【不動産屋が解説】土地売買の流れと売却を成功する4つのポイント

[公開日]2017/07/26[更新日]2017/12/11

土地売買 流れ

土地をスムーズに売却するために、土地の売買の基本的な流れを理解しておきましょう。

不動産会社任せにせず当事者が必要最低限の知識を得ておくことが、土地の売買を成功に導くことになります。

土地の売買のおおまかな流れは、上記の図表通りです。

この記事では土地の売却の流れを中心に、売買に伴う税金や仲介手数料など費用についても合わせて解説します。


この記事は、現役の不動産業者の方に執筆していただき、引越しの神様チームで編集しております。


土地売却の流れ①不動産会社と媒介契約を結ぼう


土地売買 流れ

土地の価格には、定価がありません。

土地の価格は相場で決まるものです。

今は、購入希望者が自分自身でもアットホームやホームズなどの不動産情報サイトで、希望のエリアの土地を探す時代です。

同じような場所の土地の価格を簡単に比較できてしまうので、近隣の土地より価格を明らかに高く設定しまっては販売することは難しくなってしまいます。

土地の売却にあたって重要となる価格設定などの最初の動きを確認していきましょう。

売却する土地の相場・価格帯を知ろう

土地の売却をするならば、価格の設定はとても重要になります。

相場を自分で知るための、簡単な方法は不動産情報サイトで、売ろうとする土地と同様のエリアや面積などの条件で、実際に売却されている土地を検索してみることです。

土地を買う側の視点に立ってサイトで検索してみると、魅力的な土地に必要なものは適切な値段設定であることに気付かされます。

土地の値段は様々な要因で決まる
土地の価格は、面積や形状、道路との接面状況、地域の特性や利用状況にもよります。

そうした評価は一般の方にはなかなか難しいので、とりあえずは面積単価で比較してみるのが良いでしょう。

土地の価格を詳しく調べる4つの方法

不動産情報サイトでも大まかな土地の価格帯を調査することはできますが、より詳しく知りたいという場合には下記のような方法で調べることも可能です。

土地は一つとして同じものはありませんので、あくまで土地の価格の目安を知るというスタンスで調査しましょう。

不動産取引価格情報検索
もう少し詳しく検討してみたい方は、国土交通省ホームページの土地情報システムから、不動産取引価格情報検索を利用することができます。

このシステムでは、エリアを指定すれば、そのエリアで過去に行われた不動産の取引価格を検索することができます。

取引価格の報告があった事例に限りますので、件数が少ないのが難点ですが、一般の方が相場を知るには一番近い価格かもしれません。

土地情報システム

近隣の公示価格や標準価格を調べる
また、近隣の公示価格や基準地の標準価格を調べることも可能です。

これらの価格を参考にして、土地の価格を推定しましょう。


公示価格は、一般の土地取引価格に指標を与える目的で、国土交通省が毎年3月下旬ごろに発表する価格です。

基準値の標準価格は、都道府県が毎年9月末に発表する価格で毎年9月末に発表される価格で、公示価格を補完する役割を果たしています。

相続税評価額から土地の価格を把握
相続で取得した土地であれば、相続税の算出のために、相続税評価額を算出している場合もあるでしょう。

相続税評価額は毎年8月上旬に国税庁によって発表される路線価によって算出されています。

路線価は国税庁のサイトでも参照できます。

路線価は公示価格の80%を目安とするようになっていますので、相場価格は相続税評価額を80%で割り返せば、算出できることになります。

固定資産税評価額から相場を推定
毎年、市町村から3月~4月に送付される、固定資産税等通知書から知ることができる固定資産税評価額から相場を推定することもできます。

