不動産屋が教える「訳あり物件」を見分ける方法、事故物件に住まないために

[公開日]2016/09/21[更新日]2016/09/24

事故物件見分け方 事故物件には絶対住みたくないからこそ、事故物件のことは知っておきたい。でもネットで検索しても、知りたい情報にうまくたどりつけない。

こんな経験はありませんか。実は事故物件を探し当てるポイントは、サイト上に「告知」という言葉があるかどうかが重要なのです。


ここではビビリな筆者が、フツーに平和な暮らしをするために学んだ「事故物件を見極めるノウハウ」をまとめてみました。

いわくつきの物件に絶対住みたくない人はもちろん、「あえて住んでみたい」もの好きな人にも役立つ知識満載でご紹介します。



知ってるようで知らない事故物件の本当の意味と調べ方


事故物件見分け方 事故物件という言葉を聞くとそれだけで怪しい雰囲気を察しますよね…。
『この物件で「何か」あったのかな』と普通に思うわけです。

ちなみに事故物件という言葉の辞書的な意味は以下の通りです。

《不動産用語》販売・賃貸を予定するマンション・アパートの部屋や、土地、家屋などの物件で、以前、自殺や殺人などの死亡事故があったもの。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

引越しを考えている筆者ですが、こんな物件には絶対に住みたくないです。

「事故物件 地名」の検索では知りたい情報にたどりつけない

事故物件見分け方 言い方は悪いですが「まともな」物件に住みたいですよね。だからこそ、事故物件の情報をあらかじめ調べておきたいのですがコレがなかなか探している情報にたどりつけないんです。

人口の多い都内なら比較的たくさんの情報にヒットするのですが、筆者の住んでいる福岡県は修羅の国と言われている割に情報が少なかったのです。

「なんとかして事故物件だけは避けたい」と考えた結果、普段から利用している賃貸情報サイトに問い合わせて聞いてみようという発想に至りました。


事故物件について大手賃貸情報サイトに問い合わせてみた結果

そこで、筆者もよく利用する賃貸情報サイトのコールセンターに電話して事故物件について教えてもらいました
事故物件って最近よく聞くのですが、どういう意味ですか?
心理的瑕疵(かし)がある、つまり精神的に負担があるような物件のことを事故物件と言います。簡単に言うと、「そんなことがあったなら住みたくない」と思うような物件です。

コールセンターのオペレーターの方との電話ではまず、「事故物件」とはどういう意味かあえて質問してみました。明確な基準の無い、ふんわりとした言葉とのことでした。
※瑕疵…傷のこと。法律上、何らかの欠点や欠陥のあること。

御社のサイトに事故物件は掲載されていますか?
はい、載っています。物件の掲載情報に事故物件であるという旨が記載されています。

さらっと言われましたが、普通に載っているんですね。

サイト上で事故物件は、どのように記載されていますか?
事故物件とそのまま書いているものもあれば、「告知義務あり」「告知事項あり」のように書いてあるものは事故物件です。生々しい具体的な表現で書かれていることはありません。

『キーワード検索ができる賃貸情報サイトなら「告知」で検索すると、訳あり物件に辿りつくことができます』ともご丁寧に教えてくださいました。

何があったかの詳細を知りたい場合は、直接不動産屋さんに問い合わせると教えてもらえるそうです。

普通の何も問題が無い物件に見えても、事故物件ということはありえますか?
ありえますね。サイトには載せないで、物件を探しに不動産屋さんに行って初めて説明があるケースもあります。

不動産屋さんにはネガティブな情報を住む人に伝える義務があるため、普通に教えてもらえるそうです。

事故物件かどうか確認する方法はありますか?
不動産さんに直接的に「この物件は事故物件ですか?」と聞くのが一番です。相場に比べて家賃が明らかに安い時には聞いた方がいいですね。

気になることは契約前に必ず不動産屋さんに直接確認するのが鉄則だそうです。

教えていただいた知識を使って本当に事故物件に出会うことができるのか?この後、実際に不動産屋さんに聞いてみました。
事故物件かどうか聞くって失礼かなって思っちゃうけど、たしかに聞かないとわからないわよね・・・。


「告知」の文字に要注意は本当か?事故物件を問い合わせて検証


事故物件見分け方 賃貸情報サイトの方に教えていただいた

『キーワード検索ができる賃貸情報サイトなら「告知」で検索すると、訳あり物件に辿りつくことができます』

という情報が本当か検証するために、実際に不動産屋さんに問い合わせてみました。

この項目では不動産業者さんとの事故物件についてのやりとりをご紹介します。その前に不動産屋さんとのやりとりで出てくる用語の説明も兼ねて、スーモなどの住宅情報サイトから問い合わせた時の流れを確認しましょう。

同一サイト内に全く同じ物件の情報が複数載っている理由

事故物件見分け方
スーモやホームズなどのホームページから物件を探すときに、「あれ?同じ建物の同じ部屋なのに、なんでサイトに何個も同じ部屋が載ってるんだろう?」と思ったことはありませんか?

