知っても不安!?腎不全科の看護師は苦労が絶えない?

[公開日]2015/10/29[更新日]2018/08/08

腎不全科は特殊性があり、病院内でも孤立した印象があります。患者さんにも「イメージ」があります。
腎不全科に配属され、不安を抱いたのは私だけでしょうか。同じく不安を抱いている後輩看護師のために、実際どういう職場だったか、をお伝えします。
腎不全科で勤務する看護師


患者さんがくせ者!?


腎不全科病棟の患者さんは、透析導入に伴う手術や、慢性腎臓病の悪化、合併症の心血管系の疾患入院で来られる方がほとんどです。骨・関節痛の方、中には四肢切断している方もおりますので、介助が必要な方が多く見られます。
入院中は、脳出血や心血管系の疾患等で急変する方が多いです。
腎不全科病棟の患者さんと四肢切断の関係
腎不全科病棟の患者さんは、糖尿病や腎硬化症が原因であることが多いです。糖尿病が悪化すると四肢壊死となり、下肢切断にいたる患者さんもいます。
「腎不全の患者さんは癖があるし、ハッキリとモノを言う人が多い」とよく言われ、腎不全科での勤務経験がない方は敬遠されがちです。入退院を繰り返す方が多いので、「知っている看護師に関わって欲しい」と言われる事もあります。誰が採血や穿刺が上手かなど、よく把握しています。
異常行動のある精神疾患がある方、うつの方も多かった印象です。
初めて腎不全科を受け持った時は、緊張しましたし、嫌な思いもしました。暴言を吐く方、全く指導を聞き入れてくれない方…。
しかし、それは誰しもが通る道であり、他の疾患患者さんも同じです。長期入院の患者さんとは毎日顔を合わすので、徐々に慣れます。信頼関係も築けていけたと思います。患者さんから教わる事、助かった事もありましたよ。

病棟では、どんなことをしているの?


血液透析導入の患者さんに関しては、シャント管理や生活指導、内服指導、食事・飲水制限などの指導を行います。CAPD導入の患者さんに関しては、CAPDバック交換方法の指導、清潔操作概念の指導、不潔操作時の対処法、生活指導等、血液透析導入患者さんに準じます。

入院中の血液透析の方は、週3回透析室へ行きます。患者さんは朝から昼過ぎまでは戻ってきませんので、受け持ち患者さんの人数が減り、少し余裕ができます。CAPDの患者さんは1日4回の透析で、2回は日勤、後2回は夜勤が担当します。
患者さんの飲水
患者さんには飲水制限があります。配茶や内服時は、計量カップに計った飲料を渡します。
看護師の目を盗んで飲水されると、次の透析時に体重がかなり増えますので、すぐに分かります。透析室の看護師から病棟の看護師へ、注意を受けることもありますので、気をつけましょう。
透析室への移動は、日勤病棟の申し送り時だったので、夜勤看護師と日勤フリー看護師が行い、夜勤看護師が全員分の申し送りを透析室で行っていました。そのため、日勤よりも夜勤の方が忙しかったです。
また、精神疾患やうつの方は異常行動もあるので、夜勤は頻回巡視や介助など、結構きつかった印象です。

透析室では、どんなことをしているの?


透析室での仕事内容は、施設によって内容は異なりますが、機械操作、プライミング、穿刺・抜針・止血、バイタルチェック、健康管理と指導が一般的です。透析室での仕事以外に、腎不全科外来、CAPD指導等もあり、新しい患者さんと接することもあります。
日勤、遅番のシフト制をとるところが多いです。遅番では仕事をしている患者さんがほとんどなので、日勤の患者さんよりも介助等は少ないです。夜勤がなく、定時に終わりやすいので、家庭と仕事を両立しやすいと思います。

透析室には、看護師、医師、臨床工学技士等、複数の医療者がいます。ここで、患者さんは週3回、約4時間、透析を終生継続して受けます。医療間の連携、チームワーク、患者さんとの信頼関係も重要です。

