【行政書士が警告】30年一括借上は罠!サブリースのデメリットとは
[公開日]2017/05/29[更新日]2017/12/11サブリース契約は夢のようなシステムです。しかし現在、この契約内容をめぐっての裁判が生じるなど、サブリース契約のデメリットが明るみになっています。
「契約を結んだ不動産会社が、30年間一括して借り上げてくれ、空き室があっても家賃保証をしてくれ、しかも管理は不動産会社に任せられる。」
このような魅力ある内容にもかかわらず、なぜ訴訟が起きているのか?
この点も含め、この記事ではサブリース契約に潜む注意点とデメリットについて解説します。
目次
サブリースの30年一括借り上げと家賃保証の本当の意味
サブリース会社のうたい文句「30年一括借り上げ」に、物件所有者の多くが魅力を感じるはずです。
しかし、きちんとその意味を理解していないと、のちのちトラブルに発展する恐れがあります。
30年借り上げって安心かと思ってたのに何か問題があるの?
30年一括借り上げは新築物件対象
サブリース契約では、最高で30年という長期保証を大きなうたい文句にして、物件の所有者にアピールしています。もちろん新築物件であれば、30年というのは、耐用年数から考えて十分の設定可能な期間です。
中古物件は30年借り上げが厳しい
ただ、全ての物件で「30年」という長期の保証をしてくれるのかというと、なかなかそう行きません。しかし、中古物件であれば、当然築年数に応じた期間が設定されます。
「30年一括借り上げ」は「30年一律家賃保証」ではない
実際に、この点が最もこの契約の重要なポイントです。
家賃の値下げが契約更新交渉の軸
30年一括借り上げの契約を結んだとしても、2~3年程度で契約更新を行い、条件が合致すればさらに更新するという方法を取っています。この条件とは、家賃の改定が契約更新時の争点になります。
「改定」と言えば聞こえがいいですが、物件そのものは劣化してくるわけですから、「家賃の値下げ」を行うのです。
家賃の値下げは所有者の収入減少に直結
入居者へ家賃の減額が行われると、物件の所有者に入ってくる「家賃収入」も、当然減額されることになります。家賃の収入が途中から減るようじゃ、30年借り上げでも安心できないわね!全く!
保証されているはずの家賃の変更は契約違反にならないのか?
ところで、ここで疑問に思うのは、数年おきの家賃の改定(値下げ)は、契約違反にならないのか、という点です。物件の所有者の立場から言えば、空き室があっても家賃収入を保証してくれますから、安心して契約を結んだはずです。
しかし、数年おきに家賃が下がる、つまり家賃収入が減額されるというのは、契約時に想定していなかったことです。
契約書の文言は不動産会社に有利な内容
この点については、「契約書」の文言を確認する必要がありますが、サブリース会社は不動産契約のプロです。
後でトラブルにならないような「上手な表現」を契約書で使っている可能性があります。
「(たとえ空き室があっても)家賃は保証します」
「○年ごとに家賃改定を行います」
と記載されていれば、たとえ「家賃の減額」があっても契約違反にはならない可能性があります。
「家賃の減額」は「家賃の改定」に含まれるからです。
後でトラブルにならないような「上手な表現」を契約書で使っている可能性があります。
「(たとえ空き室があっても)家賃は保証します」
「○年ごとに家賃改定を行います」
と記載されていれば、たとえ「家賃の減額」があっても契約違反にはならない可能性があります。
「家賃の減額」は「家賃の改定」に含まれるからです。
やっぱり契約書の言葉って会社有利になってるんだね・・・。
素人ほど要確認!不動産のサブリース契約の意味と仕組み
「アパートの大家さんになって、なるべく働かずに収入を得たい」というのは、誰しも思い描く夢です。
しかし、そのためには当然ながら「資金」が必要です。そして、物件(アパート)も建築しなければなりません。
サブリース契約って聞いてもわかっているようで、わかっていない。そんな人はこの項目を要チェックにゃん!
