看護師から治験コーディネーターになろう!

[公開日]2016/01/08[更新日]2018/08/08

看護師として経験を積んだら、転職に「治験コーディネーター(以下CRC)」という選択もあります。
看護師が治験コーディネータに転職するために
治験コーディネーターとして働いている人は、元看護師という方が多いです。どんな仕事なのか、やりがいや苦労する点などを、先輩看護師が紹介します。


企業で働くということ


CRCの雇用主は、病院ではなく企業です。病院では必要のなかった「ビジネスマナー」が、企業では最低限身についていないといけないものとなります。
CRCとして身につけておきたいビジネスマナーは、スーツを着て出退勤すること、名刺交換・ビジネスメール、ワード・エクセル・パワーポイントで資料作成・プレゼン・・・・などです。

特に、パソコンスキル(エクセル・ワード)を少しは身に付けておかないと、採用試験にも対応できませんし、入職後も仕事が困難です。研究発表でパソコン操作を経験しておくと楽かもしれません。

また、業績についての要求もあります。

就職後の研修はきつい


入職後すぐに、2週間程度の導入研修があります。「治験とは」から始まり、CRCの役割、臨床試験、薬理学、法律、被験者対応の実際、実務について、など様々なことを学んでいきます。日々研修のレポートの提出もあるので、初めからしんどいという印象でしょう。
経験者は免除される項目もありますが、その分早めに実務が始まることもあります。

多くの企業は、この研修を本社で行います。地方で働く方は、本社のある東京・大阪へ移動し、ビジネスホテルなどに宿泊して研修に行きます。
一緒に研修を受ける同期とは、学生のような時間を過ごしますので、仲良くなりやすいです。
研修後、一緒に仕事をすることはほぼありません。ですが、仕事の悩みや愚痴を分かりあえる貴重な存在となり、CRCとして仕事をしていく上で、支えになると思いますよ。

CRCの仕事で大変だと感じること・・・


勤務時間が長くなりがち
CRCは、担当の病院に出向いて、主に被験者の対応をします。受け持つ施設が遠方だったり、1日に2施設の対応があったりすると、電車(時には新幹線)の移動時間を考慮して、早朝出勤となることがあります。また、施設が遅い時間まで診療を行っていたり、診療後の面談などで残業があったりするので、勤務時間は長くなることがあります。

仕事量は被験者次第
被験者にはスケジュールが決められていますが、許容範囲内で被験者がスケジュール変更をすることは可能です。スケジュール変更を希望されたら、その準備や対応をしなければなりませんし、被験者が重篤な有害事象や入院や死亡に至ると、24時間以内に報告をしなければなりません。臨機応変に対応しなければならないので、状況に応じた対応をするために入念な準備が必要です。

とにかく資料作成が多い
外勤が基本なので、その報告書を作成しなければなりません。成果物は、治験に関する報告書です。その他にも、様々な報告書や資料作成が沢山あります。

勉強しなければならない機会が多い
法律の改正が度々行われ、新しい情報もどんどん出てきますので、勉強は必要です。社内勉強会も頻繁にあります。企業から公認CRCの取得を要求されます。

ココが良い!CRCのメリット


CRCの給料は、看護師の日勤だけの給料よりも良く、土日祝日が休みで、長期休暇や有給も取りやすいです。企業によって、産休・育休が取れるところもあります。
勉強会など教育体制が整っています。新しい知識を身に付けたい方にとって、環境としては良いでしょう。
肉体労働がなく、デスクワーク中心です。腰痛など持病がある人にも就業しやすいです。

病院勤務と違い、同じ場所での作業がずっと続くということは少ないです。移動やランチなどで、気分転換ができます。また、病棟は若い世代が多いですが、CRCは30代以降が多く、中堅で転職した方にとっては友人も作りやすいです。
人間関係で悩んでも、すぐに解放されます!
外勤が多いので、社内での人付き合いはあまりありません。外勤でも、試験期間は半年~1年が多く、施設や一緒に試験をするスタッフとは、その間だけのお付き合いで終わることが多いです。

上手く仕事を進めるために必要な技術とは


CRCは看護師が向いていると言われており、実際に働いている割合も大きいです。臨床で患者さんと接する機会が多く、調整役をしてきた看護師は、その能力をCRCで生かすことができます。ただ、看護師として臨床経験は2~3年は必要です。他には、薬剤師や臨床検査技師、中には栄養士の資格を持った人がいます。
周囲に気を配れるか
スムーズに作業を進めるためには、医師・病院スタッフ・被験者・依頼者との接し方は重要です。特に被験者対応では、病院スタッフと段取りや打合せ、報告や相談を密にしておかないと、やるべきことが行われなかったり、協力してもらえなかったりして、データーが取れなくなってしまうことがあります。コミュニケーション能力は、看護師以上に高い能力が必要とされます。
慎重に作業ができるか
複雑で細かい決まりごとが試験毎にあります。きちんとデータをとるためには、重箱の隅をつつくように計画書を読み込み、確実に実施しなければなりません。

