大家が教える家賃交渉のテクニック!契約前・更新時に値下げする方法

[公開日]2016/10/17

家賃 交渉 気に入るような部屋は、「家賃が高いので手が出ない」と諦めてはいませんか?

家賃は、交渉で下げることができるかもしれません。諦める前に、ちょっと調べてみましょう。もしかしたら、あなたの予算で、気に入った部屋に住むことができるかもしれません。

この記事では大家さんに家賃交渉のテクニックを解説してもらったにゃ!


家賃交渉ができるかは物件に「不人気要素」があるかどうか


住居の賃貸借契約において、家賃は決して絶対の条件ではありません。あくまで貸主(大家さん)と借主(入居者)の合意によって決まる契約条件のひとつです。家賃を交渉することは借地借家法でも定められている権利なのです。

とはいえ、正当な理由がなく、ただ「家賃を安くして欲しい」と主張しても合意することはできません。まずは、どんな物件が家賃交渉のできる物件なのか、どういう物件は交渉が難しい物件なのか、ご紹介しましょう。

人気のある物件は家賃交渉は厳しい

家賃交渉 ポイントは、ずばり「不人気要素のある物件は家賃交渉がしやすい」ということです。言い換えると「人気のある物件は、家賃交渉がしづらい」ということです。

価格は需要と供給のバランスで決まるのが、経済原則です。放っておいてもドンドン問い合わせの電話が鳴りやまないような、人気のある物件、長所の多い物件は、大家さんも自信満々です。そういった物件で家賃の交渉をしても、成果を上げることは難しいでしょう。

今の条件でも他の入居者を見つけることに勝算があるからです。ペットが飼える部屋も、アパート・マンションではまだまだ絶対数が少なく、希望者は多いので、残念ながら、家賃の交渉は成功しない、と思ってよいでしょう。
人気がある物件はほっといても勝手に入居者が決まるから値下げはする必要ないんだにゃ。


家賃交渉をするなら知っておきたい5つの不人気要素

逆に、なにか欠点があるような物件は、大家さんも、この条件のままでは、入居者が見つからないかもしれない、と不安に思っているかもしれません。客観的な事実を提示して、そうした心理を上手に刺激することで、家賃を下げることも可能になるのです。

具体的には、以下の条件にあてはまる物件は、不人気要素があるので、家賃の交渉がしやすい物件といえるでしょう。

築年数が古い物件
家賃交渉 7~15年くらいの築年数の物件は、リフォームをするにはまだ早い物件ですので、新築時そのままの設備・間取りとなっている場合が多く、20年以上の築年数でも改装・改築をした物件よりも、「古い」という印象が強くなるものです。

低階層の物件
防犯上の問題、道路の騒音が聞こえやすい、などの点で人気があまりありません。

バス便の表示
家賃交渉 不動産物件の広告表示では、徒歩1分が80mの距離を示すのが標準です。駅から徒歩15分というのは1.2キロメートルですから、結構な距離ですよね。駅からの表示がなくバス便の表示ということは、駅からは相当距離のある物件ということを意味します。

他の階層にも募集物件がある
同じ建物で、いくつも空き室がある物件は、日当たりや、間取り、立地条件など、なんらかの欠点があると見てよいでしょう。

間取り・設備が時代遅れ
家賃交渉 バス・トイレが同室、セキュリテイ設備がない、ネット対応がされていない、エアコンがない、など。特にバス・トイレがユニットバス方式で同室の場合は、今や入居者を見つけるのは至難の業です。このような物件の場合は、筆者は大家さんにはリフォームを提言するようにしています。

気に入った部屋にできるだけ安く住むという考えが基本

もちろん、家賃を下げる交渉をするために、「自分が我慢できないような欠点を持つ部屋を選びましょう」と勧めているわけではありません。それでは本末転倒です。自分が気に入った部屋にできるだけ安い家賃で住む、ということが部屋選びと家賃交渉の目的ですから、それを忘れてはいけません。

