赤ちゃんに癒される!未熟児室の看護師

[公開日]2015/10/18[更新日]2018/08/08

未熟児室での看護師の仕事は、ほとんどの人が実習で見ていると思います。ですが、実際に働く機会はほとんどありません。情報がないところへ急に配属が決まったら、誰だって不安を抱きます。
未熟児室で働くために、知っておきたい情報をまとめました。未熟児室への転職を検討している方にも、その実際と注意点についてご紹介します。

未熟児室で働く看護師


未熟児室とは、どんなところでしょうか


未熟児室とは、体重が2500グラム未満や予定日より早く生まれた、又は、出生時の病気などで集中的な治療を必要とする赤ちゃんを治療・看護するところです。未熟児は、正期産に比べ、母親の胎内で発達するべき期間が短かったため、呼吸や神経学的所見や抵抗力などが未熟で、子宮内に近い環境での管理が必要です。
正期産であっても、黄疸や先天性の病気などを持って生まれた病児新生児も、同様に治療・看護が必要です。
未熟児室では、以下のことを行います
24時間体制での受け入れ
モニタリング下の管理
感染予防
保育
在宅療養の指導
親子にとって、生まれてすぐ離れて過ごさなければならないので、家族を含めて十分なフォローが必要な職場となります。

未熟児室での看護師は、どんなことをしてる?


未熟児室の仕事は、感染予防、循環・呼吸管理、保育をベースとして、それぞれの疾患に対しての治療です。
通常の主な業務は、輸液管理、3時間毎の搾乳などの授乳、オムツ交換、沐浴や清拭、両親との面会の対応、です。成人と違い、未熟児は体が小さく、外的環境に適応できませんので、輸液はポンプが必ず必要ですし、感染予防のために定期的な保育器の交換と同時に呼吸器などの回路交換をストレスなく行い、未熟児室そのものも無菌に近い環境を保たなければなりません。

また、出産で入院となりますので、蘇生や保温や気道の確保など救急処置の受け入れ準備もあります。通常業務に加えて入院を受け入れますので、分娩室の状況など情報交換しながら準備をしていきます。
時には双子や同時出産などで、複数の未熟児を受け入れすることもあります。入院時の動きについては、特に十分な知識と的確な対応が必要です。

アラームの管理は徹底して!


未熟児は、呼吸・循環の管理が必要ですので、モニターで心電図やSpO2、保育器の温度・湿度・酸素濃度、輸液ポンプ、中には呼吸器を装着し、管理しています。それぞれで何かあればアラームが鳴ります。
よくあるアラームは・・・
無呼吸発作でSpO2や心拍が低下してアラームが鳴る
刺激を与え呼吸を促す
空腹で泣き出して体を動かし、回路が閉塞したり、心拍が上がったりしてアラームが鳴る
なだめたり、授乳をしたりする
みんな同じタイミングで泣き出す事が多いので、全てのアラームに気を配りながら対応しなければなりません。泣いているだけで鳴っていると思うと、疲れ果てて無呼吸発作を起こしている児もいます。アラームの監視は不可欠です!

小さな命を守ることは、大変な事


未熟児室で働く看護師 未熟児は、全てが未熟な状態ですから、細かくモニタリングし、無菌に近い環境で管理しないといけません。通常の環境整備はもちろん、持ち込むものや交換したものはすべて消毒や紫外線殺菌をして使用します。消毒作業は小さいものですが、量がとても多くなります。

スタッフ達も一処置一手洗いで、滅菌水で消毒剤を使い、肘までのブラッシングを行います。
ですが、そこまでやっても、MRSAなどの院内感染を発症してしまう児がいます
in-outなど記録が細かく、毎日の成長に応じた輸液やミルクの量の指示を、毎日受ける必要があります。音や明るさ、体位交換のストレスも、未熟児には大きな負担になりますので、気を配って慎重に整えなければなりません。
未熟児は思っていることを訴える事ができません。新生児としての特徴や扱いは、理解しておきましょう。

最大のメリットは、赤ちゃんとのふれあい


他の科と違い、患者さん(未熟児)との人間関係トラブルというものはありません。生きているだけで精一杯の未熟児は、お腹が空いたとか、オムツが気持ち悪いと言った要件を泣いて教えてくれますので、母親のようにオムツを替え、授乳をし、沐浴を行ってという対応をします。
赤ちゃんの面倒をみるのが楽しく思える人は、患者さんの日々のお世話は楽しく癒されるでしょう。保育と看護をしてきた末、退院までの数カ月の成長を見る喜びもありますし、退院後の検診で無事に成長し元気な姿を見せにきてくれることはとてもうれしい気持ちになります。

未熟児は小さいので、その取り扱いの緊張感はありますが、肉体労働としては成人と比べ重労働ではありません。

親たちの愛情を育むのも、大切な仕事


未熟児が入院している間、両親と会える時間は限られています。その為、赤ちゃんの両親が、親になった自覚が乏しくなったり、愛情が上手く持てなかったり、障害の可能性などの不安が起こったりすることもあります。産後の入院中は毎日会っていた母親も、退院すると家が遠かったり、体力的・精神的に問題があれば、面会の回数が減ったりする人もいます。
それでも未熟児には、母親の母乳や愛情が生きていく上で必要です。私たちは、体重やミルクの量などの成長や接し方をできるだけ伝え、親としての自覚や愛情を持ってもらえるように努力しましょう。
中には、シングルマザーや訳ありの児がいたり、障害の受け入れができなかったりして、面会の足が遠のいたり、スタッフの声かけや退院指導が上の空な様子があったりします。退院後、行政との連絡を密にしておく必要がある方もいます。

