心不全で薬物療法を受ける人への看護のポイント

[公開日]2014/11/18[更新日]2018/08/08

心不全と言われれば、死に直結する危険な状態という感じがしますよね。ところが、私の周りには「心不全で薬をもらっているんだよ」と言いながら、一見普通に日常生活を送っている人も少なくありません。イメージの差が大きいと思いませんか?このつかみどころのない心不全で薬物療法を受ける患者さんの看護について考えてみましょう。

心不全患者を看護するポイント


心不全ってこんな状態


心筋梗塞で心源性ショックを起こしている場合は急性心不全で緊急性が高く、極めて危険な状態と言えます。これはまさに、心臓そのものに強いダメージを受けているわけですから納得ですよね。でも心臓弁膜症などのように先天性の慢性的な経過をたどる場合でも、肺気腫や腎不全など心臓以外の疾患であっても、あるいは加齢現象としても心不全に発展する可能性があります。

そして、心不全が起こり心臓のポンプ機能が低下すれば、脳・腎臓・肝臓といった重要な臓器への血液供給量が減少し、多臓器不全を起こしてしまうこともあります。心臓と主要な各臓器は密接に関連しているのですから、当然の結果ですね。このように「心不全」はひとつの疾患名ではなく、その病態を示す言葉として捉えられているんですよ。

ですから心不全の治療は、原因となる疾患の治療と並行して、心臓の機能を整える治療を行っていく必要があるとことになりますね。ここでは、まず一般的な心機能を回復、維持させるための薬物療法を中心に説明していきますから参考にして下さい。

心臓の動きを元気にする:強心剤


強心剤っていうと、いかにも効きそうな感じがしますね。患者さんが病院で処方されるこの代表的な薬はジゴシン、ジゴキシン、ラニラピッドといったジギタリス製剤です。これは、殺人事件にも登場するトリカブトから生成される薬です。園芸用にはキツネノテブクロという名前で販売されていたりするようですよ。

この薬は心筋の収縮力をアップさせ、脈拍を減少させて仕事量を減少させてくれるので心不全には有効に働いてくれます。でもこれ、ジギタリス中毒という注目すべき副作用があるんです。まず嘔気・嘔吐、倦怠感といった症状から現れることが多くて、心不全の症状とだぶったり、軽い体調不良と思われたりすることも多いんです。

さらに問題なのは徐脈。もともと心房細動などの治療薬として用いられている人の場合、さらに徐脈になり心拍出量の低下になるので危険です。中毒域にから脱するまで服用の中止が必要になりますよ。このために外来でも定期的に血中濃度を測定してコントロールしていますが、患者さんに症状の自覚があれば、早めに受診していただくよう服薬指導が必要ですね。

心臓にかかる抵抗を弱める:血管拡張剤


心臓そのものの働きを助けることと同時に、心臓が動きやすい条件を整えてあげる治療を加えます。血管を拡張させ抵抗を和らげることで、心臓にかかる負担を軽減するという方法です。血管を広げる薬の代表として、狭心症に良く用いられるニトログリセリン製剤があります。でも最近は血管拡張作用に加え、交感神経刺激作用や心肥大作用を抑制する効果のあるACE阻害剤が第一選択されることが主流になってきました。

レニベース、カプトリルといったこれらの薬は高血圧の治療薬としても多く使われていて、心不全による死亡率の低下にも実績があると言われています。比較的副作用も少ない安全な薬なのですが、実はこれにも困った副作用があるんですよ。

なぜか空咳が出ちゃうんです。肺うっ血を起こした場合の心不全患者さんにも咳という症状がありますが、あの痰の絡んだ湿っぽい咳とは違い、これは明らかに空咳。乾いた軽い咳なんです。ところが厄介なのは、夜間、臥床中に持続的に起こってしまうため睡眠を阻害してしまうといこと。とても良い薬なのに、このために投薬中止になってしまうこともあるんです。残念ですよね。

この副作用の発現はは内服後1週間から数ヶ月とも言われていますから、私たちも「飲み慣れた薬のはず」という先入観をもたず、継続的に副作用出現の把握に努めるようにしましょう。

水分と電解質管理:利尿剤


心不全では循環血液量の増加による心負荷を避け、肺うっ血予防のために水分管理が非常に重要になります。患者さんは1日に摂取可能な水分量に制限があり、どんなに喉が渇いても冷たいお水をゴクゴクと飲むことができません。

条件によっては食事以外の水分が300〜500 ml以内で薬を飲むのが精一杯という場合もあります。またさらに利尿剤によって水分を絞り込むことになるので、日常的に口渇感を我慢しなければならないということになります。患者さんの治療に対する理解とモチベーションを維持できるよう援助が必要になりますね。

さて、この利尿剤ですが心不全患者さんに最も良く使われているのがラシックスを代表とするループ利尿薬です。心拡大を予防するだけでなく、抹消の浮腫など体液貯留も減少させるという強力な利尿作用がありながら、腎血流量を減少させないという優れた利点があります。ところが、この利用効果の強さが問題となることもあるんですよ。

