看護師の新人教育 プリセプターのよくある悩みと対処法

[公開日]2015/01/14[更新日]2018/08/08

プリセプターシップは、新人教育を行うための制度として、既に何年も前から取り入れられている病院が多いと思います。この制度を時代遅れだと言って、別の制度を活用している病院もあるでしょう。でも、このサイトでは、敢えて「プリセプターシップ」の本質をついていきたいと思います。

それは、まだまだ、新人教育において、プリセプターシップを取り入れている病院も多く、その制度に悩みを持つ多くの看護師さんがいるからです。プリセプターシップは、新人教育制度として、とても優秀であると筆者は考えています

特に、しっかりと評価機能・基準が作られている場合は、その威力を発揮し、新人教育にとって、大きな役割を果たすでしょう。しかし・・・先輩看護師の中には、「絶対プリセプターなんてやりたくない」「あ〜憂鬱…」と頭を抱えてしまう方もチラホラいらっしゃいます。

看護師の新人教育とプリセプター

今回は、このような自体がなぜ起きてしまうか、基本から解決方法までお伝え致します。


プリセプターの悩み 11のチェックリスト


プリセプターのチェックリストをご用意致しました。客観的に自分を見つめてみて、悩みの原因がどこにあるか探ってみてください。

  • プリセプターとプリセプティの役割は理解できていますか?
  • 役割以上のことを背負ったり、求めたりしていませんか?
  • 2人だけで抱え込まず、周囲に相談していますか?
  • プリセプティの声・心の声に耳を傾けていますか?
  • 評価をあなたのペースで進めようとしていませんいか?
  • 周り(他のペア)と比べていませんか?
  • 他のプリセプターと情報交換できていますか?
  • 上司に報告出来ていますか?
  • 自分も学ぶ姿勢で取り組めていますか?
  • 看護も教育も楽しんでいますか?
  • 今、笑顔ですか?
チェックが付かないところがあったら、改善のためのアクションを起こしてみてください。以下、悩み解決のヒントになるプリセプターの基本から、悩み対処法まで解説します。

プリセプターシップとは


1人の新人看護師に対し、1人の先輩看護師(指導者)が、一定期間、マンツーマンで、教育を行う制度のことです。様々な病院で用いられていますが、恐らく、全く同じようにプリセプターシップを行っているところはないでしょう。それだけ、奥が深く、正解のない制度になります。

新人看護師と先輩看護師の双方が理想のプリセプターシップを持っているからこそ、そして、周囲のサポートがあるからこそ、成立する制度なのです。期間は通常1年間です。2年目から一人でも一定基準の看護ができるように教育をしていきます。

プリセプターとプリセプティ


プリセプターとは、先輩看護師(指導者)のこと。プリセプティとは、先人看護師のことです。

プリセプターは、通常3年目くらいの看護師が行います。理由は、新人時代の気持ちがまだわかるから、ちょっと上のお姉さんという関係性を期待しているからだと言われています。ただ、人員不足の病院では、この年代の看護師が不足し、3年目以降の看護師がプリセプターを勤める場合もあります。

この二人の組み合わせは・・・どうやって決めているのでしょうね。筆者としても謎の部分ですが、ある日、師長や主任から伝えられます。ちなみに、筆者が選んでいた時の基準は、相性は、やってみないとわからないので、性別、経歴、先輩側の能力で判断していました。

余談ですが・・・
「今年絶対、プリだよ〜」というのは、プリセプターになるよ〜の意で、
「うちのティがさぁ・・・」というのは、プリセプティがさぁ・・・の意です。

プリセプター・プリセプティの役割


プリセプターシップで一番大事な部分は、この役割にあります。プリセプターの役割とは、

  • 社会人としての教育もする
  • 看護の厳しさを理解してもらう
  • 看護の楽しさを感じてもらう
  • 自分の看護を伝えていく
  • 新人がミスしたときに、すぐにフォローに入る
  • 新人がくじけることなく、出勤出来る様、笑顔で向かえる
  • 技術以外の大事な事(マインドなど)を教える
  • 技術は全体で教えればOK

では、プリセプティの役割は何でしょうか?ここも重要なのです。

  • きちんと「報告・連絡・相談」をする
  • 迷ったら、先輩に確かめる
  • 先輩との人間関係を築く
  • 看護師としての自覚を持つ
  • 学ぶ姿勢、繰り返し訓練する姿勢を忘れない
  • 看護の楽しみを見つけ、楽しむ

ただ、この役割を果たせていないプリセプティが多く、プリセプターである先輩達は頭を抱えています。ここ数年、「ゆとり、ゆとり」と言われて、本人達はいい気持ちはないでしょう。だって・・・ゆとり教育を決めたのは、大人なのですから。筆者の丁度、1〜2個下の世代からがゆとりと言われています。

「いくらゆとり(教育)だからって、生死を争う看護の場をゆとり(教育)にするなんて」
「もうとっくに教えたことなのに、今更できないなんて!」

そう激怒するプリセプターも多々、いらっしゃいます。

「うちのプリセプター怖い。ちょっと点滴がずれてたくらいでさ・・・」
「うちのプリセプターも怖い・・・なんか冷たいし。」

とこぼすプリセプティもいます。それは、プリセプターがいくら、役割を果たしても、プリセプティが役割を果たさなければ、このプリセプターシップが成立しないからです。また、その逆も然りです。ですから、役割の部分、看護師としての精神は忘れずに持って、業務にあたってくださいね。

プリセプターシップのあるある10選(乗り越えるポイント付!)


