【地元不動産屋が明かす】札幌で土地売却を成功する4つのコツ
[公開日]2017/08/29[更新日]2017/12/11札幌の土地の価格は上昇傾向であり。「今」が売却する絶好のタイミングです。
ただ、札幌の土地売買は全国の他の地域と異なり、降雪地帯ならではの特殊な不動産マーケットが存在するため、札幌ならではのノウハウが必要不可欠でしょう。
そこでこの記事では、札幌生まれ札幌育ち地元生活累計26年の不動産屋である筆者が、ローカルな情報を交えつつ「札幌の土地の売却を成功させる4つのコツ」を、詳しくご紹介します。
目次
札幌で土地を売却する際に注意すべき4ポイント
札幌で土地を売却する場合に大事なことは、
- 札幌という特定の市場の特性を理解
- 全体の価格動向を押さえる
- 対象の土地の相場を把握
- 適正な価格設定を行う
- 売り時を見極めて需要層に販売活動を実施
という正しい手順を踏むことです。
この手順は札幌だけに限らず、全ての土地の売却の基本的な手順でもあります。
土地は売却の時点で同じものはふたつとないため、その土地の持つ属性を正しく把握して、正しい価値で販売することが重要なのです。
札幌の土地の売却を成功する上で必要な4ポイントを詳しく解説していきます。
ポイント①:札幌の地価の動向を知っておく
まず、札幌の地価の全体像を把握しましょう。札幌という街における相場を知っておくことで、売却する土地の価格についておおまかなイメージを持つことができます。
札幌の相場は、東京・名古屋・大阪といった三大都市圏とのレベルとは大きく違うことを最初に理解しなければなりません。
また、札幌といっても都心部の中央区とその他のエリアでも大きく相場が違うことを認識することも重要です。
ポイント②:正確な土地の相場を知っておく
札幌の地価動向を把握した次には、売却する土地の相場を調べてみましょう。国土交通省の土地総合情報システムでは、土地の住所で周辺の公的価格や取引事例を参照することができます。
インターネットの不動産物件情報で周辺地区の土地を検索してみるのも良いでしょう。
札幌の土地の相場は形状や面積だけではなく、
- 地下鉄駅からの距離
- 交通機関の別
- 接面道路の幅員
などによって大きく異なっています。
なぜ土地の形状や面積以外の要素の影響が大きいのか?
札幌で土地の面積や形状以外の要素が土地の価格に影響する大きいのは、- 地下鉄が3路線しかない
- 降雪地帯である
ことが原因となっています。
事前に相場知識を得ることで判断できる
実際に土地を売却する際の価格設定は、不動産会社の査定をベースにして決めることになります。相場を知っておくことは、不動産会社の査定の際に判断基準を自分の中で持つこととなり、納得感を得るために重要になります。
ポイント③:不動産業者に土地の査定を依頼
土地の相場を確認できたら、不動産会社に査定を依頼しましょう。土地は、
- 形状や都市計画
- 建ぺい率や容積率
- 道路との接面状
- 現状
によって評価が変わってきます。
そこで、土地売買のプロである不動産会社の査定が重要となります。
査定は、不動産会社の見積もり価格であり絶対のものではありません。
必ず複数の不動産会社に依頼して比較するようにしましょう。
大手にも地元の会社にもメリット・デメリットがありますから、大手2社・地元2社の計4社くらいは査定依頼をしてみることをお勧めします。
ポイント④:売却の時期を選ぶ
一般的には、不動産の需要期は4月がピークであるため、1~3月が売り出しに適した時期だといわれています。しかし、札幌は降雪地帯です。
売却を急ぐ事由が無ければ、下見も満足にできない1~3月は敬遠した方が良いでしょう。
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コツ1:札幌の地価の動向を知っておく
札幌の地価の動向を知るためには、以下の資料の参照をお勧めします。
「国土交通省土地総合ライブラリー」
公示価格 主な都市における住宅地の平均価格の推移グラフ
地価ルックレポート 主要都市の高度利用地地価動向報告
「公益社団法人 北海道不動産鑑定士協会」
札幌市地価公示平均価格の推移グラフ
「公益社団法人 北海道不動産鑑定士協会」
札幌市の土地が「今」売り時である理由
札幌市の土地については、現在の環境が節目を迎える前に、売却を決意した方が良い「まさに売り時」と考えられます。下がり続けていた地価は現在上昇中