この記事の調査の中で、この謎が解決しましたので理由をご紹介します。

上の図のようにサイトから物件について問い合わせた場合、まずサイトから仲介業者へと連絡が入ります。そして問い合わせを受けた仲介業者は確認のため、管理会社に連絡します。管理会社は物件の管理はもちろん、入居者の募集を大家さんから委託されています。

部屋探しを行う上で不動産屋さんは、物件の仲介業者のことを指します。これからご紹介する3つの事例は仲介業者である不動産屋さんとのやりとりです。
仲介業者がいくつかあるから同じ物件の情報がたくさん載ってたのね!


「告知」の文字で検索→事故物件的中率100パーセントを達成

事故物件見分け方 福岡県在住で引っ越し検討中の筆者は、『サイトに「告知」って言葉があっても大した内容じゃなくて条件が良かったら契約しようかな』と当初は考えてました。しかし、それは甘い考えでした。

「告知」のワードを含む物件を検索して実際に問い合わせてみました。結果からお伝えすると、「告知事項あり」の記載がある物件はもれなく事故物件でした。


ケース1:折り返しの電話で「10年前につってますね」の第一声
福岡の都心部である天神から電車で30分、駅から徒歩9分。福岡市西区にある3Kで45平米ほどの30年ほどのマンション。そして家賃は月額3万8千円。

サイトの情報をくまなく見ると備考欄にやはり「告知事項あり」のフレーズが。

この物件の仲介業者は全国チェーンの不動産屋さんでした。早速問い合わせてみました。

気になっている物件に「告知事項あり」と書いてあったのですが?
おそらく何かあった部屋ですね。管理会社に確認して折り返します。(1時間後)この部屋の中で10年前につってますね〜。

こなれたように淡々と事実を伝える不動産業者さん。やりとりは続きます。

そうですか…。この物件は家賃は安くなっているんですか?
はい、安くなっています。他の部屋は5万円以上の家賃なのですが、この部屋は3万8000円となっています。

愛想のいい営業マンだったので質問をぶつけてみました。

事故物件はどのように把握するんですか?
基本的に管理会社からの申告で把握します。ですが家賃が明らかに安かったり、部屋にお札が大量に貼られていた場合は管理会社に事実確認をします。

ちなみに営業マンによると、心霊的な「なにか」の場合は物件内でお札が大量に見つかるとのこと。

住み始めてから事故物件だとわかることってありますか?
原則的にないですね。お客様とのトラブルはないようにしたいですし、物件を提供する側として告知義務がありますので、事故物件である場合は事前にお伝えしています。

ネガティブなことを伝えてくれることはありがたいことです。

今回は部屋の中で出来事が完結しているケースでした。次のケースでは物件の外で何かあった場合の事例を紹介します。

ケース2:「ベランダに当たっちゃってますね」の場合
続いての物件は福岡県第二の都市である北九州市内にある物件。小倉駅から電車で15分、駅から徒歩8分。3LDKで61平方メートルの築20年の分譲賃貸のマンションで家賃は6万8000円。紹介文にも「専用庭もあります!陽当たりも良好♪」。バルコニーの画像も日当たり良く写っています。

しかし、この物件もよく見ると備考欄に告知事項ありの文字が。早速、不動産屋さんに問い合わせてみました。今回の仲介業者は福岡県内で展開する不動産屋さんでした。

気になる物件の情報に「告知事項あり」と記載があったのですが
ここは、ベランダに当たっちゃってますね。この部屋は一階なのですが、お隣とこの部屋の境目のベランダに当たったみたいです。そのため、少し家賃がお安くなっています。

上層階での出来事がこの部屋にも影響を与えたみたいです。

今回のように特定の部屋ではなく、マンションのエントランスや駐車場などの共有スペースで何かあった場合では建物全体の家賃が安くなるんですか?
残念ながら物件によるとしか言えませんね。どのようなことを事故と捉えるか、事故がどの範囲まで影響があるかは管理会社によって判断が異なりますので。

つまり事故物件にもかかわらず、普通と変わらない家賃もあり得るとのことです。

部屋が事故物件であるかどうかの確認以外にも、その建物全体で何か事故はなかったか確認することはできますか?
不動産屋に直接尋ねると良いと思います。建物で何かあったとしても別の階だったり、時間が経過していると伝える義務はないと判断する業者もおりますので。

一番大事なポイントは必ず自分からはっきり聞くようにするべき!とのことです。

今回は部屋の外に影響があったケースでした。次のケースでは部屋や建物自体には何も影響がない事故物件のご紹介です。

ケース3:事故物件を事故物件と言わない不動産屋たち
今回のケースが正直に言って一番恐ろしいです。物件は福岡市中央区天神まで電車で30分、駅から徒歩5分。ワンルームマンションで30平米の広さで築10年にして家賃は5万2000円。紹介文にも「上層階で解放感あります!」と書いてある9階建ての8階です。

