【知っておきたい】巷で利用が進むタグマネージャーの概要をまとめてみた

[公開日]2015/04/01[更新日]2015/04/17

リスティング広告やディスプレイ広告を実施した際に必要となってくる広告の効果測定やWEB解析。これらは主にトラッキングタグ(以下、タグ)を読み混むことでデータを収集することになりますが、様々な広告メニューやASPツールの増加に伴い、ページに挿入するタグも多くなってきているのが現状です。また管理するタグが増えたことで管理が煩雑になったり、タグ同士の干渉による意図しないトラブルを回避するために、タグ同士の相性や挿入の順番を考慮する必要があるなど、以前と比べ非常に複雑、高度化している印象を受けます。

タグマネージャー一覧と選び方

これらタグに関する課題を解決するものとして、近年ではタグを一元管理する為の『タグマネジメントツール』が誕生し急激に普及してきております。今回はタグマネジメントツールの概要、現在主流となっているYahoo!タグマネージャーとGoogleタグマネージャのご紹介から、これらタグマネジメントツールをどのように使い分けるべきかをご紹介いたします。

タグマネジメントツールの概要


昨今、タグをどのように管理するかという『タグマネジメントの重要性』が高まってきています。なぜかというと、扱う計測タグの数が増えてきたことで、『タグを見ただけではそれが何をする物なのか分からない』『そのタグが今使用されているのかされていないのか判断しにくい』『タグが増えすぎてページの読み込みが遅くなった』といった課題・悩みが多々発生しているからです。
そんな課題・悩みを解決するものとして誕生した『タグマネジメントツール』の概要は以下の通りです。

タグマネジメントツールの基本的な仕組み

タグマネジメントツールは1つの『共通タグ』をすべてのページに挿入し、URLで指定した『ページ』に対して、タグマネジメントツール上で管理する『タグ』を紐付け、その『ページ』が読み込まれたときにタグマネジメントツールで紐付けられた『タグ』が読み込まれるという仕組みです。
実際に配置するタグが1つになりますので、ページソースがシンプルになり、読み込み速度の向上にも繋がります。 また、配信するタグはすべてタグマネジメントツール上で一元管理されることになるため、直接ソースをいじらずともタグの追加や削除、差し替えも管理画面の操作だけで完結でき、運用工数の削減にも繋がります。
配信するタグは、用意された『タグテンプレート』に識別IDやラベルなど必要な事項を転記することで登録を行います。テンプレートが用意されていないタグについては、『カスタムタグ』という形で任意のタグを登録することが可能です。任意のイベントやスクリプトなどを利用することで、タグ配信のタイミングや特定の条件を満たしたときにタグを配信するなど細かな運用も可能になります。

タグマネジメントツールを使う上での注意点やデメリット

とても便利なタグマネジメントツールですが、当然デメリットや注意点が存在します。以下に一例を纏めました。

■タグマネジメントツールとWebサイトの相性が合わない場合がある
⇒サイトの動作に悪影響を及ぼす可能性
■サイトの構造など仕組みを理解している必要がある
⇒ページの設定ミスに繋がり、計測漏れやミスが発生する可能性
■そもそも登録したいタグが、タグマネージャに用意されたタグテンプレート(タグカタログ)に登録できない可能性
⇒場合によっては、該当のタグを直接ページに挿入した方が早いケースもある

これらデメリット・注意点は、後々大きなトラブルを招きかねない非常に重要なことですので、しっかりと理解した上でタグマネジメントツールを利用するようにしてください。

いま主流なタグマネジメントツールと主な機能の違い


実は以前から、『タグマネジメントツール』や、『ワンタグ機能に特化したツール』というものは存在していましたが、複数のタグを利用することもそこまでなかった事もあり、存在自体あまり知られてはいませんでした。ただし、Googleが『Googleタグマネージャ』を提供したことを皮切りに、Yahoo!もYahoo!プロモーション広告を利用されている広告主向けに『Yahoo!タグマネージャー』を提供し始めたことで一気に知名度も上がり、これら2つのタグマネジメントツールが2015年4月現在では定番となっています。

Yahoo!タグマネージャー(略称:YTM)

YTMは、米国Signal社のSignal Tagというプロダクトがベースになっているタグマネジメントツールです。
タグカタログに登録されているタグ数が多く、Yahoo!提供のソリューションだけでなく、国内ベンダーが提供するサービスのタグも広く対応しており、カタログへのタグ追加頻度も高いことが特徴です。 ただし、Googleのユニバーサルアナリティクスなど最新のタグに対応できていない物もありますので、導入時には今できていることがYahoo!タグマネージャでも実現できるのか?といった確認をしないと予期せぬ事態を招く可能性もあります。その他、管理画面上で、タグもしくは設定したページにエラーが発生した場合のエラー内容も確認できるので、トラブルシューティングを行いやすいです。
ただし、ヘルプはあまり充実しておらず、それを補完できるほどの情報も国内では少ないため、イベントやスクリプトを用いてカスタマイズするような高度なことを行いたい場合、自力で解決するか、償のサポートを受ける必要があります。