固定資産税評価額は公示価格の70%を目安とすることになっています。

公的価格は、あくまでも土地の価格の目安
これらの公示価格・標準地価格・相続税評価額(路線価)・固定資産税評価額を、公的価格といい、一物四価とも称されています。

あくまで相場の目安であり、必ずしもそうした価格自体では取引されていないことを覚えておきましょう。

不動産会社に土地の査定を依頼しよう

土地の価格帯を大まかに把握したら、次は不動産会社に査定を依頼しましょう。

査定とは、不動産会社が「3ヵ月以内に売れるであろう価格」で、売り出し価格を決めるときのベースになります。

不動産会社によって、査定価格には違いが出ますので、複数の会社に依頼して、比較してみることが重要です。

一括査定サイトを利用して無料査定を受ける
査定の依頼は無料ですので遠慮なく依頼しましょう。

インターネットの「一括査定サイト」の使用も検討してみてはいかがでしょう。

不動産会社を自分で探したり、同じ内容の登録を何度もしたりする必要がありません。

特に交通アクセス悪い遠方の土地の売却などは、査定をしてくれる会社も限られて探すのも大変ですので、活用をおススメします。

査定価格は「価格の根拠が重要」
査定価格は、不動産会社ごとの売買見込価格であり、土地の買取価格や売却価格の保証ではありません。

あくまで売れるであろう見積価格でしかありません。

したがって個別に「なぜその価格なのか」という根拠をきちんと説明してもらいましょう。

不動産会社は、価格の意見を言う場合は、根拠を提示する義務が法律で定められています。

自身が調べた相場観との比較をして合理的な説明かどうかを判断しましょう。

不動産会社を決める「失敗しない選び方」

査定価格を比較して一番高い不動産会社に売却を依頼したいと、多くの売主は思うことでしょう。

たしかに一番査定価格が低い会社には、頼むメリットをあまり感じないでしょう。

しかし、売主からの依頼が欲しくて、もっともらしい理由を付けて実際には売れそうもない高い査定を提示する会社もあるのです。

つまり、査定価格自体よりも、「なぜそのような価格になるのか」を合理的かつ丁寧に説明してくれる会社が信頼できる会社だといえるでしょう。

不動産会社を選ぶ基準と7ポイントをご紹介します。

(1)査定価格に合理性があるか?高すぎないか?安すぎないか?
(2)同じような土地売買の実績・経験があるか?
(3)どのような購買層を想定しているか?
(4)どのような販売活動を想定しているか?
(5)どのくらいの売却までの期間を想定しているか?
(6)仲介手数料や媒介契約について具体的に説明があるか?
(7)以上の6点について、真摯で丁寧な応対をしてくれるか?

この7ポイントについては、不動産会社はもとより担当者の経験や実績、熱意などにも左右されます。

会社自体には信頼性があっても、担当者によっては「頼りなく感じる」「ウマがあわない」ということもあり得ます。

優秀な営業マンもいれば、そうでない方もいるのが当たり前です。

大事な財産を任せるわけですから、担当者の能力や態度に不満があれば遠慮なく、担当者の上司に相談してみましょう。

担当者の対応に改善がなされなければ、別に無理してその不動産会社を選ばなくても良いのです。

もちろん、性別や容姿などで、クレームするのは厳禁です。


土地の売却成功のための媒介契約の結び方

不動産会社を選んで売却を正式に売主が依頼する時には、

・当事者として売買するか
・代理として契約を成立させるか
・媒介(仲介)して契約を成立させるか


上記の3点をはっきりと、不動産会社は明らかにしなければなりません。

これを取引態様の明示化といいます。

売却の仲介を依頼する際は媒介契約を結ぶ
多くの場合は、媒介(仲介)を依頼することとなりますが、その場合、不動産会社は、媒介契約を依頼者と締結しなくてはいけないと法律で定められています。

