【行政書士が解説】土地の売買契約書トラブルから身を守る4つのポイント

[公開日]2017/09/12[更新日]2017/12/11

土地 売買契約書

残念ながら、土地の売買契約書をめぐるトラブルは日常的に発生しています。

自分だけは巻き込まれないという保証もありません。

この記事では、土地の売買契約書を読み解くポイントとリスク回避のための基礎知識について解説します。


この記事は、現役の行政書士の方に執筆していただき、引越しの神様チームで編集しております。


土地売買契約書のよくある書式と各項目の意味


土地 売買契約書

売買契約書には法律で決まった書式がないため、自社が加盟している業界団体(不動産業界には複数の業界団体があります)の推奨する書式を使用する不動産会社が多く見られます。

どの書式でも記載内容はそれほど変わらないので、ここで取り上げる知識は共通です。

土地売買契約書のよくある書式の記載事項の説明

土地売買は高額な契約となりますので、ひとたびトラブルが起こってしまうと、トラブル解決の金額も高額となります。

したがって、大きな金額が絡む条項ほど重要度が高いといえるでしょう。

土地売買契約書の記載事項のうち、特に重要度が高いと思われるもの中心に取り上げます。

手付金の授受に関する条項
買主は、契約締結時に売買代金の5~10%程度の手付金を支払うのが一般的です。

手付金は最終的に売買代金に充当されますから、要するに売買代金の一部として前金を支払うようなものです。

手付金は解約にも関わる重要な条項
しかし、手付金は、単に前金としての位置付けだけでなく、手付解除の場面でも重要な意義を持ちます。

手付解除(ページ下部へ)については、後述しますので、しっかり理解しておきましょう。

所有権の移転
売買契約の時点では手付金が支払われるだけで、残代金の支払い日そのものは契約締結から1~2ヶ月先に設定されています。

そのため、通常は「残代金が全額支払われたときに、所有権が買主に移転する」という取り決めになっています。

わざわざ契約書に書くまでもないと感じるでしょうが、実は「売買契約を締結したときに所有権が移転する」というのが法律上の原則なのです。

常識的な感覚に合わせるために取り決めを設定
しかし、法律の原則どおりだと、売主は代金を一部しかもらってないのに不動産の所有権を失い、買主は代金を一部しか支払ってないのに所有権を得ることになってしまいます。

常識的な感覚に反するため、「残代金の支払いをもって所有権が移転する」と定めているのです。

引渡し前の滅失(めっしつ)・毀損(きそん)
契約書によっては「危険負担」というタイトル・項目名を付けているものも多く見られます。

上記の「所有権の移転(ページ上部へ)」で説明したように、通常は、売買契約の日から引渡しまで時間が空いてしまいます。

そのため、売買契約の日から引渡しまでの間に不動産が滅失(めっしつ)・毀損(きそん)した場合にどうするか、という取り決めを設けているのです。

引渡しまでに発生するリスク(危険)はどちらが抱えるのか、という問題ですので、法律上は「危険負担」と呼んでいます。

大地震が発生した場合は売主・買主ともに解除可
たとえば、引渡し日までに大地震が発生し、土地が沈下したり、大きな地割れが発生したりして、土地が使い物にならなくなった場合は、売主・買主どちらの責任ともいえません。