Googleタグマネージャ(略称:GTM)

Googleが提供するタグマネジメントツールです。
カスタマイズ性が高く、Googleが提供するソリューションとの相性はバッチリですが、提供されているタグテンプレートの数が少なく、国内ベンダーが提供するサービスのタグへの対応が弱いのがネックです。 タグやページ、配信ルールなどバージョン管理が可能なため、新しいタグや配信ルールに変更したときにトラブルが発生しても、すぐに以前のバージョンのセットに戻すことが可能です。ただし、Yahoo!タグマネージャーのようにエラー表示をする機能はないため、トラブルの原因究明には手間と時間がかかることが多いです。グローバルで展開されているプロダクトでヘルプも充実しているので参考書や文献も豊富ですが、Googleにサポート窓口はないため、Yahoo!と比べると、予めある程度の知識がなければ使いこなすことが難しいと思われます。

主要機能の比較

タグテンプレート(タグカタログ)数などの対応状況、デバッグやエラーチェックなどの運用に係わる機能、拡張性やサポートといった大きな点で比較してみると以下のようになります。

タグマネ機能比較表

各項目について以下、掻い摘んで説明してまいります。

■タグの対応
Yahoo!タグマネージャーとGoogleタグマネージャで大きく異なる点は、対応できるタグテンプレート(タグカタログ)の数が異なる点が挙げられます。 Yahoo!タグマネージャーでも、Googleアナリティクスやコンバージョンタグ、リマーケティングタグを扱うことはできるのですが、前述したように、ユニバーサルアナリティクスに移行済みだったり、クロスドメイントラッキングの設定している場合はこれに対応できない為、タグの直貼りもしくはGoogle タグマネージャとの併用も検討する必要があります。逆にGoogle タグマネージャではYahoo!系プロダクトのタグテンプレートがまだ提供されていないため、やはりこれらを利用する場合もタグの直貼りかYahoo!タグマネージャーとの併用を検討する必要があります。
■運用・計測関連
プレビュー機能やデバッグ機能の面では、エラー表示機能を持つYahoo!タグマネージャーに分があります。
■拡張性
イベントやJavaScriptによるカスタマイズなど拡張性に関する部分は、何を実現したいかなど要件で変わってくるので単純比較は難しいですが、Yahoo!タグマネージャではイベントやJavaScriptによる拡張に関するヘルプが乏しいため、Googleタグマネージャよりは全体的に劣っていると感じます。
■サポート
Googleタグマネージャはヘルプが豊富ですが、Google系プロダクト特有のカスタマイズ性が高いが故の取っつきにくさを感じるかも知れません。しかしグローバル展開をされていることもあって関連する記事は豊富です。
Yahoo!タグマネージャはヘルプで提供されている以上の情報が乏しいことが特徴的です。タグを追加して単純に配信するだけであれば大きく迷わないのですが、ヘルプ以上のサポートが必要となる場合は有償であるケースが多く、自力で解決しようとしても関連記事も乏しい事から路頭に迷いやすくなりがちですので注意が必要です。

タグマネジメントツールは用途で使い分ける


上記でYahoo!タグマネージャーとGoogleタグマネージャを比較いたしました。それぞれのタグマネジメントツールは、タグの対応といった点で強み・弱みがはっきり分かれているため、以下のような形で相互に補完できるように併用することが理想的といえます。

■Googleタグマネージャ
・Googleアナリティクス、Googleアドワーズをはじめとする、相互連携が高いGoogle系プロダクトに対して積極的に利用する
■Yahoo!タグマネージャー
・Yahoo!プロモーション広告などのYahoo!系プロダクトに対して積極的に利用する
・それ以外の国内外ベンダーのタグは、Yahoo!タグマネージャーのタグテンプレートに登録があれば積極的に利用する
・タグテンプレートに登録のないその他のタグは、カスタムタグとして設定する(ただし動作保証対象外)か、タグを直貼りする

尚、2つのタグマネジメントツールを同時に利用することで、意図せぬトラブルの発生や、それに対する原因の切り分け・分析が難しくなるケースが発生することも予想されますので、導入には細心の注意を払ってください。
もし、単純にワンタグとしての機能を期待しどちらかを利用するということであれば、筆者はタグの対応種類も幅広い『Yahoo!タグマネージャー』をまずはオススメいたします。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、タグマネジメントツールの概要から、Yahoo!タグマネージャーとGoogleタグマネージャの機能や利用シーンについてご紹介いたしました。 タグマネジメントツールは前述したように便利な反面、設定や使い方を誤ってしまうと大きなトラブルを招きかねないツールです。 またタグマネジメントツールは初期の導入と設計が非常に重要になります。この導入・設計の詳細については後ほど別の記事でご紹介いたします。タグマネジメントツールをこれから導入してみたいとお考えの方は、まずはアクセス数が少なくトラブルが起きても影響が少ない数ページに導入し、十分な動作検証を行った後に導入範囲を拡大していくことを筆者は推奨いたします。