火傷(やけど)の応急処置 / 看護師が教える対処法

[公開日]2015/02/23[更新日]2018/08/08

日常で火傷することありますよね。ちょっとの火傷なら特に影響がでないこともあるので、放置しがちですが、きちんとした対処が必要です。特に子供さんがいる家庭では、お湯、ストーブなどでの火傷にも注意が必要ですよね。

今回は、ナースの筆者が、『火傷時の家庭で出来る対処方法』をお伝えします。


火傷をしたら、まず冷やす!!


火傷をしたら、すぐに冷水で冷やし続けてください。「水がもったいない!」なんて言ってられませんよ!この最初の『冷やす』これが超重要です!炎症を抑え、なおかつ、流水で流す事で周囲の細菌も流れ、感染予防にもなります。
指などの場合は、台所や洗面所で流水で流しましょう。顔や耳なども出来れば流水が好ましいですが、長時間は辛いので、冷したタオルをあてて冷やしましょう。また、脚や肩など患部にかけにくいですよね。その時は、お風呂場のシャワーで冷水をかけましょう。服を着たまま火傷をした場合は、絶対に服の上から冷水をかけてください。
絶対に脱ごうとしてはいけません!
なぜかというと、皮膚も一緒にはがれてしまい、火傷跡の元になったり、火傷以外の皮膚にも影響を与えてしまう可能性もあるからです。

どのくらい冷せばいいの?氷は必要??


程度にもよりますが、10分〜30分程度、水の温度は10〜15℃で冷すと良いと言われています。(※1)氷で冷す、氷水のがいいと書いてあるサイトがありますよね。感覚がなくなるまで…などの意見もありますが、冷し過ぎは凍傷を招く恐れがあります。火傷を熱傷ともいうように、熱傷も凍傷も皮膚の組織破壊により起きます。更に、組織破壊してしまっては意味がないので、氷や氷水でなく流水で冷しましょう。
服の上から広範囲に熱湯をかけてしまったなどの場合は、とにかくシャワーで冷し続けてください。

★流水冷却の効果★

火傷跡が残りにくくなる。
火傷の痛みが軽減する。
火傷(熱傷)の深度(6の項にて後述)


病院に行く・行かない、救急車呼ぶ・呼ばないの基準は??


1つは、先程お話しした『服の上から広範囲に熱湯をかけてしまったなどの場合』この場合は、救急車を呼ぶべき状態です。その時点で熱傷の程度はわかりませんが、広範囲に及んでいることが確かなので、救急車を呼んで、救急隊が来るまで冷してください。また、広範囲に渡らなくても本人がショックで意識を失ってしまった場合は救急車を呼び、搬送してもらったほうがいいです。
その他、広範囲に及ばない、本人に意識があり、意思疎通がとれる場合は、冷した後、すぐに皮膚科へ行って状態を見てもらうのが理想的でしょう。火傷は皮膚に炎症を起こすので、冷水で治まったようにみえても周囲までに炎症が及ぶ危険性もあるからです。冷していないと痛みが治まらない場合は特に冷したタオルなどで患部を冷しながら、すぐに皮膚科に行きましょう。皮膚科が近くにない場合は、自家用車、タクシーなどで、いきましょう。
大人の火傷で軽症であれば、受診しなくても自然治癒することもありますので、無理に受診する必要はありません。冷しても改善しない、痛みが治まらない、数日経って症状が出た場合は受診をしましょう。
判断に迷ったら!?は、5の項でお話しします。

水ぶくれになった!どうすればいい??


水ぶくれになった状態は、II度熱傷という状態です(6にて後述)。この水ぶくれは、『決して潰さないでください』。なぜなら、自然治癒力が働いて、水ぶくれができているからです。患部を湿った状態に保つ事で炎症を抑え、組織を元に戻しているところです。できるだけやぶけないように気をつけてください。やぶけてしまうと治りが遅くなるだけでなく、そこから細菌が入り、感染症を引き起こす場合があります。もし、やぶけてしまった場合は、皮膚科で診てもらいましょう。

パニック!!(どこの病院にいけばいいかわからない!救急車の判断がなかなかできない!)


先程の基準でもその場面になるとわからなくなってしまうこともありますよね!そんな時のために、各都道府県(又は市町村)の救急医療・相談のホームページをブックマーク、プリント、携帯電話に連絡先を入れておくなどしましょう。
例えば、東京都では、『#7119』に電話すると、夜間診療している診療所や救急車を呼ぶべきかどうかの案内をしてくれます。ちなみに携帯電話からは23区:03-3212-2323、多摩地区:042-521-2323となっていますので、ご注意ください。(※2)
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画像出典:http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/kyuu-adv/soudan-center.htm

また、各都道府県の医療情報ネットワークは、厚労省HP:医療機能情報提供制度(医療制度ネット)についてをご参照ください。
小児(〜15歳未満)の場合は、小児医療救急相談『#8000』もあります。各都道府県の受付時間が一覧がのっています。

そこへ連絡すれば、どのように対処すればいいか適格に判断してくれ、冷静さも徐々に取り戻せるでしょう。

いざという時のために、各都道府県のホームページ、役所で事前に聞いておきましょう。常にもしもを考えておくことが、病気、怪我の際は重要です。

火傷の重症度ってどう判断するの??


