冠動脈の障害について、分かりやすい勉強方法はありませんか
[公開日]2014/12/24[更新日]2018/08/08
<質問>
CCUに勤務している新人看護師です。冠動脈の番号の図や、そこが障害された時に生じる障害について分かりやすく載っている本を、どなたかお勧めしていただけませんか? 配属先の看護基準にも図が載っているのですが、分かりにくいうえに、そこが障害されるとどうなるのかについての説明が一切なく自身で参考書を買おうにも、どの本が分かりやすいのかも分かりません。是非、お勧めの本やサイトがありましたら教えてください。しっかりとした知識を持ち、医師の指示を納得して実施するために勉強したいと思っているのでよろしくお願いします。
CCUに勤務している新人看護師です。冠動脈の番号の図や、そこが障害された時に生じる障害について分かりやすく載っている本を、どなたかお勧めしていただけませんか? 配属先の看護基準にも図が載っているのですが、分かりにくいうえに、そこが障害されるとどうなるのかについての説明が一切なく自身で参考書を買おうにも、どの本が分かりやすいのかも分かりません。是非、お勧めの本やサイトがありましたら教えてください。しっかりとした知識を持ち、医師の指示を納得して実施するために勉強したいと思っているのでよろしくお願いします。
<回答>
私は新卒から5年間、大学病院の循環器病棟で働いたことのある元看護師です。残念ながら病棟にCCUはなかったのですが、もちろん救急はありました。またその後、ICUでは冠動脈バイパスなどの術後も看ていましたから、相談者さんの不安は良く分かりますよ。新人でCCU勤務というのはかなりプレッシャーが大きいですよね。
病院として新人教育内容がどうなっているのか、とても気になるところなのですが、そうは言っても目前の現実問題ですから、なんとかしなくてはいけません。実は冠動脈と心筋の障害については、非常にポピュラーな内容です。参考資料は比較的簡単に手に入りやすいと思います。まずは看護に必要な基礎知識の確認や参考資料などをいくつかあげてみますので参考にして下さいね。
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目次
冠動脈を3Dでイメージしよう
看護基準に詳しく載っていなかったので、分からないとおっしゃっていますね。でも、看護基準はあくまでも看護計画に関連した内容ですから、病気について詳しく書かれていないのは無理もありません。冠動脈の働きや、構造については心疾患の中心になる部分なので、循環器に関する本なら必ず記載されているはずです。
相談者さんが新人であるのでしたら、学生時代のテキストは残ってはいませんか?。例えば医学書院の看護学生用テキストであれば、循環器疾患の検査と治療処置の章に冠動脈造影に関する内容として記載されていますよ。番号、略号の記述もありますから手掛かりとして使えると思いますよ。
では、その図表をもとに心臓を3Dでイメージしてみましょう。左右の心房、心室と大静脈、大動脈の位置関係、体循環と肺循環を思い描くことができますか。冠動脈は心筋の栄養血管として、心筋壁に張り付いて走行しています。細かな番号を覚えていなくても、右冠動脈、左冠動脈の前下行枝、回旋枝といった代表的な冠動脈が心臓のどのあたりを通っているかイメージできるようにしておきましょう。そうすれば、平面の図表もかなり理解しやすくなると思います。
ところで職場に心臓や冠動脈の実物大模型はありませんか?平面図の番号を覚えるよりも、実際の心臓や血管を立体的にイメージしてみると良いと思います。さらに冠動脈を単体で学習するよりも、心臓の機能と合わせて学習する方が、そこから派生する問題を考えることができ看護に役立てることができますよ。
冠動脈と支配領域
冠動脈の障害による心筋への影響を考えていきましょう。ご存じの通り、冠動脈は大動脈の起始部から枝分かれした血管で上部から抹消に向かって、つまり心尖部に向かっていくほど細くなっていきます。とくに左冠動脈はさらに二つに枝分かれていきますから、血栓などでせき止められる個所が上部であるほど、そこから下の心筋への酸素の供給が不足し心筋へのダメージを大きくしてしまうということになります。
そして最終的に酸素化した血液を全身に送り出す役割をもつのは左心室ですから、このあたりを支配領域にもつ左冠動脈や回旋枝の障害が起これば、生命予後に大きく影響することが予測されるわけです。
ですから急性期看護では、どの血管がどの程度閉塞しているかということだけでは情報としては不十分。その結果、梗塞範囲がどの程度か、心筋の動きはどうなっているかということが重要なのです。そして、それによって観察レベルやリハビリに伴うリスクを予想することができ、看護するうえで重要な情報となります。
相談者さんは医師の指示を納得して実施できるために冠動脈について知りたいとおっしゃっていますね。確かにそれは大切なことです。でも私たち看護師が知識を必要とするのは、より安全安楽で確実な看護を提供するためです。常に看護的な視点をもちながら学習を進めるようにしましょう。
責任血管としての冠動脈
相談者さんは冠動脈のどこそこに障害があると、どのような障害が起こるか…という点について何も書かれていないと言われていますね。それはむしろ書かれていないことが正解だと思います。冠動脈の何番が閉塞したら、このような症状が起こるといった単純計算はできません。ですから冠動脈の何番が障害されたとしても心筋梗塞という病名になりますし、致死性不整脈や心源性ショックいった合併症はどんな場合にも起こりうることなのです。
ただし前下行枝が責任血管になれば、前壁中隔梗塞のような重症な心筋梗塞を起こしやすいのは構造的にも理解できることですから、この視点を取り入れれば異常の早期発見に役立てることができますね。また心電図では波形によって心臓のどの部位に障害が起こっているかをおおよそ把握することができるので、再梗塞などの危険な兆候の早期発見に役立てることができます。