このように、どちらの責任でもない場合には、一般的な土地売買契約書では、「売主からも買主からも契約を解除できる」と定められています。

瑕疵担保責任
瑕疵は「かし」と読み、キズや欠陥という意味です。

売買時に一見しただけでは分からない欠陥が後から見つかった場合、買主は、売主に対して損害賠償や契約解除を請求できます

瑕疵担保責任は契約書により内容異なる
土地売買契約書によって、瑕疵担保責任の取り扱いはさまざまです。

特にトラブルが多い重要ポイントですので、瑕疵担保責任については後ほど(ページ下部へ)詳しく解説します。

契約違反による解除
売買契約書には残代金の支払い日を明記していますから、買主が支払い日までに残代金を支払わなければ契約違反です。

また、売主が、買主から代金の支払いを受けているのに土地を引き渡さなければ、これも契約違反です。

このように、契約書に記載している内容を守らなければ、原則として契約違反となります。

契約違反により損害賠償が生じることも
売主・買主は、その相手方に契約違反があった場合には、契約を解除して損害賠償を請求できます。

もっとも、「損害賠償を請求できる」と定めても、損害が実際にいくら発生したかをめぐって争いになるので、あらかじめ賠償する金額(違約金)を定めておきます。

違約金は「契約金額の20%程度とする」のが一般的です。

融資利用の特約
土地の買主はローンで購入するのが一般的ですが、売買契約まで締結したものの、最終的に金融機関の承認がおりず、ローンが組めないこともあります。

しかし、これを買主の契約違反として扱うと、買主は違約金を支払わなければならなくなります。

ローン特約は条文に設けられるのが一般的
そこで、「万一、買主がローンを組めなかった場合には、無条件で契約解除できる」という取り決めをします。

これが「ローン特約」と呼ばれる条項です。

なお、「特約」という名前ですが、特約欄ではなく、土地売買契約書の条文として書かれているのが一般的です。

土地売買契約書の特約について

不動産会社は定型書式を使っており、個別の取引ごとに契約書の条文自体を変更することはありません。

そのため、

  1. 定型書式のどこにも記載がない特別な合意がある場合
  2. 定型書式の契約条項を一部読み替える場合

などには欄外に特約を記載するのが一般的です。

①契約書の書式ではカバーできない特別な合意事項がある場合
各種の条件付き解除特約
たとえば、農地売買のように、行政等への届出や許可が必要な場合は、万一、許可が下りなかったときに備えて、次のような特約を入れます。

下記の特約は、○○部分を書き換えることでいろいろ活用できます。

平成○年○月○日までに、○○許可が得られない場合には、売主は無条件で本契約を解除できます

確定測量図を作製できなかった場合の解除特約
確定測量図を作製するには、隣地所有者の立会いが必要です。

そのため、「隣地所有者の協力が得られず、いつまでも確定測量図が完成しない」という場合に備えて、次のような特約を入れます。

「売主が、平成○年○月○日までに確定測量図を作製できないときは、買主は書面で通知して本契約を解除することができます

隣地への越境がある場合の特約
たとえば、樹木や屋根の庇(ひさし)などが隣地に越境している場合(その逆で、隣地から樹木や屋根の庇が越境している場合も)、

  • 越境を解消してから引渡すパターン
  • 越境を確認のうえで引渡すパターン

  • の二つがあります。

    越境を解消してから引渡すパターン
    なお、樹木の越境のように容易に解消できる場合は、次のような特約を入れ、原則として越境を解消してから引き渡します。

    売主は、本物件の○○が隣接地に越境しているため、所有権移転の時期までに自己の責任と負担において越境物を撤去して、買主に本物件を引渡します

    越境を確認のうえで引渡すパターン
    しかし、ブロック塀や擁壁の越境の場合は、取り壊すにも多額の費用がかかるので、次のような特約を入れて、ひとまず現状のまま取引するのが一般的です。

    そして、将来、解体する時期が来たときに越境を解消します。

    買主は、本物件について○側隣接地から○○の越境があることを確認し、現状のまま買い受けます

    ②書式の契約条項を一部変更する場合
    瑕疵担保責任の免除特約(軽減特約)

    後ほど詳しく説明(ページ下部へ)
    しますが、売主が個人の場合に、2年も瑕疵担保責任を負うのは負担が重すぎます。

    瑕疵担保責任を免除するケース
    そこで、次のような特約を入れて、売主の瑕疵担保責任を免除することができます。

    売主は第○条にかかわらず、本物件の隠れたる瑕疵につき一切の担保責任を負いません。

    瑕疵担保責任の期間を短縮するケース
    また、瑕疵担保責任を免除することはできない場合でも、次のような特約を入れて、瑕疵担保期間を3~6ヶ月程度に縮めることがあります。

    第○条に定める本物件の瑕疵担保責任について、引渡しから○ヶ月と読み替えます。

    土地の売買契約書の読み方と注意点


    土地 売買契約書

    土地の売買契約書は抽象的で専門的な用語が多いため、あてもなく契約書に目を通しても、文字が流れていくだけで頭の中には入ってきません。

    契約書には読み方がありますが、土地の売買契約書を読み解くコツをお教えしましょう。

    土地の売買契約書の記載事項について注意点

    まずは土地の売買契約書を読むときの2つのコツをお教えしましょう。

    この2つのコツを押さえることで、土地売買契約の特徴や、土地売買契約書の注意すべきポイントも見えてきます。

    契約書を読むコツ「時系列でとらえる」「メリハリをつけて読む」
    「時系列でとらえる」
    契約書は「契約の一生」を表したものです。

    つまり、契約書というのは「契約が成立してから、目的を達成して終了するまでの流れを書いたもの」と捉えるのです。

    土地の売買契約の中には目的を達成する前に途中で終わる場合もありますが、これが「解除」というわけです。

    「メリハリをつけて読む」
    土地は高額な財産であり、トラブルには大きな金額が絡むため、先ほど
    説明したとおり(ページ上部へ)


