看護師の仕事で鬱病になって、どうしたらいいのかわかりません

[公開日]2018/07/12[更新日]2018/08/08

看護婦が鬱病に悩む

<質問>
私は急性期病棟に勤務して3年目の看護師です。2ヶ月前にうつ病と診断されました。

臨床心理士と相談し、2週間の休みをいただきましたが、休みの理由は同僚に話していません。

現在、3交代で復帰していますが思うように働けません。

師長に退職の気持ちを伝えたのですが「もう少し良く考えるように」と言われ、同期は共同研究から外してくれて、引き留めてくれます。

先輩方も気になっているようで、同期にいろいろ聞いてくるようです。

結婚も控えているのですが、反応が怖くて姑にも話せていません。

辞めて新しいところで働けるかも不安で、何にストレスを感じているのかも分かりません。

こんな状態ですがご助言をお願いします。

<回答>
私も急性期病棟勤務4年目で結婚した経験がある元看護師です。

この時期は女性のライフサイクルの中で、仕事もプライベートも充実する時期に重なります。

考えなくてはいけないことがたくさんありすぎて、落ち着かない時期でもありますね。

相談者さんはすでにうつ病と診断されているということですから、まず体調を整えることが優先。

そこを前提にしながら、状況を整理しこれからの方向性について考えてみましょう。




まずは休養!看護師勤務よりうつ病治療が最優先



まずご自身の健康状態を安定させることが最優先です。

うつ病は必ずよくなる病気ですから、焦らずゆっくり考えてみましょうね。

一般にうつ病はきまじめで、責任感の強い人がかかりやすいと言われています。

きっと相談者さんもそうなんでしょうね。今回は臨床心理士さんに相談して休暇を取られたとのこと。

この病気の初期治療として、十分な休養をとることは何より大切と言われていますから、適切なサポートを受けられているようで安心しました。

とは言っても、こころの病気はそんなに簡単に回復するものではありませんね。

職場に復帰したからと言って、すぐに以前と同じように働けるとは限りません。

無理をすれば、また悪化してしまうのは目に見えています。

主治医とはどのような話をされていますか?お薬の投与は受けておられますか?

急性期病棟の看護師という激務に耐えられる状態かどうか、きちんと相談してみることをお勧めします。

是非、ありのままの気持ちを打ち明けて下さいね。

うつ病治療をしながら看護師を続けるなら周囲の協力が必要



相談者さんは、考えなくてはならないことが山積みで収集がつかなくなってしまっているようですね。

少しだけ問題点の整理をしてみましょう。

勤務時間を減らすなど周囲の理解と協力を求める
まず仕事についてですが、急性期病棟に勤める看護師は帰宅後もアラームの音が耳に残ったり、緊張感がほぐれず不眠になったりする場合があります。

