看護師のためのストレスを溜め込まない仕事術

[公開日]2014/12/26[更新日]2018/08/08

どのような職業にもストレスはつきものですが、責任の重い職業の一つである看護師のストレスは相当なもの。ストレスが溜まりに溜まってしまうと健康まで害してしまいます。そのような事態に陥る前に手を打ったり仕事の仕方を工夫しましょう。何と言っても予防が一番ですね。

そこで今回は『看護師のためのストレスを溜め込まない仕事術』をご紹介します。

看護師がストレスをためる瞬間


看護師の仕事がストレスフルな3つの理由


なぜ看護師の仕事をしながらストレスを溜めてしまうのか、自覚することが第一歩です。

生命に関わる緊張感
健康、生命に関わるような責任の重い業務のため、新人であろうとも関係なく完璧な仕事が要求されます。初めてのことでも出来て当たり前という雰囲気がありますよね。他の職種に比べ量的労働負荷(仕事量)や労働負荷の変動(仕事量の変動)が大きいといわれています。仕事量が多い上にその変動も大きく、勤務時間中は休む間もなく仕事に追われ
それでも定時に終わるとは限りません。緊急事態が発生する事もしばしばなのが医療現場ですね。

チーム医療の調整役
医療従事者の中では調整役としての役目が大きく、職場の人間関係にかなり気を使います。他職種の看護職に対する理解不足によるストレスもあります。同じ看護師の中でも仕事に対する姿勢や価値観の違いでイライラしたりさせられたり、ぶつかり合う事も多いかと思います。

過酷な労働環境
夜勤があったり残業することも多く肉体的な負担も大きい仕事です。一緒に働いている人だけではなく、患者さんとその家族に対しても気を使う事があります。時には無理な要求をされたり威圧的な態度をとられることもあります。一生懸命やっていても伝わらないのは、もどかしく、悲しくなってしまいますね。

看護師のストレスに関する調査


看護師のストレスについて研究や調査が行われています。以下その一部の結果を挙げます。

勤続年数と一般的疾患傾向には負の相関が見られた
経験を重ねていくと上手に対処する事ができるようになる、と推測できます。また看護師の声を聞いてみると

 

「一年目は覚える事が多くて大変だった。二年目は一通り仕事を覚えて余裕が出てきたが、周りの都合で新人と見られたり、経験ある看護師として扱われたり微妙な立場。三年目責任ある仕事を任せられる。結婚も考えたいけれど忙しくなり、身体的にも疲れがなかなかとれない。」
新人からベテランまでそれぞれの過程で、悩みやストレッサーは変わってくるようです。

通勤時間の長さに比例して不安・うつが増長
通勤に時間がかかるのもストレスになりますね。満員電車や交通渋滞も不快に感じるものです。筆者の経験上の事ですが、通勤にそれほど時間がかからない場合は、仕事に行くのが憂鬱でも玄関を出たところで気持ちを切り替えることができます。時間がかかるとその間に何度も引き返したくなりました。

睡眠時間の長さは健康状態の維持に繋がる
ストレスで不眠になり、その不眠が疲れのとれない原因になるという悪循環に陥る看護師も多いようです。

ストレスへの対処として問題焦点型は未婚者に多く見られる
※問題焦点型
問題に対して自分の努力で解決しようとするタイプ

※情動焦点型
問題について考えるのを止める、反応として生じた感情に対処する

どちらがいいとか優れているとかではありません。どちらも長所、短所はあります。他に回避焦点型というのもあります。決まったパターンではなく、それぞれの状況に応じて適した方法を選択できるようになるのが望ましいでしょう。

さて、それでは人間関係と業務そのものによるストレス軽減を中心にお話ししていきましょう。

人間関係


人間関係もまたどのような職種の方にとっても難しい問題です。職業柄そうなってしまうのか、看護師は性格のきつい人が多いと指摘されることもあります。ストレスを受けて心に余裕がなくなり、イライラするのは誰しもあることです。看護師の場合は常にストレスを受け続けて慢性化するのかもしれません。

イライラして人に優しく出来なくなれば、当然のことながら人間関係が上手く行くはずもありません。また、その事に対して自己嫌悪を抱いたりして悩む事も多いようです。(イライラして八つ当たりするというのも情動焦点型のコーピングの一つです。)相手のあることですので問題焦点型でも限界があります。

そこで人間関係について改善しようとする場合は
「人は思い通りにはならない」
「他人は変えられない」
ということを前提に考えます。

思い通りにならないことにイライラしてもしかたありません。思い通りにならない他人に思い通りに動いてもらうにはどうすればいいか?に焦点を当てましょう。

新人と指導者
新人にとっても指導者にとっても重荷なのが新人教育です。以前にも書きましたように、新人側の悩み(ストレッサー)として

仕事がなかなか覚えられない
叱られてばかりで自身を失う

が挙げられます。指導する立場の方は、新人看護師には

叱責や否定的な言葉に敏感に反応する
被害者意識を持ちやすい

という特徴があることを頭に入れておきましょう。緊張していてはどんなに教えても、なかなか頭には入らないものです。経験が無いうちは言葉で何回言われても、なかなか理解できない事もあります。それが臨床でどう関係してくるのか、どういう根拠でそうなるか、同じ事でも経験者と新人の理解度は違うのです。