本来のサブリース契約の意味と仕組み
自分のアパートを所有し、入居者を募集して、自分で物件を管理し、自分で経営していくという方法がある一方、物件は所有するものの、後の管理、運営は外部に委託するという方法もあります。これが、今回取り上げる「サブリース契約」と言われるものです。
不動産経営の素人では経営リスク大
自分で全て管理、運営すれば、ほとんど自分の収入にできる印象を持ちますが、不動産の素人にとって、物件の管理、運営は想像以上に難しく、赤字を出したり経営的に破綻したりする等、危険が伴います。サブリース契約であれば管理や運営を委託できる
しかし、サブリース契約によって外部に委託することで、家賃収入が保証され、管理、運営はプロに任せることができるのです。問題になっているサブリース契約の意味と業者が儲かる仕組み
サブリース契約の仕組みは、次のようになっています。物件の全部屋を不動産会社が一括で借り上げる
まず、アパート等の集合住宅を所有している人は、不動産会社(サブリース会社)に一括で物件を借り上げてもらいます。よくCMで「一括借り上げ」という言葉を聞きますが、物件の全戸をサブリース会社に貸すという意味です。
物件の賃料をサブリース会社から受け取る
そして、物件の所有者は、サブリース会社から一定の賃料を毎月受け取ることになります。受け取る賃料は、その地域や間取り、築年数等によって算出した「実勢家賃」を基に決められます。
家賃保証の意味
物件の部屋が満室にならなくても、決まった賃料が支払われます。
これがいわゆる「家賃保証」です。
これがいわゆる「家賃保証」です。
物件を借りたい人はサブリース会社と契約する
物件を借りたい人は、物件の所有者ではなく、サブリース会社(不動産会社)と契約を結ぶことになります。入居者の管理はサブリース会社が行う
従って、入居者の管理はサブリース会社に任せることになりますから、所有者からすればとても安心です。家賃から手数料が差し引かれて所有者に支払われる
その代わり、所有者が毎月受け取る賃料は、入居者が支払う家賃よりも低く設定されています。つまり物件の所有者は、アパートをサブリース会社に経営してもらう代わりに、手数料を支払うという仕組みです。
サブリース契約は不動産会社に旨味がある内容
この「サブリース契約」は、一見物件の所有者のメリットばかりが目立ちますが、実は不動産会社・サブリース会社が儲かるようにできています。物件の所有者とサブリース会社との契約には、物件の建築とサブリース契約とがセットになっています。
つまり、物件の建築が大前提なのです。
アパート建築の費用の相場は素人にはわからない
もちろん、アパートがなければ何も始まりませんので、物件を建てることは当然なのですが、この建築によってサブリース会社(不動産会社)は、大きな利益を上げているのです。
物件を建築するに当たり、「このアパートが、本当はいくらで建つのか」が、素人には分かりませんから、サブリース会社の見積もりどおり、言われるままに支払うしかありません。
ここに、サブリース会社の儲けのからくりがあるのです。
物件を建築するに当たり、「このアパートが、本当はいくらで建つのか」が、素人には分かりませんから、サブリース会社の見積もりどおり、言われるままに支払うしかありません。
ここに、サブリース会社の儲けのからくりがあるのです。
アパートの建設費用の相場なんて普通は知らないにゃん。情報量でどうしても不動産会社に負けてしまうのが心配にゃ・・・。
サブリース契約のメリット:素人でもアパート経営を始めやすい
サブリース契約には、良い面と悪い面が混在します。
メリットとデメリットに分けて、これからご紹介します。まずは、サブリース契約を結ぶメリットについて、考察していきます。
大家をしたことがないって人でも、手軽にアパート経営ができるのはいいところよね。
空室と家賃の滞納の経営リスクを回避できる
自分でアパート経営をしている人にとって、最も頭の痛い問題は、所有者の損失に直結する空き室と家賃の滞納です。サブリース契約であれば家賃保証あり
しかし、サブリース契約の場合は、空室と家賃滞納のリスクに対して、下記のように対応してもらえます。
・満室にならなくても、サブリース会社が家賃を保証