どんな部屋に住みたいか、という選択をする際に、絶対に譲れない条件と、妥協してもよい条件、まったく気にならない条件を、はっきり整理しておけばよいのです。

「エリアは譲れないが、低層階でも構わない」「バス・トイレ別にはこだわるけれど、日当たりはどうでもよい」「セキュリテイ設備はあった方がよいが、なくてもかまわない」など、それぞれ自分がこだわる条件と、そうでもない条件を書き出してみましょう。

妥協できる欠点を持つ物件であれば、むしろ積極的に選んだ方が、家賃交渉はしやすい、ということを覚えておくようにしましょう。
確かにユニットバスは部屋の内容がどんなに良くても選びづらいわね。


家賃交渉がしやすいのは5月6月!引越しがない時期に契約すれば二度おいしい


引越しの多い時期とはいつ頃か、想像してみましょう。転勤や入学、入社のために引っ越す人が多いですよね。そのため、2月~3月が、1年のうちで、一番引越しの多い時期となります。新居を求める人がその時期には多くなる、したがって賃貸住宅の需要もその時期がピークとなります。

次いで多いのは、夏休みが終わり、年度の下期が始まる10月です。カップル向けの住宅は、6月、10月も需要が多いものです。ジューンブライド向けや、夏休み中に親密度が上がったカップルの需要が増える、ということなのかもしれません。そうした需要期は、家賃の交渉にとっては、難しい時期といえます。

需要が高い時期は、家賃を下げなくても入居者が見つかる可能性が高いからです。

需要のない時期は入居時の家賃交渉が有利
家賃交渉がしやすい時期は、不需要期です。特に、学生向けや独身向けの部屋は、4月までに入居者が見つからないと、10月まで空き室になってしまう可能性が高いのです。5月~9月くらいまでは、家賃交渉がしやすい期間だといえるでしょう。

入居時が不人気時期だと更新時も交渉しやすい時期になる
家賃の交渉がしやすい時期に入居をすると、入居後も有利に働きます。通常、賃貸契約は1~2年ごとで更新することになりますが、その際に家賃の交渉をする時期も、やはり不需要期になるからです。事情が許すならば、引越しは5~6月を目標にした方がよいかもしれませんね。
時期が違うだけでこんなに影響があるなんて知らなかったわ!


入居前の家賃交渉は相場観とタイミングが重要


家賃の交渉をするタイミングは、入居前と、入居中に大きく分けることができます。この項目では入居前の交渉について、説明しましょう。

事前準備で最重要な知識は相場観!下調べを確実に

どんな交渉でも、物事を優位に運ぶためには、準備が重要です。家賃の交渉でもそれは同様です。自分が住みたいと思うエリア・間取りの賃貸相場を知っておきましょう。今ではインターネットで簡単に検索することができます。

対象のエリア・間取りの物件をざっと拾って、間取り、面積、築年、賃貸料、共益費、面積当たり単価をひとつの表にまとめて、平均値を算出してみると、わかりやすいと思います。突出して高い、極端に安い物件があれば、その内容を詳しく見てその理由を推測してみることも重要です。

自ずと対象の地域・間取りの相場観が養われていきます。家賃がもともと相場より安く設定されている物件なのに、一所懸命に家賃交渉をしても、効果は薄く徒労に終わる可能性も高くなってしまいます。相場並み、或いは相場より少し高い物件が家賃の交渉の対象となるでしょう。相場並みの価格レベルを知っていることが、家賃交渉成功のための第1歩といえます。
良い部屋を見つけるためにも、相場知識をしっかり身につけておくぞ!


家賃交渉を切り出すタイミングは申し込みの直前

家賃交渉 通常、部屋を探す手順としては、以下の通りとなります。

不動産会社に相談して、希望のエリア、間取り、家賃、の希望を伝える
該当するような物件を紹介してもらい、いくつか内覧をする
希望にあった物件に申し込みをする
重要事項の説明を受け、契約を締結する
引き渡しを受け、引越しをする

家賃の交渉をするタイミングですが、家賃の問題さえクリアできれば、この物件に住みたい、申し込みをしてもよい、という意志が固まったときが、最適といえます。上記の手順でいえば、STEP3の申し込みの直前です

家賃についての意見とその根拠を明確に伝えること、家賃以外については申し込みの意思がはっきりしていることを伝えることが重要です。

逆に家賃が下がらなければきっぱりと諦める覚悟も必要です。未練がましい思いは見透かされやすいものですから。その意思が誠実であり、真摯であることが伝われば、交渉に応じる可能性は高まることでしょう。
誠実な交渉姿勢でないとなかなかいい結果を得られないみたいにゃん!