  • >手付金
  • 所有権の移転
  • 引渡し前の滅失・毀損
  • 瑕疵担保責任
  • 契約違反による解除
  • 融資利用の特約

  • などが重要度の高い条文です。

    それ以外の条文は、実務上もそれほど問題にはならないので、サラッと目を通せば十分です。

    印紙代のトラブルはあったとしても少額
    たとえば、多くの土地売買契約書には「印紙代は折半」という条文が入っていますが、この条文をめぐって争いは生じないでしょうし、万一、揉めても数千円の話です。

    抽象的な文言を具体的にイメージして理解
    契約書の条文はあらゆる事象に適用できるよう、ある程度は抽象的に書かれていることを理解しておきましょう。

    なぜなら、現実に起こるかどうかも分からないことを想定して、あれもこれも契約書に盛り込んでいっては、契約書が何十ページあっても足りないからです。

    契約書は前提知識がないと内容を理解できない
    たとえば、契約書では「瑕疵(かし)担保責任」という用語を当然のように使用していますが、

  • 瑕疵とは何なのか
  • 体的に何が瑕疵にあたるか

  • については、どこにも書いていません。

    契約書はそういうものだと割り切って読むしかありませんが、少なくとも、この記事を一読することでポイントは押さえられるはずです。

    特約について注意しておくべきは表現の明確さ

    これに対して、特約とは、具体的な問題点があるときにその対処について事前に合意しておくものです。

    したがって、あまり抽象的な書き方をすると、双方が都合のよい解釈をするため、いざ現実化したときには、かえって紛争が拡大することがあります。

    たとえば、「・・・については別途協議する。」という特約をよく見かけますが、これでは問題を先送りにしただけで、好ましい特約とはいえません。

    特約では、

  • 「いつまでに何をするのか」
  • 「実現しなかった場合はどうなるのか」

  • ということを具体的に書いておくことがポイントです。

    特約をチェックするときは、条件や期限、効果などが明確に書かれているかどうかに注目してください。

    土地の売買契約トラブルが起きた場合の対処法


    土地 売買契約書

    土地の売買契約に関するトラブルはさまざまですが、中でも専門的で分かりづらい

  • 瑕疵担保責任
  • 契約解除の仕組み
  • トラブルの対処法

  • について詳しく解説します。

    土地の瑕疵担保責任をめぐるトラブル

    そもそも「瑕疵担保責任」とは?
    “瑕疵”は「かし」と読み、キズや欠陥という意味です。

    瑕疵をもう少し専門的に定義するならば、

    その物が通常備えているべき一定の品質、性能を備えていない状態

    のことをいいます。

    瑕疵担保責任は買主を守る仕組み
    買主としては、「この価格であれば、通常これくらいの品質・性能があるはずだ」と信頼して買うわけですから、その信頼を裏切るようなものを売ったのであれば、売主が責任を負うべきだ、という考えです。

    引渡しから一定期間内に瑕疵が見つかった場合、買主は、売主に対して「損害賠償」や「契約解除」を請求できます。

    売主が瑕疵の存在を知っていたかどうかに関係なく、問答無用で法的責任が発生するので、売主にとっては負担の重い責任です。

    瑕疵担保責任に関する具体的なトラブル事例
    土地の瑕疵担保責任をめぐるトラブル事例を挙げてみましょう。

    買主がこれらの事実を一切知らされてなかったとすれば、まさかの出来事ですので、売主の責任を追及したいところでしょう。

    また、以下の事例では、いずれも売主の責任が認められる可能性があります。

    1. 建物を新築するために土地を買ったが、工事中に地中から大量のコンクリートガラやがれきが見つかり、想定外の撤去費用が必要
    2. 建物を新築するために土地を買ったが、相当な軟弱地盤であったため、建物を建てるために多額の地盤改良費がかかった。
    3. 擁壁のある土地を買ったが、擁壁は建築法令を遵守していない違法なものだった。擁壁を解体して築造し直す必要があるが、そのためには莫大な費用がかかる。