この物件は同一サイト内に4件の仲介業者が情報を載せていましたが、どの物件も金額は変わらず一社だけ「告知事項あり」と文面に載せていました。

不思議に思いつつ、この一社の不動産屋さんに問い合わせてみました。

気になる物件に告知事項ありとあったのですが・・・?
この物件や建物自体には問題はないのですが、この部屋をスタート地点として以前の居住者の方の事故が発生していますね。

部屋内や建物には何もダメージがなかったとのことでした。

同じ物件の情報が他の業者のページでは何も告知事項が書かれていなかったのはナゼでしょうか?
業者によって何を問題ととるかは異なります。当社では、前にお住まいの方でこのような事故があったとお伝えするべきと感じたため告知事項有りとしております。

後からのクレームを防ぐため、事前に伝えている側面もあるとのことです。事故物件を事故物件と知らずに住むケースも十分ありえます。

告知事項有りとはなっていても、他社と同じ家賃になっていますが?
他社さんでも告知事項有りとしていないように、物件の価値への影響は少ないと考えておりますので家賃は変動ありません。しかし、居住者の方が後から事実を知って不快な思いを抱かないように、事前に事実をお伝えしております。

建物や物件への物理的な影響がないため、家賃は値引きしていないとのことです。

問い合わせからわかった不動産屋の事故物件への考え方

複数の問い合わせを行った結果、不動産屋さんの事故物件へのスタンスは以下のとおりです。

・事故物件は物理的に部屋に損傷を与えたかどうかが影響大
・告知内容の範囲は不動産屋さんの良心によるところが大きい
・安い家賃には要注意
・気になることがあるなら積極的に質問すべし
ネガティブな情報は隠すものと思って聞き出すようにすることが確実だにゃ


契約前に要確認!ネットでわかる事故物件の見分け方


事故物件見分け方
サイト内で事故物件・告知義務・告知事項の言葉があったら要注意
前述のように、「告知」の文字があるともれなく事故物件に出会えます。

相場よりも不自然に家賃が安くないか
「at home」の賃貸情報サイトでは、物件の条件ごとの相場を調べることができます。不自然に安くないか、土地勘のない場所でも確認しましょう。

不動産屋さんに直接質問する
ネットの情報はオブラートに包まれた情報で記載されています。直接問い合わせるとあっさり具体的な情報を知ることができます。

現地に足を運ぶ前に事前に、ネガティブな情報がないかチェックしましょう。

物件のマイナス情報を伝えてくれる不動産業者は良心的

「事故物件の説明義務はどこまであるのか」ということについて不動産屋さんに確認したところ、どの方も具体的な年数や条件を挙げることはありませんでした。

事故が発生した物件そのものの場合、通例2年以内の入居者に伝えるべきとの認識はあるようです。契約に繋がりにくくなるマイナス情報は伝えたくないという業者も存在するので、絶対に事故物件に住みたくない方は部屋選びの際にそのことを必ず伝えておきましょう。

物件の内覧に行った時に見るべきポイント


事故物件見分け方 告知事項有りと記載があった場合には、ネットの段階で事故物件と気づくことができ回避できます。

しかし、「何もないと思っていた物件が後から事故物件とわかった」というような事態は防ぎたいですよね。そのために物件の内覧に行った際に、見るべきポイントは下記のとおりです。


不自然にリフォームされた箇所はないか
風呂場や壁紙など、建物の築年数の割に新しくなっている場合は念のため確認します。事故の発生箇所であった場合にはリフォームされています。

家賃が安い場合は理由を聞く
「部屋自体の条件は良いのに安いなあ」と感じるなら安い理由を聞きましょう。事故物件でなくとも、騒音や振動などの環境的なネックがある可能性があります。

「事故物件であったら契約しない」ことをはっきり伝える
契約する条件としてハッキリと不動産屋さんに伝えましょう。その際に、どのような事故物件が住めないものであるかも伝えておきましょう。

このことをはっきり伝えて書面に記録しておけば、住み始めた後に事故物件だったことがわかるようなトラブルを避けることができます。

家賃の安さが魅力で事故物件にあえて住む人も存在する


「最近、事故物件を探すお客様が増えているのでこの部屋も早く決まりそうですね。」不動産屋さんによると事故物件の家賃は相場に比べて安くなっているため、わざわざ事故物件を選ぶ方も存在するそうです。

気にしない方にとっては、改装済みの綺麗な部屋が安く借りれると好評とのことです。そのため不動産屋さんによっては、心霊現象を心配する方が事故物件と感じるような物件であっても、通常の物件のように紹介されることもあり得るので契約前の確認が重要です。
家では快適に過ごしたいから、絶対に契約前に確認することを徹底するわ!


まとめ:事故物件の定義は曖昧!契約前に入念な確認を


事故物件を避ける方法のポイントをまとめると以下のようになります。

・契約前に事故物件ならば契約しないということを伝える
・不自然に安い家賃には要注意
・サイト上に告知事項ありの物件は訳ありと心得よ

物件探しとなると立地条件や物件の設備、家賃をついつい優先しがちです。しかし、心霊現象は信じなくともホラーや怖いものが嫌いという方は必ずこのポイントを生かして事故物件を確実に回避しましょう!