交渉相手は不動産会社と心得よ


家賃交渉 家賃の交渉について、その当事者はあくまで入居者と大家さんです。不動産会社は、契約の成立をお手伝いする立場です。価格の交渉権は不動産会社には基本的にありません。大家さんの了解が取れてしまえば、あとから不動産会社が文句をいう筋合いではないのです。したがって、家賃の交渉は大家さんとした方がよいような気もします。

しかし現実には、一般の住居用賃貸借契約で大家さんが直接入居希望者と交渉をすることは滅多にありません。重要事項説明書や契約書の記名押印を見て、初めて大家さんの存在がわかることも珍しいことではありません。

不動産会社は、入居希望者から価格条件の提示があった場合、その交渉の窓口として、大家さんと合意している条件以外であれば却下することもできますし、こういう条件提示がありましたがどうしますかと大家さんに連絡することも、理由を明示した上であれば、この条件で合意した方がよいと思いますがどうですか、と意見を述べて決定を促すこともできます。

最終決定を下すのは大家さんですが、家賃の交渉の、最初の関門であり、大きな影響を与えるのは不動産会社なのです。不動産会社を説得できずに相手にされなければ、その段階で、家賃交渉は失敗に終わったと思って間違いないでしょう。大事なのは不動産会社との交渉なのです。

契約書では全項目に納得できるか確認を

契約書については、すでに内容については重要事項で説明してあり合意済みという前提となっています。したがって契約書については、今まで説明を受けたことについて、ひとつひとつ確認することになります。項目ごとに、説明を受けていない、説明と違う、ということがないかどうかをきちんとチェックしましょう。

特に敷金の返済について、故意の破損などがない限り、住居の場合は全額返済が基本ですが、敷引といって返還しない額を予め決めておいたり、部屋のクリーニング代を差し引いたりする契約になっている場合もあるため、しっかりと説明を受ける必要があります

また、入居者が契約期間中や更新の際の家賃の減額交渉ができない、という特約のある契約とする場合もありますので、その点は留意してチェックするようにしましょう。
面倒だとしてもちゃんと確認して、確実に疑問点をなくすことが大切にゃ!


入居後の家賃交渉は更新時期を狙う


入居後も基本的には家賃の交渉はいつでも可能ですが、一番交渉がしやすいタイミングは、やはり更新の時期です。契約によっては自動更新となっていたり、申し入れが必要だったり、様々ですから、書面による申し出が必要かどうかは、契約書をよくチェックしておきましょう。

また、更新の際は、仲介した不動産会社は基本的には関係がなく、管理会社や大家さんが直接交渉の窓口になるため、確認が必要です。

更新の時期が、需要期に当たる場合は、要注意です。入居前と同様に、大家さんが一番強気の時期だからです。逆に値上げを切り出されてしまう可能性もあります。引越しの初期費用と、現在の住居の満足度を天秤にかけて交渉するくらいの覚悟は必要かもしれません。

悪い意味で周辺環境の変化があれば値下げのチャンス

更新の時期以外でも、電車やバスなどの交通機関の状況が変わった、隣に高層ビルが建って日当たりが悪くなった、パチンコ屋が建って騒音がひどくなった、など、付近の相場が下がったり、不便になったりしたことが、顕著で納得性が高い場合は、値下げを主張してもよいでしょう。

良好な人間関係があって初めて家賃交渉のチャンスが訪れる

入居後に家賃の交渉をしようとするならば、自身を省みて、住み続けて欲しい入居者であったかどうかを検証する必要があります。夜間に騒いで苦情が来ていたり、ゴミ出しのルールを守らなかったり、家賃を滞納したりして、迷惑をかけていませんか?そういった入居者が、家賃の交渉をしてきても、これ幸いと、条件が合わないなら退去して欲しい、といわれるのがオチです。近隣や大家さんに好かれる住民であるよう、常日頃からの配慮が必要でしょう。
ご近所トラブルとは無縁のマナーのいい生活が絶対に必要だね!大家さんも人間だからね!


