CVポートが入っている患者さんが入院してきたときのチェック項目

[公開日]2015/02/02[更新日]2018/08/08

CVポート管理

先輩、大変です!
今日の入院患者さん「CVポート」が入ってるんです!

・・・で?

あの〜・・・そのCVポートってなんですか??

まさかそれだけで、大騒ぎしてたの?

はい!

・・・ま、仕方ないわ。じゃあ、チェックポイントをいうから、ちゃんとメモして

はい!

(返事はいいんだけどなぁ〜…)


CVポート挿入中のチェックリスト


<運用前>
カテーテルの挿入部位はどこか。
使用カテーテル及びポートの種類は何か。
カテーテルの先端位置はどこか。(胸部レントゲン写真による確認)
痛み・腫脹・発赤などはないか。
ピンチオフグレード(※1)は?(輸液ポンプ使用中の場合は、一度外す)
滅菌処置は万全かどうか。
ヒューバー針(※2)を使用しているかどうか
輸液ポンプを使用しているかどうか

<運用後>
逆血確認(※※)を行ったか。
生理食塩液注入時に違和感はないか。
・注入時の抵抗
・注入に伴う局所の痛み、腫脹、発赤、違和感など
輸液中の痛み・腫脹・発赤・ルート異常の有無など
輸液の自然滴下は良好か?(ポンプ装着前に確認)
投与中の確認事項(2、5、10~30分毎)
・痛み・腫脹・発赤・ルート異常の有無など
治療終了時に「パルシングフラッシュ(※3)、陽圧ロック(※4)」を行ったか?
ヘパリン加生理食塩液あるいは生理食塩液によるカテーテルロック(※5)を行ったか。

※1ピンチオフグレード
留置したカテーテルが鎖骨周辺の組織の間で、圧迫され疲弊することや、鎖骨下筋・肋鎖靭帯の複合体に閉鎖されたカテーテルが体動によって、牽引・圧迫され疲弊する事により発生します。体位を変えると逆血確認やフラッシュができる場合は、ピンチオフが起きている可能性が高いです。
グレード重症度対処
0歪みなし対処は不要
1歪みがあるが、管内は細くなっていない。胸部X線写真により、1〜3か月毎にグレード2へ移行するまで確認する。撮影の際は、毎回同じ位置で撮る様徹底する
2歪みがあり、管内が細くなっているカテーテルの抜去を検討する
3カテーテル先端が破損、断裂している直ちにカテーテルの抜去が必要


※2ヒューバー針
形状は、メーカーによっても様々ですがCVポートに穿刺するための針です。通常翼状針は、持ち手に対し、水平に針がついていますが、ヒューバー針は、持ち手に対し、垂直方向に針が付いています。
画像②
※3パルシングフラッシュ
「押す」「止める」を数回繰り返し、洗浄効果を高めるフラッシュ法です。

※4陽圧ロック
注入して、圧をかけながら生食orへパ生を全部入れきる前にクランプを行うこと。

※5カテーテルロック
カテーテル内に薬液や血液が残り、狭窄、閉鎖、劣化することを防ぐために行います。
⇒使用するロック液はカテーテルの種類により異なります。
①オープンエンドカテーテルの場合は、ヘパリン生食10mlを注入し、カテーテル内を洗い流しながら、ロックします。(ただし、出血傾向のある患者の場合は、医師に使用確認を必ず、得る事。)
②グローションカテーテルの場合は、生理食塩液で、カテーテル内を洗い流しながら、ロックします。

※逆血確認について※
逆血確認については諸説あります。何巡年もやってきたけど逆血確認なんてしたことないし、逆に不滅じゃない!?という意見もあります。しかし、正確には、必要な事です。ポート内でピンチオフなどのトラブルが起こっていないか確認するために逆血確認を行い、その後、生理食塩水10mlでパル寝具フラッシュします。アメリカでは、この確認無しに、ポートを使用することはないそうです。

なるほどです!じゃあ、チェックしてきます!