そんな職場環境に馴染めないということもあるかもしれません。

そもそも3交代で働くということだけでも、自律神経系に負担をかけているわけですから、これでは二重苦になってしまいますね。

職場で了解が得られるなら日勤から身体を慣らすという方法はどうでしょう。

先輩や同僚に事情を話したくない気持ちも分かりますが、周囲の理解と協力なしでは難しいかもしれませんよ。

「結婚」などライフスタイルが変わるイベントは負担にもなる
次にプライベートですが、結婚の予定があるということですね。

実はこういったおめでたいライフイベントも、大きなストレスになってしまうこともあるようです。

ある調査によると女性の7割がマリッジブルーを経験すると言われていて、そのストレスの大きさが窺われます。

仕事にしろ、結婚にしろ周囲の人の理解と協力なしでは乗り越えることはできないと思います。

当面の課題は、素直な気持ちを伝えて、周囲の助けを借りることかもしれませんね。

転職もアリ!他の病院・クリニックなら看護師を続けられるかも


看護師を続けていく上で、その病院やクリニックが合わないということもあるかもしれません。

今勤めている病院でなければ看護師が続けられないわけではありませんし、環境を変えることで一気に働きやすくなる可能性もあるのです。

看護師を続けていると、どうしても今勤めている病院のことだけで頭がいっぱいになり、視野が狭まります。

看護師の転職サイトはたくさんあるので、いくつか登録してみて、キャリアアドバイザーの方と今後のお仕事についてお話してみてはいかがでしょうか。

それだけでも、視野が広がるきっかけになりますよ。

おすすめのサイトをいくつか紹介するので、参考にしてみてくださいね。


看護師専門の転職サイトについて詳しい比較はこちら

看護師の「3年目の壁」はうつ病のきっかけになるのか



質問者さんは3年目の看護師でした。

石の上にも3年と言いますが、3年という期間は確かにひとつの節目なのかもしれません。

私も3年目で同期と共同研究をし、病棟内での業務リーダーとして独り立ちした時期でもありました。

ようやくスタッフの業務分担や他部門との調整などができるようになり、仕事の面白さが見えてくる頃だったと思います。

私の場合、結婚はその翌年だったので、まずは仕事に集中することができました。

でも相談者さんの場合、仕事もプライベートも同時に大きなピークを迎えてしまったようです。

もちろん、結婚の時期もお2人でよく検討された結果なのでしょうから、人生のタイミングとは難しいものですね。

でも、もし臨床経験が3年足らずで退職してしまった場合、次の転職に自信が持てなくなってしまうことが心配になります。

そこも含めて師長さんも結論を急がないようにとおっしゃっているのかもしれませんよ。

3年を過ぎれば配置転換の対象にもなるでしょうから、慢性期やリハビリ中心の比較的ゆったりした病棟を希望してみるのも良いですね。

卒後3年目、それぞれの看護観が深まり、仕事の楽しさが実感できる大切な時期だと思いますよ。

看護師を辞めても、うつ病でも側にいてくれる人はいますか?



実はこの相談を読んでから、とても気になっていることがあります。

未来のお姑さんの反応が怖くて、辞めたい気持ちを話せないということですが、それはどういう意味でしょう。

お姑さんは看護師としての嫁に期待しているということでしょうか。あるいはうつ病と診断されたことが問題なのでしょうか。

そして、その中にあって、あなたのパートナーである婚約者さんは、どのような役割を担っているのでしょう。


今の不安な気持ちを素直に話せているでしょうか。

もしかすると身近な存在だからこそ弱みは見せたくない、心配をかけたくないと思うことがあるのかもしれません。

ですが本当はピンチになった時、全力で守ってくれる存在を求める気持ちはあるはずです。


実は私もICU勤務時代に先輩看護師と考えが合わず、退職を考えたことがありました。

当時は離婚後だったこともあって、退職後の生活も含めて父に相談しなければなりませんでした。

とても厳しい人でしたから「わがままを言うんじゃない!」と一喝されそうで怖かったですよ。

でも父は躊躇なく明快に答えてくれました。


「お前がそこまで考えたなら何も言うことはない。明日、辞めて来い。俺が面倒をみてやる。」


思ってもみない反応で驚きましたが、同時に辞めたい気持ちは吹き飛びました。

「いつでも無条件で受け入れてくれる場所がある」と思えるだけで前向きになれたんです。

相談者さんにとってそんなキーパーソンはどなたでしょう。

思い切って気持ちをぶつけてみませんか?きっと糸口を見つける手掛かりになると思いますよ。

看護師勤務・うつ病治療・家事を乗り越えるにはパートナーの協力必須



私には離婚経験があります。24歳で結婚し5年で破局を迎えました。

大学病院で3交代勤務を続けながら、家事をこなすということは、想像以上に大変なことでした。

そして、そんな頑張り過ぎの反作用が相手にもプレッシャーをかけていたのだと思います。

相談者さんの場合、こころの病気を抱えての新生活ですから、尚のこと心身ともに負担が大きくなるかもしれません。

たとえば睡眠時間です。特に夜勤前後には夫と生活リズムが合いません。

一緒に生活すると言うことは、共有する時間が多くなるということですから、睡眠時間を削ることになってしまいます。

うつ病の場合、かなりの頻度で睡眠障害が起こりますから、薬のコントロールも難しくなるかもしれません。

その他、主婦としての仕事は独身時代とは比べ物にならない手間と時間が必要になります。

もちろん、しっかりとサポートしてくれるパートナーがいれば問題はありませんが、彼はどうですか?結婚後の生活について、よく話しあったことがありますか?