循環器看護に携わるものとしては心電図の知識も身につけておく必要がありますね。照林社の「心電図の波形見きわめ完全ガイド」は基本的な波形が分かりやすく説明されていて利用しやすいのでお勧めですよ。
お勧めするなら、こんな書籍
では冠動脈を含めた心臓の仕組み、代表的な疾患を学習するために分かりやすい書籍をご紹介しますね。
まずメディックメディアの「病気がみえるシリーズVol,2循環器」です。誌面上のイメージはやわらかく親しみやすいのですが、内容はなかなか丁寧に集約されています。冠動脈だけに限った内容ではありませんので、循環器系全般を理解するための手掛かりになります。また観察のポイントなども分かりやすく、看護に役立つ情報も多いと思います。メディックメディア社のホームページで一部立ち読みができますからお試ししてはいかがでしょうか。
次に書籍のタイトルどおりビジュアル的に優れているのが、学研の「循環器疾患ビジュアルブック」です。図や画像がかなり充実していて、心臓や冠動脈を立体的にイメージするために立つと思います。
また循環器ナースに特化した雑誌もあります。メディカ出版の「ハートナーシング」です。内科・外科に関わらず循環器疾患看護について幅広い内容ですので、相談者さんのように冠動脈についてピンポイントで知りたいと思う方にも役立つ情報がみつかると思います。
今回ご紹介した書籍は私の好みのセレクションですが、相談者さんもご自身と相性の良い1冊を見つけて下さいね。
関連サイトを利用するなら
書籍とならんでネットのサイトを利用して勉強するというのも手軽で便利ですね。ただしネットの場合、サイト責任者の匿名性が高いということが気がかりなところ。書籍のように執筆者や監修者がそれなりのポジションにあって、身元が明らかにされているというわけにはいきません。直接業務に関係してくる情報になるので、不適切な内容では危険です。そういう点では専門病院のホームページで、一般の患者さんむけに説明されている内容の方が安心できるということになるかもしれません。
という条件を踏まえたうえで、面白そうなサイトを見つけてみました。
まず日経メディカルのサイト「心カテブースキャンプ!」http://med-infom.com/?p=127。ゲーム感覚で楽しく勉強できそうです。
次に「まえだ循環器内科のホームページ」ですhttp://www.m-junkanki.com/。これは一般の患者さんだけでなく、医療関係者を意識した高度な内容になっています。特に冠動脈の走行がアニメーションでみられるので、とても分かりやすいと思いますよ。
知識は看護のために
冠動脈疾患や循環器の仕組みについて学習し得た知識は、看護に活かしてこそ価値があります。ではどうすれば看護につながるのか…ということになりますね。私たちは病気を治す仕事ではありません。その人があるべき最良の状態でその人らしく生活するためのお手伝いをするのが仕事です。
ですから冠動脈に障害を持つ人が無事に急性期を脱し、日常生活に戻れるよう患者さんの身体、こころ、社会背景のすべてを整えなくてはなりません。そのためには十分な観察とそのレベルに合わせた日常生活の援助が重要になります。私たちは捉えた情報を一般的知識に照らして、正常に回復していると言えるのか、何か異常が起こっているのかアセスメントし看護計画に反映させます。
特に急性期では変化が大きいので細やかな観察と迅速な判断が要求されるので、ある程度経験が必要になると思います。実はそのためにも看護基準があるのですが、情報の意味を深く考えなくても看護計画ができあがってしまうという懸念もあります。
学生時代苦労した看護過程展開を思い出して下さい。どんな場合も、私たちの行動の基本はそこにあります。そこで紹介したい書籍が、まず南江堂の根拠がわかる疾患別看護過程です。この根拠が分かるというのが大切なポイント。
なぜ酸素投与が必要なのか、なぜ厳しい安静制限が必要なのか、そのことの意味を明らかにすることで、疾患についての理解がより深まります。また、同様に医学書院の疾患別看護過程+病態関連図でも、現象の意味が分かってきますよ。トレーニングとしては手間がかかりますが、看護の手ごたえが違ってくると思いますので頑張ってみて下さいね。
冠動脈の構造と障害について知りたいというご要望に対して、端的にお答えできたかどうか少し不安ですがいかがでしょう。新人でCCUということですから看護を考える余裕もないまま、業務に追われているのではないかと思います。知識は看護のために役立てるという鉄則を忘れず、素敵なCCUナースとして活躍して下さいね。
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さて、ここからは転職を考えている看護師が登録しておきたい転職サイトを紹介します。
転職先を探す時には転職サイトに登録し、たくさんの情報の中から自分に合った求人を見つけることが得策です。
看護師の転職サイトを選ぶポイントは以下の3点です。
手厚い転職サポート体制があるか・・・看護師の転職では専属のキャリアアドバイザーを活用できるかが重要
公開求人件数が多いか・・・非公開求人もあるので完全にはわからないが取扱求人件数の目安になる
信頼できる会社が運営しているか・・・求人、キャリアアドバイザーの質に影響する可能性がある
これらの点を踏まえ、看護師が登録しておきたい転職サイトを選びましたので紹介します。どのサイトも登録は無料です。
なるべく多くの求人情報と触れたり、より自分に合ったキャリアアドバイザーを見つけるためにも、必ず2社以上の転職サイトに登録するようにしましょう。
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