検診クリニックで働く看護師の実態と注意点
[公開日]2015/01/15[更新日]2018/08/08
看護師としての職場の一つに、検診クリニックがあります。働きやすそうなイメージがあるせいか、転職では人気がある職場です。しかし、どんな職場でも大変なことがあるように、検診クリニックでも注意する点は当然あります。
実際に検診クリニックで働いた事のある元看護師が、検診クリニックの実態と注意点を紹介します。
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検診クリニックでの仕事内容
検診クリニックでの看護師の仕事内容は、問診・身体測定・検尿・採血・視力検査・聴力検査・胃カメラ介助・診察介助・胃透視検査前の筋肉注射・エコー介助・心電図・PET等でしょうか。
大きな検診クリニックでは、臨床検査技師さんもいますのでエコーや心電図・聴力検査・眼底検査等は技師さんがしてくれる所もありますし、各々担当に分かれて仕事をします。小規模のクリニックでは、全て看護師のみでしないといけない所もありますし、少人数スタッフで担当関係なく仕事している所もあります。
検診クリニックでは、採血に自信がないと仕事になりません。健康や病気に関しての質問を聞かれる事も多いですので、検査データの正常値等も把握しておかないといけません。
朝が早く、午前中は忙しいですが、午後には比較的落ち着きますのでゆっくりと片付けや翌日の準備、検査結果の確認等できますし、ほとんど残業になる事はありません。出張健診を扱っているクリニックもあり、4~6月は繁忙期で、派遣求人等短期募集も多くなります。出張健診では医師・看護師・検査技師等、一緒に企業や学校に出向くので、朝は非常に早いです。しかし、基本的な検査や内科診察なので、比較的流れ作業的で楽かもしれません。
検診クリニックは主婦や子育て世代のスタッフが多いような印象です。臨床は、もう経験してきて諦めた方や患者様の最期を看取るのが辛くなってきた方、次の転職の繋ぎとして働く方、子育て中のパートの方、ブランクの空いた方もおられます。
基本的な看護技術と知識があれば難しい内容ではないので、入りやすいかもしれません。胃カメラ介助や、PET経験のある方は手当がついたり優遇もされますのでおすすめです。
重要なのは、お客様への配慮
検診クリニックでは何社かの企業と契約していますので、企業の定期検診の方がほとんどです。また、個人では人間ドッグを受ける方もおられますので、非常に接遇面が重要になってきます。特に、企業の方では、中途半端な役職の方程VIP待遇しろと言わんばかりの態度で何かといちゃもんをつけてくる事もよくあります。人間ドッグの方ですと、高額な料金を払っているお客様になるので、当然VIP待遇をしなければなりませんし、本人もVIP待遇が当たり前みたいな方が多く、言葉遣いや細かな配慮が必要になります。
一度でもお気に召さないことがあると、契約を解消する企業も中にはありますし、そうなるとクリニックとしても評判は落ちますし、経営にかなり響きます。大きな検診クリニックほど、接遇面は徹底して教育されますので、そのへんは肝に銘じておきましょう。私個人的には、小規模のクリニックの方がスタッフの人数も少なく、アットホームな感じで居心地が良かったですし、出張健診も多く気分転換にもなり楽しかったので、比較的長く続けられたと思います。
検診クリニックは転職の繋ぎとして働く方が多く、スタッフの入れ替わりも激しいのが特徴ですし「また新しい看護師さんですね。」と言われるのはしょっちゅうだと思います。接遇面に自身のある方はいいのではないでしょうか。
事務的だが忙しい作業
病院とは違い、患者様ではなくお客様になりますし、じっくりと人と向き合って看護をすることはできません。採血や検査を滞ることなくスムーズに回さなければなりませんし、短時間でいかに的確に正確な対応や技術ができるかにかかってきます。
特に午前中はとにかく忙しく、バタバタしており殺伐とした雰囲気です。また、受診者の方は前日から絶食で来られますので、早く検査を終了してあげないと気分不良を訴えたり、イライラしたりもしますので時間との戦いになってきます。
また、検査を受ける順番も間違えるとその日に受けれなくなる事もありますので、的確に判断して回していかなければなりません。午後から検査に来られる方もおられますが、その頃には比較的落ち着いていますのでスタッフ自身も余裕ができ、ゆっくりと丁寧な対応ができます。
臨床が長かった方は、検診クリニックでの仕事が流れ作業的で事務的な内容ですのでかなりのギャップを感じるかもしれませんが、検査を安全・安心・確実に受けられるようにする事は病院でも同じようにしてこられた事と思いますし、限られた時間の中で迅速に判断する事は難しいかもしれませんが、それは病院でもやってきた事と思います。
病棟ではもし、何かを伝え忘れたりし忘れたりしても、入院中なので病室に行けば調整等は可能ですが、検診の場合はその場限りですので、検査がきちんと受けられなかった場合、後日また足を運んでいただく事になりかねませんのでそこが病棟との大きな違いかなと思います。