媒介契約は、

・専属専任媒介契約
・専任媒介契約
・一般媒介契約


の3種類に大きく分類されます。

専属専任媒介契約
専属専任契約では、依頼者は他の不動産会社と契約することができません

また、自分で買主を探して売買契約をすること(自己発見取引)も禁じられています。

その代り、不動産会社は契約期間を3ヵ月と決められており、契約延長は依頼者からの申し出が無ければできません。

その他にも、業務処理状況報告を1週間に1回以上すること、指定流通機構(通称レインズ:不動産会社専用の物件登録・検索システム)への契約後5営業日以内の登録、などの義務が厳しく定められています。

専任媒介契約
専任媒介契約も、依頼者は他の不動産会社との契約はできませんが、自己発見取引は可能です。

その分不動産会社の義務は緩やかになっており、業務処理状況報告は2週間に1回以上、レインズへの登録は契約後7営業日以内、となっています。

契約期間は専属専任と変わりません。

一般媒介契約
一般媒介契約は、他の不動産会社との契約も自己発見取引も可能です。

その代わり不動産会社の方にも、専属専任や専任媒介契約のような義務は、基本的にありません。

立地が良く売りやすい土地は、一般媒介で複数の会社に販売を競わせ、地方の郊外のような土地は、信頼できる不動産会社を1社に絞ってじっくりと販売に取り組む、という戦略もオススメです。

契約形態の比較

 一般専任専属専任
契約有効期間規定なし3ヵ月3ヵ月
自己発見取引可能可能不可
他業者への依頼可能不可不可
依頼者への報告義務規定なし1回以上/2週間1回以上/1週間
レインズへの登録規定なし営業日7日以内営業日5日以内
メリット不動産会社への義務なし不動産会社の義務が多い不動産会社の義務が厳格
デメリット不動産会社の義務が少ない不動産会社の義務が緩い不動産会社への義務が多い


土地売却の流れ②買主と売買契約を結ぼう


土地売買 流れ

土地の売買契約にたどり着くためには、販売活動の成功が不可欠です。

ここでは販売活動のポイントから売買契約を結ぶ際の注意点まで解説します。

販売活動を始めよう

不動産会社の販売活動としては、

・レインズへの登録
・自社ホームページへの掲載
・その他不動産情報サイトへの登録
・不動産会社同士の情報交換
・自社見込み客への情報公開
・現地見学会の開催


などが考えられます。

売主は販売活動の報告を厳しくチェックすべき
売主は、不動産会社の販売活動の計画や実施状況、問い合わせや現地案内の回数などについて定期的に報告をしてもらうようにしましょう。

専属専任や専任媒介の場合は、法律で義務化されていますが、一般媒介の場合でもきちんと約束しておくことが重要です。

また、売出から1~2ヵ月経っても問合せが少ない場合は、販売活動の実施状況を確認したうえで、価格の値下げの覚悟をしておきましょう。

値下の実施時期と幅については、不動産会社と綿密な打ち合わせをしましょう。販売活動をどの程度実施しているのかが重要です。

土地の購入希望者と交渉しよう

購入希望者が現れたら、まずはできるだけ早い段階で、文書で購入希望の意思を明確に提示してもらいましょう。

買付証明書」と一般に言われています。

ある程度購入の意思が固まっていない内から細かい条件を打合せても時間の無駄なため、このような書面をやりとりします。

契約条件とは、

(1)売買当事者
(2)目的物の確定
(3)売買価格
(4)代金の支払い時期・方法
(5)所有権移転・引渡しの時期
(6)契約の解除・損害賠償
(7)瑕疵担保責任
(8)公租公課の負担
(9)その他特約条項の有無

などをいいます。

不動産会社は、契約に必要な内容を契約前に買主に文書で説明する義務があります。

これを「重要事項説明書の交付義務」といいます。

不動産会社を介して買主と条件を交渉
買主と合意しなければいけない内容は、不動産会社が把握しています。

その一つ一つについて、不動産会社に説明を受け、相談して、買主の要望とすり合わせて合意していきましょう。

条件交渉の段階では、不用意な発言をして買主に言質を取られないように、事前に不動産会社と相談して売主としての意向を伝え、交渉は不動産会社に任せるようにした方が良い結果となるでしょう。