・サブリース会社が入居者への家賃の督促含めて管理
・満室にならなくても、サブリース会社が家賃を保証
・サブリース会社が入居者への家賃の督促含めて管理
サブリース会社に管理を任せられる
サブリース契約では、物件の所有者がアパートを管理するのではなく、管理のプロであるサブリース会社(不動産会社)が管理を行います。所有者は管理業務を行う必要なし
アパートの日常的、全般的な管理業務については、物件の所有者は全く考える必要がありません。
家賃収入が一定のため収支管理が簡単
サブリース契約の場合には、家賃収入は一定していますから、収支管理や確定申告がとても簡単です。通常のアパート経営は収支管理・確定申告等が面倒くさい
しかし自分でアパートを経営している場合は、部屋の埋まり具合によって、月々の家賃収入が変動します。
そうなると、収支管理はもちろん、確定申告の際の計算がとても煩雑になります。
そうなると、収支管理はもちろん、確定申告の際の計算がとても煩雑になります。
不動産会社が管理するので入居者とのトラブルがない
サブリース契約では、不動産会社が管理をしてくれますから、物件の所有者と交渉することはありません。アパート大家にはトラブル処理能力が求められる
しかし、通常であればアパートの貸主と借主の間で、
・家賃滞納
・退去要求
・敷金返還
などでトラブルが発生することは、頻繁にあります。
・家賃滞納
・退去要求
・敷金返還
などでトラブルが発生することは、頻繁にあります。
サブリースのメリットだけ聞くと良さそうに思えるんだけどね・・・。うーん。
サブリース契約のデメリット:不動産会社の倒産リスク
しかし、サブリース契約には甚大なデメリットがあるのです。
うまい話には裏があるってこともあるから、しっかしデメリットも確認しよう。
サブリース会社の倒産
このサブリース契約で最も怖いのは、会社の倒産です。経営不振でサブリース会社が倒産した場合、今までの「賃貸借契約」は、物件の所有者が引き継ぐことになります。
サブリース会社の倒産後は管理業務の引き継ぎが発生
そうなると、今までサブリース会社に任せていた管理を素人の所有者が行わなければなりません。原状回復費用を自腹で負担するケースも
借主が入居時にサブリース会社へ預けている「敷金」が、倒産によって引継ぐことができない可能性もあります。
そうなると、借主が退去する際に、原状回復費用を所有者が全て負担しなければなりません。
そうなると、借主が退去する際に、原状回復費用を所有者が全て負担しなければなりません。
いずれにしても、サブリース会社の倒産は、物件の所有者に多大な損害を与えることになります。
「30年一括借り上げ」は「30年一律家賃保証」ではない
前述しましたように、30年一括借り上げという契約内容であったとしても、30年間ずっと同じ家賃収入ではありません。物件の経年劣化等に伴って家賃は安くなり、収入もすくなることが多くあります。
サブリース会社の手数料が引かれた家賃収入
自分でアパートを経営するのであれば、借主が支払う家賃がそのまま収入となります。しかし、サブリース契約の場合は、サブリース会社から保証料等が差し引かれて、所有者に支払われます。
サブリース契約上、仕方のないことではありますが、貸主としては、「せっかく満室なのに、これだけしか受け取れない」と不満に感じるところです。
所有者は入居者の審査ができない
サブリース契約では、自分の物件でありながら、どのような人が住んでいるのか、直接把握できないというデメリットがあります。自分の物件であっても誰が住んでるかわからない
通常のアパート経営であれば、貸主と借主との直接契約ですから、貸主はアパートを借りたいという人があった場合、自分で貸すか否かを決めることができます。しかし、サブリース契約の場合、サブリース会社(不動産会社)が管理していますから、所有者は入居者の審査にタッチできません。
自分の物件なのに、どんな人が住んでるかわからないのはイヤかなあ。
サブリース契約で裁判になったケースとは
サブリース契約の契約書に「家賃の改定(値下げ)はしない」と記載してあったのもかかわらず、サブリース会社が「家賃の減額」を申し入れてきたら、物件の所有者は契約の条項を根拠に、サブリース会社の要求を拒否できるのでしょうか?
