看護師の再就職 ブランクを乗り越える7つの方法
[公開日]2014/10/29[更新日]2018/08/08
学生時代を思い出して下さい。あんなに苦労して手に入れた看護師国家資格です。このまま「宝の持ち腐れ」ではもったいない。クローゼットの片隅で眠っている免許証をとり出し、いざ再びの現場へ!
と思ってはみるものの…。ブランクが長くなればなるほど不安がいっぱいで億劫になりますね。そんなみなさんが一歩前に進むためのポイントを考えてみましょう。
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目次
潜在ナース、復職を求める声
看護師資格をもっていても、何らかの理由で退職し、復職していない看護師(保健師・助産師・准看護師を含む)のことを潜在看護師と呼びます。調べてみると、潜在保育士、潜在介護士という言葉もあり、いずれも社会から人材の掘り起こしを期待されている職業であることを感じさせられます。
推計では現在約55万人の潜在看護師が存在すると言われていますから、看護師不足解消のための大きな戦力として復職を期待されているのは間違いありません。厚生労働省では、平成26年度の看護職員関係予算の柱に、離職防止・復職支援を掲げ潜在看護師復職研修事業への取り組みを打ち出しています。また各自治体に設置されたナースセンターでも看護師復職支援事業を行っていますし、大学病院をはじめ多くの病院が復職支援のための子育てセンターや介護支援センターなどの整備を進めているのです。
このように、今、ブランクを乗り越え復職を考えているみなさんは、まさに『金の卵』今後、期待は益々高まってくはずです。ですから、あまり難しく考えず前向きに考えることから初めてみてはいかがでしょう。社会はみなさんの復活を心待ちにしているのですから。
短時間正社員で家庭と仕事を両立
潜在看護師の再就職にむけての調査によると、再就職への要望、条件はブランクを補うための看護技術研修や継続教育の有無ではなく、保育施設の有無や、子どもの急病や怪我の時、柔軟に対応してくれるかといった、女性のライフコースに関わる内容のものが上位を占めていました。
たしかに、この調査においても求職者の平均年齢は35.6歳。保育の必要な子どもをもっている割合は60%という結果でしたから、これから再就職を考えているみなさんにとって、これがいかに大きな課題であるかが良く分かります。
そこで近年、看護界においてもワークライフバランスの考えを取り入れた就業形態に注目されてきました。「家庭と仕事の両立」へ向けての取り組みが本格化してきているのです。とくに長くブランクがある場合、その勘を取り戻すまでに少し時間がかかるかもしれません。復職支援のための研修制度が整っているにしても、現場で使いこなすためには、やはりそれなりの時間と余裕が必要になるはずです。
ですから、まず短時間正職員制度の利用はどうでしょう。これは短時間勤務でも正職員と同じ待遇を受けられるのが魅力で、現在、全国で2割の病院が採用していると言われています。大学病院から看護福祉施設まで幅広い施設で導入されているので、条件の合う病院が見つかるかもしれませんよ。
新人のような謙虚な姿勢でいよう
離職後、どの程度のブランクがあるかによって心のハードルの高さは違うでしょう。経験年数や経歴によっては「これくらいは分かっているはず」「できて当たり前」と思われそうで復職を躊躇してしまう場合も少なくないはず。でも、受け入れる側としては経歴を武器に虚勢を張られるより、謙虚に学ぼうとする気持ちをもってもらうことの方が嬉しいことなんです。
復職支援に重点をおいている病院ならば、迎える方は復職者研修やオリエンテーション、プリセプター制の導入など、ストレスなく業務に入れる準備が整えられているはず。ですから、分らないこと、自信のないことは素直にぶつけてみることから始めましょう。
日本人は相手の心を「察する」ことが美徳とされる文化がありますから、言葉にしなくても何となく了解し合い「分かったつもり」になってしまうことも少なくありません。ですが、そういう認識のズレは日が経つにつれ増幅し、気がついたら聞きたいことも聞けなくなったなんていう事態にもなりかねません。それは、自分にとって不利であるばかりではなく、大きな事故につながる危険をはらんでいます。ですから、新人研修の頃を思い出し、気負うことなく自然体でリスタートすることが大切ですよ。
復職支援セミナーの活用
日本看護協会は各自治体や基幹病院と連携し、復職支援セミナーを開催しています。まだ漠然と再就職を考えている段階であっても参加は可能です。それぞれの病院、施設で看護師から現場の看護師から講義を受けることになりますので、現場の空気をリアルに感じる良い機会です。何といっても現場の空気に触れることは、ブランクを埋める妙薬に違いありません。
