『痩せた?』は褒め言葉じゃない!宗教・性別・人種・見た目、あなたは日常英会話でタブーな話題をいくつ知っていますか?
[公開日]2016/10/25
筆者がアメリカ留学をする前、十代の時に日本で英語の勉強をしていると、こんな文章を目にしました。
「留学して、現地のアメリカ人と話をする時にしてはダメな話題:宗教、人種、文化背景、性、教育、政治など個人的な話題」
筆者は留学後しばらく、この「口にしてはダメな話題」をいつも頭の片隅に置いておきながらアメリカ人と怖々話をしていました。
文法の間違いは自分が恥ずかしいだけで済みますが、悪気はなくとも現地の人を怒らせたり嫌な気分にさせたりというのは避けたいところです。今日は、そんなタブーの話題のとらえ方と、どうやって付き合っていけば良いのかお話します。
目次
来日した旦那が驚いた!日本で当たり前に飛び交う女性への「デブ」&「ブス」
外見をコメントするのはマナー違反と心得る
日本に来た直後、アメリカ人の旦那は日本のテレビを見るとこうやって驚いていました。"They are making fun of that girl!?”
(あの女の子を皆馬鹿にしているの!?)
(あの女の子を皆馬鹿にしているの!?)
日本のバラエティ番組で、太った女芸人さんが、皆にいじられるというシーンはよくありますよね。芸人さんは性別を問わず、外見も含めていじられてなんぼという価値観が少なからずあります。
これから派生したのか、実生活でも自分の外見を先に言って笑いのネタにしてみたり、親しい友達同士で「太った」「やせた」「足の形がおかしい」などとコメントするのはよくあります。
これがアメリカ人にとっては信じられません。テレビの世界でもまず見ないでしょう。特に女性に対して「デブ」だの「ブス」だのというのはマナー違反です。外見に対するコメントは、人の心にずけずけと入っている印象を受けられます。
なんでも褒めればいいわけではない!
往々にして、日本では外見に関してのコメントが多く、アメリカではまず外見にはふれません。その人が見につけている服やアクセサリーを褒めることはあっても、その人の外見そのものに対しては、口にあまりしないものです。また、“Did you lose some weight?"
(ちょっと痩せたんじゃないの?)
(ちょっと痩せたんじゃないの?)
というのは、褒め言葉でないことを覚えておいてください。日本では痩せることが美とされていますが、海外では必ずしもそれで相手がよろこぶとは限りませんので、できれば避けた方が良いでしょう。こんなアメリカの感覚に慣れている筆者ですので、外見をわざわざ口にする日本の文化で、ひやっとすることもたまにあります。悪気はないのは分かっていますが、英会話を少しずつしゃべれるようになってきた日本人が、外国人と話をする時に
“You are very thin”
(とても細いですね)
“Are you tired? You look very tired”
(疲れているの?とても疲れているように見えるけど)
(とても細いですね)
“Are you tired? You look very tired”
(疲れているの?とても疲れているように見えるけど)
などと、外見のみをベースにした根拠のないこのようなコメントは、気分を悪くさせてしまう可能性があります。アメリカ人はよっぽど親しくなければあまりわざわざこういうコメントはしません。
英会話を楽しむなら、洋服を褒める!アメリカ人と日本人の『外見に対する価値観の違い』
アメリカは違いを指摘するのではなく、受け入れる文化を持っている
外見について触れてはいけないとお伝えしました。これはなぜかというと、筆者が考えるに、まず、アメリカという国では
“All people(women) are beautiful”
(すべての人は美しい)
(すべての人は美しい)
という前提で動いています。括弧で(女性)と書いたのは、特に「女性は全て(どんな体型でも外見でも)美しい」という風潮があるからです。
アメリカ本土へ渡った方ならだれでも分かると思いますが、アメリカには本当にたくさんの人がいます。どこへ行っても「日本人」という民族で成り立っている日本で生まれ育った私たちにとって、これは慣れない感覚です。
肌や髪、瞳の色だけではなく、しゃべる言葉や生まれ育った文化背景が全く違う人たちが暮らしています。あらゆる国や地域から来た移民が、混じりあって成り立った現代のアメリカという国ですから、彼らの外見も、日本では見たこと聞いたことのない人間ばかりです。
まさに十人十色の世界!比べることは無意味
分かりやすくいえば、日本では見たことのないくらい背の高い人、低い人、太っている人、痩せている人と幅広く存在します。また、外見には病気や遺伝の背景もあるので、安易に口に出すのは特に気をつけたいところです。黒い髪と茶色い瞳、誰もが一貫した文化や教育で育ち、日本語をしゃべる日本人。そんな日本で暮らして、私たちはお互いに似ているからこそ、人と比べるということを日常的にやってしまうのです。筆者はそんな日本から離れ、アメリカのこの価値観に慣れたことで、比較することをやめました。
アメリカでは人間が違いすぎて比較できませんでした。どう頑張っても、アジア人である自分は黒髪と日本人特有の胴長短足で生きていくしかなかったのです。金髪でモデルのようなプロポーションの女子とは別の人間なのです。
こんな理由から、どんな人もそのままで美しいし良いところがたくさんある、という風潮ができたのでしょう。アメリカ人はお互いの外見についてはコメントしないし、気にもとめない人が多いのです。
日常英会話で盛り上がる下ネタも言わないほうが安全
下ネタが得意な人や苦手な人が日本でもいますよね。もしその人が得意なのかどうか分からないときは、言わないほうが無難。これは英語でも同じです。アメリカ人は下ネタの中でもトイレネタも同じくタブー視するところがありますので気をつけてください。
“I had food poisoning over the weekend. It was horrible. My stool was like…”
(週末、食べ物にあたちゃってさー、最悪だったよ。ウ○コがまるで。。。)
“OH! TMI!”