札幌市は平成28年度の人口が全国5位、195万人の市であり、中央区をはじめとして10区制となっています。平均地価はバブル経済末期の平成3年の136千円/㎡をピークに下がり続けます。
ITバブルといわれた時期に若干値を上げますが平成20年のリーマンショック時に再び下落しました。
しかし、平成27年には61千円であった札幌の平均地価は、
- 中央区を中心としたマンション・オフィス・ホテルの開発需要
- 超低金利
- 円安による外資投資
などを背景に、現在は上昇に転じています。
札幌の住宅地の公示価格平均
札幌の住宅地の平成29年公示価格平均は6万5千円/㎡、坪あたり21万4千円です。上昇中といっても、東京23区の平均54万9千円/㎡の約9分の1です。
東京の感覚で土地の売却価格を皮算用していた方は、認識を改めないと、がっかりすることになりかねません。
地価ルックレポートでは「札幌の上昇傾向は続く」
地価ルックレポートとは、「主要都市の地価動向を先行的に表しやすい高度利用地等の地区について、四半期毎に地価動向を把握することにより先行的な地価動向を明らかにするもの」
として国土交通省が公表しているものです。
札幌市では「宮の森地区」という、地下鉄西28丁目駅~円山駅周辺の歴史的高級住宅・マンション地区を参照しています。
このレポートによれば、中央区に関しては、今後も上昇傾向が続くとみられています。
地価公示平均価格の推移グラフから区別にみると中央区が際立っていますが、豊平区・西区も地価の上昇傾向がみられます。
一方で、白石区・東区は、ほぼ横ばい、厚別区・北区・清田区・手稲区・南区は、市の平均価格を下回り、価格もほとんど横ばいか下落傾向のエリアすらあります。
札幌市の区による傾向の差は、都心部が近く、地下鉄駅から近いエリアは地価が上昇しているのに対し、都心・地下鉄から遠いエリアは地価の上昇があまり見込めない、という二極分化の状況が現れているといえます。
現在の上昇傾向のうちに土地を売却すべき
老齢化人口の増加・少子化は全国的な傾向ですが、札幌でも同様であり、人口増加速度は低下しています。札幌は全国平均と比較しても世帯収入の伸び率が小さく水準も高くありません。
購買層を国内外の富裕層に求める中央区のマンション建設は既にピークアウトしているという意見も見られ始めてきました。
また、日本全体としては、1992年制定の生産緑地指定が2022年に期限を迎え、大量に宅地として市場に放出されるため地価が下がる、といういわゆる2022年問題も今後控えています。
金融庁が、不動産業への設備投資や個人の賃貸向け不動産投資向けの融資の伸び率に懸念を表明したことから、平成29年4-6月期の新規融資がそれぞれ約3割減少したことも、地価の下落不安を促す要因となっています。
来年度は固定資産税の見直し年なので、所有者の負担が増加することが予想されることもマイナス要因です。
こうした環境下では、中央区の上昇が継続しているうちに、自身の利用を予定していない札幌の土地は、上昇の期待と下落のリスクを鑑み、早めに売却の意思を固める時期、「今が売り時」だといえるのではないでしょうか。
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コツ2:正確な土地の相場を知るために―札幌ならではの独自の基準とは
記事冒頭で言及したように、札幌はちょっとだけ特殊な要件で土地の相場が変わります。
その特色を解説しましょう。
駅から徒歩5分以内が高値
一般的には、「駅徒歩10分」というのは、駅から近いことを理由に好物件といわれています。不動産物件の案内では徒歩1分が80mとされていますから、好物件すなわち「駅から近い物件」は、800m圏内ということになります。
札幌市民には徒歩10分は「駅遠」
ところが札幌在住が長い人にとって「徒歩10分」は「8丁も歩けない」と言われてしまう距離で、「駅からちょっと遠い物件」というイメージになってしまいます。丁(ちょう)というのは約100mのことです。
札幌は、京都と同様に碁盤の目で街ができている、といわれています。
札幌の中心部は、開拓時代に京都の町を模して100m四方に道を配した街づくりをされており、南2条西3丁目など、方角と数字で住所を表しています。
丁という言葉はそのことから由来して今も使われる表現です。
