【行政書士が解説】不用品買取の詐欺が急増!対策と被害にあったときの対処方法
[公開日]2017/09/26[更新日]2017/10/11「貴金属を不当に安い金額で買い取られた」
「無料回収と聞いていたのに高額な処分費用を請求された」
など、不用品買取に関して様々な消費者トラブルが起きています。
悪徳業者の被害にあわないようにするために、まずは良い業者と悪徳業者を見分けるポイントを押さえておきましょう。
ここでは、不用品の買い取りで悪徳業者の被害に遭わないための対策と取引してしまった場合の対処方法を解説します。
目次
電話勧誘やアポなし訪問の不要品の買取業者は避けるべき理由
「要らないものを処分したい」
「できれば買い取って欲しい」
そんなことを考えているときに、
- 不用品の買取業者が「不用品を買い取らせてほしい」とアポなしで訪問
- 「不用品はありませんか」と電話がかかってくる
このようなことがあると「ちょうどよかった!」と思ってしまうかもしれませんが、要注意です。
何も考えずに不用品買い取りを依頼してしまうと、思わぬ契約トラブルに巻き込まれるかもしれません。
ここでは不用品買い取りの悪徳業者とのトラブルを予防する方法をご紹介します。
「不用品買い取ります」の電話勧誘を断る方法
もちろん、「不用品はありませんか」と電話勧誘をすること自体は違法ではありません。しかし、個人情報の管理にうるさいこのご時世に、片っ端から電話をかけるような営業スタイルはかなりあやしいと考えてください。
このような怪しい不用品買い取りの業者は断わったほうが無難です。
そこで、このような営業電話がかかってきたときの対処法を解説しましょう。
「電話番号をどこで知ったのか」聞いてみる
そもそも、不用品買い取り業者はあなたの名前と電話番号はどこから入手したのでしょうか?電話の相手がどう答えるかは分かりませんが、納得できる答えがかえってくることはないでしょう。
ともかく「面倒くさい人に電話してしまった」と思わせることが目的です。
営業の電話を直接的に断るのが苦手な方でも取り入れやすい対策です。
すべて「ない」で答える
あなたの家の中に不用品は「ない」、貴金属も「ない」のです。もし、不用品があったとしても電話勧誘に対しては「ない」と答えましょう。
ここで「ないこともないんだけど・・」と答えると、業者の営業トークが延々と続いてしまいます。
営業電話の相手に「脈あり」と思わせてはいけません。
あまりにしつこい場合には容赦なく電話を切る
初めからこれができれば苦労しませんが、なかなか気が引けるものです。しかし、ひたすら営業電話をかけまくる業者にとって、いきなりガチャンと電話を切られることなど日常茶飯事です。
向こうは気にもしていませんから、あなたが胸を痛める必要はないのです。
突然のアポなし訪問は「違法」な営業!うまく断るテクニック
少し専門的な話になりますが、訪問販売などの営業活動を規制する「特定商取引に関する法律」という法律があります(ここからは「特商法」と表記します)。この特商法では、アポなしで自宅を訪問して勧誘する行為を「禁止」しています。
つまり、アポなし訪問は「違法」なのです。
違法なアポなし営業への対処法
たとえ、訪ねてきた営業マンが誠実そうに見えたとしても、法律で禁止されたアポなし訪問を平気でやるような業者ですから、相手にしてはいけません。そのような違法な営業活動を行う不用品買い取り業者は利用しないようにしましょう。
そこで、営業マンが訪ねてきた場合の「うまく断る」対処法を解説します。
絶対に家に入れない
インターフォンで対応できる場合は、まずこの段階でシャットアウトすることです。玄関ドアを開けることなく帰ってもらいましょう。
すべて「ない」で答える
インターフォンで応対するときも、うっかり玄関ドアを開けて応対せざるを得なくなったときも、基本はすべて同じです。勧誘電話への対処法と重なりますが、「あなたの家の中に不用品は『ない』、貴金属も『ない』」のです。
相手はアポなし訪問の違法業者ですから、少しくらい嘘をついても罰は当たらない、と割り切りましょう。
余計なトラブルに巻き込まれないようにするには嘘も方便です。
不用品買い取りを依頼する意思がないことを悪徳業者にハッキリ伝えましょう。
不用品買取業者のチラシから詐欺・悪徳業者を見抜くコツ
しばらく留守にしていたら、不動産会社や宅配ピザチェーンのチラシで郵便受けがいっぱい、という経験があるでしょう。
大手企業が堂々とやっているくらいですから、チラシの投函・ポスティングそのものはもちろん合法です。
つまり、郵便受けに入る不用品買取業者のチラシには、優良業者と悪徳業者が両方とも存在する状態になっているというわけです。
チラシの色合いや「高価買取り」、「無料回収」といった言葉に簡単につられてはいけません。
ここでは、不用品買い取り業者のチラシの内容を検討して、優良な業者を見抜くポイントを解説します。
