転職経験のある看護師が看護師転職サイトを評価してみると

看護師の転職を考える方は、いくつか転職サイトを閲覧すると思いますが、どのサイトもコンテンツが多くて、どこがどう違うのか迷う方も多いのではないでしょうか。看護師の求人は多いので、人を多く引きつけられるようサイトの内容を充実させ続けています。
転職を経験したことのある看護師が、看護師転職サイト６つについて、特徴を分かりやすく紹介しました。

ナース人材バンクhttp://www.nursejinzaibank.com/

サイト名が看護協会のナースバンクに似ているので、少し堅苦しいイメージがあるかもしれません。しかし、実際のサイトは、全国各地の求人内容を気軽にサクサク閲覧できるものとなっています。

各地域の求人情報のまとめもあり、概要がつかみやすい。無登録な人にまでこんなに情報を提供してしまって良いのかな…と疑問に思いますが、その合間に非公開求人の病院が詳細を伏せられた状態で織り込まれていて、とても効果的な構成になっています。

求人数については地域ごとの求人件数となっているので、全体での比較は難しそうです。ユニークなのは看護師採用担当者に向けたページが用意されていたこと、サービス紹介が充実していたことです。とりあえず求職を考えている人、コンサルタントに具体的な相談をしたい人に分けて窓口があることや、よくある質問では無料で利用できる転職サイトの仕組み、メリットなどが丁寧に説明されていて安心感があります。

「看護師転職コンテンツ」では、平均給与などが地域別に細かく整理されていて転職を希望しない人でも興味をもってみられます。関連サイトをみるとナース専科や通販サイトのピュアナースがあり、看護学生から一般の看護師の実態までよく分析されていることがわかり、サイトのきめ細かさが納得できました。

看護のお仕事 http://kango-oshigoto.jp/

こちらはトップページが印象的です。杏さんの潔さが雰囲気に良く合っていることと、その反対にサイトキャラのペリカンゴが可愛らしく親しみやすさアップ。それから「理想の看護ができる場所」というキャッチに強く惹かれます。

理想の職場が見つかるというのではなく、理想の看護ができるという表現は看護師としてのプロ意識を刺激されます。また杏さんと現役看護師の対談動画も看護師という仕事の魅力を良く伝えています。転職を考える時には、現実逃避などの後ろめたさや、迷いも少なからずあると思いますが、そこを払拭し前向きになれる感じがします。

掲載事業所情報は12万件以上ということで小規模病院から国立の大学病院まで、広範囲に網羅されています。個人的には今まで考えたことがなかった治験コーディネーターの求人も、意外と身近にあることが分かり、思わず登録してみようか…と気持ちが動きました。キャリアコンサルタントの紹介や実績紹介もあって安心でき、転職の成功事例だけでなく失敗事例もあり、実践的な転職マニュアルとして使えそうです。

また小さな部分ですが、トップページ右上に「検討中」を履歴に残せる設定が大変便利です。転職予定が直近でない場合は、自分なりにゆっくり考える時間も必要なので、細やかな心遣いが嬉しいですね。

マイナビ看護師 http://kango.mynavi.jp/

登録件数について具体的には把握できなかったのですが、最大級ということですから規模としてはかなり大きいのでえしょう。しかし、充実しているのは登録件数だけでなく、コンテンツの豊富さもです。

トップページでまず驚かされたのは「大阪の病院見学バスツアー」です。完全無料でお弁当付き、おまけに友人知人もOKとのこと。これなら転職の予定がなくても参加してみたくなりますね。その他訪問看護やクリニック、治験業界についての特集を組み、仕事の内容等について詳しく説明している点がとても役立ちそうです。一般の病院に比べて、イメージしにくい事業所でもあるので参考になるでしょう。

しかし、転職のためのお役立ちガイドはとても助かるのですが、「１週間で転職する方法」というコーナーには疑問があります。すでに離職していて再就職する場合は良いのですが、転職がこんなに短期間でできるとすれば、退職される側の事情も気になります。またこういう方法で簡単に転職できたとすると、次々と軽い気持ちで転職を考えるようになってしまう可能性もあります。

キャリアコンサルタントの紹介は充実していますが、年齢層が若いです。こういうサイトを利用するであろう年齢を考えると相談しやすいと思いますが、彼らのキャリアから、どの程度看護という仕事を理解し求職者の適性を判断しているかが気になるところです。

希望の病院の資料請求ができたり、じっくりと検討できるように閲覧履歴を保存できたりと親切な設計になっているところは、利用者が自分の好みとペースで検討でき、使いやすいと思います。

ナースではたらこ http://iryo-de-hatarako.net/

このサイトを初めてみた時、上戸彩さんと顧客満足度第1位のロゴで、引っ越しのCMのような印象を受けました。有名タレントの使用は目を引きますが、単なる看板になっているところが残念です。登録件数は9万件ということで、全国の事業所を簡単に検索できるシステムは他社と同様便利です。