厳しい冬だから徒歩圏は狭い
札幌は冬には雪が降り、気温も零下10℃を超える気候となる街です。冬季間、外を歩くのは凍死の危険さえ伴う大変なことなのです。
200万都市といわれる札幌なのにホームレスが居ないというのも、「冬場を越せないからだ」という都市伝説ともいえない話があるくらいです。
そんな冬場に歩くことを敬遠することが、札幌市民にはしみついている、というの言いすぎでしょうか。
札幌は地下鉄の駅間が短い
札幌の地下鉄は南北線が一番古いのですが、たとえば中心部の駅区間は、- さっぽろ駅
- 大通駅
- すすきの駅
- 中島公園駅、
- 幌平橋駅
の5駅の距離で、わずか3.4kmです。
区間平均850mということは徒歩で10分も歩けば、次の駅まで歩けてしまうんですね。
大通駅からすすきの駅までは6分で歩ける駅間500mの距離です。
JR東京駅に例えると、日本橋口から南口まで約650mですから、まだ東京駅から出られない距離に駅が2つあるのです。
札幌の人にとっては、駅から遠ければ遠いほど、評価が低くなるのは当然なのです。
地下鉄沿線が高値
札幌の公共交通機関は、- JR・地下鉄
- 市営電車(路面電車)
- バス
があります。
地下鉄以外は不便で不人気
しかし、JRは駅数もあまり多くなく、市営電車は中央区内しかなくカバーできるエリアがあまり広くありません。また冬季間はJRや市営電車、バスや自家用車も降雪や路面凍結の影響を受けて渋滞や運休が多くなります。
そのため、冬でも雪の影響を受けにくい地下鉄沿線が人気です。
限られた数である地下鉄沿線が人気
地下鉄は、の3路線しかないのは、200万都市としては寂しい状態ですが事実です。
エリアも限られているので、地下鉄沿線の地価は他と比べて高価となっています。
もちろん、地下鉄沿線でもオフィスや商業施設の多い中央部から離れた駅になるのにしたがって価格が下がります。
幅10m以上の公道に接している土地が高値―積雪への対応がカギ
札幌市では、冬季間の積雪が土地の価値を大きく左右しています。除排雪の負担費用額が土地の価格に影響
札幌市では除排雪の費用負担が土地の価値に影響を与える要因のひとつとされています。札幌市の除排雪費用関連予算は平成28年度で194億6千万円、除排雪対象の道路は約5400kmにものぼります。
10cm以上の降雪があれば主に夜間に除雪作業がなされますが、一晩で1億2000万円以上の費用がかかるといわれています。
除雪とは、降り積もった雪を道路脇に寄せる作業であり、排雪とはその雪をダンプトラックに積み込み、雪たい積場(雪捨て場)に運ぶ作業です。
除雪については、
- 接面している道路の種類、
- 幅員
によって、市が作業負担をするかどうかが決まります。
下記の表に除排雪費用の内容をまとめてみましたので、ご参照下さい。
道路の種類 | 札幌市による除排雪の費用負担 |
---|---|
幅員10m以上の公道 | 除排雪とも市の負担 |
幅員8m以上10m未満の公道 | 除雪:市の負担、排雪:パートナーシップ制により一部地域負担(1kmあたり463,500円) |
私道 | 除排雪:自己負担 |
除雪
公道であれば基本的に除雪は市の負担となりますが、8m未満の市道については、機械除雪が不可能な場合は除雪はされません。私道も同様です。
また、自宅や駐車場などの私有地の除雪は自己負担です。
排雪
排雪についても、接面している道路の種類、幅員によって負担が決まります。重要道路に指定されている幹線道路や通学路は市の負担ですが、生活道路については、幅員により、町内会などの地域と市で負担を分担する「除雪パートナーシップ制」を利用することになります。
「除雪パートナーシップ制」とは
除雪パートナーシップ制は年に一回、地域の申請により除排雪を実施してもらう制度です。除雪パートナーシップ制も機械が入らない幅員の場合は、実施できません。
自己負担対象:私有地の除排雪
私有地の除排雪は基本的に自己負担です。降雪の多寡にもよりますが、代行業者に依頼をすると、面積によりますが「1日5000円~数万円、1シーズン数十万円から数百万円」にもなります。
そのため、老人世帯などを支援するボランティア活動も実施されています。
筆者もボランティア活動の除雪を経験
ちなみに筆者には、今シーズン、一夜にして60cmという大雪の日で自宅前の除雪に絶望していた時に、近隣の東海大学札幌高校の野球部員3名がボランティアで手伝ってくれた経験があります。