優しい気持ちを持って看護にあたる看護師に暴言を吐いたり、いじめたりする方もいますが、患者さんにとっては「終生続く延命治療のようなもので、やめるわけにはいかない」「週3回も透析を受けなければ生きてはいけない」「仕事もできず生活保護を受けて肩身の狭い思いをしている」など、我慢に我慢を重ねて、当たる所がなく医療者に訴えているのでしょう。
悲しい気持ち患者さんは週3回も透析を受けますので、穿刺の上手な方、下手な方が分かってきます。患者間で噂され、中には穿刺を拒否される方もいます。
全く指導を聞き入れずに中1日で体重が5キロ増加、除水も引ききれず「もっと除水してくれ」と看護師に頼み、医師しか指示できない旨伝えても、それを医療者の責任にする方もいました。
知識と技術を習得して苦痛を少なくし、安心して任せてもらえるよう、患者さんと信頼関係を築いていく事が、何より重要な職場だと思います。

どんな看護師が働いているの?


腎不全科では、経験年数が多いベテランから子育て世代・新人まで、様々な看護師が勤務しています。お給料はいいので、特に子育て世代の方は働きやすいかもしれません。

急変が多いので、臨床経験がある方が有利です。

透析室で一番技術が重要なのは、「穿刺・抜針・止血」であり、この技術が下手ならば患者さんとの信頼関係を築くのに時間がかかるでしょう。ただ、実際に穿刺をするまでは時間があります。患者さんの体重測定や移動介助等から始まり、名前や顔を覚えコミュニケーションが取れるようになってから、機械の操作、プライミング、先輩看護師の穿刺の介助とステップを踏んでいき、穿刺をさせてもらえるようになります。いざ穿刺!となっても、先輩看護師が、最初は「穿刺しやすい患者さん」「比較的穏やかな患者さん」を担当させてくれるはずです。失敗すると次の穿刺を拒否されたりもしますので、しっかりと先輩看護師の技術を見て、習得できるようになりましょう。

人間関係には悩むでしょう


「腎不全の患者さんは癖があるし、ハッキリとモノを言う人が多い」けれど、言う事を聞いてくれない患者さんを、注意せずに見て見ぬふりをしておくと、いつまでも自己管理ができず、毎回体重を増やしては医療者の責任にしたり、当たったり、状態もますます悪化します。信頼関係が築けるまで辛い日々が続くかもしれませんが、一生懸命誠意をもって対応しましょう。
患者さんの訴えてる意味や行動は、だんだんわかってきます。頑張りましょう。
また、今まで何も聞き入れてくれなかった患者さんが素直に聞き入れてくれた時や、笑顔が見れた時、とてもやりがいを感じますよ。

患者さんとの関係にも悩むと思いますが、独特の雰囲気のある透析室や、勤務年数の長い看護師が多いことにも悩むかもしれません。すぐに辞めていく看護師も多いように思います。患者さんと他の看護師からのいじめにあう方、思いつめて体調を崩す方もいました。

腎不全科の看護師や患者さんは知識を豊富に持っていて、その知識を教えるのが好きだったりします。わからない事は素直に聞き、教えてもらう事でコミュニケーションをとっていきましょう。仲良くなる近道かもしれません。

まとめ


これから超高齢化が進み、糖尿病患者も増加すると予想できます。健康管理ができず、糖尿病悪化から腎不全になり、透析を余儀なくされてしまう患者さんが増えてくるでしょう。それに伴い、透析クリニックや病院、、透析看護師の求人も増えてきます。

腎不全科は癖のある患者さんがいるという固定観念もあり、透析室勤務が未経験の方は、希望して腎不全科へ転職する事はほとんどないと思います。また、透析室で働いていると病棟での看護はできなくなると、避けている方もいるかもしれません。
ですが、特殊性の高い腎不全科で専門的な知識や技術を習得し、腎不全科の患者さんと信頼関係を築ける事ができれば、看護をする上で自分に自信がつくのではないでしょうか。透析室での仕事も、他で使えない事は決してありません。

私は、腎不全科は病棟での勤務でした。配属が決まった時は、とても嫌な気持ちになり、本当に辛かったです。でも、最終的には患者さんと冗談がいい合える仲になり、「あなたの顔見たら安心するのよ」と言われた時には「諦めずに頑張って良かった」と心の底から思いました。
働ける環境が整いさえすれば、もう一度腎不全科での仕事をしてみたいな、と思っています。

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