土地の価格の値引き交渉は普通にある
また、売り出し価格について、必ず買主は値引き交渉をすると思っていてください。

この場合は、売り出し価格を考慮して買主は購入希望をある程度固めているため、広告での値引きほどは大きく値引きする必要はありません。

買主として値引きをさせた、という満足感を求めている場合も多いものです。

あらかじめ、「どうしても譲れない価格を設定しておいてそれ以上であれば柔軟に対応する」ぐらいの感覚が良いと思います。

売却する土地の売買契約を結ぼう

重要事項説明が終われば、売買契約の締結です。

不動産会社は、媒介・代理によって売買契約を成立させると、契約の両当事者に、所定の事項を記載し、宅地建物取引士の記名押印のある契約書面を交付しなければなりません。

売買契約書の署名押印により、売買契約が締結されたとみなされます。

通常は、重要事項説明書の交付と同時に、売買契約書の記名押印が同日で行われます。

契約締結と同時に代金の決済・引渡しが行われることも数多くあります。

手付金が生じるかは合意内容次第
また、合意内容によっては、契約日には手付金のみを受領し、決済・引渡しは後日という場合もあります。

金融機関の融資が前提の購入の場合、正式な融資承認には重要事項説明書と契約書の提出が必要な場合がほとんどのため、決裁・引渡し日が後日となるケースが多くなります。

土地の売買契約時に必要なもの
契約時に用意しておくものとしては、以下の5つです。

(1)本人確認書類(氏名・住居・生年月日の確認できるもの)
(2)印鑑(実印が望ましい、シャチハタは不可)
(3)手付金の授受がある場合は領収書
(4)収入印紙代
(5)仲介手数料(不動産会社との取り決めによる)