面接で聞かれる技術
面接で必ず聞かれる事は、「採血は得意ですか?」「12誘導はとれますか?」です。あと、PETを扱っているクリニックですと「妊娠・出産のご予定は?」なども聞かれますし、胃カメラ介助の経験等も聞かれます。
実際に採血は真空管採血がほとんどですので苦手な方は採用は厳しいかもしれません。もちろん、血管が細い方や採血しにくい場所等では翼状針やシリンジを使用できたりもしますが、自分には無理そうと一瞬でも思った場合は無理をしないで早めに交代してもらいましょう。
毎年来られる方では看護師に「絶対に一発で(採血)して下さいね」とプレッシャーをかけてくる方もいますので、自信を持って対応しましょう。毎日、たくさんの方の採血をする事になるので針刺し事故は特に注意しましょう。出張健診では1時間で30~50人の採血を一人でしないといけない事もあり、かなり集中力が必要になりますし、医師一人、看護師一人という所も実際にあります。
採血中に気分不良で倒れる方も一日一人はいますので、冷静にスピーディーに対応できないといけません。また、まれですが造影剤でのショックを起こす方も中にはおられますので、臨床経験はある程度ないと採用は厳しいかもしれません。
卒後、経験が浅い方が安易に検診業務を選ばれる方もおられるようですが、もし、検診業務に転職したとしても、小規模のクリニックではスタッフの人数も少ないので自信がない方は避けた方がよいでしょう。
PETに関しては、被爆の関係がありますので特に妊娠・出産を予定している方は気になると思います。しかし、実際は線量計を各自付ける事になりますし、1年間でも充分基準値内に収まりますのでそこまで心配する必要はありません。それでも、なるべくなら避けたいと思われる方が多いと思いますので、絶対にPETの担当にはなりたくない方はその旨を面接時にはっきり意思表示しておく事をお勧めします。ちなみにPETに関しては手当がつくようです。
あと、胃カメラ介助の経験がある方も採用されやすいようです。小規模クリニックですと、1日に1~2件ですが、大きいクリニックですと1日に20件という所もあります。もちろん、その場合の看護師は4~5人位いますので、担当するのは一人の看護師につき4~5件になりますが、かなりバタバタしています。
洗浄は看護助手さんがほとんどしてくれますが、小規模のクリニックですと自分たちで洗浄しなければなりませんし、私が勤務していた所では全て手動での洗浄でした。
時間をかけて情報収集を
給与に関しては、派遣やパートだと普通の病院やクリニックと大差はないと思いますが、正社員では夜勤や休日勤務が無い為、病院に比べるとかなり低いです。
また、パートや派遣では定時に退社できますが、正社員では検査データの整理や翌日準備・後片付け等や翌日の情報収集をしないといけなかったり、勉強会の参加があったりと以外に残業があります。子育て中の方は安易に正社員にならずにパートや派遣でいた方がいいかもしれません。週2日休みの所が多いですが、土曜は1日開院している所がほとんどだと思います。
また、派遣の求人は結構あるのですが、派遣先は何か問題があるクリニック(人間関係や入れ替わりが激しい所)への紹介が多いように思います。もっと自身でもホームページや口コミ等でしっかり情報収集しておいた方が無難です。よく求人が出ている所は何か問題がある所と思った方が良さそうです。
大きな検診クリニックは比較的駅に近い所にある事が多いですので、通勤に関しては便利だったりします。小規模のクリニックは地域密着型と言う感じの所が多いようですし、往診をしている所もあります。
最後に、検診クリニックを希望される方は多いように思いますが、スタッフの入れ替わりが多い職場でもあります。新人看護師や、ブランクの空いた看護師は安易に検診を選んでしまうかもしれませんが、その検診クリニックによって仕事環境は異なりますので充分な情報収集をすることをお勧めします。
全く、検診業務に就いた事のない方は一度単発パートなどをして体験してみてからパートや派遣・正社員等を選んだ方がいいかもしれませんし、保健師の資格があれば保健指導もできますし、優遇されやすいかと思います。
病院では疾患を持った患者さんが対象ですが、検診では健常者ですので心構えとしては楽なのかもしれません。しかし、先にも述べましたように接遇面ではとても厳しい所ですので言葉遣いは要注意です。基本看護技術を習得できていれば仕事はできますが、やはりある程度経験も必要ですのでそのへんも充分考えてから転職先を見つけましょう。
実際に新人看護師や、ブランクのある看護師さんは検診で自信をつけて、また病院へ復帰出来る繋ぎとして検診を選んでいるのかもしれませんが、検診でもベテラン看護師さんはたくさんいますので学ぶ事もたくさんあるように思います。
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