    瑕疵担保責任をめぐるトラブルの回避策や解決法
    瑕疵担保責任の免除特約、軽減特約を入れる
    売主が個人の場合は、買主の同意があれば、瑕疵担保責任を免除する特約も認められています。

    どうしても買主の同意が得られなければ、瑕疵担保責任の期間を引渡しから数ヶ月程度に縮めてもらうことも一般的に行われています。

    可能な限りの調査をして、判明している事実は正直に申告する
    「瑕疵にあたりそうな事実があるが、黙っていれば大丈夫ではないか」という安易な発想は厳禁です。

    契約書によっては、売主が知っていて告げなかった瑕疵については売主が責任を負う、と明記している書式もありますが、仮に契約書に書いてなかったとしても、法律上(民法第572条)も、売主が責任を負うと定められています。

    あとから責任追及されて紛争になるくらいなら、あらかじめ判明している事実は正直に申告しておくのが一番です。

    調査で瑕疵をあらかじめ明らかにするメリット
    たとえば、上記の3つのトラブル事例(ページ上部へ)も事前に調査すれば判明していた可能性があったはずです。

    そのうえで、

  • 「地中障害物が出てくるかもしれないが責任は負えない」
  • 「もし軟弱地盤のため地盤補強にお金がかかるとしても責任は負えない」

  • という旨の特約を入れておけば、買主もそのつもりで買い受けるので、トラブルを回避することができます。

    土地の売買契約の解除方法は三つ

    土地売買契約が解除されるルートは3つあります。

    それぞれの要件・効果と注意点を整理しておきましょう。

    解除について正確に理解しないまま、勢いで解除すると後戻りできないので注意が必要です。

    一旦、契約解除の意思表示をしてしまうと、原則として撤回できません。


    手付解除
    手付解除とは、契約書に定めた手付解除期日までであれば、売主も買主も、特に理由なく自由に契約を解除できる、という解除制度です。

    解除の理由を問わないというのが特徴です。

    「やっぱり気が変わった」という無責任な理由でも一向に構いません。

    手付け解除には負担が生じる
    買主が手付解除する場合には、手付金を放棄しなければなりません。

    つまり、売主に支払った手付金が返ってこない、というペナルティです。

    一方、売主が手付解除する場合には、手付金の倍額を支払わなければなりません。

    つまり、買主に手付金を返すときに同じ額を上乗せして返金するということです。(たとえば、手付金が100万円であれば200万円を返金することになります)

    手付け解除は手付け解除期限までに行う
    ただし、手付解除ができるのは、契約書に定める手付解除期限までです。

    手付解除期限を過ぎても契約解除はできますが、この場合は次の項目で説明する「約定解除」が適用されるので、多額の違約金が発生するおそれがあります。

    約定解除
    当事者の一方が、売買契約書に記載している内容を守らなければ、原則として契約違反です。

    売買契約書には、「当事者の一方に契約違反があった場合には、もう一方の当事者は契約を解除し、違約金を請求できる」という条文(一般に「解除条項」といいます)が必ず入っています。

    たとえば、買主が残代金の支払い期日になっても残代金を支払ってくれない、という事態が生じたとしましょう。

    残代金の支払い日は契約書に定めていますから、残代金を支払わないのは契約違反です。

    したがって、売主は速やかに残代金を支払うよう催告し、それでも買主が代金を支払わない場合には、売主は契約を解除できます。

    約定解除には違約金の負担が生じる
    約定解除にもペナルティがあり、これが「違約金」と呼ばれるものです。

    違約金は、契約金額の10%~20%とするのが一般的ですから、手付解除に比べると、約定解除のペナルティはかなり高額となります。

    合意解除
    売主と買主で合意さえあれば、自由な条件で契約を解除できます。

    やむを得ない事情がある場合に、当事者が協議して円満に解約する場合に使われる方法です。

    あくまで当事者の合意次第ですので、白紙解約(違約金を支払わない)とする場合もよく見られます。

    土地の売買契約書を紛失した場合

    契約書を紛失するとどうなる?
    「契約書を大事にしまっておいたらどこに保管したか忘れてしまった」というのはよくある話です。

    しかし、実のところ契約書を紛失してしまっても、それほど困ることはありません

    契約の相手方に協力してもらう
    なぜなら、通常、契約書は2通作られ、売主と買主が一通ずつ保管していますので、あなたが紛失しても、契約の相手方が保管しているからです。

