新米看護師に贈る 困った患者さん7つの傾向と対策

[公開日]2014/11/11[更新日]2018/08/08

颯爽と立ち働くベテランの看護師にも初々しい新人時代はありました。でも、そんなかっこいい先輩たちだって、ちょっぴり苦手な患者さんの対応に悩んだこともあったはず。そんな経験の積み重ねが、看護師としてのキャリアを育ててくれたんですね。そこで、かわいい後輩のみなさんへプレゼント。「困った患者さん」への対応のコツを伝授しちゃいます。看護師生活のスタートにお役に立てますように…。

困った患者への対策


血管が細い患者さん


私が新人の頃、一番苦手だったのは「血管の細くて硬い患者さん」でした。起床時間後、朝食配膳までの間にナースコールを受けながら、20人以上の採血をこなさなければならず、それはもう必死だったことを思い出します。とくに血管が細くて硬い患者さんにあたると、手に汗握る緊張感。そんな気持ちが表情にもありありと浮かんでいたのでしょう「失敗してもいいから、思い切って刺してごらん」などと、患者さんの方から優しい言葉をかけられてしまうこともありました。けれど、なかには無言の圧迫をかけてこられる患者さんもおり「あなたの技術じゃ無理よ」というオーラががひしひしと伝わってくる場面も…。こうなると、もうアウトですね。

やはり採血も相性でしょうか。「苦手」と感じた患者さんの採血成功率は激減です。まるで、血管が私の刺した針から意思をもって逃げ回っているようにさえ感じます。私の病棟では失敗は2度まで。それ以上は先輩に代わってもらうという暗黙のルールがあったのですが、手が代わったとたんサクッとうまくいくというケースが多く、ますます立場を失くすわけです。

こちらの緊張感が伝わると、患者さんも緊張して血管が収縮してしまうという生理的変化も十分予測できることなので、まずは余裕の笑顔で対応しましょう。誰だって最初から採血の達人はいません。まずは当たって砕けろ!千里の道も一歩からなのです。

ナースコールの多い患者さん


日勤はスタッフが多いので良いのですが、夜勤帯で頻回のナースコールはかなりハードです。食事介助中であれば、ケアを中断しベッドサイドを離れなければなりませんし、深夜であれば、せっかく眠っていらっしゃる同室者のみなさんにも迷惑をかけてしまうことにもなります。

もちろん、緊急性のあるコールには、速やかに対応しなければなりません。けれど、急に思い出したようにロッカーから物を出して欲しいと言われたり、何度も熱を測っては対応を求めてこられたりといった「今じゃなくてもいいでしょ」というガッカリな気持ちがむくむくと沸き上がります。もちろん、私たちは各病室を巡回して、ひとりひとり状態観察をさせていただくのですから、待っていてくれても良いでしょうに…と思うわけです。

そういったイライラ感は他の患者さんへの看護に影響してしまう可能性もありますから、何とか解消しなければなりませんね。まず、身の回りの用事を依頼してくる患者さんには忙しい時間帯になる前に、こちら側から「ご用はないですか?」とお伺いする先手必勝が有効。さらに、自分の症状に関心が集中している患者さんには「様子をみましょう」はむしろ逆効果。次に観察にくる時間を告げ、常に気にかけていることを伝えましょう。

いずれの場合も、患者さんの孤独感や不安の表出です。私たちの「困った」を解決することは、患者さんの「満足」につながることを忘れないで下さいね。

セクハラな患者さん


若くてはつらつとした女性が、身体を寄せてやさしくケアしてくれるのですから、この問題が起こるのは、ある意味、自然な結果かもしれません。そして、意外にも大胆な行動を起こすのはお年寄りの男性が多いのです。後期高齢者と呼ばれ、一見、枯れたムードを醸し出しているように見えますが、血圧測定で腕を出したついでにバストタッチされたり、耳元に話しかけようとしたときに急にキスされたり…巧妙な技に驚かされます。また80代の男性に夜間巡回で、下半身露出され絶句したという思い出もありますから、油断はできません。

対策としては、きっちりと「やめてください!」と意思表示することです。とくに新人に対しては、甘えが許されると思い行動がエスカレートすることも考えられます。たとえ大切な患者さんであったとしても、許される一線はあるべきです。いずれにしろ、この問題は、スタッフ全体の問題ですから、ひとりで抱え込まず情報を提供し、みんなで対策を考えてもらいましょう。病院によっては、危機管理システムとして対応マニュアルが用意されている場合がありますので、是非相談して下さいね。

寡黙な患者さん


ほとんどの患者さんは、こちらの緊張を察して笑顔で気軽に話しかけてくれますね。でも、中にはちょっと気難しいタイプの患者さんもいらっしゃいます。話しかけてもテレビや新聞から目を離さず、こちらを向いてさえもらえないことも…。特に新人の頃は、会話が続かないと間が持たず焦ったり、自分が嫌われているように思えて不安になったりもしますよね。

でもそれぞれに価値観や自己表現の方法は違って当たり前です。まして病気やケガで苦しい時には尚の事、自分の気持ちの整理だけでも精いっぱいってことだってありますから。そんな時は無理に話に引き込もうとせず、相手が話したくなるタイミングを待ちましょう。話すのが苦手な人だって、あなたの気持ちはちゃんと伝わっているはずです。

学生時代の話になりますが、肺がん末期の男性患者さんを受け持たせていただく機会がありました。本当に無口で会話らしい会話が成立せず、どう関わって良いのか分からず途方にくれるばかりの毎日でした。実習終了後しばらくして、病状が悪化していると聞き面会させていただくことになりましたが、また迷惑そうな顔をされるのではないかと内心不安がいっぱいだったのです。ところが、その患者さんは私をみて涙を流し「ありがとう」と言ってくれたのです。今でも忘れられない思い出です。寡黙な患者さんとの関わりは、言葉を超えて心の深いところでつながっているのかもしれませんね。