よろしくね。

・・・あ、ちなみにCVポートってなんですか?

そ、それも??

はい。だって、みたことないですし・・・

まあ、確かに在宅療養される方が使う事が多いからね。でも、これからは、そういう入院患者さんも増えるからしっかり覚えてよ!

はい!詳しくお願いします!

CVポートとは


cvポート主に「鎖骨下静脈」、「大腿静脈」、「内頸静脈」に挿入し、皮下に完全に埋没する中心静脈アクセスポートです。

CVポートの管理カテーテルを静脈に留置し、ポート部分を皮下に留置する方法で、中心静脈カテーテル同様、高カロリー輸液、化学療法などが可能です。通常時は皮膚で覆われているため、患者の負担も軽減します。ポートから先は皮下に埋まっていますが、使用時はこのような形で使っていることになります。

メリット
・中心静脈または静脈経路への注入がいつでも可能。
・カテーテル挿入時の感染リスクの予防ができるため、長期的に留置ができる。
・点滴中以外は、外しておけるため、比較的自由に行動ができる。
・歩行中などに誤って、抜去してしまうことがない。

デメリット
・穿刺には、専用の穿刺針が必要となる(コストも高い)。
・ポートの管理のため、処置が必要であり、穿刺時は痛みを伴う。
・カテーテル・ポート挿入による合併症発生のリスクがある。
・感染症などが起きた場合は、抜去のための処置が必要。

CVポートの目的


長期的に、高カロリー栄養の点滴を必要とする場合、化学療法を行う場合のためのアクセスポートとして用いられる事が多い。また、近年では在宅医療を希望する患者も増えているため、患者のQOLを考え、CVポートを使用し、自宅療養するケースにも用いられる。

CVポートの検査


逆血がない、生食等注入時に抵抗がある場合は、ピンチオフが起きている可能性があるため、X線写真を用いて診断する事がある。

CVポートの治療


通常、穿刺時の処置のみで、ポート挿入中に伴う治療はないが、観察は重要であり、必ず、合併症の有無を確認する。感染症などを起こした場合は、抜去の処置を行う。

異常発見のポイントと対処方法


逆血しない
腕をあげてもらうなど体位を変えて試してみる。体位の変動で逆血した場合または、全く逆血がない場合は、ピンチオフの可能性が高いため、先輩看護師、医師へ報告する。

滴下しない、フラッシュ時に抵抗がある
カテーテル内で血液凝固が起きるなどして共作しているか、ピンチオフが起きているため、先輩看護師、医師へ報告する。

うわ〜〜!!じゃあ、患者さんに取っては大切な物なんですね

そうよ。ポートを埋め込むときは手術しないといけないし、管理ができていないと命に関わる事もあるのよ。

そうですね!じゃあ、チェックリスト通りに観察して、アナムネも取ってきますね!

は〜い!頑張って!!
〜アナムネ聴取後〜

どうだった?

はい!チェックリスト通りにみてきましたが、異常はありませんでした。医師からも14時から高カロリー輸液開始の指示が出ています。

そう、ちゃんとチェック出来たのね。次にすることは?

えーっと、まず点滴の準備とアナムネを書いて、記録を・・・あ!アセスメントですね!

そうそう。『観ました。終わり』じゃないからね!

はい!

アセスメントもチェックリスト化したものがあるから、それでもう一度整理して、必要に応じて、看護計画を立てて行くのよ。

はーーーーーい!


アセスメント


<運用前>
チェックリストに準じ、CVポートの観察が行えたか。
ピンチオフグレードはどうだったか?ピンチオフはなかったか?
穿刺前の滅菌処置は万全であったか。
異常時、医師、先輩看護師への報告を行ったか。

<運用時>
滅菌処置は万全であったか。
CVポート穿刺は適切にできていたか。
異常時、医師、先輩看護師への報告を行ったか。

<運用後>
CVポート使用中のトラブル(痛み、腫脹、発赤など)はなかったか。
点滴終了後、出血などのトラブルはなかったか
全ての操作において清潔に行えたか

CVポートとCVC


ていうか、今思ったんですけど!