しかし、特別興味を引く情報がなく、どこからクリックして良いか迷ってしまいました。トップページからサービス紹介や、転職成功例に飛べるのですが、これがあまり目を引かず、実際に飛んでみると文字量の多さに辟易してしまいます。とてもひとつひとつ読んでみる気になれません。成功事例についても、参考にはなりますが想像の域を超えておらず、影響する説得力が感じられません。

「働きやすさレポート」のコーナーは実際の現場やスタッフの生き生きした様子に臨場感があって興味深いものでしょう。

こういったコーナーと、「Happyボーナスキャンペーン」といった企画が同様に並べられているのがもったいないと思います。求職者にとっては管理職での転職でなければ満額10万円いただけない企画より、現場の活きた情報の方が価値があるように思います。

こちらのサイトでは、サイト側の実績に重点が置かれている印象で、求職者の思いに働きかけたり、看護という仕事の豊かさをアピールするといった部分が薄く感じられます。またHappyボーナスというネーミングは心をくすぐられますが、他社でも転職支援金、あるいは転職お祝い金といったサービスも用意されています。ここでは半年継続勤務が条件ですが、他では契約成立時にも支給されるというところもあります。十分な比較検討をする必要があるでしょう。批判的な内容に終始したようで恐縮ですが、看護師に特化したサイトとしては残念な内容と感じてしまいました。

ナースフル　http://premium-nurse.jp/

ここはまさにリクルートという印象です。公開求人件数は把握できなかったのですが、全国各地の公開求人からオススメ求人まで手軽に閲覧することができます。また年収の比較や給与明細等の解説に至るまでスマートで丁寧に説明されています。

とくに「転職マニュアル」では、求人情報の提供だけでなく、再スタートに向けての自己分析から、退職に関わる手続きに至るまで分かりやすく説明されていています。やみくもに条件だけで転職先を選んでも、同じような失敗の繰り返しにつながりますから、自分を客観視するプロセスを盛り込んでいるところは優れた点でしょう。

さらに看護師のお役立ち情報の豊富さにも驚きです。認定看護師や専門看護師を目指す人への情報や、看護部長へのインタビューなど転職を希望していない人でも興味を持てる内容です。とくに「一生ナース宣言」では、知名度の高い看護の先輩たちがそれぞれの経験を語っていて興味深いです。何らかの事情があって転職を余儀なくされていたとしても、多くの看護師は自分の仕事に誇りを持っていると感じられました。

その思いに働きかけながら、転職に関して必要な情報が綿密かつ優しく網羅されています。看護師と事業所のマッチングに留まらず、看護師としての成長を応援してくれる優しさに好感が持てます。

看護roo　http://kango.919.co.jp/

サイト名を絡めたカンガルーのキャラクターが可愛いく、サイト全体の色調がオレンジ系で落ち着いた感じがします。看護求人サイトは、なぜかほとんどがピンク系の色です。女性が圧倒的多数をしめる業界ですから、そういうイメージで作られてしまうのでしょうが、男性看護師には「甘すぎる」デザインに躊躇してしまうでしょう。その点、ここなら違和感なく閲覧できると思います。

看護rooの特徴は、首都圏、関西、東海とエリアが限定されていること。その中で２万件以上求人保有とのことですから、かなりディープな情報があると期待してしまいます。実際に気になる病院を検索してみると、情報の詳しさがとても嬉しいです。仕事内容、諸手当等はもちろん、キャリアパートナーからの補足情報に、患者さんの口コミ評判まで盛り込まれています。求職者としての立場からは非常に興味深い内容です。

また、その他のコンテンツの内容が、とても充実かつ実用的です。「転職ノウハウ」のコーナーでは転職にあたって自己分析から、実際の退職に向けての事務手続きに至るまで一貫性があって分かりやすいと思います。その他にもQ&Aで転職にまつわる細かな疑問にも答えてもらえるシステムまで用意されているところが役立ちます。

いくら専任コンサルタントにすべてお任せで良いですよと言っても、まずは自分で考え自分で動く、ということも大切です。その考えるナビゲーション役としてはとても優秀です。この細やかな心配りは看護と看護師の実態を良く知っていなければできないと思いましたが、そのヒントはちゃんとありました。この転職サイトにリンクしてナースコミュニティがあります。現役の看護師、看護学生などが交流したり、ブログを公開していたりします。もしかすると職場のトラブルで転職を考えていた人も、ここで解決のヒントをもらって転職を思い留まってしまうのではないかと思うほどです。

転職を促すばかりではなく、継続するためのフォローをしっかりしているからこその内容に厚みが増すことを実感しました。