火傷は、医療現場では、『熱傷』といい、その重症度は、受傷範囲と深度により段階分けされています。
深度の指標はI〜IIIまであります。

I度熱傷
非常に軽度な熱傷のことです。皮膚の表面が赤くなり、ひりひりします。ほとんどの場合で自然治癒し、跡も残りません。色素沈着もありません。真夏に日焼けをして真っ赤になりますよね?それもこの熱傷一種です。もちろん、日焼けすぎれば、黒くなります。非常に軽度な熱傷ですが、日常起きやすい熱傷なので、特に子供さん、ご高齢者の方は注意しましょう。

浅達性II度熱傷
表皮基底層という場所まで組織の損傷が及んでいるものです。強い痛み、腫れ、水ぶくれなどI度よりもひどい痛みと赤みが特徴です。水ぶくれは冷たい流水で冷しても起きますので、熱傷後は、近くのクリニックや病院できちんと治療しないと火傷跡などの後遺症が残る場合があります。

深達性II度熱傷
真皮深層という場所まで組織の損傷が及んでいるものです。ここからがかなり危険な熱傷となります。同じII度熱傷で、同じ症状でてきますが、痛みはあまりありません。痛みがないということは、皮膚感覚まで奪われる程、組織が傷ついているということです。水ぶくれができて、その下の皮膚が白く変色していきます。火傷跡がより残りやすく、III度熱傷へ移行していく可能性もありますので、すぐに病院へいく必要があります。

III度熱傷
皮膚最下層まで組織の損傷が及んでいるものです。これは、痛みも水ぶくれもできません。組織が全て損傷しているため、感覚は失われ、皮膚は焼けただれます。火傷跡がハッキリ残るだけでなく、生命も危険な状態になることも多々あります。火事や爆発に巻き込まれた場合などが多いですが、軽度の熱傷が進行したために起こる場合もあります。

この火傷の深度は、すぐにわからないケースが多いです。受傷後2日以降から変化が出ることも多いので、軽症だったからと安心せず、患部の状態を日々観察しましょう。

次に火傷の面積による指標です。

身体のそれぞれの部位の面積が、体表面積の9%またはその倍の18%に相当するとして簡略化し、 やけどの面積を概算する方法です。小児は成人に比べて頭頸部の表面積が大きいため、 火傷の概算には五の法則を用います。
およそ手のひらくらいの大きさが1%に相当します。大人の場合は、全体の20%以上、 小児であれば10%以上、やけどしてしまうと命の危険があるそうです。

出典:やけどケア.jp

<成人>
頭部9%
左上肢9%
右上肢9%
体幹前面9%
後面(背中〜臀部)18%
左下肢18%
右下肢18%
陰部1%

<小児>
・幼児
頭部15%
左上肢10%
右上肢10%
体幹前面20%
体幹後面15%
左下肢15%
右下肢15%

・乳児
頭部20%
左上肢20%
右上肢20%
体幹前面10%
後面(背中〜臀部)10%
左下肢10%
右下肢10%


また、何による火傷なのかも重要な情報です。どのような種類があるかというと、『油や熱湯などによる通常熱傷』『酸性(硫酸など)の化学薬品などによる化学熱傷』『電流(雷、電気配線など)による電流熱傷』『放射線を浴びる事による放射線熱傷』『高温の蒸気を吸い込むこと(爆発現場の熱風など)で起きる気道熱傷』『カイロや湯たんぽを長時間触れることにより起こる低温熱傷』があります。
気道熱傷時は、すぐに処置しないと呼吸ができなくなります。低温熱傷は、特に皮膚感覚が鈍くなっている人、高齢者に多いので注意が必要です。
このように様々な要素から火傷の度合いを評価するので、難しいと感じたと思います。でもこれは受診時に医師から説明される物なので、そういうのがあるんだなくらいに思っていただければ結構です。

ただし、火傷をして水ぶくれもしてきたけど、『痛くないしいいや〜』は絶対危険!!と覚えておいてください。

まとめ


いかがでしたでしょうか?最後にまとめとして、今回お話しした内容を簡単に箇条書きでお伝えします。

火傷をしたら、慌てず、まず冷たい流水(10〜15℃)で10〜30分冷す(1、2項参照)
服は脱がさない(1項参照)
氷はつかわない(2項参照)
広範囲の火傷、意識不明、意思の疎通ができない場合は、救急車(3項参照)
軽症の場合は、冷してから皮膚科を受診(3項参照)
水ぶくれはやぶかない(4項参照)
パニックになったら、各都道府県救急相談へ電話

各都道府県の医療情報ネットワークは、厚労省HP:医療機能情報提供制度(医療制度ネット)についてをご参照ください。
※各都道府県対応電話番号等が掲載されています。
小児(〜15歳未満)の場合は、小児医療救急相談『#8000』もあります。
※各都道府県の受付時間が一覧がのっています。


以上、7つのポイントをお伝えしました。ぜひ、もしもの時は、お役立てくださいね。

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