    2通の契約書はまったく同一内容ですので、相手方から借りてコピーしても不都合はありません。

    とはいえ、なかなか頼みづらいでしょうから、そういう場合は不動産仲介業者に頼んでみるといいでしょう。不動産仲介業者がコピーを保管していることもあります。

    契約書のコピーでも問題ないか
    しかし「所詮コピーではないか」と気になる方もあるでしょう。

    もちろん、原本であるに越したことはありませんが、コピーだからといって特に困ることもありません

    実際、不動産業者間の取引では、印紙代を節約するために契約書は1通しか作らず、一方が原本、もう一方がコピーを保管する、という場合も多いのですが、この運用で支障が出たという話は聞きません。

    ちなみに、日本の裁判所は、コピー文書であっても「特段の事情がない限り、原本と同一の社会的機能と信用性がある」という前提に立っています。

    万が一、売主と買主との間で裁判になっても、裁判所から「コピーだから無効」と言われる心配はまずないのです。
    ともあれ、契約書は重要な書類ですので失くさないことです。

    土地の売買契約書に必要な印紙と負担金額


    土地 売買契約書

    私たちは、日常的な経済取引に伴って、さまざまな文書(契約書、領収書など)を作成しています。

    たとえば、モノの売買に消費税が課されたり、相続に相続税が課されるのと同じように、経済取引のために文書を作ると税金がかかります

    これが印紙税です。

    この印紙税が、土地の売買契約書ではどのように扱われるかを解説します。

    土地の売買契約書の印紙税は誰が負担するのか

    印紙の負担者について、印紙税法では「課税文書の作成者は印紙税を収める義務がある」と定めています(印紙税法第3条)。

    ここにいう「作成者」とは、その文書の名義人を指します。

    たとえば、会社が締結する契約書は、契約の名義人は会社ですから、会社が作成者となります。

    実際にはその会社の社員が作成しているでしょうが、社員を作成者とは考えません。

    二通作成した場合の作成者の扱い
    また、契約書を2通作った場合は、双方が作成者となり、領収書のような一方通行の文書の場合は、発行する側が作成者となります。

    土地売買契約書の印紙代はいくらかかるのか

    印紙税法では、経済取引に伴って作成される文書のうち20種類を「課税文書」として指定し、収入印紙の貼付を求めています。

    国税庁ホームページ
    印紙税額の一覧表(その1) 第1号文書から第4号文書まで
    印紙税額の一覧表(その2) 第5号文書から第20号文書まで

    土地の売買契約書には収入印紙が必要
    土地の売買契約書は、この20種類の課税文書の一つに該当するため、収入印紙を貼ることが求められます。

    契約書に貼付する収入印紙の額は、売買する不動産の金額によって変わります

    なお、平成30年6月までは軽減措置がとられており、5000万円以下の場合は本来の印紙税額の半額にです(下記の表は軽減措置による税額です)。

    記載された契約金額印紙税額
    1万円以上50万円以下のもの200円
    50万円を超え100万円以下のもの500円
    100万円を超え500万円以下のもの1,000円
    500万円を超え1,000万円以下のもの5,000円
    1,000万円を超え5,000万円以下のもの10,000円
    5,000万円を超え1億円以下のもの30,000円
    1億円を超え5億円以下のもの60,000円
    5億円を超え10億円以下のもの160,000円
    10億円を超え50億円以下のもの320,000円
    50億円を超えるもの480,000円


    【参考:国税庁ホームページ】

    個人間で土地の売買契約した場合は

    先ほどご説明したとおり、印紙税法は「課税文書の作成者は印紙税を収める義務がある」と定めているだけで、その作成者が事業者であるか個人であるかは問題としていません

    個人の土地の取引であっても収入印紙が必須
    したがって、個人であっても、課税文書の作成者となる場合は収入印紙を貼付する義務があります。

    つまり、土地の売買契約で、個人が売主や買主となる場合にも、収入印紙が必要となります。

    まとめ:土地の売買契約書は事前の情報収集が必須


    土地 売買契約書

    不動産の売買は、多くの個人にとって、人生で一度か二度しかない経験です。

    これに対し、取引に関与する不動産会社にとっては日常業務ですので、黙っていると当たり前のように契約が進んでいきます。

    この記事で挙げたポイントを押さえて、分からないことがあれば納得できるまで質問してみましょう。