なに?

なんでCVC(中心静脈カテーテル)じゃダメなんですか?

えーーー!!目的のとこで伝えたじゃない!

そうですけど、CVCでも可能なわけですよね?

そうね。CVCでも高カロリー栄養も抗がん剤の投与もできるわね。

じゃあ、なんでですか?

それはね・・・自分で勉強しなさい!明日までにレポート提出!

ええ!!そんなぁ!


CVCとCVポートに関する比較レポート


CVC(中心静脈カテーテル)とは・・・
カテーテルの先端を中心静脈内に留置するカテーテルのこと。

CVポート(中心静脈ポート)とは・・・
正式には皮下埋め込み型ポートといわれ、皮膚の下に埋め込んで薬剤を投与するために使用するもの。

CVC・CVポートを使用目的
・高カロリー栄養点滴を行う
・抗がん剤治療を行う
・抹消ルートがとれない場合に行う(推奨はされない)
など。

輸血が必要な場合は、原則他のルートを使うこととされている。
しかし、やむを得ない場合は、終了後に充分に洗浄を行う。

CVC・CVポート挿入時の注意点
<感染予防が大事>
挿入時は必ず、「高度無菌バリアプリコーション」で行う必要がある。
高度無菌バリアプリコーションとは、キャップ、外科用マスク、滅菌ガウン、滅菌手袋、滅菌ドレープ(手術室で使用するもの同様のもの)を用いる血流感染予防策のこと。
消毒にイソジンスワブスティックを使用する場合、柄の部分の滅菌が補償されていないため、その手袋でカテーテル挿入をしてはいけない。
また、緊急時に挿入したCVCは、48時間以内に入れ替える必要がある。

<その他>
動脈穿刺、気胸、神経損傷などがある。

CVC・CVポート挿入中の注意点
<ここも感染予防が大事>
日々の観察を怠らない事、また、無菌操作を必ず行う事。
感染兆候が認められた場合は、使用を一時中断し、医師の指示を仰ぐ。

また、CVポートの穿刺時は、セプタム(CVポートの穿刺部分)と皮膚の損傷を抑えるため、毎回同じ部位を刺さないよう少しずつずらす必要がある。CVCの抜け、CVポートの脱落がないかも必ず確認し、発生時は、医師に報告する必要がある。

<その他>
空気塞栓のリスクもあるため、穿刺時、接続時、フラッシュ時など、慎重に行う。

CVCとCVポートの違いは・・・
 <CVC><CVポート>
穿刺部位「鎖骨下静脈」、「大腿静脈」、「内頸静脈」「鎖骨下静脈」、「大腿静脈」、「内頸静脈」
挿入方法無菌操作下で静脈に穿刺する無菌操作下で静脈穿刺、ポート挿入部の切開
交換期間定期的な入れ替えは不要。定期的な入れ替えは不要。
目的高カロリー栄養剤の点滴、抗がん剤投与など。高カロリー栄養剤の点滴、抗がん剤投与など。
点滴不使用時の状態カテーテルが挿入部位から見えている状態。オープンで、カテーテル固定なども不要。
ガーゼ、フィルムなどで固定しておく。

どうですか?

うーん、まあ、物足りないけど、違いを整理できた点は合格かな

よかった!目的によってCVCかCVポートを選択したり、患者さんのQOLを重視してCVポートにしたりするんですね!

そうね。特に在宅医療を受けている方は、CVポートの方が管理はしやすいでしょうね。

なるほどです!

ま、今回はコレくらいとして、また穿刺時と挿入時の時は、もっともっと細かいレポートが必要ね!!

ええ!!・・・なんか先輩うれしそう、、、


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