交渉することが正解とは限らない!家賃交渉で失敗する2つのパターン


家賃は、交渉で決まる合意事項で、大家さんと入居者は、その意味で平等で対等な立場です。また不動産会社にとって、入居者は、仲介手数料を払ってくれる大事なお客様で、その満足を追求するのが仕事です。したがって、「家賃を下げて欲しい」と交渉することで、変に卑屈になる必要はありません。

根拠をしっかりと提示できるだけの準備と気持ちがあれば、健全な商行為といえる条件交渉なのですから。

傲慢な態度を振りかざして値下げを求める行為はタブー

むしろ、「自分はお客様なのだから、要望を聞くのが当たり前だ」という横柄な態度や、乱暴な口調で、家賃の値下げを要望することが、問題です。個人的には「三波春夫とトヨタが日本の経済をダメにした」と公言するくらい、筆者は「お客様は神様です」という言葉が嫌いですから。

商行為は、自分の要望について正当性を以て主張し、相手方の意向を尊重し敬意を持つからこそ、交渉が成り立ち合意点を見つけることができるものです。

報酬は、それと同価値の労働や成果に対して支払われるからこそ対価というのであって、間違っても一方的な隷属を強要するものではありません。「お客様も、報酬を受けるものも、尊重されるべき1個の人間であり、神様ではない」のです。三波春夫のあの台詞は、日本人に商文化についての間違った認識を深く浸透させてしまった諸悪の根源だと思っています。

話がそれましたが、要は、不動産会社も大家さんも、失礼な人間に対しては、あんまり親身になって考えてくれる人は多くない、ということです。もちろん、表面は、ご機嫌を損ねないように、丁寧に対応させていただきながら、頃合いを見計らってお断りすることでしょう。
筆者である大家さんは昔お客さんで辛い経験でもしたのかしら…?本音を感じる言葉だわ。


値引きありきの考えで良い部屋を逃してしまうことも

家賃の交渉をすることが目的となっているような入居希望者も、困りものです。不動産会社にとって、お客様の希望に添って、満足いただける物件を提示して成約に至ることが、なによりも喜びなのです。

希望の条件が明確であれば、それに近い物件をなんとか見つけようと努力するのは当たり前ですし、希望とここが違う、もう少しこうであって欲しい、という要望であれば、それに近いものを何軒でも探すことは厭いません。それが価格条件であっても同様です。

しかし、入居希望者のなかには、とにかく提示の家賃よりも安くできなければ嫌だ、或いは、物件を見もしないうちから、値引きはいくらしてくれるの?という方もいます。自分の希望する部屋を見つけるのが不動産会社とも共有できる目的のはずなのに、値引き額が多ければそれでよいのか、と疑ってしまいます。

予算内であったにも関わらず、家賃交渉をしたおかげで、他の入居希望者に先を越される場合もあるのです。家賃交渉は、自身の希望条件に近づける手段であって、目的ではないはずなのです。そうした目的を見誤っている入居希望者への対応がどのようなものになるかは、想像に難くないでしょう。
「値引きを最優先にして、いい部屋に出会えなかった」なんてことになったら最悪だわ!


まとめ:不動産会社との信頼関係を作ることが家賃交渉の王道


不動産会社は、部屋を見つけるときの水先案内人のようなものです。希望するエリアや間取り、予算をしっかり伝えて、要望もドンドン伝えて、具体的に相談しましょう。

ときには、それは現実的な要望ではないと進言もするはずです。入居希望者と不動産会社が、希望する部屋の全体像を明確に共有することができれば、信頼関係も増すことでしょう。そうすれば、現実性を見据えて、家賃の交渉についても積極的に大家さんと交渉してくれるはずです。

おおいに不動産会社を活用することが、家賃の交渉をうまく進める最大のコツだと思われます。