そしてできることなら、それまでに夜勤のない部署に異動させてもらった方が良いと思います。

無理なく働ける環境さえ整えられるなら、適度に働く方が気分転換になるでしょうし、自分の自信にもつながると思います。

結婚後のライフプランをイメージしたうえで、望ましい就業形態についても考えてみると良いですね。

看護師を続けるならうつ病を告白し、上手に周囲を巻き込もう



相談者さんは、実はとても恵まれた環境にあることにお気づきでしょうか。


退職を急がないようにと助言してくれる上司。

研究のメンバーから外して負担を軽くし、なおかつ引き留めてくれる同期。

直接ではないにしろ、あなたの動向を気にしてくれている先輩。



それぞれに気遣ってくれているのが分かりますね。

周囲の人たちもうすうす感じていながらも、そっと見守るスタンスでいてくれることは、とてもありがたいことです。

それはきっとこれまで相談者さんが、誠意ある仕事をしてきた証なのだと思います。

極端な話をすれば「きっちり働けないのなら辞めて欲しい」と圧力をかけてきたり、イジメの対象にされるケースだってありますから…。


ただ、そうは言っても長期に休養を必要とすることが重なれば、他のスタッフへ負担がかかることは間違いありません。

うやむやのままでは済ませられなくなることは十分考えられます。


相談者さんが働き続ける意思をお持ちなら、今の状態をカミングアウトし、少し時間の猶予を欲しいと言ってみることが良いように思います。

疑心暗鬼になるよりも、風通しのよい関係の方が、心が軽くなるでしょうし、周囲もサポートしやすくなると思いますよ。

看護師を辞める?転職する?自分自身が幸せになるための決断を



ところで、相談者さんはどうして看護師になろうと思いましたか?

私はナースキャップに憧れたことと、収入の良さ。働く場所にも不自由しなさそうですし、人生何があっても自立していけそうな職業と思ったからです。


つまり、自分が幸せになるためです。


もちろん、実際に働いてみると得られるものは収入だけではありません。

多くの看護体験は私自身を成長させてくれる貴重なものだったと思います。


相談者さんは、看護師という仕事にどのような意味を見つけられそうですか?

健康な人間でさえキツイ、キタナイ、キケンな仕事。心身共に消耗の激しい仕事ですよね。

まして、こころの病気を抱えていては「何のためにこんな思いをしてまで働かなくちゃいけないんだろう…」と思っても不思議はないのです。


これまでの繰り返しになりますが、もし看護が好きで、それが相談者さんの心の支えになるのなら続けて下さい。

少しぐらい同僚に迷惑をかけたとしても、元気になったらお返しすればいいのです。一度リセットした方が良ければ、転職という選択肢もあります。

けれど、もし看護が好きでないのなら撤退する勇気も必要です。

不安定な気持ちのまま仕事をして、万が一、事故につながってしまったら取り返しがつきません。


仕事は自分が幸せになるための「手段」です。仕事に自分を奪われることだけは避けて欲しいと願っています。

ご承知のように、うつ病はストレス過多が原因で起こると言われています。

相談者さんのように、何にストレスを感じているのかさえ分からないうちに、症状を悪化させてしまっている場合もあるようです。

ですから今回、早めに治療を開始できたことは、本当に良かったと思います。


回復しだいでは、以前よりバリバリ働けてしまうかもしれませんね。

そのためにも今は十分休養をとり、くれぐれも無理をなさらないようお大事にして下さい。