野球部員全員が近隣の除雪を手伝ったそうです。
すっかり感激して、北海道大会は応援してしまいました。
あの時の3人の爽やかな笑顔はまさしく天使に見えました。
野球部員全員が近隣の除雪を手伝ったそうです。
すっかり感激して、北海道大会は応援してしまいました。
あの時の3人の爽やかな笑顔はまさしく天使に見えました。
コツ3:札幌で土地を売却する場合の業者の選び方
どのような不動産会社を選べばよいかをご紹介します。
査定の結果から業者を絞り込む
不動産会社を選択する大事なポイントは以下の通りです。- 査定価格の高低よりも査定の根拠を重視
- 大手・地元の別よりも、説明・応対への信頼感を重視
あくまでも査定結果は見積もり価格
査定価格は、不動産会社の見積価格です。本当にその価格で売却できることを不動産会社が保証してくれるわけではありません。
査定価格が高い安いに一喜一憂するよりも、
- 自分が調べた上での相場観との違い
- なぜその価格なのか
- どういった購買層を想定した価格なのか
といった内容の根拠を質問してみましょう。
その根拠に説得力があるかどうかが、不動産会社を選択する点で重要なのです。
札幌では大手・地元どちらでもOK
また、大手・地元にあまりこだわる必要もありません。札幌は大手の不動産会社も支店網が充実しており、対応力があります。
地元の不動産会社も、地元ならではのネットワークを生かしてくれるでしょう。
担当者選びのコツ
- 査定や仲介に必要な手順の説明内容
- 電話での言葉使い
- 態度
などから「この人なら大事な財産を任せても良い」と感じられる担当者を選べばよいのです。
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コツ4:札幌で土地を売却するのにベストな時期とは
当然、土地の売却にふさわしい時期・季節も降雪が大きく影響します。
雪のない時期がベスト―真夏が繁忙期に
降雪期間が、不動産、特に土地に関しては売却するのに向かないというのは、以下の理由からです。- 積雪時は、土地の形状や接面の様子が分かりにくいため、除雪費用がかかる
- 居住者がいない土地周辺は、除雪が行き届かない
- 土地や近隣の風景が殺風景
- 買主も寒くて雪が降っている季節は、下見などの外出意欲が薄れる
端的に言うと、降雪期間中の下見だと土地から受けるイメージが悪いのです。
札幌の土地売買シーズンの全国とのずれに注意
札幌 | 全国 |
|
---|---|---|
繁忙期 | 5月~8月 | 1~4月 |
閑散期 | 12月~4月 | 5月~8月 |
上記の表のように、札幌と全国の土地の売買すべきシーズンは大きく異なります。
全国の傾向は4月がピーク
一般的に不動産の需要期が4月だというのは、- 異動や新入学や就職の時期となり新生活の実需がある
- 購入者が法人の場合や融資する金融機関は新年度となるため、予算が更新期でつきやすくなる
などが原因だといわれています。
そのため、降雪などの影響を受けない地域での売り出しは、需要期の契約に間に合うように1~3月が良い、といわれています。
また、ゴールデンウイークから夏休みにかけては不動産会社も休日が多いため、10月までは不需要期の傾向がある、ともいわれています。
札幌は雪のない時期が勝負
ところが札幌では、12月~4月末までは根雪となっていることが多いのです。その期間は雪の影響を受けるため、不動産の取引は活発ではありません。
逆にゴールデンウィーク明けから秋の気配を感じる9月の前半までが札幌の土地売買の勝負時、といわれています。
まとめ:札幌の土地は降雪の時期を避けて売り切ろう
札幌の土地の売却の4つのコツをご紹介してきました。
- 地価動向を知る
- 土地の相場を知る
- 不動産会社の選び方
- 売却時期
札幌ならではの特色である降雪が、この4つのポイントに大きく影響を与えています。
札幌の土地の価値を左右するのは降雪である、と言い換えても良いのです。
「敵を知り己を知れば百戦危うからず」といいます。
それぞれのポイントを正しく理解することが、札幌の土地の売却を上手に成功させるコツだといえるでしょう。
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