本人確認書類
本人確認書類は、不動産会社に犯罪収益移転防止法による「本人確認」が義務付けられているために必要となります。

印鑑
印鑑は、本人確認の意味からも、実印が望ましいとされています。

領収書
手付金の授受がある場合は、領収書の用意が必要となります。

但し、銀行振り込みの場合は、振込用紙を領収書として扱うことが税法上認められていますので、必要かどうか買主の意向を確認しておきましょう。

収入印紙代
収入印紙は、印紙税として売買金額によって契約書への貼付・消印が売主・買主の双方がそれぞれ必要になります。

個人の居住用財産の譲渡の場合の領収書は非課税ですが、それ以外は、金額によって領収書にも印紙税がかかりますので注意しましょう。

不動産の売買契約の印紙税は、国税庁サイトをご参照ください。

印紙税:国税庁サイト

仲介手数料
仲介手数料の支払い義務は、契約締結時に発生します。

不動産会社と依頼者の合意によって支払日を決定することができます。

売買契約締結日と決済・引渡し日が異なる場合は、契約締結日に50%、決済・引渡し時に50%を不動産会社が受領することが認められています。

土地売却の流れ③所有権移転登記・引き渡しをして完了


土地売買 流れ

一般的に、決済・引渡しは、

(1)所有権移転登記等に必要な書類・手続の確認
(2)残代金の授受
(3)引渡し

の順に行われます。

残代金の決済をしてもらおう

決済の際には、公租公課(=国や地方自治体に納める負担金のこと)などの諸費用等の精算も同時に行われる場合が多いです。

金融機関などの融資の残債がある場合は、代金を受け取るとすぐに金融機関に返済し、抵当権等の抹消手続きをしてから、所有権移転登記をすることとなります。

所有権移転登記とは

所有権移転登記とは、売り主から買主に名義が変更したことを第三者に対抗することができるように公示するために法務局でする手続きのことです。

売買の場合の登記申請者は、売主・買主の連名となっており、売主が義務者、買主が権利者という形になります。

売買契約に基づき、売主は所有権移転登記をする義務があり、買主にはその権利があるということです。

登記費用の負担は「買主」
連名の申請ではありますが、その費用は、通常、登記による利益を得る買主が負担する、と契約で定められます。

所有権移転登記は司法書士に依頼した方がスムーズ
一般的には、司法書士に手続きを依頼します。

所有権移転登記に必要な書類などは、以下の通りです。

(1)登記済証(権利証)もしくは登記識別情報
(2)登記原因証明情報(司法書士が作成)
(3)(司法書士への)委任状・代理権限証明情報(売主は実印が必要)
(4)印鑑証明書(売主)
(5)住所証明情報(買主)住民票・印環証明書


土地・物件の引き渡し=関係書類の引き渡し

土地の場合は、関係書類の引き渡しにより、売買物件の引き渡しとされるのが一般的です。

関係書類の内訳
・移転登記に必要な書類
・実測図
・境界確認書
・覚書など

売主は、引き渡しまでに、隣地との境界を明示できるにように手配していなくてはいけません。

また残存物や埋設物などについては、契約に記載の通りであるかといった確認が必要です。

仲介手数料は「売買金額×3%+6万円+消費税相当額」

引渡し後には、仲介手数料の残額を支払わなければなりません。

仲介手数料は、400万円を超える売買価格の場合は、

売買金額×3%+6万円+消費税相当額を超えてえてはいけない

と法律で定められています。

仲介手数料は上限額であることが多いが・・・
あくまで上限額なので、交渉は可能ですが、大手・中小を問わず上限額を要望する会社が多いのが現実です。

しかし、近年は、そうした状況から逆に、仲介手数料半額や最大無料を謳う不動産会社が徐々に増えてきています。

不動産会社に仲介手数料の考え方を確認した方が良いでしょう。

土地の売却を成功する4つのポイント


土地売買 流れ

「土地の売却を頻繁にする」という方でない限り、土地の売却は手間も多く、難しく感じてしまうものです。

売却をスムーズに行うために以下のポイントを理解しましょう。

不動産の買換えをする場合

資産を売却して、改めて同様の使用目的のために資産を購入することを買換えといいます。

一般的に、土地の資産価値だけを目的として買換えることはあまりありません。

居住や事業を目的に土地の買換えを進めるということになるでしょう。

しかし、建物が無い土地を売却ということであれば、基本的には、購入を進める財源としてみなされ、税法上は買換えという定義には当たらないことが多いと考えておいた方が良いでしょう。