(オー!Too Much Information!(情報過多))
(週末、食べ物にあたちゃってさー、最悪だったよ。ウ○コがまるで。。。)
“OH! TMI!”
(オー!Too Much Information!(情報過多))
といって、耳をふさがれて逃げられるかもしれません。ちなみに、”TMI” は“Too Much Information”の略で、「これ以上知りたくなかったことを知ってしまった!もうしゃべるのやめてよ!」と言いたい時に冗談交じりな感じで使われます。
アメリカ人は、キリスト教の影響が大きいのか一般的に言って、体についての話題に弱いです。銭湯や温泉もないですし、親子も別にお風呂に入るような文化ですから、自分以外の体を見る機会があまりありません。そのため、肉体自体や生理的現象をタブー視する流れがあるのだと筆者は解釈しています。
ざっくばらんな会話が好きな方は、「何でもオープンそうなアメリカ人と自由な会話を楽しめないのは残念」と思われるかもしれませんが、もちろん親しくなってきて、下ネタが大丈夫な相手だとわかれば、それを楽しむのもありです。
筆者も、もちろんそんなネタや、汚いジョークを言って笑いあえる友達もいました。ただ、最初だけは気をつけておいてください。
英会話がもっと楽しくなる雑談力を英語で磨く方法(別記事へ)
まずはニュースの内容をそのまま伝えてみて!政治で分かる価値観
政治に関する話題も避けた方が良いです。というのも、アメリカ人は冗談でも政治がからむと途端に必死になる人もいるからです。「外国の人は若い人でも政治に興味があって、意見を持っているけれど、日本人は全く興味がない」と言われます。
これも一理ありです。というのもアメリカでは政治は宗教感に大いに影響しており、そうなってくればその人の毎日の習慣や考え方、価値観にも大きく関与してくるからです。
ですので、アメリカ人のお友達がどんなものが好きで、どんな本を読んだり、週末に何をしているかというのを話していれば、具体的に政治の話をしなくとも、大体政治の意見も分かってきます。例えば、今熱いのは大統領選挙ですよね。
“Oh, did you hear about Trump making some comments again?”
(トランプがまた何か言ってたって、聞いた?)
“I know, I am pretty tired of this whole thing… But this time, I don’t think he was wrong because…”
(知ってるわ。もううんざりって感じよね。でも今回は、彼は間違っていないと思うの、というのもね。。。)
(トランプがまた何か言ってたって、聞いた?)
“I know, I am pretty tired of this whole thing… But this time, I don’t think he was wrong because…”
(知ってるわ。もううんざりって感じよね。でも今回は、彼は間違っていないと思うの、というのもね。。。)
連日テレビやその他メディアでやっているのを目にし、話題にしたときに、まずは一般論を言うかもしれませんが、それからどういう風に会話を進めていくかで大体分かりますよね。
タブー英語を言わないためには、個人的な話題は尋ねず、話させるのが良い
上記したものも含めて、全て個人的な話題はこちらから尋ねないことが大前提です。何か気になれば、その人に話させるように会話を持っていくことはできます。例えば、自分からその話題について言ってみる。
“Last Sunday, I decided to join in the event at the Church on the South hill. Have you been there?”
(この前の日曜日、サウスヒルの教会のイベントに参加することにして、行ってたの。そこに行ったことある?)
“Yes, of course! I actually go there every Sunday but I happened to be sick last Sunday. I will see you next Sunday then?”
(もちろん!実はそこに私毎週日曜日行ってるのよ!先週は調子が悪くていけなかったの。じゃあ来週会えるかしら?)
(この前の日曜日、サウスヒルの教会のイベントに参加することにして、行ってたの。そこに行ったことある?)
“Yes, of course! I actually go there every Sunday but I happened to be sick last Sunday. I will see you next Sunday then?”
(もちろん!実はそこに私毎週日曜日行ってるのよ!先週は調子が悪くていけなかったの。じゃあ来週会えるかしら?)
と、こんな具合に持っていけば、この人が信心深いのかどうかだけでなく、どの宗派であるのかまで大体分かるわけです。
その他の話題にしても、話をそちらの方向に仕向ければ、大体の人は語ってくれるはずです。アメリカ人は直接個人的なことを聞かれるのは苦手かもしれませんが、自分から話すのは大丈夫な人が多いですから。
出会ったばかりの英会話にはあたりさわりのない話題からはじめるのが正解!
いかがでしたか?映画やドラマでは、アメリカ人はフランクに何でも話をしているイメージがあっただけに、こんなにタブーがあるとは知らずにびっくりしました。実は英会話を習っている方にとって本当に怖いのはこんな文化の違いなのではないでしょうか。
タブーな話題は確かに軽々しく出してこれる話題ではありません。しかし絶対にダメというわけではなく、親しくなってくれば段々と聞けることでもありますし、何より仲良くなってくれば自然とコメントの端々などその人の言動に現れてくることでもあるので、口にしなくとも分かってくる、ということがお分かりいただけましたか。
タブーがあると分かると、アメリカ人と話すのが怖くなってしまうかもしれませんが、慣れてくればどの程度ならOKなのかが分かってきます。せっかくアメリカ人と知り合えたのなら、最初は軽い話題から入って、段々と深い話題も語れるようになりたいですよね。これらタブーを頭におきながら、ぜひ仲良くなっていってください。
《おすすめ関連記事》
Facebookコメント