患者さんが脱水傾向になったり、電解質異常を起こしやすくなるんです。なかでも低カリウム血症には要注意。ジギタリス製剤と併用されている場合は、その作用を増幅し不整脈を起こしやすくしてしまう可能性があるんです。バイタルサインチェックで不整脈の観察をするとともに、血液データにも注目して下さいね。

思いがけない副作用:キシロカイン


心疾患の多くは不整脈を伴うことが多く、一般的に抗不整脈薬として使用されるのがキシロカインです。心臓の手術後、あるいは心筋梗塞など緊急性の高い状態で使用されていることもありますから、重要な薬剤ですね。そんななくてはならない重要な薬であっても、副作用という壁からは逃れられません。

一般的に房室ブロック等の除脈性の不整脈では心停止を起こす可能性があるということは良く知られていますが、それはモニター等で慎重に観察できるという点で救われるとも言えます。

ところが予測が困難なうえ、看護上問題になりやすい副作用があるので紹介します。それは不安、興奮、知覚障害といった中枢神経系の症状です。私はICU勤務の時に、何度か遭遇していますが、術後急性期にも関わらず、突然不穏になり、全力で大暴れ。どこにそんな体力が隠れていたのかと思うようなパワーでとても制止困難でした。

術直後という時期から考えてもICUの拘禁反応は否定的で、キシロカインによる副作用と考えられました。また循環器の一般病棟でも、患者さんがいきなり看護師に暴力をふるい問題になったこともあります。心電図や血圧の変化といったバイタルサインに関心が向けられることは当然ですが、患者さんと看護師両者の安全のために意識しておく必要があると思います。

薬物療法の心得


どんな病気であっても、薬物による治療は大切です。でも、心不全をはじめとする循環器系疾患の治療薬は、胃腸薬のように体調に合わせて自己調節可能なものとの区別が必要です。薬の中には一度の誤薬や患者さん自身の飲み間違いが、緊急事態となる可能性があるからです。

入院中は看護師がその都度与薬しますし、院内処方ですので1袋に数種類の薬をまとめて包装されていることが多いはずです。ところが院外処方ではそうはいきません。もちろん、薬を受け取る時は薬剤師さんから詳しい説明を受けます。でも他科の診療も併用している場合、10種類以上の薬を管理しなければならないこともめずらしくありませんから、高齢者にとっては大変な作業です。

また吐き気や倦怠感、不安感やいらいらといった、日常で起こりやすい体調不良と誤認されやすいので注意が必要です。神経質になりすぎるのもストレスですが、患者さん自身にもよく理解していただくことも大切ですね。

心機能の維持のために


先にも説明したように、心不全というのは病名ではなく状態なわけです。しかも、根本的な問題の解決は難しいわけですから、服薬管理だけでなく、その他にも日常生活上の注意点がたくさんあります。まず循環血液量を増加させないために塩分の制限が必要です。心不全がある場合は食塩にして5〜7g程度が望ましいと言われています。

日本人の平均的な塩分摂取量は10gと言われていますから、味気なさで食欲がなくなってしまうこともありますよね。でも味覚は案外慣れで克服することができることができますから、根気良く継続できるようサポートしてあげて下さい。また排便のコントロールも大切なポイント。排便時の怒責は胸腔内圧を高めて、心臓に大きな負荷をかけてしまいます。特に心不全患者さんの場合、水分制限もあって便秘になりやすいので、適宜、緩下剤を使用するなど調整が必要になりますね。

一方、いくら心負荷を避けるといっても、過度の安静は体力を低下させ、ストレスの増加、生活意欲の減退などの問題が起こってしまいます。許可範囲内での運動を取り入れ、運動耐容能や心予備能を維持できるよう動機付けをしてあげて下さい。いずれにしろ、長期的な努力の継続が必要になりますから、心身両面でのサポートが重要なんですよ。

今回は慢性心不全患者さんの、薬物療法に関わる看護についてまとめてみました。私は循環器病棟勤務時代、何人もの重症の心不全患者さんと接してきました。でも実は、どのケースも心の中で未消化のまま残っているように感じているんです。すでに腎血流量が維持できず、人工透析による除水を繰り返し、肺うっ血のため起座呼吸となっている状態。

さらなる厳しい水分制限の中「水が飲みたい」と繰り返し希望し、小さな小さな氷片を宝物のように大切に口に含んでいた患者さん。塩分3gという厳しい制限で食欲を失い「一粒の梅干し」を懇願しながら、許されなかった患者さん。でも、それらの患者さんの回復が望めないことは、みんな分かっていたことだったと思うんです。心臓を患うということはそれだけで死に直結した恐怖をもたらすことですし、さらに希望の見えない忍耐はどれほど過酷なものだったでしょう。

患者さんにとって、本当に良い医療、看護であったのか…今も答えは見つかりません。でもまずは、できることから前向きに取り組むしかありませんよね。治療の基盤となる薬物療法が安全、確実に継続できるよう、患者さんと一緒に頑張って下さいね。

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