性あり
一般の賃貸ではなく、民泊物件としての利用も、現在では検討できるケースも多いでしょう。
収益性でいえば、通常の賃貸よりも高収益が期待できる可能性があります。
収益性でいえば、通常の賃貸よりも高収益が期待できる可能性があります。
売れない物件を賃貸として儲けられるほど甘くない
とはいえ、筆者としては、売却できなかった物件を賃貸に転用するという考えは、あまりお勧めしません。マンションのマーケットは、同じ物件を居住用ではなく収益物件の投資用とみなす顧客も混在している市場です。
仮に投資して賃貸収益が見合う物件であれば、既に売却できているはずです。
ローンが終わっている物件の場合は、お小遣い稼ぎと割り切るのも良いですが、
・借り手がいない空き室期間などのロス
・借り手募集費用
・管理費用
などを考えると割に合いません。
収益物件としての賃貸に興味があるのであれば、多少安くしてでも売り切って、売却金を原資に投資用物件を改めて探しましょう。
その方が節税メリットも出ますし、収益的にも安定すると思われます。
売れない不動産を寄付できる自治体はめったにない
もう売れないマンションや、土地なんか売却することもできないし、地元の自治体に寄付しちゃおう、と考えた貴方、世の中そう甘くはありません。自治体は、目的のない土地や建物の寄付は受け付けてはくれません。
自治体が不動産の寄付を受け付けない理由
なぜならば、固定資産税や都市計画税は、市町村税です。自治体にとって貴重な税収減です。
目的もない寄付を受け付けては、税収が減少し、管理費が増大する、という財政にとってダブルパンチになってしまうのです。
目的もない寄付を受け付けては、税収が減少し、管理費が増大する、という財政にとってダブルパンチになってしまうのです。
一般的には、寄付をしたいと申請した場合、十分な自治体の調査をしてから初めて申請書類を交付してもらえる仕組みとなっています。
安易な寄付は受け付けてもらえませんので、ご注意ください。
不動産の処分は「売却」をまずは最優先に行動するにゃん。
地方・郊外・田舎の物件が売れない理由
2017年1月1日現在の地価公示価格を国土交通省が3月21日に発表しました。全国・全用途平均は0.4%と2年連続の上昇となっています。
インバウンド需要と低金利政策に後押しされた形で、不動産取引の活況が継続していること示しています。
しかし、個別の取引に目を向けたとき、売却しようとした不動産がなかなか売れない、といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
冒頭で、公示価格が2年連続上昇と述べていますが、詳細を見ると、2極分化が進んでいるのが分かります。
47都道府県の内、公示価格の上昇は実は18都道府県に過ぎません。
都市部の公示価格の伸びの一方で地方は下落傾向
東京、名古屋、大阪の3大都市圏は、住宅地で0.5%、商業地で3.3%と堅調であり、地方を代表する政令指定都市の札幌、仙台、広島、福岡の伸びも顕著でした。一方で3大都市圏を除く地方の平均は、全体で▲0.3%、住宅地で▲0.4%、商業地で▲0.1%の下落となっています。
こうした価格の傾向から、主要都市、商業地の人気が上がり、住宅地の人気が下がっていることが見て取れます。
都市部の公示価格上昇の一方で地方が下落していることの要因としては、
・観光地でもある主要都市への流入人口が増加
・オフィスや店舗、ホテル需要が大きい
・マイナス金利政策と相続税性の改正により、都心部の賃貸マンション投資が増加
・老齢人口が増加し地方の過疎化が進んでいること
・オフィスや店舗、ホテル需要が大きい
・マイナス金利政策と相続税性の改正により、都心部の賃貸マンション投資が増加
・老齢人口が増加し地方の過疎化が進んでいること
などが挙げられます。
かつては郊外のベッドタウンの一戸建てが憧れだったが…
高度成長期からベビーブーマーの世代には、購買層の増大に伴い、住宅の開発は郊外へと拡大していきました。「子供の成長に伴い、社宅や団地の狭い家から、郊外でも一軒家に住み、自家用車で移動する」
これが、ベビーブーマーの世代までの憧れのライフスタイルでした。一戸建ては成功した人生の象徴であったといえるでしょう。
都心から1時間前後の郊外に多くのニュータウンが開発され、そこを舞台としたドラマが80~90年代には盛んに作成されたものです
しかし、それから既に30年以上も経過した現在では、ニュータウンの子供たちは都心に勤務するために家を出て行きました。
その結果、郊外のニュータウンは、広すぎる家を持て余している老夫婦や一人暮らしの多い街と化してしまっているのです。
若年層に人気がない郊外のベッドタウンは売れにくい
小学校や中学校も統合され、本屋や文房具屋の代わりに、ケアセンターが増加する街に「ニュータウン」は姿を変えてしまいました。ニュータウンのような郊外の街は、ますます若年層にとって魅力の乏しい街となっています。
このような状況であれば、人気が出ないのも無理もありません。
自動車利用が前提の地方は「車を持たない」若者に人気なし
自動車の利用率の低下というライフスタイルの変化も伴って、交通の便の良い都心部の人気が高まっています。こうしたライフスタイルの変化が、地方や郊外、田舎の不動産物件の人気をさらに押し下げている、といえるでしょう。
売却しようとしている不動産が車利用必須な立地条件の場合は、注意が必要です。
購入した当事者でさえも都心回帰
活動的なシニア層でさえも、子供が独立して広くなってしまい掃除や維持に手間のかかる一戸建てを売却してしまうケースは珍しいことではありません。
文化施設や店舗が近くて便利な都心のマンションに移る方がニュータウンよりもリーズナブルである、というシニア層の意見も増えてきています。
文化施設や店舗が近くて便利な都心のマンションに移る方がニュータウンよりもリーズナブルである、というシニア層の意見も増えてきています。
自身が購入した時に感じたメリットを、今の時代ではあまり魅力に感じない世代が増えているという可能性を考慮しなければいけません。
高齢になるほど運転も危険だから、都心回帰も仕方がないのかもね・・・。
まとめ:買い手の立場で考えて不動産を売り切ろう
通常は、売却に出してから3ヵ月で売却するのが一つの目安です。
それ以上時間をかけては「売れ残り物件」のレッテルを張られてしまいかねません。
ときには不動産会社を変更してでも「必ず売り切るのだ」という強い気持ちで売却という目標に取り組むことが重要です。