また”知っている”と”出来る”のも別物です。人に教えたり仕事を頼むとき、あなたの当たり前と他人の当たり前は違う、ことを意識しましょう。ゆとり教育世代の新人に対しては筆者も話を聞いて、信じられなかったり正直呆れてしまうこともあります。「あなたの当たり前と他人の当たり前は違う」の典型的な例ですね。

しかし、それでも教えていかなければならないのですから、この世代はこういうものだと思って受け止めましょう。
(受け入れるのではありません)

新人に対して絶対してはいけない事

「この間言ったでしょ」「いい加減覚えてよ。慣れてよ」など焦りや不安を助長する言葉
「できないのはあなただけ」「向いていないんじゃない」など自信喪失・劣等感を助長する言葉
無視、仲間はずれ、悪口などの非言語的メッセージ

これらは本人をかなり苦しめますし、全く成長の助けにはなりません。結局は既に戦力として看護職として働いている方々にとっても、マイナスにしかならないのです。

新人看護師が嬉しいと思うこと

認められること褒められること
思いやりを見せられる
励まし、ねぎらい、感謝の言葉をかけられる
非言語的メッセージでこれらのことを表現してもらう事

出来て当たり前の世界ですが、機会を見つけて褒めると、本人もやる気が出てくるものです。自分が必要とされていると感じる事が出来れば、やりがいが生まれます。

考えてみれば、看護の対象は全ての人間なので、新人看護師に対しても基本的には患者さんと同じで
・傾聴
・共感
・感情への対応
・否定的な感情の汲み取り
・適度なスキンシップ
・ボディランゲージを読み取る
などのコミュニケーションが必要です。

給与には反映されませんが、新人教育も看護の内と言えるでしょう。

新人が心がける事

挨拶をきちんとする
緊張していると頭に入ってこないので、リラックスする
新しく覚えなければならない事はメモする。患者さんには見られないようにしましょう。
教えてくれるのは当たり前だと思わない事
叱られる事を自分自身を否定されることと混同しない。あなたが新人なら叱られるのは当たり前。叱られることがあったとしても一生懸命やっているのなら、少しずつ成長していきますし必ず誰かが見てくれています。
わからない事があれば勇気を出して訊く

患者さんとその家族
以前お話ししましたが、暴言は受け流し、理不尽な要求に対してはスタッフ全員が足並みを揃え、一貫した態度を取りましょう。もちろん患者の権利として当然の要求やクレームもあります。以下、多い順に挙げていきますので、クレームが来る前に対策していくといいでしょう。

最も多いクレームは入院環境の改善です。

次いで尊厳に対するクレームです。これはスタッフの言葉や態度で人格を軽んじられたと感じた場合に来ます。

看護技術の未熟さへのクレームは、注射が痛かったり1回で終わらなかったり、何となく危なっかしくて他の人に代わってほしい、などです。

他者へのクレームは、本人に直接言えないので他のスタッフに話す、ということです。他の人の事を言われた場合は戸惑いますし、自分の事を他の人に訴えられるのは傷つきますね。日頃から患者さんが話しかけやすい雰囲気を作れるように心がけるといいでしょう。

対応能力へのクレーム。これは話が通っていない、連携が悪いなどで、スムースに対応してもらえなかったということです。

患者さんとの関係においては、看護の質を上げていくとクレームを減らす事が出来ます。

いい仕事をするために


時間との戦いと言っていいほどの仕事量。緊急時ともなればよりスピードを求められます。その上で仕事の質も上げていかなければなりません。そのためのポイントをご紹介していきます。

 

仕事の前に予め決まったタスク、最低限やらなければならない事を書き出します。他の職種のように優先順位をつけるのは難しいのでつけません。自分なりの目標を決めて毎日の仕事に臨むといいでしょう。例えば、もっと患者さんとコミュニケーションをとれるように「○○の看護技術を磨く」「○○ができるようになる」などです。看護の仕事はその先に何が起こるかわかりません。数分で終わる仕事や頼まれ事はすぐやって済ませておくとあとが楽です。

 

看護業務の必需品は自分の使いやすいお気に入りグッズでデザインが自分の好みに合っているグッズだとなおいいでしょう。意外と癒されますよ。

 

職場環境を良くしていくためには個人対個人だけではなく組織と個人の対話も必要です。くれぐれも諦めたり我慢に我慢を重ねないようにしましょう。

 

一緒に仕事をする仲間、患者さんなど相手に対しては、完璧を求めないことがイライラしない秘訣です。最優先は安全です。

 

仕事ができる人、かわいがられる人、要領のいい人に、劣等感を持ったり腹を立てるよりもいいところを盗みましょう。

 

初めての事や苦手な事に関しては手順をしっかり確認しましょう。患者さんの前では自信のなさそうな素振りを見せてはダメです。

 

自分目線ではなく相手目線で役に立つ事を心がけましょう。患者さんは自分の大切な家族のつもりでお世話する事です。

 

人よりも時間がかかってしまうのならいつもよりも少しだけスピードアップを意識して取り組みましょう。毎日少しずつ目標の所要時間に近づいていく事です。

以上看護師のためのストレスを溜め込まない仕事術をご紹介させて頂きました。ご参考になれば幸いです。

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