循環器内科・消化器内科の看護師って、何をしたらいいの?
[公開日]2014/10/21[更新日]2018/08/08
〈質問〉
私は看護師です。この春から循環器内科と消化器内科の混合病棟に配属になり、何から勉強しなければならないか焦りを感じています。お勧めの参考書や勉強のポイントがありましたら教えてください。
私は看護師です。この春から循環器内科と消化器内科の混合病棟に配属になり、何から勉強しなければならないか焦りを感じています。お勧めの参考書や勉強のポイントがありましたら教えてください。
〈回答〉
消化器内科勤務経験のある元看護師です。臓器や疾患が多くある科なので、初めての消化器内科であれば勉強することはたくさんありますね。私が参考にし、便利だと思う参考書は次の三つです。
①「病気がみえる 消化器」メディックメディア
解剖から疾患や検査画像まで図や写真で分り易く解説してある。
②「ぱっと引けてしっかり使える消化器看護ポケット辞典」成美堂出版
医学用語データや症状に対するケア疾患や検査などをポケットサイズで。カルテを診る時やベッドサイドで分らない時にすぐ調べられる。
③「消化器系疾患をもつ人への看護」中央法規出版
消化器内科の看護をするにあたり、疾患のメカニズムや観察やケアの実践的内容が詳しく書いてある。
参考書のほかに、下記の項目に注意して勉強すると業務に役立つと思いますよ。
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目次
消化器の解剖生理は覚えておこう
まずは、消化器の解剖生理を頭に入れておかないと観察も看護もできないと言ってもいいでしょう。看護は観察から始まりますので、初めて消化器内科で勤める上では改めて勉強することが大切です。看護学校の教科書にも書いてあるほど基本ですが、苦手な人は図解などの分かり易く書かれた参考書で勉強されるといいでしょう。
ほかの科であまり見ることはありませんが、消化器内科では、内視鏡の画像やエコー画像などを扱います。①の本は解剖も書かれていますが、疾患や病態の把握などその他の内容もまんべんなく分り易く書かれてあります。
どこを観察するのか
消化器内科では、どの患者さんに対しても、排泄物、検査データ、症状など、共通する観察項目と、疾患毎に必要な観察項目があります。例えば、C型肝炎の患者さんに、C型肝炎ウイルスに罹患後、肝硬変から肝がんへと移行している方がいたとします。移行中には、インターフェロンをしたり、栄養状態が低下したり、出血傾向が出たり、肝性脳症になったり、PEITをしたりと、様々なことがあります。そのため、GOTやGPTなど肝機能を中心としたデータの観察と、それに付随してくる黄疸や出血など症状の観察が増えたりしてきます。
沢山の観察項目はありますが、流れとポイントが分かれば日々の業務の観察に生かされるはずです。病棟で多くみられる疾患から勉強してみましょう。②の参考書は、業務をしながらの観察にすぐに役立つものとなるでしょう。
扱う疾患の多い臓器から
消化器内科の疾患別に勉強するのは、数も多く取りかかりが難しいところです。まずは、病棟で数が多くて、良く担当する疾患について勉強した方がいいかもしれません。臓器毎で見てみると、観察や看護などが似てくるので、臓器別に絞って勉強すると複数の疾患が頭に入り易いでしょう。
例えば、大腸の疾患では、ポリープや潰瘍やがんなどありますが、便潜血検査や大腸ファイバー検査の為の説明や前処置をして、便の状態を観察したり、検査だしをしたり、検査や症状に応じて腹痛や腹鳴や排便状況の観察をしたりなど、共通した看護となり易いので、大腸に関連した疾患について勉強する内容が重複することになり、複数の疾患をまとめて勉強できることができます。
症状に対する治療や看護の仕方を覚えよう
消化器内科の疾患の症状は、臓器が多くある為、その症状は多様にあります。例えば、下痢のある患者さんは、感染性、腸性、機能性など、その原因について医師から診断が下されます。しかし、下痢の症状に対して共通なのは、腹痛、腹鳴、便の性状や回数、脱水症状など観察する項目はほぼ同じという点です。
又、食事制限、輸液管理、安静の保持など、実施する治療や看護もほぼ同じなので、下痢に対する看護の知識を一度理解できれば、病名が変わっても対処ができるようになります。③の参考書は、症状ごとに看護の解説をしているため使いやすく、十分に頭に入るまでは時々振り返って看護や計画立案など実践に生かせるもとなるでしょう。
データが分かるようになろう
消化器内科の疾患のデータは、随時血液や尿検査で見ていきますが、疾患のある臓器に絞って、CT、エコー、内視鏡などを見ることもあります。CTなどの検査結果はカルテ上で見ますので、分からない用語などは②の参考書で確認して、どのような結果だったのかを理解できるようにしましょう。