退院が近づいてきたら


育児の方法を習得してもらう
未熟児は、成長し退院が近づくにつれて、オムツ交換、抱き方、沐浴、授乳などを面会の中で両親に体験してもらいながら育児への方法を習得してもらい、未熟児だったという不安なく育児ができるように計画し関わっていきます。
薬の管理について指導する
退院後も継続して、鉄剤などの服用が必要な児がいます。服用方法や薬の管理について指導します。
予防接種や検診のスケジュールをたてる
未熟児は、出産予定日を基準としてその後の予防接種や健診など、正期産と同様にその後のスケジュールを立てていきます。児それぞれの状態に応じて病院でのフォローが必要な児もいますので、個別に指導していく必要があります。
行政からの見守りや働きかけが必要な場合もあります
未熟児網膜症や脳性まひなどは、その後の成長でどう影響していくかは分かりません。
状況によっては施設に入る必要があります。

未熟児室での勤務が合う人


未熟児室に興味があるといった看護師は少ないでしょう。ましてや、希望を出して未熟児室に異動を出す人も稀だと思います。なので、実際に未熟児室で働いている方は、あまり希望していない状態で異動や配属をされたという人も少なくないでしょう。
未熟児室は、急性期医療と保育を行う特殊な空間であり、全ての作業が細かため、慣れるのに時間がかかります。どちらも好きというタイプでなければ、やりがいを感じられないまま離職や異動願いをする看護師がでることも多いです。
初めは興味がなくても、保育への楽しさを知り、急性期医療へのスキルを身につけていくやりがいを感じる事が出来れば、未熟児室勤務は合っていると言えます。
分娩も取り扱う病院では、助産師がシフトで分娩と未熟児室とに勤務していることもあります。助産師は新生児への理解が豊富で、母親への的確な指導ができ、助産師であるプライドを持って勤務していますので、初めは能力の差で看護師同士と比べやりづらさもありますが、ベテランになるとやはり専属勤務の看護師の方がスキルは上がってきます。

高められる技術、劣っていく技術



未熟児室で劣っていく技術 未熟児室では、医師が採血・ルート確保をしますので、通常業務ですることはほとんどありません。長く勤務すればするほど、新人であればなおさら、技術の低下を招くことがあります。その為、勤務を調整してもらい、時折成人の採血やルート確保をさせてもらったりしましょう。
又、未熟児室では患者さんとのコミュニケーションが図れないので、成人病棟に異動になった場合は、コミュニケーションに少し戸惑うこともあります。ですが、コミュニケーションについてはすぐに慣れますので、安心してください。

それ以上に、呼吸・循環管理や、輸液管理、感染予防などについては十分に身についていますので、自信を持って成人看護ができます。新生児の保育を身につけますので、将来自分の子供を持った時にも、十分に力を発揮できるでしょう。

未熟児室へ転職を希望する


未熟児室は、他の診療科に比べ圧倒的に数が少なく、大きい病院の一部にしかありません。又、病院によってできる処置が違いますので、疾患の重症度や患者層にも差があります。

その為、未熟児室へ転職を希望する場合、個人で求人票を探すという方法はかなり難しいです。未熟児室を持っている病院に求人があるか、確認していけば見つかることもあるかもしれません。ですが、希望のタイミング、条件まで満たすことは難しいでしょう。
未熟児室で働きたいならば、転職紹介所を利用しましょう。
転職紹介所を利用すると
沢山の病院の求人の取り扱いをしているノウハウを使って、求人は出していないが人材が欲しい、などという情報を確認してくれ、早く転職先が見つかる可能性があります。

まとめ


未熟児室は、ほとんどの看護師が仕事として経験しない、数少ない施設です。子供が好き、急性期医療を学びたい人にとっては興味のある分野ですが、実際に何をしているのか入ってみないと分らない事が多く、転職に二の足を踏む人もいるでしょう。
しかし、上記の事を踏まえて、思い切って働いてみてください。今後の転職にも、色々な成人看護にも応用が利きますし、急性期にも強くなります。未熟児室への転職は、スキルアップや癒しを求めて、一度は経験してみてもいい分野ですよ。

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さて、ここからは転職を考えている看護師が登録しておきたい転職サイトを紹介します。

転職先を探す時には転職サイトに登録し、たくさんの情報の中から自分に合った求人を見つけることが得策です。

看護師の転職サイトを選ぶポイントは以下の3点です。

手厚い転職サポート体制があるか・・・看護師の転職では専属のキャリアアドバイザーを活用できるかが重要
公開求人件数が多いか・・・非公開求人もあるので完全にはわからないが取扱求人件数の目安になる
信頼できる会社が運営しているか・・・求人、キャリアアドバイザーの質に影響する可能性がある

これらの点を踏まえ、看護師が登録しておきたい転職サイトを選びましたので紹介します。どのサイトも登録は無料です。


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