この点に関して、実際にいくつかの裁判で争われています。
サブリース契約の訴訟の争点とは
もちろん、契約書に「家賃の改定はしない」と書かれていれば、サブリース会社からの一方的な「家賃改定」はできないことになります。ただ複雑なのは、サブリース会社と物件の所有者との間に、物件を借りている人(賃借人)がいることです。
賃借人が保護されるからこそ家賃の値下げが生じる
もし、賃借人から「家賃を値下げしてほしい」という要求があれば、認められるのが一般的です。不動産の賃貸借契約では、賃借人は弱者に当たりますから保護されるべき立場であり、「賃料減額請求権」は保証されているのです。
つまり、当初サブリース契約で「家賃改定をしない」という取り決めよりも、
弱者保護の趣旨から、賃借人の要求があれば、家賃の減額を認めよう
ということになっているのです。
減額の範囲について現在は争われている
もはや家賃の減額が生じるという点は争いのないことで、問題は「いくら減額できるか」ということが裁判の争点になりつつあるのが現状です。
家賃の減額はある。あとは家賃がどこまで下がるか?ということが争点にゃん。
迷ったら売却の検討を!サブリース契約も駐車場も安易に手を出すな
確かに、現在使っていない土地の活用は、頭の痛い問題です。「余った土地を活用したい」誰もが思います。
この思いに合致する事業形態として、サブリース契約が登場しました。
サブリース会社が儲かるようにサブリース契約はできている
今まで説明したように、サブリース契約には、「家賃収入が保証されている」、「物権の管理をしなくてもいい」等、多くのメリットがあります。ただ、一方で、「途中で家賃を改定(値下げ)される」等、思わぬ契約上のトラブルが発生しています。
結局のところ、このサブリース契約は、物件の建築と家賃保証(不動産会社の手数料収入)とが一体となっており、どこを取ってもサブリース会社(不動産会社)が儲かるような仕組みになっているのです。
途中でサブリース契約を解除しても物件だけが残る
もし、サブリース契約を結んだ後、契約更新の際に条件面でサブリース会社と合意できなかったとします。
その場合、契約そのものが解除になり、物件だけが残ることになってしまいます。
つまりこのサブリース契約は、もともと物件の所有者にとって、不利になるようにできているのです。
従って、所有する土地をサブリースで活用したいというのであれば、この点を十分理解した上で、契約を結ぶ必要があります。
駐車場での土地活用も管理には業者が必要
他にも、駐車場にして、少額でも安定的な収入を得たいという選択もあるかもしれません。しかし、駐車料金の設定や管理等、やはり不動産のプロの力が必要となってきます。
もしある程度高値で売れる場合があれば、思い切って売却してみるのも一つの選択肢です。
売却活動は大変だけど、売り切ってしまえばあとはラクだわ!
まとめ:サブリース契約が本当に適切か再検討を
しかし、その内実は、サブリース会社(不動産会社)が儲かるような仕組みが随所に存在する契約であることがおわかりいただけたのではないかと思います。
サブリース契約自体が、
・サブリース会社(不動産会社)にとって有利なように設定されている
・サブリース契約が解除になった場合、中古住宅が建った土地の処分に困ってしまう
といった内容のため、サブリース契約が適切かどうか、慎重に検討を重ねる必要があると言えるでしょう。