ルールを守らない患者さん


病院は療養の場であるとともに、小さな社会です。そして社会にはルールが必要です。ルールを決める基準は療養しやすい生活環境を整えるためのものですから、安静制限はもちろん、食事、入浴、消灯時間まで細かな決まりがあります。ですがそこで暮らす患者さんたちの健康の段階はさまざま。ルールを無視しても、健康上ほとんど問題のないケースも少なくありません。

そういう患者さんたちにとって、病院の約束事は本当に厄介なものですね。昨日まで普通に暮らしてきた一般成人が、急に9時消灯と言われても眠れないのも当たり前。今まで食べたいだけ食べていた人が、急に病院食になってしまったら、お腹が空いて眠れないこともあるでしょう。それでも、残念ながら個々の欲求や条件に対応することは困難です。

夜間巡回中に不在が発覚し、必死に探したら自販機コーナーでカップ麺をすすっていた患者さん。夜明け前から起きだし、洗面所で豪快な音をたててうがいを始める患者さん。うっかり注意しようものなら、逆切れされることも…

けれどそんな患者さんたちも、自分のしていることが「好ましくない」ことは分かっているはず。だからこそ若いみなさんに注意されるとその気持ちが怒りに変わるのだと思います。
とは言うものの、黙認は他の患者さんの不満をかってしまいます。まずは軽くたしなめる程度に声をかけ、少し時間をおいてから話を聞き、一緒に解決方法を考えるようにしましょう。きっと分かってくれますよ。

清潔の援助を拒否する患者さん


私たちの仕事の多くは日常生活援助になりますが、なかでも清潔に関する援助は大きな割合を占めていると思います。けれど、これがなかなか受け入れられないケースが多いのです。「垢がたまって死んだ人はいない」とか「(お湯に入らず)身体を拭くだけなんて寒くて風邪をひく」などと言われ、いかにも迷惑そうな顔をされてしまうこともあります。もちろん若い看護師に身体を拭いてもらうという遠慮もあるのでしょうね。それが私たちの仕事だと説明しても「いや、自分はいいから他の人の面倒をみてやってくれ」などと言われ了解が得られません。

確かに一見清潔な環境で入院している患者さんたちです。目に見えて汚れているという実感はないのも当然かもしれません。ですが病院という環境は様々な細菌やウイルスに感染する可能性を秘めています。まして体力や抵抗力が低下している患者さんにとって、身体を清潔に保つということは、とても大切なことなのです。でも、それを患者さんに納得していただくことは難しいですね。

ですから、とにかく清潔援助の心地よさを実感していただき、次回を期待する気持ちを持ってもらうことが大切だと思います。たとえば全身清拭が無理なら、足浴や背部清拭に切り替えマッサージを加えてみるのも効果的です。洗髪をした後に肩たたきをしてみるのも良いですね。ぜひ、清潔援助が「汚れを落とす」だけのものではないことを体験していただきましょう。

番外編 同業者の場合


これは困った患者さんというにはとても失礼なお話なのですが…。患者さんが看護師だった場合、新人看護師としてはかなりやりくい感じでした。とくに師長経験のあるようなベテランの看護師さんは、まるで教員の前で実技をさせられているような緊張感。

ある日、採血させていただくことになったのですが、それがまたあり得ないほど繊細な血管。私は何度も血管の走行を確かめ駆血するばかりで、なかなか針を刺す勇気がありません。こめかみに汗を滲ませ格闘している私に、その患者さんは、自分の手を添えて採血させて下さいました。「失敗を恐れていては何もできないのよ。自信をもって頑張って」と励まして下さったことに心から感謝しています。

経験の浅い新人にとって同業者の目は厳しいです。でも、その厳しさは同じ目的を持つものとして、その可能性を育てたいという眼差しです。もしベテラン看護師の患者さんに出会うことがあったら、自分から飛び込んでいろんなことを教えてもらいましょう。きっとたくさんの勇気と知恵を伝授してもらえますよ。

以上が私が経験した困った患者さん対策です。もうずいぶん時間がたちましたが、それぞれの場面を鮮明に思い出します。たくさんの困った患者さんと出会いが、自分の看護観を豊かにして下さったことを改めて実感しています。そして、新人看護師のみなさんの活躍を心からお祈りしています。

給料を上げたい、人間関係が嫌だ!そんな看護師の方は転職サイトの無料登録は必須


さて、ここからは転職を考えている看護師が登録しておきたい転職サイトを紹介します。

転職先を探す時には転職サイトに登録し、たくさんの情報の中から自分に合った求人を見つけることが得策です。

看護師の転職サイトを選ぶポイントは以下の3点です。

手厚い転職サポート体制があるか・・・看護師の転職では専属のキャリアアドバイザーを活用できるかが重要
公開求人件数が多いか・・・非公開求人もあるので完全にはわからないが取扱求人件数の目安になる
信頼できる会社が運営しているか・・・求人、キャリアアドバイザーの質に影響する可能性がある

これらの点を踏まえ、看護師が登録しておきたい転職サイトを選びましたので紹介します。どのサイトも登録は無料です。


なるべく多くの求人情報と触れたり、より自分に合ったキャリアアドバイザーを見つけるためにも、必ず2社以上の転職サイトに登録するようにしましょう。

看護師専門の転職サイトについて詳しい比較はこちら