買い換えを進める手順
買換えを進める手順としては、売却と購入を同時進行させる場合と、売却を先に済ませる場合と、購入を先に済ませる場合に分かれます。

土地の買換えをお考えの場合には、不動産会社に目的や、メリット・デメリットを相談して進め方を決めましょう。

基本的には、購入と売却は別々の契約です。

資金計画上、購入する土地の支払いに売却の代金が必須ということであれば、決済条件には「売却代金受領後」という条件が付くことになります。

もしくは代金受領までの間、融資を受ける必要が出てきます。

こうした条件を売主に合意してもらわなければなりません。

売却を完了してから購入した方がスムーズ
売却を先に済ませておけば、その心配はなくなりますね。

また、予定よりも売却金額が予定よりも安くなって資金ショートする(資金が足りなくなる)、といった事態も起こりません。

一方で、資金に余裕があれば、購入・売却を同時に進めたり、購入を先に進めることも可能になります。

人気の物件は先に押さえるべきケースもある
売却を先に進めることにこだわったあげくに、絶好の物件の購入チャンスを逃す、というリスクもあり得ます。

人気の物件の場合には購入を早めに進める、という考え方もあります。

土地をより高く売却するために

土地をより高く売るためには、

「適切な購買層に対して、適切な価格で、適切な手段でアピールすること」

すなわち、不動産会社に販売活動を適切にしてもらうことが最も重要です。

不動産会社に定期的に問合せ状況を報告してもらい、問い合わせが少ないようであれば、改善策を提案・実施してもらう、ということを継続しましょう。

土地も見た目が大事
また、土地の場合でも見た目は重要です。

草ぼうぼうの荒れ地はやはり印象が悪いものです。

筆者は、売却依頼を受けた土地を下見に言った時に、通りかかった近隣の方から、「手入れが悪くて迷惑している」などとクレームを言われたことがありました。

その際は慌てて依頼主に連絡し、草刈りの実施を提案しましたが…。

そのようなクレームをいただいた際に、購入希望者を同伴していなくてほっとしました。

また、降雪地方で冬に販売するときは、除雪状況なども配慮した方が良いでしょう。

土地の売却で税金はいくらぐらいかかるのか

土地の売却で売主にかかる税金は、

・契約時にかかる税金
・売却による利益にかかる税金


の2通りがあります。

契約時にかかる税金の内訳
契約時にかかる税金は、登録免許税(所有権移転登記、通常は買主負担)、印紙税(契約書・領収書)です。

領収書の印紙税は個人の土地の売却の場合は非課税です。

売却による利益にかかる税金
売却による利益にかかる税金は、確定申告により申告しなければなりません。

所得税、復興特別所得税、住民税があります。

売買価格から取得費・譲渡費用・特別控除などの経費を差し引いた利益に税率をかけて税額を算出します。

居住用の財産を売却した場合などは一定の金額を利益から差し引く(控除)ことができます。

国税庁サイトの内容にしたがい確定申告をすると控除が適用されるかどうかも分かるように工夫されています。

一度ご参照ください。

確定申告:国税庁

不動産売買契約書に必要な印紙税は、売買金額によって定められています。
印紙税:国税庁

土地売却の利益にかかる税金まとめ
税金税率控除
所得税所有期間5年以下:30%
所有期間5年超 :15%
居住用財産の特別控除
収用財産の特別控除など
復興特別所得税所得税額の2.1%
住民税所有期間5年以下:9%
所有期間5年超 :5%


手付金について

不動産の取引では、代金の決済に関して、しばしば契約締結時に「手付金」を支払い、後日「残代金」を支払うという合意がなされます。

手付金は、契約締結時に支払う金額で、代金の一部に充当されます。民法上の「解約手付」の意味を持たせるのが一般的です。


その意味は、「買主が手付金を放棄する」、あるいは「売主が手付金の倍額を支払うことで契約を解除できる」というものです。

不動産取引の場合は、不動産業者が売主で、買主が不動産業者でない場合は、

(1)手付金について買主に不利になる特約(例えば買主の解約権を認めない)はできない
(2)手付金の額は代金の2割を上限とする
(3)売主は手付金について一定の保全措置をする

といったことが宅地建物取引業法(宅建業法)で定められています。

そのため、手付金の金額は原則的に制限はないのですが、2割もしくは1000万円(宅建業者の保証協会の保証上限が1000万円)の場合が多いようです。

土地購入の流れと買主としての注意点


土地売買 流れ

簡単に、土地を購入する側からみた売買の流れについても説明しましょう。

土地の買付証明書を提出しよう

購入希望の土地が見つかったら、不動産会社に購入希望を申し入れましょう。

その際に、「買付証明書」の提出を求められる場合が多いでしょう。

買付証明書は購入希望の意思
「買付証明書」とは、その物件の所在、希望金額、希望条件などを明記して、記名押印して、売主に提出するものです。

法律的には「購入希望の意思表示」というものであり、「購入条件の受諾」や「契約の成立」を意味するものではないとされています。

あくまで、「こういう条件を前提に前向きに契約に向かって合意したい」という意思表示とされています。

買付証明書で優先権を得ることはできない
したがって、買付証明書を出したからといって購入の優先権が確保されたものではなく、また購入を義務付けられるものではありません。