古物営業の許可番号があるか
「古物(こぶつ)」とは、要するに美術品や貴金属、電気製品などの中古品のことだと考えてください。「古物」の買い取りや販売は、都道府県の公安委員会の許可がなければ営業できません。
正当な営業許可を得ている証ですから、通常の優良な不用品買い取り業者であれば、チラシに許可番号が書かれています。
健全な業者であることのアピールにつながるため、「チラシのスペースがないから許可番号を載せない」という業者は常識的に考えて存在しないでしょう。
公安委員会が古物営業の許可を行う理由
公安委員会といえば、警察を管理する組織ですが、なぜ古物営業が公安委員会の許可なのか不思議に思う人もあるでしょう。
実は、昔から盗難品が中古品として取引されるケースが多いため、古物営業は公安委員会が管轄しているのです。
実は、昔から盗難品が中古品として取引されるケースが多いため、古物営業は公安委員会が管轄しているのです。
「一般廃棄物収集運搬業の許可」なく、不用品の無料回収をうたってないか
家庭から出る粗大ゴミなどは「一般廃棄物」と呼ばれ、これを収集運搬するには、一般廃棄物収集運搬業の許可が必要です。しかも、一般廃棄物収集運搬業の許可はかなりハードルが高く、そう簡単には取得できません。
一般廃棄物収集運搬業の許可番号の記載がないものは要注意
一般廃棄物収集運搬業の許可番号が記載されていないのに、「不用品の無料回収」をうたうチラシはかなりあやしいのです。ちなみに、古物営業の許可でも不用品の取り扱い自体はできますが、あくまで古物の買い取りと販売の許可です。
そのため、古物営業の許可だけでは不用品の「無料回収」はできません。
悪質な業者には許可番号を偽るケースも
ただし、とことん悪質な業者になると、無許可なのに許可番号を偽って掲載しているおそれもあります。許可番号の有無は、あくまでもチラシを見分ける際の参考として考えてください。
事務所の所在地や固定電話の番号が書かれているか
携帯電話の番号だけの連絡先が必ずしも悪いとは言いませんが、継続的に不用品買い取り事業を行うためには、通常は事務所や固定電話は必要でしょう。怪しい業者に不用品買取を依頼した場合にはクーリングオフ
いざ不用品の買い取りを依頼したものの、あとから「やっぱりおかしいかも・・」と感じることがあれば、まずは買取業者に説明を求めてみましょう。
もし納得できる回答がなければ、手遅れになる前に対処する必要があるので、時間を置いてはいけません。
不用品買い取りのクーリング・オフは8日以内に対応
「つい営業マンの話に乗ってしまったが、やっぱり契約しなければよかった」このような場合に、あとから無条件で契約を解除できる制度、これがクーリング・オフです。
クーリング・オフは英語で「cooling off」と書きますが、つまり“頭を冷やして考え直す”というわけです。
この制度の特長は、
①理由のいかんを問わず契約を解除できる
②契約解除に一切のペナルティがない
という2点にあります。
ただし、事業者にとっては厳しい制度ですので、クーリング・オフには次のような要件があります。
3.1.1:クーリング・オフの方法
クーリング・オフは「契約書面を受け取った日から数えて8日以内に、書面で契約解除の意思を通知する」という方法で行います。「8日以内に」、「書面で」というのが重要なポイントです。
不用品買い取りのクーリングオフは8日以内に手続き
クーリング・オフができる期間は、一般的に「8日」と言われていますが、実は取引の内容によって8~20日間と幅があり、不用品買い取りの場合は8日です。また、書面で通知する場合は、ハガキでも普通郵便でも構わないのですが、悪質な業者だと「そんなものは届いてない」という手を使いかねないので、少々手間でも内容証明郵便で発送しておくべきでしょう。
3.1.3:クーリング・オフの対象外となる場合
不用品買い取りの場合、原則としてほぼすべての商品がクーリング・オフの対象です。ただし、ごく一部に例外があり、以下の商品の不用品買い取りについてはクーリング・オフができないので注意が必要です。
クーリング・オフ非対象項目
- 自動車
- 家具
- 家庭用電気機器(冷蔵庫、洗濯機など大型のもの)
- 書籍、CD・DVD、ゲームソフトなど
- 有価証券(商品券など)
貴金属は相場を知った上で買い取りを依頼する
貴金属には、取引価格の相場がありますので、その時々で価格が変化しています。ここ数年の金1グラム当たりの価格変動は、年単位でみると、かなり幅をもって変動しています。
貴金属に相場があることを知っていれば、買取価格の見積もりと相場価格を比較することで相場外れの安値で売ってしまうことはないでしょう。
買い取り価格と相場値を比
大手の貴金属メーカーのホームページには、金だけでなく銀やプラチナの相場とその推移が分かりやすいチャートでまとめられています。