この結果によって、これからどのような治療方針になったのかカルテに記載をしている医師もいますが、もしまだ記載がなければ、時間に余裕がありそうな担当医師がいる時にきいてみると、患者さんについての情報交換ができたり、より詳しく説明してくれるたりするかも知れません。
又、ウイルス、腫瘍マーカー、貧血など、疾患や程度によって検査をしている項目もありますから、ベッドサイドの観察だけでなく、カルテ上の検査結果を随時確認しておく必要があります。
看護別に勉強しよう
消化器内科の疾患の看護は、内服・輸液管理、検査の介助、観察、症状に応じたケア、日常生活の援助、患者教育が必要です。例えば、肝性脳症では、アンモニアデータを把握し、排便やはばたき振戦などの観察や、服薬状況の確認や排便処置などのケアを行う必要があります。それらを怠ると、いつの間にか不穏行動が出て転倒による脳出血やラプチャーなど起したり、昏睡状態なったりととても危険な状態になったりします。
そういうリスクを抱えているということで、看護計画やケアの立案、観察項目がカルテなど記録物に記載してあります。記載されている項目は必ず観察や実施をして指導者に報告し記録しなければなりません。
記載されている意味を理解するためにも、③の参考書を使って理解を深め、看護ができるようになり、いずれは自ら気づき、計画し、実施できるようになるのが目標となります。
消化器内科特有の処置は、実作業を中心に
消化器内科では、胃婁、ドレーン管理、ストーマ、内視鏡など特有の処置や治療があります。これらはどれも看護する機会があるとは思いますが、それぞれ専門の参考書があるほどの大変な業務です。
しかし、消化器内科で看護するのであれば、ある程度は勉強しておかなければなりません。その為、病棟でよくある傾向のものや数の多いものから参考書に目を通しましょう。まずは観察やケアの仕方など、実作業に関することをよく読みます。その他の内容については、慣れてきた頃や時間の余裕ができた時に読むと効率的です。
参考書は高価ですが、病棟には関連する参考書はあると思います。まずは病棟の本で勉強し、必要があれば買い足すくらいの方が、負担が少ないでしょう。
消化器がんとターミナルケアには必ず関わる
消化器内科で多いのが、消化器がんのある患者さんを看る事で、看取りも他の科と比べて多くなります。特にターミナルの看護は、専門の病院もあるくらいなので、その奥深さも一層でしょう。患者さんの事を考える機会が多くなるのも、ターミナルの看護としては珍しくなく、患者の背景や家庭環境など、個別性を重視したケアが必要になってきます。病棟のカンファレンスで治療や看護について話し合ったり、インフォームドコンセントを重ねたり、患者さんの人生について医療者としてどうアプローチしていくか考えなくてはなりません。又、疼痛コントロールの為の麻薬の取り扱いや、死亡時の処置についてなど、十分に知識がないと携わることもできません。
初めからこのような業務に就くことはありませんが、夜勤など少人数になると関わることもあります。指導者に聞きながら、確実に実施できるくらいにはなりたいものです。
珍しい治療は、病棟のマニュアルを見よう
EMR、大腸ポリペクトミー、PEIT、腹水穿刺など、消化器内科では内科で侵襲の少ない処置をすることがあります。こういった内容は、参考書が単独にあることはほとんどなく、内視鏡の参考書には、原理から薬剤、手順、観察など、他の臓器も含めて内視鏡に関する詳しいものもありますが、他のものは、観察や物品など参考程度に消化器系の参考書に書いてあることが多いです。
実際は病棟に物品や観察や手順などマニュアルを作成していることが多いので、そちらに基づいて実施するというのが多いと思います。医療者という専門的な職種ですので、どこまで自分が深めていくかは個人差があるとは思いますが、内視鏡技師の資格を目指すなど、目標がある人はこのような専門書を持っておくのもいいかもしれません。
業務で分からないことが、成長していくヒントとなる
参考書は色々とありますが、それを選ぶのは時間がかかりますし、どれが参考になるのかは勉強してみないと分らない事もあります。まずは、カルテを読んで医師がどのような投薬や検査や治療の指示内容をしているかということを把握することで、患者さんの状態が分るようになってきます。そして、看護記録をみて、先輩達がその患者さんについて、どのような観察をし、看護計画立案やケアをしているかをみることで、医師が記録していったことからどのようなことが必要かを判断したか流れが見えてきます。
それから、その意味を深めていくといった流れで参考書を使っていくといった方が、どんな参考書が必要か明確になり選びやすくなり、勉強し易くなるでしょう。
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