しかし、売主にとっても仲介する不動産会社にとっても、前向きに交渉するための書面として、重きをおいて活用されています。

ローンの事前審査をしておこう

土地の購入資金の一部・又は全部を金融機関からの融資で計画している場合は、購入希望の土地を決めた時点で、ローンの事前審査を受けておきましょう。

事業用か居住用かという購入の目的によっても、使用できるローン商品や金利、融資限度が変わりますから注意が必要です。

なお、金融機関の融資は本審査の承認を取らなければ実施されませんが、事前審査が通れば、本審査が通る確率は格段に上がります。

金融機関の事前審査に必要な書類
事前審査に必要な書類は、

(1)対象物件を特定できる書類(登記簿謄本など)
(2)前年度収入がわかるもの(源泉徴収票など)
(3)勤務先資料
(4)売主・販売業者資料
(5)借入中のローン残高

などです。

事前審査であれば、1週間程度で返答を貰える金融機関が多いようです。

事前審査に通っていると交渉しやすい
事前審査が通っているということであれば、売主や仲介不動産会社は、購入資金に問題が無いということで、価格交渉やその他の条件交渉にも真剣味が増します。

資金に裏付けがあるかないかでは、引き出せる譲歩に違いが出てくるものです。

契約前に重要事項説明を受けよう

不動産会社は、契約に関して法律で定められた重要な事項について、買主に対して宅地建物取引士によって書面で説明する義務があると宅建業法で定められています。

これを、重要事項説明の義務といいます。

土地の売買については、

・利用目的に合わないような法令上の制限がないか
・隣地との境界確認はされているか
・残置物や埋設物などについての取り決めはどうなっているか
・瑕疵担保責任取り決めがどうなっているか
※瑕疵(かし)担保責任…買主が一般的に注意していても見つからなかった欠点、短所(隠れた瑕疵)が見つかった場合の損害賠償責任

などに注意して説明を聞きましょう。

わからないことはその場で確認しなければいけません。押印してからでは遅いです。

土地の売買契約を結ぼう

売買契約は、通常、契約内容の読み合わせをしたあとに、署名押印します。

必ずしも実印である必要はありませんが、本人確認で住所・氏名・生年月日の記載がある書類が必要となりますので、印鑑証明書と実印を用意することをおススメします。

手付金や仲介手数料、契約書の印紙代の用意も必要となります。

ローンを利用する際の注意点
ローンを利用する場合は、売買契約書に、融資の承認予定日やそれに基づく残金決済日の記載が必要になります。

契約締結日までには確認しておかなくてはいけません。

なお、ローンが前提の場合は、契約に融資利用特約が付くのが一般的です。

これはローンの承認が下りなかった場合は購入が不可能となるため、契約を最初から無かったものとする特約です。

引き渡しをしてもらい完了

買主は決済日には、

(1)住民票
(2)実印
(3)印鑑証明書
(4)委任状(司法書士あて)
(5)残代金、公租公課などの精算金、
(6)仲介手数料、登録免許税(所有権移転登記・抵当権等設定登記)、司法書士費用

の準備が必要です。

所有権移転登記は、売主との連名での申請です。

またローンを利用して購入する場合は金融機関が抵当権等設定登記をしますので、必要書類を確認しておきましょう。

代金の支払いの受領を売主に確認してもらい、売り主から必要書類を受領し司法書士に登記手続きを委任します。

登記の変更には1週間から10日程度かかりますので、法務局に登記手続きを受付てもらったことを確認すれば、引き渡し終了となります。

土地購入にかかる税金

土地の購入に関する税金としては、契約時に、

・印紙税(契約書)
・登録免許税(所有権移転登記、抵当権等設定登記)
・不動産取得税


がかかります。

印紙税

不動産売買契約書に必要な印紙税は、売買金額によって定められています。

印紙税:国税庁


登録免許税・不動産取得税
登録免許税・不動産取得税は、固定資産税評価額に税率をかけて算出されます。

不動産取得税は、土地を取得してから数か月後に都道府県税事務所から納税通知書が来ます。

床面積が50㎡以上240㎡以下の住宅用地を取得した場合は、取得後60日以内に減額申告をすれば、「住宅および住宅用とちを取得した場合の特例」を受けることができます。