チェックや指導で残業が増えてしまう
やはり、自分の業務+αですので、否めない部分ですが、残業をつけてくれる様、交渉の価値はあります。

他の組み合わせ(ペア)の状況が気になる
組み合わせにより、雰囲気が違い、良い雰囲気、悪い雰囲気もありますし、何より、どれくらい進んでいるのかが気になりますが、自分のプリセプティのペースにあわせる事を忘れずに。ただ、他のペアの良いところを真似してみるのもいいかもしれません。そこは、プリセプター同士、情報交換していきましょう。

プリセプティが育たないのが、自分のせいだと思う
責任感の強い方は特にこの悩みを抱えてしまいがちです。自分のせいではなく、どこが育っていないのかを分析し、本人、時には、プリセプター経験者の先輩に助言を求めてみましょう。

正直、教え方がわからない。
筆者の恩師(数学教師)曰く、正解は「ない」とのこと。生徒の様子をみながら、教えて行くしかないと仰っていました。看護も同じです。教え方に答えはありません。逆に自分がどうやって学んだか思い出してみてください。

プリセプティに厳しく言い、泣かせてしまった
時にカッとなってしまうのが人間です。もし、キツく言い過ぎたのであれば、そこは素直に「言い過ぎた」と謝罪し、本当に伝えたかったことを冷静になって伝え直しましょう。

担当していたプリセプティが辞めてしまった
辞めてしまうのは、プリセプティ本人の問題です。確かに悲しい気持ちになりますが、自分を責めず、またいつものように元気に働きましょう。

お互いが人間関係に悩む
特にプリセプティが何を考えているかわからないという方が多いです。プリセプティは、緊張もしていますし、伝え方をまだ知らないことも多々あります。筆者はできていたという固定概念は捨てて、お互いの意見を交換する場を設けましょう。

教えていて自分もまだ理解していない部分があると気づく
これはとてもいいことなんですよね。自分でクリアできていると思った課題が、まだ未完了だったことに気付け、プリセプティと共に勉強出来る良い機会です。プリセプティも完璧じゃないとダメなんだ!という恐怖感から向け出せる事があります。看護は一生勉強です。

プリセプティの心の支え
プリセプティは、「命の現場」に一歩踏み出して、かなり緊張し、動揺します。どうしたらいいのかわからずに、何もできなくなってすまうこともあります。そんな時、側にいるから一緒に頑張ろうと言ってくれる先輩がいれば、心強いのです。最初は、お互い緊張があっても、先輩の方から声をかけてください。

話しかけて大丈夫なんだっていう安心感が生まれ、「この先輩からなら!」と学びへの意欲が育ちます。

自分自身の成長に繋がる
1〜9まで述べてきましたが、これら全て看護師としても、人間としても成長するチャンスなのです。自分も勉強不足な部分があった。人間関係構築の難しさに改めて気がついた。自分基準で物事をみていた。・・・など、沢山の気づきがあります。
 
その気づきをマイナスに捉えず、自分を変えるチャンスだと受け取ると、教育も楽しいものになります。そして、自身の成長に大きく影響するものなのです。

問題点・すれ違いの解決に有効な方法はあるのか


このプリセプターシップで大きな問題になるのは、先に述べてきた通り、プリセプターとプリセプティの関係性です。お互いがきちんと役割を果たしているか、または、役割以上を求めすぎていないかを基準にきちんと評価していかないといけないものなのです。

ですので、解決方法は、コミュニケーションと評価基準です。看護師さんは得意ですよね。でも、人間関係やプリセプターシップに応用できていない方が多くいらっしゃいます。プリセプティも患者さんと同じ人間です。しっかりとコミュニケーションを取っていかなければ、すれ違いが起こるのは当然の事です。

「どう?大丈夫?」「不安な事はある?」など、気軽に声をかけましょう。自分の妹だと思って、大切な友人だと思って。人間、仕事でない時は、人を思いやる事が普通にできています。でも、現場にいくとスイッチが切り替わります。仕事スイッッチに切り替わるのは非常にいいことですが、コミュニケーションは、「大事な人」と話すように心がける事で、自然と柔らかさが出てきます。もちろん、患者さんに対しても同じです。

「でも、最近の新人さんは、『別に』『普通です』とかって返してくるので、全然コミュニケーションがとれません!!」という声も聞こえてきそうですね。なぜコミュニケーションがとれないと思いますか?彼女たちもコミュニケーションは、取れるはずです。『別に』『普通』となってしまうのは、それ以降を上手に,表現することができないからなのです。

それがわからないのであれば、直接聞けばいいのです。「『別に』っていうのは、特に困ってる事はないってことかな?」などと会話を続ける事は可能です。その上で、評価時などに「困っているところはないって言ってたけど、この部分は平気?」と、きちんと確認して補って行くことが出来れば、自然と2人の関係性は良くなります。

そして、その評価は自分基準だけであってはいけません。「自分はこの時にはできていた。」そういう気持ちはどこかに置いてきてください。目の前にいるプリセプティは『あなた』ではありません。

病院が決めている基準と『二人』で決めた基準・目標で評価し、病院の基準と大きく外れるなら、なぜ外れてしまうのかも話し合いましょう。そして、進んでいない事を責められることのないようその結果と今後の方針を上司には報告しましょう。

コミュニケーションと評価基準を、お互いしっかりともっていれば、大きな問題はおきません。
ですので、安心してプリセプターとして、プリセプティを導いて下さい。あなたらしく、笑顔で、楽しみながら、成長をしていく良い機会ですから。

ちなみにですが、筆者はプリセプターの方と交換日記をしていました。その方の方針のようです(笑)でも、いい方法ですよね。

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