また、セミナーに参加したからと言って、必ずしも入職を強制されるものではありませんし、併せてナースセンターへの登録をしておけば、条件に応じた職場を斡旋してもらえる可能性があります。それに同じ思いを抱える仲間との出会いもあって、一歩進む勇気が持てそうですね。各自治体名で看護師復職支援セミナーと検索すると、意外とたくさんのチャンスがありますよ。
さらに、各病院で独自に組まれた復職支援研修などもありますから、病院や看護部のホームページをチェックするか、電話での問い合わせをしてみましょう。具体的な内容、研修期間中の待遇、病院見学などについて確認してみると良いと思います。その対応の善し悪しでも、職場としての感触がつかめるかもしれません。
働き始めるならこの職場
ブランク明けの復職ですから、ゆとりをもって働ける職場を選びたいですね。まず、子育てをしながら働くことを考えると、夜勤がなく、それほど重症者がいないクリニックや小規模病院の外来が思い当たるかもしれません。けれど、看護師の数が限られていたり、准看護師が多く配置されていたりする場合があり、思いがけず業務の丸投げ状態で任されてしまうというケースも考えられます。
一方、老人看護施設のように日常生活上の支援が中心の職場では、介護職員に多いので、比較的ゆとりをもって働けるというメリットがあります。けれど日常生活援助の多い職場になりますので、復職して看護師としてのスキルを磨きたいと考えている人には物足りなさを感じるかもしれません。また、高齢者の特徴として典型的な症状が現れにくく、ある程度の経験や判断力を必要とする事態に直面することもあります。
その点、一見、敷居が高く感じる、大規模病院では看護部の組織力がしっかりしているため、復職支援体制の整備がなされ、受ける側のスタッフ教育も考慮されている場合があります。また雇用形態も様々なので、最初は短時間パートから始めて、次第に本格的な復職につなげてもいいですよね。
いずれにしろ、見た目のイメージに惑わされず指導体制が充実している職場を選ぶことが大切。少し先の将来を見越したプランを立ててみることをお勧めします。
脳トレのススメ
電子カルテの使い方や看護診断、点滴の管理など実際の現場でなければできないものは復職支援セミナーや研修にお任せするとして。自宅でも簡単にできる復職のための準備をしてみてはいかがでしょう。分かっているようで忘れてしまっている事や、鈍っている感覚もあるものです。
例えば血糖値やヘモグロビンA1cの正常値、動脈血液ガスの正常値など、どの領域でもよくつかわれる検査データを覚えておくと、とても便利ですね。消毒薬の希釈計算や点滴の敵数計算などの簡単な算数問題や胃管挿入の長さ、浣腸のカテーテル挿入の長さといった解剖学的なこと。触れた時の温度など、慣れれば感覚としてつかめているはずのことですが、現場を離れている間に感覚は鈍っているかもしれません。
ここはひとつ初心に返って基本から学び直してみてはいかがでしょう。看護学生の実習や国家試験関連の書籍などを活用するとポイントがまとめられていてとても便利です。とくに基礎看護技術に関するものは、さまざまな看護場面で応用が可能なことですから、きっと復職後、自信が持てて心のゆとりなりますよ。
新しい職場、どこで見つける?
復職への意志が固まったら、次は具体的な職場探しです。まず全国の5割の病院が登録していているナースセンターの求人状況をみてみると、未就業者の36.7%が紹介を受け、そのうちの27%が就業しています。ブランクがあり情報の入りにくい環境にある人にとっては、無料で利用できるナースセンター、e−ナースセンターへの登録は便利ですね。
一方、ハローワークの場合、専門職のアドバイザーの数が少ないため具体的なアドバイスが受けられないことがあるようで、就業の実績は低めなのが実態です。
その点、看護師専門の人材サービス会社では、就職試験対策から条件交渉に至るまでコンサルタントが対応してくれるため、より細やかなサービスを受けられるのがメリットです。なかには潜在看護師専門の人材サービス会社もあり、復職支援を強化している病院の紹介が受けられます。
これらのサービスのほとんどは求人側の病院が費用を負担しているため、無料で利用することができますし、なかには支度金を受けられる病院の紹介も受けられます。厚生労働省認可を受けている人材サービス会社もありますから、比較検討しながら自分の条件にマッチする会社を選んでみると良いですね。
ブランク明けの復職は誰だって不安がいっぱい。でも薬やシステムが変わったとしても、それはあくまでも表面上のこと看護の対象が「人間」である限り、その本質は変わらないとはずです。むしろ結婚、子育てなど人生経験を積んだ今だからこそもっと患者さんの心に近づける看護ができるのではないでしょうか。多くの皆さんが、勇気をもって前進できるよう心から応援しています。
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