たとえば、「金 相場」などのキーワードで検索すれば簡単に金の相場金額を見つけられますので、貴金属の相場を知るには、このような情報を参考にするとよいでしょう。
たとえば、「金 相場」などのキーワードで検索すれば簡単に金の相場金額を見つけられますので、貴金属の相場を知るには、このような情報を参考にするとよいでしょう。
不用品買取の詐欺の相談は消費生活センターへ
消費生活センターは、専門の相談員が消費生活に関する苦情や相談などを受付けて、公正な立場で処理してくれる、という組織です。
全国に多数の消費生活センターが設置されていて、たとえば東京都内だけでも約50ヶ所あります。
全国の消費生活センター等:独立行政法人国民生活センター
警察や弁護士では相談に対応できないケースも
ところで、トラブルが起こった場合の相談機関として、ほかにも警察や弁護士などを思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、警察の場合は、「脅し取られた」、「目を離したすきに盗まれた」などの犯罪行為でなければ積極的に動いてくれないのが実情です。
また、できる限り安く買い入れるのが商売の基本ですから、不用品買い取りで多少の買いたたきがあったとしても、それを「詐欺」と決めつけることもできません。
弁護士に相談するにしても、相談する弁護士が消費者問題に詳しいとは限りません。
必ずしもすぐに弁護士に相談できるわけではないので、相談日までにクーリング・オフの期限を過ぎてしまうおそれがあります。
迅速さと手軽さという点でも、まずは近くの消費生活センターに相談することをお薦めします。
不用品買取の悪徳業者が増えているワケ
冒頭で述べたとおり、
「売る予定がなかった貴金属まで強引に買い取られた」
「不用品を買い取ってくれるという話だったが、逆に高額な処分代を請求された」
など、不用品買取に関するトラブル事例が急増しています。
不用品買い取り業者の間での競争が増え、悪徳業者も参入
こうした買い取りトラブル急増の背景には、不用品買取業者が乱立し、過当競争になっていることが挙げられます。もちろん、悪徳業者のやり方では長続きもしないのですが、なかには悪徳業者に引っ掛かる消費者がたくさんいます。
そのため、新たな不用品買い取りの悪徳業者がもうけようと参入してくる、という悪循環もあるわけです。
悪徳業者から自分で身を守る知識を
残念ながら、不用品買い取りの悪徳業者をこの世から完全に排除することは困難です。
悪徳業者の手口に引っ掛からないよう、私たち消費者が正しい知識を身につけて防御していくしかないのです。
悪徳業者の手口に引っ掛からないよう、私たち消費者が正しい知識を身につけて防御していくしかないのです。
不用品買取の優良業者を選ぶ7ポイント
これまでのまとめとして、安心して不用品買い取り依頼できる業者を選ぶためのポイントを7個挙げてみました。
不用品買い取り業者に依頼するときには必ず下記のチェックポイントを確認しましょう。
- アポなし電話、アポなし訪問をしない
- 古物営業の許可がある
- 取引内容を記載した書面を交付してくれる
- クーリング・オフについて説明がある
- やたらと不用品の無料回収をアピールしない
- 事務所や固定電話がある
- 業歴が長い
1~4を全て満たすことは法律上必須
このうち1から4は、法律上、当然に求められる点ですので、一つでも条件を満たさない業者とは取引をしてはいけません。この3つは基本中の基本です。
必ず条件を満たしていることを確認しましょう。
5~7はグレーゾーンの怪しい業者
これに対して、5から7は法律上の規制ではないので、必ずしも問題があるとは断定できません。しかし、この特徴に当てはまるような不用品買取業者は一般的にあやしい傾向だといえます。
たとえば、本当に不用品であった場合は処分費がかかるので、常識的に考えて5のように無料回収などできるはずがないのです。
まとめ:良い業者を見極めて不用品買取を利用しよう
「不用品を換金したい」
「不用品を処分したい」
このような場面は日常的に出てきます。
たしかに不用品を自宅まで買い取りに来てくれるサービスは、優良な業者であればとても便利なサービスです。
だからこそ、その消費者のニーズを狙って次々と不用品買取業者が登場し、中には悪徳業者も参入してくるのです。
しかし、悪徳の不用品買い取り業者を根絶することは現実的にはかなり難しく、私たちが悪徳業者の被害に遭わないようにするには、自ら知識をつけて防御するしかありません。
たとえば、「不用品買取業者のアポなし訪問は法律で禁じられている」という知識があれば、たったアポなしの営業があるだけであやしい業者だと判断できます。
ここで取り上げたポイントを押さえ、不用品買取の悪徳業者の被害から身を守りましょう。
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