土地購入にかかる税金のまとめ
税金税率控除・特例
登録免許税(所有権移転登記)1.5%
登録免許税(抵当権の設定登記)0.4%住宅用の場合0.1%
不動産取得税3%宅地評価土地の特例:評価額を½
住宅用土地の場合の特例:45,000円もしくは200㎡を限度として住宅床面積の2倍見合いの不動産取得税を減額


個人で土地の売買を行うのはリスク大


土地売買 流れ

土地の売買の流れについて、不動産会社に依頼することを前提に売買の流れをご説明してきました。

実は、不動産会社に依頼をしなくても売買は可能です。

しかし、プロを介さずに売買取引を行うことは手間が大きいでしょう。

個人で土地の売買を行うメリット

個人で売買をする場合の最大のメリットは「仲介手数料がかからない」ことです。

親族や友人、近隣の方への売却など、売却先に心あたりのある方は、個人売買のメリットがあるといっても良いでしょう。

個人で土地の売買を行うデメリット

不動産会社を通さずに取引を行うデメリットは数多くあります。

仲介手数料と引換えに不動産会社から得られるメリットがすべて受けられない、と理解しましょう。

(1)自分で買主を見つけなければいけない。
(2)広告手法に限度があり、コストもかかる
(3)契約交渉上のトラブルや決済後のトラブルの窓口が自分自身
(4)契約書作成などの作業も自分自身

土地の個人売買取引で用意しなければならないもの

売却に必要な書類は、個人売買でも不動産会社に仲介を依頼した場合でも、変わりはありません。

必要な書類が揃っているかどうか確認するのも自分の役割というだけです。

なお、重要事項説明は不動産会社の義務なので、個人の取引では必要ではありません。

厳密にいえば契約書すら必要ではありません
が、所有権移転登記には必要となります。

個人で取引を行う場合の注意点

不動産の売買は高額な取引です。

のちのちトラブルにならないように、しっかりと必要事項を合意して書面に残しておく必要があります。

宅地建物取引業者に依頼が必要なケース
買主が金融機関の融資を受ける場合は、金融機関の融資条件として宅地建物取引業者が交付した重要事項説明書や契約書を必要とする場合があります。

個人で取引を行う場合は金融機関の了承を得た上で、それに準じた契約書などを用意しなくてはならないでしょう。

仲介を依頼している場合は個人取引できないことも
不動産会社に仲介を依頼していた場合、専属専任媒介契約であれば契約期間中は、個人取引はできません。

また不動産会社に紹介してもらった先と個人取引をした場合、媒介契約解約後でも2年以内であれば、最大仲介手数料見合いまで実経費を請求することが認められています。

知人であっても専門家を利用した方が良い理由
不動産取引においては、高額な取引であるため、価格や解約、瑕疵担保責任などについて、トラブルになるケースは多々あります。

個人取引の場合は、感情的になることもありがちで泥沼化することも多いので、契約書関連・移転登記関連だけでも専門家に依頼をすることをお勧めします。

土地売買の流れを理解して上手な売却を実現しよう


土地売買 流れ

不動産会社は、土地売却のプロです。

仲介手数料は決して安いものではありませんので、対価としての不動産会社の知識やスキルをフルに活かすことが重要です。

そのためには、不動産会社との対話が必要です。

不動産会社の意見をプロとして尊重する姿勢も重要でしょう。

彼らの説明を真摯に聞き検討し、疑問や意見を率直に述べる、そうした態度が、不動産会社からの信頼を得ることにも繋がります。

不動産業者との信頼できる関係を築くことこそが、上手な売却の秘訣といえるでしょう。