こんなところにやりがいを感じます


治験コーディネータとして新薬の開発に携わる未知の薬の安全性や有効性について検証していくのが治験です。患者さんにとって安全に行えるようデーターや訴えを十分に見守って実施し、世に新しい薬を生み出すという使命感がやりがいといえるでしょう。そして、自分が関わった新薬が発売された時はなんともいえない嬉しさがあります。
看護師として働いている時、お世話した患者さんに感謝されたり、病気が回復した喜びを共に感じたりすることがあります。それが、達成感・満足感・やりがいとなり、仕事の励みとなっていた人は多いでしょう。
しかし、CRCはそのような経験はほとんどありません。被験者には、負担軽減費の支払いに感謝されることはありますが、こちらから試験の決まりを守ってもらうようお願いすることが多いので、お世話をされているとは感じにくいです。
又、治験薬はランダム割り付けなどで偽薬が入っていることがあります。(試験中、偽薬か治験薬かはわかりません。試験終了後しばらく経ってから、どの薬に当たったのかが分かります。)通常の治療から治験に切り替えてもらうので、偽薬の場合は病気が少し悪化することがあります。

ストレスがたまるのは


ストレスを感じるのは、医師、病院スタッフや依頼者、時に被験者との人間関係です。
ストレスを感じるとき
被験者・・・・
 ルールを守らない、ハプニング。
医師・・・・・
 忙しい中に治験の仕事を増やすことになりますので、嫌な顔をされることがあります。契約や試験内容において、揉めることもあります。
スタッフ・・・
 CRCの都合で検査などを依頼するので、打合せや相談を重ねる必要がありますが、全く協力してくれないスタッフもいます。
依頼者・・・・
 プレッシャーやノルマをかけてきます。モニター経験の浅い人が担当だと、こちらがやりとりをリードしなければなりません。
病院では感謝されることはほとんどなく、対応が良くないと怒られることもあるので、とても気を使います。人間関係を良くし、スタッフなどに負担をかけないでやるにはどうすればいいのか、常に考えましょう。

内勤ではどんなことをするの?


社内業務はメール、報告書、資料作成、会議、勉強会などデスクワークです。外勤が多いので社内にいる時間はあまりありませんが、試験開始前と終了後は社内にいることが多いです。開始前は、治験計画書を熟読し、実施できるように資料をチェック及び作成・シュミレーション・資材の確認をし、依頼者と確認や打合せをします。
各支部で同じ試験を担当する者と定期的に会議をして、すり合わせや情報交換、被験者候補の進捗数の報告をすることもあります。
社内で働くのは、気が楽です。病院では常に周囲に気を使って仕事をし、ランチや休憩などは一人で過ごすので、孤独を感じます。社内では、気の合う同期やチームの人と仕事のことなどを気軽に話せますし、一緒にランチをすることもあります。

CRCの所属が病院のところも


院内で働くCRCがいる治験施設支援機関(以下SMO)に所属したCRCは、派遣という形で病院に出向きます。病院側にとってはよそ者になります。看護師だった立場と違いお願いをすることが多く、協力してもらえるような人間関係の構築を図り、知恵を絞って対応しなければなりません。被験者対応はもちろん、報告書や依頼者対応、治験に関する全ての雑務をしていきます。
院内CRC
病院(医療機関)に所属し治験を実施するCRCです。病院内のスタッフなので、協力のお願いもしやすいです。外部のSMOが文書関連や依頼者対応や雑務をしてくれますので、病院の希望にもよりますが、主に被験者対応と治験報告書をすることが多いです。体制によって、病院業務も兼任することがあります。スキルを磨くためには自発的に研修に参加しなければならない、など教育環境は恵まれていません。

治験は、時間と専門的で常に新しい知識がなければ実施が難しいので、SMOの支援を受け実施している病院が多いです。CRCの求人もSMOが多いです。

求人をうまく見つけるコツ


求人を探している画像 CRCの求人は、看護師ほど多くはありません。未経験者でも募集があります。東京・大阪など大都市ほど求人は多く、地方はあまりありません。通勤圏内かどうか、所属は他県となるが担当施設が自分の県になる(その逆も)、などを事前に確認しましょう。
SMO業界は、試験や施設の取り合いが激しく、長年勤めていると統合や合併などに合う可能性もあります。

待遇(受け持ち試験数・施設数の割合、手当て、休日日数、時間外労働、出張、ノルマの有無など)がいいところは求人が出てこない、出ても競争率が高いです。転職サイトでは情報収集や条件交渉やサポートを行ってくれますので、未経験者は利用する価値があります。

さいごに


転職希望者のほとんどが、内容をあまり知らず、求人条件でCRCの転職を考えることが多いでしょう。CRCとして長く勤めていくと、医療現場から離れる分、知識・技術は低下します。
看護師とは違った大変さがありますが、違う経験がしたい、給料や待遇の条件が重要だと考える人にとってはいいです。新薬開発への使命感を持って、CRCとして活躍することを願っています。

給料を上げたい、人間関係が嫌だ!そんな看護師の方は転職サイトの無料登録は必須


さて、ここからは転職を考えている看護師が登録しておきたい転職サイトを紹介します。

転職先を探す時には転職サイトに登録し、たくさんの情報の中から自分に合った求人を見つけることが得策です。

看護師の転職サイトを選ぶポイントは以下の3点です。

手厚い転職サポート体制があるか・・・看護師の転職では専属のキャリアアドバイザーを活用できるかが重要
公開求人件数が多いか・・・非公開求人もあるので完全にはわからないが取扱求人件数の目安になる
信頼できる会社が運営しているか・・・求人、キャリアアドバイザーの質に影響する可能性がある

これらの点を踏まえ、看護師が登録しておきたい転職サイトを選びましたので紹介します。どのサイトも登録は無料です。


なるべく多くの求人情報と触れたり、より自分に合ったキャリアアドバイザーを見つけるためにも、必ず2社以上の転職サイトに登録するようにしましょう。

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